2016年12月25日

【4か月24日ぶり】お久しぶりです皆さん…

皆さんこんにちは。
TomoKです。

すっかりこのブログを4か月、もうじき5か月も放置してしまいまして、
この記事を楽しみに待ってくださった方々には大変申しわけなく思います。

さて、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
実は、前回記事から1か月半ほど後に、
ホームページ「栗のお部屋」を開設いたしました。
下のバナーから入れます。



https://tomok0827.jimdo.com/ です)

まずなぜホームページにしたかというと、
やはりブログを毎日とか毎週とか定期的に続けるのが
個人的に難しい(三日坊主みたいな)というのがありました。

そこで、ホームページであれば、定期更新する必要なく、
好きな時間に書けるだろう、
そして好きな時間に読んでもらえるだろう、と思ったからです。

(もちろんブログを定期更新しなければというのも
自分の固定観念のせいですが、、、)

ホームページには、数学の記事と道路関係に記事に分けて
それぞれを並立して更新しています。
ホームページとは逆で、若干道路関係のほうが更新は多めかな?

さて、
今後もこのブログは廃止しません。
気が向いたら遊びに来ます。
日頃の雑感とか、
ホームページの最近の更新のようすとか、
何か書きたくなったらまたこっちに来たいと思っております。

ちなみに、このブログで8月まで書いてた数学の記事は、
ホームページにも、若干手を加えると思いますが、同じものを掲載予定です。
復習にどうぞ!

ということで、2016年も残り1週間ですので、
皆様も体調を気を付けて、よい新年をお迎えください!!

🎄Merry Christmas & Happy New Year!!🎍

2016年8月1日

【高校数学I】背理法

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今日は、直接証明するのが難しい場合によく使われる
「背理法」をご紹介します。

背理法」というのは、
「Aを証明するのに、Aでないと仮定して矛盾を導く」証明法です。

「矛盾」というのは、つじつまの合わないことが2つ(以上)ある状態を指します。
つまり、「Aでないと仮定したら、そこから2つ(以上)のつじつまが合わないことが出てくる」
というのが、この背理法です。

1回実例を見てみましょうか。

例題
EXQ1. 背理法によって、次の命題を示せ。
「整数$n$に対し、$n^2$が3の倍数ならば、$n$は3の倍数である。」

今回証明するのは、
「$n^2$が3の倍数ならば、$n$は3の倍数である」ということです。

したがって、背理法の仮定は、この否定の、
$n^2$が3の倍数であって、かつ$n$が3の倍数でない」としておきます。

「$n$が3の倍数でない」ときは、$n$を3でわって1または2余るので、
ある整数$k$を用いて、$n=3k+1$もしくは$n=3k+2$と書けます。

ここで、$n^2$を考えると、
$n=3k+1$のとき、$n^2=(3k+1)^2=9k^2+6k+1=3(3k^2+2k)\underline{+1}$
$n=3k+2$のとき、$n^2=(3k+2)^2=9k^2+12k+4=3(3k^2+4k+1)\underline{+1}$
となって、いずれにしても、$n^2$が3の倍数ではなくなります

今、背理法の仮定では、$n^2$が3の倍数だとしているので、
ここで食い違い、矛盾が起きます。

この矛盾はなぜ起こったかといえば、もともと示すべき命題の否定の
$n^2$が3の倍数であって、かつ$n$が3の倍数でない」を仮定したからで、
つまりはその仮定が間違い、よってもとの
$n^2$が3の倍数ならば、$n$は3の倍数である」が正しい、ということになります。

以上を整理して、この例題の命題の証明を書き上げてみましょう。

[証明]
背理法で証明する。
$n^2$が3の倍数であって、かつ$n$が3の倍数でないと仮定する。
このとき、$n$を3で割ると1または2余るので、
ある整数$k$を用いて、$n=3k+1$または$n=3k+2$と書ける。
ここで、
$n=3k+1$のとき、$ n^2=(3k+1)^2=9k^2+6k+1=3(3k^2+2k)+1$
$n=3k+2$のとき、$n^2=(3k+2)^2=9k^2+12k+4=3(3k^2+4k+1)+1$
となり、いずれの場合も$n^2$が3の倍数でないことになるが、
これは、$n^2$が3の倍数であるという仮定に矛盾する。
以上により、$n^2$が3の倍数ならば、$n$は3の倍数であることが示された。  (終)

背理法の証明は、

背理法の仮定を記す。
 すなわち、これから証明しようとする命題の否定を仮定する。

②その仮定から、つじつまが合わない2つ(以上)の結果を導く。

③②の2つ(以上)の結果が矛盾すること、したがってもとの命題が成り立つことを記す。

の順番で書いていきます。
できれば、背理法の証明をするときには、最初に「背理法で証明する」などと一言断っておくと、
読む人に丁寧な印象を与えます。(何せ、証明というのは論説文ですから)

さて、背理法は、よく「~でない」という形の命題で使われることが多いです。
(もちろんいつもそうとも限りませんが…)
実数に関するトピックとしては、「ある数が無理数であることの証明」によく使われます。

次の例を見てみましょう。

例題
EXQ2. 背理法と上のEXQ1を用いて、$\sqrt{3}$が無理数であることを示せ。

無理数というのは、分数で表すことのできない実数のことでした。
背理法の仮定は、「$\sqrt{3}$が無理数でない」、すなわち、「$\sqrt{3}$が有理数である」です。

有理数であるならば、こんどは分数で表されるということになります。
特に、どんな分数も、約分して、それ以上約分できないようにする(既約分数にする)ことが可能です。
このとき、分母と分子の最大公約数は1となる(互いに素である)ことに注意しましょう。

さて、背理法の仮定によれば、最大公約数が1となる2つの整数$m,n$を用いて、
$\sqrt{3}=\dfrac{m}{n}$と書けることになります。
ここで両辺に$n$をかけることで、$n\sqrt{3}=m$がわかります。

$\sqrt{3}$のままでは扱いにくいので、2乗してしまいましょうか。
すると、$3n^2=m^2\quad \cdots (*)$となって、$m^2$が3の倍数だということがわかります。
すると、上のEXQ1が使えて、$m$が3の倍数と分かります。

そうなると、ある整数$k$を用いて$m=3k$と書けます。
これを$(*)$に代入すると、$3n^2=(3k)^2$すなわち$3n^2=9k^2$となって、
この両辺を3で割ると、$m^2=3k^2$となります。
すると今度は$n^2$が3の倍数なので、
再びEXQ1によって、$n$が3の倍数であることになります。

以上のことから、$m,n$がともに3の倍数であることになりますね
でも、$m,n$の設定は何だったでしょう?
そうですね。$m,n$の最大公約数は1でした
$m,n$がともに3の倍数であれば、最大公約数は3の倍数、少なくとも1ではなくなりますから、
ここで矛盾が発生します。

この矛盾が発生する原因は、もともと「$\sqrt{3}$が有理数である」と仮定したからでした。
よって、この仮定は間違い、したがって結局「$\sqrt{3}$が無理数である」というのが正しい、と分かります。

以上をまとめて、$\sqrt{3}$が無理数であることの証明を清書しましょう。

[証明]
背理法で証明する。
$\sqrt{3}$が無理数でない、すなわち$\sqrt{3}$が有理数であると仮定する。
このとき、最大公約数が1となる2つの整数$m,n$を用いて、$\sqrt{3}=\dfrac{m}{n}$と表せる。
この両辺に$n$をかけると、  $n\sqrt{3}=m$
さらに両辺を2乗して、      $3n^2=m^2\quad \cdots (*)$
したがって、$m^2$は3の倍数となるから、$m$は3の倍数であるので、
ある整数$k$を用いて、$m=3k$とおける。
このとき、$(*)$により、 $3n^2=(3k)^2$ すなわち $3n^2=9k^2$
両辺を3でわって、          $n^2=3k^2$
したがって、$n^2$は3の倍数となるから、$n$は3の倍数である。
ところがこのとき、$m,n$はいずれも3の倍数であり、これは$m,n$の最大公約数が1であることに矛盾する。
以上によって、$\sqrt{3}$は無理数であることが証明された。   (終)

注意したいのは、背理法の証明においては、
矛盾が出るまでは、背理法の仮定を念頭に置いておかなければならない
という点です。
長めの背理法の証明になると、背理法の仮定を忘れて、
「証明内のことが(無条件に)成り立つ」と思い込みがちです。

今回の例だと、$\sqrt{3}=\dfrac{m}{n}$となる、
最大公約数が1の2つの整数$m,n$があたかも存在するかのようにして証明を進めています。
そして、$m,n$がいずれも3の倍数となってしまうという結果に導いています。

しかし、それは、つねに背理法の仮定「$\sqrt{3}$が有理数である」がきいているからこそ、
導かれることに注意しなければならないです。
決して無条件に、そのような$m,n$が存在する、ということではないのです
そして、実際にはそのような$m,n$がない、といえるのは、
その仮定を認めたうえで矛盾が生じた結果としていえることだ、ということになるわけです。

背理法の証明を読む際は、ぜひこの点に注意してください。

練習問題
Q1. 背理法によって、次のことを証明せよ。   [解答]
 (1) 整数$n$に対し、$n^2$が偶数ならば、$n$も偶数であること。
 (2) $\sqrt{2}$が無理数であること。 ((1)を用いてよい)

と、いうわけで、今回はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた!

2016年7月23日

【高校数学I】逆・裏・対偶と対偶証明法

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回はまず、命題$p\Rightarrow q$から「形式的に」作られるいくつかの命題について取り上げます。

(補足:この記事を公開後、一部誤りがあるとの指摘を受け、
公開当日中に確認し、訂正をしました。ご指摘くださった方に御礼申し上げます。
その他不具合も確認したので訂正しました。以下は訂正後の内容です)

[1] 逆・裏・対偶

命題$p\Rightarrow q$に対し、
             $q\Rightarrow p$を、$p\Rightarrow q$の 
             $\overline{p}\Rightarrow \overline{q}$を、$p\Rightarrow q$の 
             $\overline{q}\Rightarrow \overline{p}$を、$p\Rightarrow q$の 対偶
と呼びます。

逆は文字どおり"$\Rightarrow$"の前後を逆にしたものです。

裏は"$\Rightarrow$"の前後でそのまま否定をとったものです。

対偶は、"$\Rightarrow$"の前後を入れ替えて、さらに否定をとったものです。
したがって、「対偶は逆の裏」になっています。

さて、逆・裏・対偶の真偽がどうなるのかについて、次の例題で見てみましょう。

例題
EXQ1. 次の命題の真偽を調べよ。また、逆・裏・対偶を作って、それらの真偽を調べよ。
「実数$x$について, $x>0$ならば$x^2>0$である」

まず、元の命題は、正の数の2乗は必ず正だから、です。

次に、逆・裏・対偶を順番に調べていきましょう。

は、「ならば」の前後を入れ替えるので、
「(2つの実数$x,y$に対して,) $\bold{x^2>0}$ならば$\bold{x>0}$
となります。
これは、たとえば$x=-1$を反例としてとなります。
$x=-1$ならば、$x^2=(-1)^2=1>0$となるからです。

続いてですが、今度はもとの「ならば」の前後の否定をとりますから、
「(2つの実数$x,y$に対して,) $\bold{x\leqq 0}$ならば$\bold{x^2\leqq 0}$
となります。
これも、同じく$x=-1$のときが反例になって、になります。

最後。対偶ですが、「ならば」の前後を入れ替えてそれぞれの否定をとるので、
「(2つの実数$x,y$に対して,) $\bold{x^2\leqq 0}$ならば、$\bold{x\leqq 0}$
となります。
これは、$x^2\leqq 0$となるのは、$x=0$のときだけです。
($x\neq 0$なら、必ず$x^2>0$になりますよね)
そして$x=0$ならたしかに$x\leqq 0$が言えますから、です。

この例題の命題のように、命題「$p\Rightarrow q$」については、
もとの命題が真であっても、その逆が必ずしも真になるとは限らない
ことに注意しましょう。

ですが、実は次のことが必ず言えます。

対偶の真偽
命題$p\Rightarrow q$と、その対偶$\overline{q}\Rightarrow \overline{p}$の真偽は一致する。

確かに、上の例題でも、もとの命題は真で、対偶も真でした。

これは、$p,q$の成り立つような$x$の集合を考えることで説明できます。

仮に、$p\Rightarrow q$が成り立っていたとしましょう。
考える全体集合を$U$とし、そのうち$p,q$の成り立つような$x$の集合をそれぞれ$P,Q$とすると、
$p\Rightarrow q$が成り立つので、$P\subset Q$になります。
ここで、$P,Q$の補集合を考えると、位置が逆転して$\overline{Q}\subset \overline{P}$が言えますが、
これは$\overline{q}\Rightarrow \overline{p}$が成り立つことにほかなりません。

したがって、もとの命題が真ならば、その対偶も真になることがわかりました。

一方、いまの下線部が真であることがわかったので、下線部の対偶をとることで、
「対偶が偽ならば、もとの命題が偽」が言えます。
したがって、もとの命題が偽のときは、対偶の対偶がもとの命題に戻ることを考えて、
対偶が偽であることがわかります。

以上から、もとの命題と対偶は真偽が一致することがわかりました。

ところで、逆と裏の関係も対偶どうしなので、ある命題の逆と裏の真偽も一致します。

練習問題
Q1. 次の命題の真偽を答えよ。
  また、それぞれの逆・裏・対偶を作り、それらの真偽を答えよ。   [解答]
 (1) 実数$x$について、$x=0\Rightarrow x^2=0$
 (2) 整数$n$について、$n$が6の倍数$\Rightarrow n$が3の倍数
 (3) 整数$n$について、$n^2$が4の倍数$\Rightarrow n$が4の倍数

[2] 対偶証明法

さて、もとの命題とその対偶との真偽が一致するので、
・命題$p\Rightarrow q$を示すのに、その対偶$\overline{q}\Rightarrow \overline{p}$を示してもよい
ということが言えます。
これは、命題$p\Rightarrow q$を直接導くことが難しい場合に利用されることがあります。

例題
EXQ2. 実数$x,y$について、
  $x+y\neq 4$ならば、$x\neq 2$または$y\neq 2$であることを証明せよ。

これは、そのまま$x+y\neq 4$からはじめて、$x\neq 2$または$y\neq 2$を示すのは極めて難しいです。
そこで、この命題の対偶を考えます。
$x\neq 2$または$y\neq 2$の否定は「$x=2$かつ$y=2$」になることを注意すると、
命題の対偶は、「$x=2$かつ$y=2$ならば、$x+y=4$」となりますね。
これだったら簡単です。$2+2=4$ですから。

したがって、改めてこの命題の証明を清書すると、次のようになります。

[証明]
示すべき命題の対偶は、「$x=2$かつ$y=2$ならば、$x+y=4$」であるが、
$x=2$かつ$y=2$ならば、$x+y=2+2=4$である。
したがって、対偶が示されたので、示すべき命題が成り立つことも示された。 (終)

まず、対偶がどうなるかを記し、その対偶を示します。
最後は、対偶が示されたので、もとの命題が成り立つことを言えば、完結します。

練習問題
Q2. 対偶を証明することにより、次のことを証明せよ。   [解答]
 (1) 実数$x$について、$x^2\neq 1$ならば、$x\neq 1$である。
 (2) 整数$a$について、$a^2$が偶数ならば、$a$も偶数である。

次回も、対偶証明とはまた別の、直接でない証明の方法を紹介したいと思います。

では、今回はここまで。
お読みくださりありがとうございました。
ではまた!


2016年7月14日

【高校数学I】必要条件と十分条件

皆さんこんにちは!
TomoKです。

前回までにいろいろな条件や命題を見てきたわけですが、
2つの条件$p,q$に対して、それらの「成り立つ」「成り立たない」の関係を見るのに、
「必要条件」と「十分条件」という考え方を使います。

定義
2つの条件$p,q$について、
(i) $p\Rightarrow q$が成り立つとき、$p$は$q$であるための十分条件であるという。
(ii) $q\Rightarrow p$が成り立つとき、$p$は$q$であるための必要条件であるという。

$p\Rightarrow q$が成り立つときは、
$p$という条件があれば、$q$という条件が成り立つのに十分である、
という意味合いで、「$p$は$q$であるための十分条件」というわけです。

次に、$q\Rightarrow p$が成り立つときは、
$q$という条件を成り立たせるためには、少なくとも$p$という条件が必要である、
という意味合いで、「$q$は$p$であるための必要条件である」というわけです。

だいぶどっちがどっちだか迷うかもしれません。
この記事を書いている私もここのところは結構わかるのに時間がかかった覚えがあります。

上のことを図でかいてみます。
ただし、この図では「$q\Rightarrow p$」のことを「$p\Leftarrow q$」と表しています。



「は」から「であるための」に向かう矢印が成り立つのは十分条件
「であるための」から「は」に向かう矢印が成り立つのは必要条件
です。

有名な覚え方で下のようなものがあります。
これを最初に思いついた人ってなかなかセンスあるような気がします。

注意しなければならないのは、
「は」「ための」の位置を合わせておかないとならないことです。
必ず、「は」は左、「ための」は右において考えます。

ともかく、「十分条件」と「必要条件」が逆にならないように覚えておきましょう。

定義
2つの条件$p,q$について、$p$が$q$であるための十分条件かつ必要条件であるとき、
すなわち、$p\Rightarrow q$かつ$q\Rightarrow p$が成り立つとき、
$p$は$q$であるための必要十分条件である、または$p$と$q$は同値であるといい、
$p\Leftrightarrow q$で表す。

一般には、$p\Rightarrow q$が仮に成り立っても、その逆の$q\Rightarrow p$が成り立つとは限りません。
しかし、$p\Rightarrow q$と$q\Rightarrow p$の両方が成り立った場合は、
$p$と$q$の条件は同じときに成り立つと考えてよいわけです。
その時、$p$は$q$であるための必要かつ十分な条件となり、
それを$p$と$q$は同値であるということがある、というわけです。

例題
EXQ1. 次の[    ]にあてはまる最も適切なものを、次の①~④から選べ。
  ①必要条件ではあるが、十分条件ではない
  ②十分条件ではあるが、必要条件ではない
  ③必要十分条件である
  ④必要条件でも十分条件でもない

 (1) 実数$x$について、$x=1$であることは、$x^2=1$であるための[    ]。
 (2) 整数$a$について、$a^2$が4の倍数であることは、$a$が4の倍数であるための[    ]。
 (3) 自然数$p$について、$p$が素数であることは、$p$が奇数であるための[    ]。

よくある問題です。
「は」のついたほうの条件を左に、「ための」のついたほうの条件を右において、
$\green{十}\rightleftarrows \orange{要}$ですね。

(1)をこの図式にあてはめると
$\green{x=1}\rightleftarrows \orange{x^2=1}$となります。

・$\green{x=1}\Rightarrow \orange{x^2=1}$は$1^2=1$よりです。
 「」のほうから出ている→がOKなので、十分性はあります

・$\green{x=1}\Leftarrow \orange{x^2=1}$
 すなわち$x^2=1\Rightarrow \green{x=1}$はどうかというと、
 $x^2=1$から出てくるのは$x=1,-1$の2つがあるので、 $x=-1$を反例としてです。
 「」のほうから出ている←がNGですので、必要性はありません

以上のことから、(1)の[   ]に入るのは、だとわかります。

同じようにして(2)(3)を調べます。

(2)の図式は
$\green{a^{2}が4の倍数}\rightleftarrows \orange{aが4の倍数}$

・$\green{a^{2}が4の倍数}\Rightarrow \orange{aが4の倍数}$を考えると、
 $a=2$のとき、$a^2=4$は4の倍数だが、$a=2$は4の倍数でないから、 $a=2$を反例として
 「」のほうから出ている→がNGだから、十分性はなし

・$\green{a^{2}が4の倍数}\Leftarrow \orange{aが4の倍数}$
 すなわち$aが4の倍数\Rightarrow a^{2}が4の倍数$は、
 $a=4k$($k$は整数)とおくと、$a^2=(4k)^2=16k^2=4\cdot 4k^2$は4の倍数 よって
 「」のほうから出ている←がOKだから、必要性はあり

以上のことから、(2)の[   ]に入るのは、

(3)の図式は
$\green{pが素数}\rightleftarrows \orange{pが奇数}$

・$\green{pが素数}\Rightarrow \orange{pが奇数}$は、
 $p=2$は素数だが奇数でないから、$p=2$を反例として
 「」のほうから出ている→がNGだから、十分性はなし

・$\green{pが素数}\Leftarrow \orange{pが奇数}$ すなわち$pが奇数\Rightarrow pが素数$は、
 $p=9$は奇数だが素数でない($9=3^2$)ので、$p=9$を反例として
 「」のほうから出ている←がNGだから、必要性もなし

以上のことから、(3)の[   ]に入るのは、

練習問題
Q1. 次の[    ]にあてはまる最も適切なものを、次の①~④から選べ。   [解答]
  ①必要条件ではあるが、十分条件ではない
  ②十分条件ではあるが、必要条件ではない
  ③必要十分条件である
  ④必要条件でも十分条件でもない

(1) 整数$a$について、$a$が3の倍数であることは、$a$が6の倍数であるための[    ]。
 (2) 実数$x$について、$2\leqq x<5$であることは、$x>0$であるための[    ]。
 (3) 四角形ABCDについて、
  AB=BC=CD=DAであることは、∠A=∠B=∠C=∠Dであるための[    ]。
 (4) 自然数$n$に対し、
  $n$が40と60の公約数であることは、$n$が20の約数であるための[    ]。
 (5) 2つの実数$x,y$について、$xy=0$であることは、$x=0$かつ$y=0$であるための[    ]。

さて、論理に関する事柄を知ったところで、それらを使わなければあまり意味をなしません。
次回以降は、その「実際に使ってみる」ところをやることになります。
つまり、いろいろな命題が正しいことを論理的に証明する方法を考えていきます。

もちろん、そのまま証明するのができればそのほうがいいのですが、
場合によってそれが難しいこともあるので、
そんな時、ほかにどういった手段が使えるのかを見ていくことにしましょう。

今日はここまでです。
お読みくださってありがとうございました。
ではまた!

2016年7月8日

【高校数学I】「すべて」と「ある」

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今日は「すべて」と「ある」を用いた命題について考えます。

前回同様、ある集合$U$を全体集合とし、
$U$の要素$x$の条件$p(x), q(x)$を考えます。
そしてそのとき、$U$の部分集合として、
条件$p(x)$を満たす$x$全体の集合を$P$とします。

さて、$U$の要素$x$に関する命題
すべての$x$について$p(x)$
は、$x$が$U$の要素であれば、必ず$x$が条件$p(x)$を満たすことを意味します。

$P$は$p(x)$を満たす$U$の要素全体の集合ですから、
すべての$U$の要素$x$について$p(x)$」がであるときは、$\orange{U=P}$となります。

「すべての」の部分は、人によって、
「任意の」とか「勝手な」という言い方をすることもありますが、
すべて同じ意味です。

次に、これと(ある意味)対になる命題として、
ある$x$について$p(x)$
というのがあります。
これは、$U$の中に、$p(x)$を満たす$x$がある、という意味です。

今度は、「ある$U$の要素$x$について$p(x)$」がであることは、$\green{P\neq \emptyset}$ということになります。

ちなみにこれも言い方が人によっていろいろありまして、
「ある$x$について$p(x)$」のことを、
「$p(x)$を満たす$x$が(少なくとも1つ)存在する」とか、
「適当な$x$について$p(x)$」と言ったりします。
(ちなみに数学でいう「適当な」は、「条件を満たすようにとってきた」というような意味です)

さて、この「すべて」と「ある」を用いた命題が偽であるとはどんなときか、考えましょう。

まず、「すべてのUの要素$x$について$p(x)$」がであるのは、
さっきの$P$を用いれば、$U=P$が偽、つまり、$U\neq P$ということです。
$P$は全体集合$U$の部分集合なので、これの意味することは、
$U$の要素で、$P$の要素でないものがあるということです。
集合の式で書くと、$U\neq P$だから、$\overline{P}\neq \emptyset$ということです。

したがって、
          「すべてのUの要素$x$について$p(x)$」がであるときは、
          「あるUの要素$x$について$\overline{p(x)}$」がのとき
と分かります。

言葉や式だとわかりにくいと思いますが、図で書けば下のようになります。


次に、「ある$U$の要素$x$について$p(x)$」がであるのは、
$P\neq \emptyset$が偽、すなわち$P=\emptyset$ということです。
これは、$p(x)$を満たす$x$が($U$の中に)存在しない、
すなわち、すべての$x$について$p(x)$が満たさない、ということです。
これも集合で言えば、$P=\emptyset$だから、$\overline{P}=U$ということになりますね。

したがって、
          「あるUの要素$x$について$p(x)$」がであるときは、
          「すべてのUの要素$x$について$\overline{p(x)}$」がのとき
となります。

これも図で見るといくらかわかりやすいと思います。



ここまでのことを、「否定」という言葉で表現すると、次のことが言えたことになります。

ド・モルガンの法則(「すべて」と「ある」ver.) 
2つの条件$p,q$について、次が成り立つ。
(1) 「すべての$x$について$p(x)$」の否定は、ある$x$について$\overline{p(x)}$
(2) 「ある$x$について$p(x)$」の否定は、すべての$x$について$\overline{p(x)}$

このように、「すべて」と「ある」のときも、否定をとると互いに入れ替わります。

例題
EXQ1. 次の命題の否定を作れ。
 (1) すべての実数$x$について $x^2=1$
 (2) ある自然数$n$について $n$は偶数
 (3) すべての実数$x,y$について $x>0$または$y>0$

条件部分が否定されるだけでなく、「すべて」と「ある」が入れ替わることに注意です。

(1)は、$x^2>0$の否定は$x^2\neq 1$なので、
(1)の否定は $\bold{ある実数xについて x^2\neq 1}$

(2)は、$n$が自然数の範囲では「$n$が偶数」の否定は「$n$が奇数」なので、
(2)の否定は、$\bold{すべての自然数nについて nは奇数}$

(3)はちょっと注意。
「$x>0$または$y>0$」の否定は、「$x\leqq 0$かつ$y\leqq 0$」でしたよね。
したがって、(3)の否定は、$\bold{ある実数x,yについて x\leqq 0かつy\leqq 0}$です。

練習問題
Q1. 次の命題の否定をつくれ。   [解答]
 (1) すべての実数$x$について $x^2>x$
 (2) ある実数$x,y$について $x^2+y^2=0$
 (3) ある四角形ABCDについて AB=CD かつ AD=BC

さて、先ほどの話から、次のことが言えます。

・「すべての$x$について$p(x)$」がであることを言うには、
 xをとりあえず1つとってきて、それが$p(x)$を満たすことを証明する
・「すべての$x$について$p(x)$」がであることを言うには、
 $p(x)$を満たさないxを1つ挙げる(反例を示す)

だから、「すべて」を用いた命題は、
感覚としては「ならば」のときと同じようなものだと考えていいでしょう。

ですが、「ある」のときは状況が逆転しまして、

・「ある$x$について$p(x)$」がであることを言うには、
 $p(x)$を満たすxを1つ挙げる
・「ある$x$について$p(x)$」がであることを言うには、
 xをとりあえずとってきて、それが$p(x)$を満たさないことを証明する
 (または、$p(x)$を満たすxがあるとして矛盾を導く →「背理法」 後日扱います。)

となります。

例題
EXQ2. 次の命題の真偽を答えよ。
 (1) すべての実数$x$について $x^2\geqq 0$
 (2) すべての整数$a$について $\sqrt{a}$は整数である
 (3) ある素数$p$について $p$は偶数である
 (4) ある実数$x,y$について $x^2+y^2<0$

(1)は、正の数でも、0でも、負の数でも、
どんな実数をとってきても、2乗すれば必ず0以上になりましたから、
(1)はです。

(2)はどうかというと、
例えば$a=3$とすると、$\sqrt{a}=\sqrt{3}=1.732\cdots$となり、整数になりません。
したがって、反例$a=3$により、(2)はです。

(3)ですが、今度は「ある」を用いた命題です。
素数$p$で偶数であるものといえば、$p=2$がありますね。
ですから、(3)はです。

最後の(4)です。
これも「ある」を使った命題ですが、
どんな実数$x,y$をとってきても、$x^2\geqq 0$かつ$y^2\geqq 0$より$x^2+y^2\geqq 0$になります。
すなわち、どんな実数$x,y$でも、$x^2+y^2<0$とはなりえないので、
(4)はとなります。

練習問題
Q2. 次の命題の真偽を答えよ。   [解答]
 (1) すべての実数$x$について $|x|=x$
 (2) ある実数$x,y$について $x+y=0$
 (3) すべての偶数$m$について $\dfrac{m}{2}$は整数
 (4) ある実数$x$について $x^2+1=0$

レベルアップ問題
LUQ12. 実数$x,y$に関する条件$p(x,y)$について、次は成り立つか。
 (1) 「すべての実数$x$について、ある実数$y$があって、$p(x,y)$」が真ならば、
   「ある実数$y$があって、すべての実数$x$について、$p(x,y)$」も真である。

 (2) 「ある実数$y$があって、すべての実数$x$について、$p(x,y)$」が真ならば、
   「すべての実数$x$について、ある実数$y$があって、$p(x,y)$」も真である。

LUQ13. 次の命題の真偽を答えよ。
 (1) すべての実数$a$について、ある実数$x$があって、$x^2=a$
 (2) ある実数$x$があって、すべての実数$a$について、$x^2=a$
 (3) すべての自然数$K$について、ある自然数$N$があって、
  $N$より大きいすべての自然数$n$について、$\sqrt{n}>K$

さて、ここまでで、いろいろな命題を見ていきました。
次回は、これを踏まえ、数学をやるうえで大事な考え方である
「十分条件」と「必要条件」について扱います。

では、今回はここまで。
お読みくださり、ありがとうございました。
ではまた!


2016年7月1日

【高校数学I】「かつ」「または」と条件・「ならば」と命題

皆さんこんにちは!
TomoKです。

前回は「命題とは」「条件とは」ということを考えました。
それらを踏まえたうえで、
「それらからいろいろな条件や命題が作れるよ」
というのが今日の話題です。

話を少し簡単にするため、ある集合$U$を全体集合とし、
$U$の要素$x$の条件$p(x), q(x)$を考えます。

そして、$U$の部分集合として、
条件$p(x)$を満たす$x$の集合を$P$, 条件$q(x)$を満たす$x$の集合を$Q$
とします。
(このP,Qをそれぞれ$p(x), q(x)$の真理集合といいます)

[1] 「でない」・「かつ」・「または」

前々回(ド・モルガンの定理)で考えたような感じで、
・条件 「$p(x)$でない」     を満たす$x$の集合は Pの補集合 $\overline{P}$
・条件 「$p(x)$かつ$q(x)$」   を満たす$x$の集合は PとQの共通部分 $P\cap Q$
・条件 「$p(x)$または$q(x)$」 を満たす$x$の集合は PとQの和集合 $P\cup Q$
がわかり、したがって、次の条件バージョンのド・モルガンの定理が成り立ちました。

ド・モルガンの法則(条件ver.) (再掲)
2つの条件$p,q$について、次が成り立つ。
(1) 「$p\orange{かつ}q$」の否定は、「$p\red{でない}\quad \green{または}\quad q\red{でない}$」
(2) 「$p\green{または}q$」の否定は、「$p\red{でない}\quad \orange{かつ}\quad q\red{でない}$」

(これについての練習問題は、上のリンクされているページの下のほうにQ2があります)

[2] 「ならば」

さて、数学で扱う命題は、しばしば「○○ならば△△」という形をしていることがあります。

$p(x)$ならば$q(x)$」 という命題は、
「条件$p(x)$を満たす$x$が、必ず条件$q(x)$を満たす」   …(*)
という意味です。

「$p(x)$ならば$q(x)$」のことを、記号で、「$p(x)\Rightarrow q(x)$」と書きます。

$P$が$p(x)$を満たす$x$の集合、$Q$が$q(x)$を満たす$x$の集合ですから、
$p(x)\Rightarrow q(x)$が正しいということは、言い換えれば、
「$x\in P$ならば$x\in Q$」といっていることになります。
これは集合$P,Q$について$P\subset Q$が成り立ってることにほかなりません。

$p(x)\Rightarrow q(x)$は$P\subset Q$であることと同じこと

注意してほしいことが1つ。
命題$p(x)\Rightarrow q(x)$が真であっても、
$p(x)$を満たさない$x$に対しては、その$x$が$q(x)$を満たすとは限らない
ということです。

これは
「$p(x)\Rightarrow q(x)$という命題は、
仮定($p(x)$)が成りたってないときにどうなるか、ということは述べていない」
という説明をよく聞きます。

さて、ここまでは$p(x)\Rightarrow q(x)$が真である場合を述べてきましたが、
では、$p(x)\Rightarrow q(x)$が偽になる場合はどんな場合か考えましょう。

$p(x)\Rightarrow q(x)$が偽であるということは、
上で言えば(*)が偽であるということです。
それは、
「$p(x)$をみたす$x$で、$q(x)$を満たさないものがある」
ということです。

したがって、
命題$p(x)\Rightarrow q(x)$が偽であることを言うためには、
$p(x)$は成り立っても$q(x)$が成り立たないような$x$が1つでも見つかればOK
ということになりますね。
そのような$x$のことを、命題$p(x)\Rightarrow q(x)$の反例といいます。

例題
EXQ1. 次の命題の真偽を答えよ。
 (1) 実数$x$について、 $x\leqq 1\Rightarrow x\leqq 3$
 (2) 実数$x$について、 $x^2-2x=0\Rightarrow x=2$
 (3) 整数$n$について、 $n$が6の倍数 ⇒ $n$が2の倍数
 (4) △ABCと△PQRについて、 AB=PQ かつ BC=QR かつ CA=RP ⇒ △ABC≡△PQR

簡単な命題なら、
$p(x)$を満たす$x$の集合$P$が、$q(x)$を満たす$x$の集合$Q$に含まれるかどうか
を調べればわかりやすいと思います。
そうでないとき、真であることを示すのであれば、
その命題が真であることを証明する必要があります。

もちろん、命題が偽であることを確認するには、反例が見つかれば十分です。

(1)は、$p(x): x\leqq 1,\quad q(x): x\leqq 3$とおけば、
$P$は1以下の実数の集合, $Q$は3以下の実数の集合です。
下の数直線の図を見ればわかりやすいですが、
1は3より小さいので、$P\subset Q$です。


よって、実数$x$の命題 "$x\leqq 1\Rightarrow x\leqq 3$" はです。

(ちなみにこの(1)の証明には、実数の順序に関する推移性、すなわち、
 実数$a,b,c$に対し、$a\leqq b$かつ$b\leqq c$ならば$a\leqq c$
 を使います。
 [本来は等号がついていないバージョンだが、等号つきでも成り立つ。]
 つまり、$x\leqq 1$とすると、さらに$1\leqq 3$がいえるので、$x\leqq 3$がいえる、という感じです。)

では、(2)ですが、今度はどうでしょうか。
$p(x): x^2-2x=0,\quad q(x): x=2$ですね。
$x^2-2x=0$を$x$の方程式として解くと、$x(x-2)=0$より$x=0,2$となります。
ということは、$p(x)$を満たす実数$x$は0と2の2つです。
すなわち、$P=\{0,2\}$です。

しかし、$q(x)$を満たす$x$は明らかに2だけ、
すなわち$Q=\{2\}$ですから、
$P\subset Q$ではありません
なぜかといえば、PにはQにはない0という要素があるからです。
つまり、$x=0$がこの命題の反例になっています。
実際、$x=0$は$0^2-2\cdot 0=0$より$p(x)$を満たしますが、
$0\neq 2$なので、$q(x)$を満たしません。

ということで、実数$x$の命題 "$x^2-2x=0\Rightarrow x=2$" はです。

(3)ですが、$n$を自然数として、
$p(n): nが6の倍数,\quad q(n): nが2の倍数$ですね。
集合$P=\{n\mid nは6の倍数\},\quad Q=\{n\mid nは2の倍数\}$
を考えれば、6の倍数を思い起こせば$P\subset Q$が成り立ちそうです。

では、これを確かめるにはどうすればよいでしょうか?
$n$が6の倍数($\leftrightarrow$6に整数をかけたもの)ということは、
ある整数$k$を使って、$n=\green{6}k$と書けます。
ここで、この式を少しいじると、
$n=\green{6}k=\purple{2}\cdot 3k$
となります。
いま$k$は整数だから$3k$は整数ですから、
この式から、$n$は確かに2に整数をかけたもの、すなわち2の倍数だとわかります。

つまり、$n$が6の倍数であるとすると、$n$が2の倍数になることがいえたので、
整数$n$の命題 "$n$が6の倍数 ⇒ $n$が2の倍数" はです。

最後の(4)は集合で考えるとややこしいですが、ここは一発!
三角形の合同条件の1つ
「対応する3組の辺がそれぞれ等しい2つの三角形は合同である」
を使えば、△ABCと△PQRについての命題
 "AB=PQ かつ BC=QR かつ CA=RP ⇒ △ABC≡△PQR" はだとわかります。

このように、命題が真であることを言うのに、
私たちが定理などでそれが真だと知っている場合は、
それを述べれば証明になります。
(ただ、人によって、どこまで定理を知ってるかのレベルが変わるので、
それは難しいところですが…
そのようなことを避けるためか、この種の真偽判定ネタが記述式の試験で問われるときに、
「真ならば証明し、偽なら反例を挙げよ」となることがしばしばあります。)

練習問題
Q1. 次の命題の真偽を答えよ。   [解答]
 (1) 実数$x$について、 $x+1=0\Rightarrow x=-1$
 (2) 実数$x,y$について、 $xy=0\Rightarrow x=0$ かつ $y=0$
 (3) 自然数$p$について、 $p$が素数$\Rightarrow p$が奇数
 (4) △ABCで、  ∠B=∠C ⇒ AB=AC
 (5) 四角形ABCDで、 AB=DC かつ AD$\jpara$BC ⇒ 四角形ABCDは平行四辺形 

次回は、「すべて」と「ある」を使った命題を見ていきます。

では、今回はここまで。
お読みくださりありがとうございました。
ではまた!

2016年6月25日

【高校数学I】命題と条件

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回からは、数学を考えるために大事な考え方である「論理」の勉強をします。

その最初として、「命題」とか「条件」とは何か、ということを見ていきます。

次の3つの文を考えましょう。

① 100は10より大きい。
② 100は1000より大きい。
③ 100は大きい数である。

①,②,③のそれぞれの文が正しい正しくないか、ということを考えます。

当然、100は10より大きく、1000より小さいので、
①は正しい文であり、②は正しくない文だといえます。

一方、③はどうかというと、
これは、う~~ん、正しいとも正しくないともつかないですねえ。
さっき言ったように、100は10より大きいし、100は1000より小さいです。
また、100が大きい数かどうかというのは人により判断が分かれると思います。

数学では、数学的に書かれた文が正しいかどうかを考えながら話を進めるため、
①や②のように、人によって判断が変わらず、正しい正しくないかがはっきり決まるものを扱います。
このような、正しい正しくないかがはっきりと判断できる文を、命題、と呼びます。

そして、ある命題が正しいとき、その命題はであるといい、
そうでない(正しくない)とき、その命題はであるといいます。

上の3つの文では、
①はの命題   ②はの命題で   ③は命題ではない
ということになりますね。

練習問題
Q1. 次の文のうち、命題はどれか。また、真の命題, 偽の命題はそれぞれどれか。   [解答]
 (1) $1+2=3$である。
 (2) $\sqrt{10}=10$である。
 (3) $9$は面白い性質をもった数である。
 (4) 実数$x,y$について、$x>0$かつ$y>0$ならば$xy>0$である。
 (5) 実数$x,y$について、$xy>0$ならば$x>0$かつ$y>0$である。

次は「条件」です。

実数$x,y$について、式$x+y=10$は、「$x+y$が10に等しい」と解釈すれば確かに文になりますが、
これだけでは正しいかどうかの判定をすることができません。

しかし、$x,y$に具体的な値として、例えば$x=3, y=7$を代入すると、
この式は$3+7=10$となり、正しくなります。

一方、もし仮に$x=4, y=7$を代入すると、
この式は$4+7=10$となり、これは正しくありません

このように、実数$x,y$についての式$x+y=10$は、
$x,y$に具体的にある実数の値を代入することで
初めて正しいかどうかが判定できるようになります。
そのような文のことを、実数$x,y$の条件といいます。

実数$x,y$の条件$x+y=10$では、$x=3, y=7$を代入すると、正しくなりました。
このとき、
$x=3, y=7$は、(実数$x,y$の条件)$x+y=10$満たす(成り立たせる、満足する)」
ということがあります。

条件を満たす値は1つとは限りませんし、逆に1つもないこともあります。

例えば、上の実数$x,y$の条件$x+y=10$を満たす$x,y$は無限に存在します。

一方、実数の2乗は必ず0か正の数になるので、
実数$a$の条件$a^2<0$を満たす$a$は存在しません。

練習問題
Q2. 条件$x^2-3x+2=0$を満たす実数$x$をすべて求めよ。   [解答] 

さて、条件は、ふつう小文字のアルファベット$p,q,r,\cdots$やギリシャ文字$\phi, \psi$を使います。
($\phi$(空集合の記号$\emptyset$とは違う)は「ファイ」 $\psi$は「プサイ」と読む)
例えば、$p$が条件$x+y=10$を表すことを、
$p : x+y=10$
と書いたりします。
とくに$x,y$についての条件であることを表すのに、$p(x,y)$という記号を使うことがあります。

複数の条件からいろいろな条件を作ることができます。

前回出てきたのは、条件$p,q$に対して、
$p$でない ($\overline{p}$)   $p$または$q$   $p$かつ$q$
の3つが出てきました。
これらは、1つまたは複数の条件から新たな条件を作っているわけですね。

一方、次回もしくはその次で登場する、
$p$ならば$q$   すべての$x$について$p(x)$   ある$x$について$p(x)$
の3つは、1つまたは複数の条件から命題を作り出すことができます。

次回はそこら辺のことについて解説します。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

2016年6月17日

【高校数学I】ド・モルガンの法則

皆さん、こんにちは!
TomoKです。

また1週間空いてしまいました。。。
図があると遅くなってしまいますね…
図形の単元に入ったら大変そうです…

今日は「ド・モルガンの法則」という重要な定理を扱います。
(すみません、前回予告で「ド・モルガンの定理」と言ってましたね…)

ド・モルガンの法則
全体集合$U$の部分集合$A,B$について、次が成り立つ。
(1) $\overline{A\orange{\cap}B}=\overline{A}\green{\cup}\overline{B}$
(2) $\overline{A\green{\cup}B}=\overline{A}\orange{\cap}\overline{B}$

「補集合(の記号)を分配すると、$\orange{\cap}$と$\green{\cup}$が入れ替わる」というのが、
この法則の言っていることです。

これはベン図で考えると直感的にわかります。

(1)のほうですが、
$\overline{A\cap B}$が$A\cap B$の補集合で、
下の左の薄赤部分ですね。

一方、$\overline{A}\cup \overline{B}$は
$\overline{A}$と$\overline{B}$の和集合です。
下の右の図で、青斜線が$\overline{A}$, 緑斜線が$\overline{B}$で、
その一方でも入っていれば$\overline{A}\cup \overline{B}$に含まれますから、
確かに$\overline{A\cap B}=\overline{A}\cup \overline{B}$がわかりますね。

$\overline{A\cap B}=\overline{A}\cup \overline{B}$
右の図の青斜線部は$\overline{A}$, 緑斜線部は$\overline{B}$

同じようにして、(2)もベン図を使って理解できます。

練習問題
Q1. $\overline{A\cup B}=\overline{A}\cap \overline{B}$を、上のようにベン図を用いて確かめよ。   [解答]

さて、今の法則に関係する論理の話を少し。

次の、「xさん」に関する文章pを考えましょう。
$p : xさんは携帯電話を持っていて、\orange{かつ}パソコンを持っている$
pが正しいかどうかは、「xさん」がだれなのかによって決まります。
(つまり、pは「xさんに関する条件」といえます。)

さて、この条件pに対し、意味としてその反対の条件である、
「pでない」という条件を考えます。
集合$P$に対し、$P$の要素でないものの集まりを$\overline{P}$と書いたように、
条件pに対し、「pでない」という条件を$\overline{p}$で表します。
(条件pの否定、と呼びます。)

$\overline{p} : 「xさんは携帯電話を持っていて、\orange{かつ}パソコンを持っている」\red{でない}$ …(*)

さて、人全員の集合$U$を全体集合として、
その部分集合として、次の3つの集合を考えます。

$\begin{align*} P&=\{x\mid xさんは携帯電話を持っていて、\orange{かつ}パソコンを持っている\}\\ A&=\{ x\mid xさんは携帯電話を持っている\}\\ B&=\{x\mid xさんはパソコンを持っている\}\end{align*}$

このとき、
$P$は、$U$の要素で、条件pを満たすもの全体の集合
であり、とすると、
$\overline{P}$は、$U$の要素で、条件pを満たさない、
すなわち、条件「pでない」を満たすもの全体の集合
であることがわかります。

一方、$P$を、$A$と$B$を使って表すと、「かつ」があることから、
$P=A\cap B$であることがわかります。
($A\orange{\cap}B=\{x\mid x\in A\quad \orange{かつ}\quad x\in B\}$でしたね→前回のココ参照
また、$A\green{\cup}B=\{x\mid x\in A\quad \green{または}\quad x\in B\}$も思い出しましょう。)

すると、$\overline{P}$は、上の「ド・モルガンの法則」を使って、次のように書けます。

$\begin{align*} \red{\overline{P}}&=\overline{A\orange{\cap}B}\\ &=\overline{A}\green{\cup} \overline{B}\\ &=\{x\mid xさんは携帯電話を持ってい\red{ない}\}\green{\cup}\{x\mid xさんはパソコンを持ってい\red{ない}\}\\ &=\{x\mid xさんは携帯電話を持ってい\red{ない}か、\green{または}、パソコンを持ってい\red{ない}\}\end{align*}$

したがって、「pでない」という条件は、次のように書き直せます。
上の(*)とよく見比べてください。

$\overline{p} : xさんは携帯電話を持ってい\red{ない}か、\green{または}、パソコンを持ってい\red{ない}$

このようにして、集合と似たようなことが、普通の文章でも成り立ちます。

ド・モルガンの法則(条件ver.)
2つの条件$p,q$について、次が成り立つ。
(1) 「$p\orange{かつ}q$」の否定は、「$p\red{でない}\quad \green{または}\quad q\red{でない}$」
(2) 「$p\green{または}q$」の否定は、「$p\red{でない}\quad \orange{かつ}\quad q\red{でない}$」

集合のときと条件のときとで、
補集合」と「否定」、「$\cap$」と「かつ」、「$\cup$」と「または」が
それぞれ(意味的に)対応していることを確かめてください。

例えば、条件$p$を、
$p : 整数$a$が2でも3でも割り切れる$
として、$p$の否定を考えます。

条件$p$は、あえて「かつ」を入れて、
「整数$a$が2で割り切れ、かつ3でも割り切れる」ということができます。
そこで、上の「ド・モルガンの法則」を使うと、
$p$の否定$\overline{p}$は、
$\overline{p} : 整数{a}が2で割り切れ\red{ない}か、\green{または}3で割り切れ\red{ない}$
となります。

一方、今度は条件$q$を、
$q : 整数$a$が2で割り切れるか、3で割り切れる$
として、$q$の否定を考えます。

これも、条件$q$をあえて「または」を入れて、
「整数$a$が2で割り切れ、または3でも割り切れる」ということができますから、
$q$の否定$\overline{q}$は、
$\overline{q} : 整数{a}が2で割り切れ\red{なく}、\orange{かつ}3でも割り切れ\red{ない}$
となります。

練習問題
Q2. 次の条件の否定を作れ。   [解答]
 (1) 自然数$n$が奇数かつ素数である
 (2) 実数$x$が$x<1$または$x>2$である
 (3) $a$さんはテニス部かバレーボール部に入っている
 (4) $s$さんはA高校にもB高校にも通っていない

と、いうわけで、
少し小難しい話をしましたが、
ご理解いただけたならうれしいです。

実は次回以降も、こういった論理の話を基本的にします。
1つずつ理解していってほしいと思います。

次回の内容としては、
ある文章が正しいとか誤っているとかを判定することについて、お話しします。
これは数学においては大変大事なエッセンスですので、しっかり学びましょう。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた!

2016年6月10日

【高校数学I】集合の基礎2

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今日は、2つの集合の「含む」「含まれる」の関係や、
2つの集合から作られる集合を見ていきたいと思います。

[1] 含む,含まれる

2つの集合について、一方が他方を「含む」とか、他方に「含まれる」とかいう関係を、
次で定めます。

定義
$A,B$を集合とする。
(1) $A$の要素がすべて$B$の要素であるとき、
 $B$は$A$を含む, $A$は$B$に含まれる, または$A$は$B$の部分集合である、といい、
 $A\subset B$または$B\supset A$で表す。
(2) $A\subset B$と$B\subset A$が同時に成り立つとき、$A, B$は(集合として)等しいといい、
 $A=B$という。

$A\subset B$
($B\supset A$)
$A$の要素がすべて$B$の要素であるとき、
$A\subset B$ ($A$が$B$に含まれる) と言うことにして、
このとき、$A$は集合として$B$の一部になるので、$A$は$B$の部分集合である、と呼ぶわけです。

$A\subset B$と$B\supset A$は同じ意味で、
これを図にすると右のようになります。

一方、$A$の要素がすべて$B$の要素であり、
しかも逆に$B$の要素がすべて$A$の要素であるなら、
$A$と$B$それぞれの要素が一致するので、
そのときに$A=B$($A$と$B$は等しい)ということにしましょう、
ということです。

特別な集合として、要素を1つもない集合を空集合といい、
記号$\emptyset$で表すことにします。

空集合というのは、要素が1つもない集合です。
「集合」とは「ものの集まり」なのに、なぜ要素(「もの」)がないのが集合なのか、
ときになる方もいるかと思いますが、
そこは「0個のものの集まり」と考えて受け入れてもらいましょう。

つまり、集合は「個数」ではなく「集まり」で決まります。

例えば、2乗して負になる実数はありませんから、
$x^2<0$になるような実数$x$の集合は空集合です。
すなわち、$\{x\mid xは実数\quad かつ\quad x^2<0\}=\emptyset$ ということです。

気を付けてもらいたいのは、
この実数の集合として出てきた$\emptyset$は実数全体の集合に含まれている、
と考えなければなりません。

一般には、「空集合は、どんな集合の部分集合にもなる
すなわち どんな集合$A$に対しても、$\emptyset \subset A$であるということです。
まあ、そのように定めておくとなにかと都合がいい、と考えてもいいでしょう。

練習問題
Q1. $A=\{1,2,4,5,6\},\quad B=\{2,4,6\},$
  $C=\{x \mid xは整数\quad かつ\quad 1\leq x\leq 9\},\quad D=\{x \mid xは整数\}$
  とする。次の□にあてはまる記号を、$\subset, \supset$から選べ。   [解答]
 (1) $A□B$  (2) $B□C$  (3) $A□C$  (4) $D□C$

さて、次のことがすぐにわかります。

部分集合
3つの集合$A,B,C$について、$A\subset B$かつ$B\subset C$ならば、$A\subset B$

[2] 和集合と共通部分, 補集合

集合を用いて問題を考えるとき、「おおもとの集合」$U$を、
問題で必要となる集合が$U$の部分集合になるように設定するが多いです。
そのときに設定した「おおもとの集合」$U$を、全体集合と呼びます。

全体集合$U$の部分集合として2つの集合$A,B$が与えられているとしましょう。
$A\cap B$

$A,B$の両方に共通して属す要素の集合を、
$\orange{A\cap B}$ と書き、
$A,B$の共通部分または交わりといいます。

式で書くと、
$\orange{A\cap B=\{x\mid x\in A\quad かつ\quad x\in B\}}$
となり、
図でかくと右のようになります。


$A\cup B$
一方、$A,B$の少なくとも一方に属する要素の集合を、
$\green{A\cup B}$ と書き、
$A,B$の和集合または結びといいます。

これも式で書けば、
$\green{A\cup B=\{x\mid x\in A\quad または\quad x\in B\}}$
となって、
図では右のようになります。
「少なくとも一方」であって、「一方だけ」ではないので、
$A,B$の両方に属する要素(すなわち$A\cap B$の要素)も$A\cup B$に属すことに注意してください。

それ以上に、$\cap$と$\cup$は上下逆になっただけなので、
どっちがどっちなのか分からなくなるならないように注意!
$\cap$が共通部分, $\cup$が和集合ですよ!

これらの定義のもとに、次のことがわかります。

共通部分と和集合の性質
2つの集合$A,B$について、次が成り立つ。
(1) $A\cap A=A,\quad A\cup A=A$
(2) $A\cap B=B\cup A,\quad A\cup B=B\cup A$
(3) $A\cap B\subset A,\quad A\subset A\cup B$
(4) $A\subset B$ ならば $A\cap B=A,\quad A\cup B=B$
(5) $\emptyset \cap A=\emptyset,\quad \emptyset \cup A=A$

(1)と(2)は当たり前ですね。
(3)は上の$A\cap B$や$A\cup B$の図を見るとわかると思います。
(4)も最初のほうの$A\subset B$の図で$A\cap B$や$A\cup B$を考えるとわかります。
さらに、$\emptyset \subset A$だったので、(4)から(5)が言えます。

$\overline{A}$
続いて、全体集合$U$の部分集合$A$に対し、
$A$に属さない元の集合を、$\overline{A}$と書き、
$A$の($U$に対する)補集合といいます。

式で書くと、
$\overline{A}=\{x\mid x\in U\quad かつ\quad x\notin A\}$
となりまして、
図で書けば右のようになります。
$A$に対し、$\overline{A}$とは$U$の$A$以外の部分、となるわけです。

$\overline{A}$は$A$だけでなく全体集合$U$に依存して決まることにも注意しましょう。

補集合に対しても、いくつか基本的な性質が成り立ちます。

共通部分と和集合の性質
全体集合$U$とその部分集合$A,B$について、次が成り立つ。
(1) $\overline{\emptyset}=U,\quad \overline{U}=\emptyset$
(2) $\overline{\overline{A}}=A$
(3) $A\cap \overline{A}=\emptyset,\quad A\cup \overline{A}=U$
(4) $A\subset B$ ならば $\overline{B}\subset \overline{A}$

(1)は何もないところには文字通り「何も入っていない」から、
補集合は全体になる、ということです。
逆に、全体集合の補集合は、何も入らないので、空集合です。

(2)は「Aに属さないものの集合」に属さないものの集合、つまり、それはAですよね。
二重否定は肯定になる、という感じです。

(3)は上の$\bar{A}$の図をみて$A\cap \overline{A}$や$A\cup \overline{A}$を求めてみましょう。
Aと、「Aに属さないものの集合」には共通する要素があるわけがないので、
$A\cap \overline{A}=\emptyset$です。
またすべてのものはAに属すか属さないかのどちらかですから、
$A\cup \overline{A}=U$です。
$A\subset B$ ならば $\overline{B}\subset \overline{A}$

(4)は右の図を見てください。
$A\subset B$のとき、
ピンク色の斜線の$\overline{B}$は、
青斜線の$\overline{A}$に含まれていることがわかると思います。

$A\subset B$とは、
「Aの要素がすべてBの要素である」
ということです。
それを言い換えれば、
「Bの要素でないものはAの要素ではない」
ということになります。
そこで$\overline{A},\overline{B}$の意味を考えると、
$\overline{B}\subset \overline{A}$がいえることがわかります。

例題
EXQ1. 1以上10以下の整数の全体の集合$U$を全体集合とし、その部分集合として
  $A=\{1,2,5,6,8,9\},\quad B=\{2,3,6,7,9\}$を考える。
  このとき、次の集合を求めよ。
 (1) $A\cap B$  (2) $A\cup B$  (3) $\overline{A}$  (4) $A\cap \overline{B}$  (5) $\overline{A\cup B}$

この例題をやります。

(1)は$\orange{A\cap B}$、すなわち$A$と$B$の共通部分です。
したがって、$A$にも$B$にも属するものをすべてとって、
$A\cap B=\bold{\{2,6,9\}}$です。

(2)は$\green{A\cup B}$、すなわち$A$と$B$の和集合です。
したがって、$A$と$B$のどちらか少なくとも一方属するものを見ると、
$A\cup B=\bold{\{1,2,3,5,6,7,8,9\}}$です。
先ほども注意しましたが、「少なくとも一方」ですので、
AとBの両方に属する要素も$A\cup B$に属します。

(3)の$\overline{A}$は、$U$の要素のうち$A$に属さないものの集合です。
だから、1以上10以下の整数で、$A$に属すものを取り去って、
$\overline{A}=\bold{\{3,4,7,10\}}$となります。

(4)の$A\orange{\cap }\overline{B}$は$A$と$\overline{B}$の共通部分ですよね。
ここで、$\overline{B}$は$U$の要素、すなわち1以上10以下の整数のうち、
$B$に属さないものの集合ですから、$\overline{B}=\{1,4,5,8,10\}$です。
これと$A$と両方に属すものを考えると、
$A\cap \overline{B}=\bold{\{1,5,8\}}$となります。

(5)は、今度は$\overline{A\cup B}$ですから、
$U$の要素、すなわち1以上10以下の整数のうち、$A\cup B$に属さないものの集合ですね。
(2)で$A\cup B$を求めてあるので、それらを取り去って残った
$\overline{A\cup B}=\bold{\{4,10\}}$が答えです。

ところで、
この問題で与えられた状況を図に書くと、
右のようになります。
このような集合の図をベン図と呼びます。
(「ベン」はこのような図を考案した人の名前です)
右のベン図を使っても、それぞれのものを求めることができます。

練習問題
Q2. 1以上15以下の整数の全体の集合$U$を全体集合とし、その部分集合として
  $A=\{1,3,5,7,9,11,13,15\},\quad B=\{1,2,3,5,8,13\},\quad C=\{2,3,5,7,11,13\}$を考える。
  このとき、次の集合を求めよ。   [解答]
 (1) $A\cap B$  (2) $B\cup C$  (3) $A\cap C$  (4) $\overline{A}$
 (5) $\overline{A}\cap B$  (6) $\overline{B}\cup \overline{C}$  (7) $\overline{A\cup B}$

さて、次回は、集合や、そのあとの論理のところで大事になる
「ド・モルガンの定理法則」と呼ばれる定理法則を紹介します。

では、今回はここまでです。
お読みくださってありがとうございました。
ではまた!


2016年6月3日

【高校数学I】集合の基礎

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今日からは「集合と論理」の単元に入ります。
いよいよ計算ではなく、数学の考え方として大事な部分である
「集合」や「論理」のお話になるわけです。

「論理」といっても、最初からとびきり難しいわけではありません。
1つずつ事項を理解すれば、「そういうことか」と納得する時期が必ず来ますので、
あきらめずに学習を続けてください。

今回は、まず「論理」の話に入る前の段階として、
「集合」とは何か?ということをお話ししようか、と思います。

集合」とは、簡単に言えば、
ある条件を満たすものの集まり」のことを指す言葉だと思ってください。

(ただし、本当に詳しく「集合」とか「物の集まり」とは何かを考えようとすると、それだけでかなり面倒ですので、
そこが気になる人は、大学の数学科で集合論を学習してください。)

また、その「集合」を作るときに集められた1つ1つの「もの」を、
その集合の「要素」または「」といいます。

「集合」というのは、いろんなところに考えられます。
例えば、
・日本の47都道府県を全部集めれば、「日本の47都道府県全体の集合」で、
 都道府県の1つ1つ (東京都, 大阪府, 長野県, …)がその要素
・○○高校の全校生徒を全員集めれば、「○○高校の全校生徒の集合」で、
 生徒1人1人がその要素

数学的な例であれば、
・1桁の自然数を集めたものは「1桁の自然数の集合」で、
 その要素は1,2,3,4,5,6,7,8,9の9つある。

また、例えば、
・偶数を全部集めれば「偶数全体の集合」
・整数を全部集めれば「整数全体の集合」
という感じに、数えられないほどあるものの集合を考えることも可能です。

集合はふつう、アルファベットの大文字($A, B, C, \cdots$)を使って表します。

例えば1桁の自然数全体の集合を$A$で表したいとき、
書き方が主に次の2通りあります。

(i) その集合の要素を書き並べる方法
$A$の要素は1,2,3,4,5,6,7,8,9の9つだけなので、
{ }の中にこの9つの要素を書き並べて、 $A=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9\}$

(ii) その集合の要素の満たすべき条件を書く方法
$A$の要素は自然数で、1桁ということは9以下だから、
自然数$x$で、$x\leq 9$を満たすものが$A$の要素である、といえるので、
$A=\{x\mid xは自然数\quad かつ\quad x\leq 9\}$

((ii)の書き方として、ほかにも、$A=\{x\mid xは整数\quad かつ\quad 1\leq x\leq 9\}$などとも書けます。)

(i)は、要素を具体的に明示できる場合とか、
要素の条件を書きにくい場合(要素を適当に選んだ時など)には有効です。

(ii)は、要素の条件があるので、どんな性質のものを集めた集合なのかがわかるときに有効です。

もちろん、どっちの記法を使っても同じ集合を表します。

では、今度は偶数全体の集合を$B$で表します。
(ただし、正だけではなく0や負の偶数も考えます)
このBを上の2通りの書き方で書いてみましょう。

(i) その集合の要素を書き並べる方法
$B$の要素は、2,4,6,8,10,...... 書ききれません。
また、上でも言ったとおり、0や負の偶数も考えるとすると、
0,-2,-4,-6,-8,-10,......と、こちらも書ききれません。

このように、要素が比較的多い時は、
とりあえず、法則性がある程度分かるように何個か順番に書いて、
それ以降は"・・・"で省略してしまいます。
(「これぐらい書けばあとはわかるでしょ?」的な感覚です。)

正のほうにも負のほうにも伸びているので、両側に・・・を使って、
$B=\{\cdots, -6, -4, -2, 0, 2, 4, 6, \cdots\}$
というふうに書いておけばよいでしょう。

(ii) その集合の要素の満たすべき条件を書く方法
$B$の要素は偶数です。
だから、$B=\{x\mid xは偶数\}$と書けます。
が、これだとそのまますぎる気がするような…

でも、「偶数とはどういう条件を満たすものか」というのは式で書けそうです。
偶数というのは、整数$x$を使って、$2x$と書ける数のことでした。
これを使って書くと、さらに$B$の要素の条件がはっきりとしてきますが、
その場合は下のように書きます。
$B=\{2x\mid xは整数\}$
要素それぞれを式で表すことができる集合であれば、
その一般式を書いてしまったほうがわかりやすいことがあります。
(ただし、|の右の条件の範囲で、|の左の式を動かしていけば、
$B$の要素が過不足なく得られることをよく確かめる必要がありますが。)

練習問題
Q1. 次の集合を、上の(i)の方法(集合の要素を書き並べる方法)で書き表せ。   [解答]
 (1) $A=\{x\mid xは整数\quad かつ\quad -3\leq x\leq 3\}$
 (2) $B=\{4x\mid xは自然数\quad かつ\quad x<100\}$
 (3) $C=\{2x-1\mid xは自然数\}$

Q2. 次の集合を、上の(ii)の方法(集合の要素の満たすべき条件を書く方法)で書き表せ。   [解答]
 (1) $D=\{11,12,13,14,15\}$  (2) $E=\{5,10,15,20,\cdots ,100\}$
 (3) $F=\left\{1,\dfrac{1}{2},\dfrac{1}{3},\dfrac{1}{4},\cdots\right\}$

さて、集合と要素に関して、次の記号を導入します。

$A$を集合とするとき、$x$が$A$の要素であることを、
記号$\red{x\in A}\quad (xはAに\red{属す})$ または $\red{A\ni x}\quad (Aはxを\red{要素(元)として含む})$ で表します。

一方、$x\in A$ではない、すなわち、$x$が$A$の要素でないことを
記号$\red{x\notin A}\quad (xはAに\red{属さない})$ または $\red{A\not \ni x}\quad (Aはxを\red{要素(元)として含まない})$
で表します。

例えば、$A$を1桁の自然数の集合とすれば、
5は$A$の要素だから、$5\in A$と書けます。これを$A\ni 5$とも書けますね。
一方、0は$A$の要素にはなりません(0は自然数ではない)ので、$0\notin A$とか$A\not \ni 0$と書けます。

練習問題
Q3. $A=\{2,3,5,7,11,13,17,19\},\quad B=\{n\mid nは36の正の約数\},$
  $C=\{3x-1\mid xは整数\}$ とする。
  次の□にあてはまる記号を、$\in , \ni , \notin , \not \ni$の中から選べ。   [解答]
 (1) $2□A$  (2) $A□17$  (3) $6□A$
 (4) $B□9$  (5) $B□5$  (6) $7□B$
 (7) $5□C$  (8) $10□C$  (9) $C□-1$

ということで、今日は「集合とは何か?」ということを中心にお話ししました。
いかがだったでしょうか?
今回のことが今後重要になるので、よく理解しておきましょう。

次回も集合について、複数の集合どうしの関係や、
複数の集合から新たな集合を作ることができることをお話しします。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
ではまた!

2016年5月30日

【高校数学I】対称式(3変数の場合)

こんにちは、TomoKです。

前回は2変数x,yの対称式を考えましたが、
今日は似た話を3変数でやります。

3変数x,y,zを含む整式においては、
x,y,zのうちどの2つを入れ替えても等しくなるようなものを、
x,y,zの対称式といいます。

実はx,y,zのときも基本対称式があって、それらは
3つ全部の和 $\orange{s=x+y+z}$
3つのうち2つを選んだ積の和 $\green{t=xy+yz+zx}$
3つ全部の積 $\purple{u=xyz}$
の3つです。
x,y,zの3変数の対称式のときも、基本対称式のみで表すことができることが知られています。
(ただし、実際に表すのは2変数のときより難しいです。)

例えば、
$x^2+y^2+z^2$はx,y,zの対称式ですね。
これは前回と同様、$x+y+z$を2乗する方針で行けます。
展開の公式の(6)より
$(\orange{x+y+z})^2=x^2+y^2+z^2+2xy+2yz+2zx=x^2+y^2+z^2+2(\green{xy+yz+zx})$
となるので、
$x^2+y^2+z^2=(\orange{x+y+z})^2-2(\green{xy+yz+zx})={\orange{s}}^2-2\green{t}$
となります。

2乗はいいんですが、3乗はどうでしょう。
$x^3+y^3+z^3$はx,y,zの対称式ですが、
$(x+y+z)^3$を計算するのは大変です。

展開の公式や因数分解の公式で近い形はありませんでしたか?

...実はそれが、因数分解の公式(9)でした!
$x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)$
この公式を知っていると、非常に楽です。

これを使うとすると、$x^2+y^2+z^2$の結果は上でできているし、
$-xy-yz-zx=-(\green{xy+yz+zx})$ですから、
$\begin{align*} x^3+y^3+z^3-3\purple{xyz}&=(\orange{x+y+z})\{x^2+y^2+z^2-(\green{xy+yz+zx})\}\\ &=\orange{s}({\orange{s}}^2-2\green{t}-\green{t})\\ &=\orange{s}({\orange{s}}^2-3\green{t}) \end{align*}$
となるので、
$x^3+y^3+z^3=\orange{s}({\orange{s}}^2-3\green{t})+3\purple{u}$
となります。

この公式9は3文字の対称式がかかわるときにちょくちょく顔を出します。

今度は$x^4+y^4+z^4$です。これも難しいことになりますが、
とりあえず、さっき求めた$x^2+y^2+z^2$を2乗してみますか。
さっきも出てきた公式6より、
$(x^2+y^2+z^2)^2=x^4+y^4+z^4+2(x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2})$
したがって、
$x^4+y^4+z^4=(x^2+y^2+z^2)^2-2(x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2})\quad \cdots ①$
となりますね。
それゆえ、$x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}$を基本対称式で表すことになります。

この$x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}$は、$\green{xy+yz+zx}$を2乗すると項として出てきます。
再び公式6より、
$\begin{align*} (\green{xy+yz+zx})^2&=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2(xy\cdot yz+yz\cdot zx+zx\cdot xy)\\ &=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2(xy^{2}z+xyz^{2}+x^{2}yz) \end{align*}$
となります。
ここで、よく見ると最後の( )はxyzでくくれて、
$(\green{xy+yz+zx})^2=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2\purple{xyz}(\orange{x+y+z})$
となります。ゆえ、
$\begin{align*} x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}&=(\green{xy+yz+zx})^2-2\purple{xyz}(\orange{x+y+z})\\ &={\green{t}}^2-2\orange{s}\purple{u} \end{align*}$
となります。

これと、上で出した$x^2+y^2+z^2={\orange{s}}^2-2\green{t}$を①に代入すると、
$\begin{align*} x^4+y^4+z^4&=({\orange{s}}^2-2\green{t})^2-2({\green{t}}^2-2\orange{s}\purple{u})\\ &={\orange{s}}^4-4{\orange{s}}^{2}\green{t}+4{\green{t}}^2-2({\green{t}}^2-2\orange{s}\purple{u})\\ &={\orange{s}}^4-4{\orange{s}}^{2}\green{t}+2{\green{t}}^2+4\orange{s}\purple{u} \end{align*}$
となります。ずいぶん複雑ですね。

でも、「2乗」が項で出てくるときに、実際に2乗して、
邪魔な項を引くという操作をしているということは
頭に入れておいてください。
実際はs,t,uの値がわかっている状態でこのような操作をしていきます。

例題
EXQ1. 実数x,y,zが$\orange{x+y+z=1}, \green{xy+yz+zx=-3}, \purple{xyz=2}$をみたすとき、次の式の値を求めよ。
 (1) $x^2+y^2+z^2$  (2) $x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}$  (3) $x^4+y^4+z^4$
 (4) $\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}$

(1)は$x^2+y^2+z^2$が$(\orange{x+y+z})^2$の展開式の中に出てきます。
$(\orange{x+y+z})^2=x^2+y^2+z^2+2(\green{xy+yz+zx})$ですから、値の代入で、
${\orange{1}}^2=x^2+y^2+z^2+2\cdot (\green{-3})$ すなわち $1=x^2+y^2+z^2-6$ となります。
よって、$x^2+y^2+z^2=1+6=\bold{7}$です。

(2)ですが、今度、$x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}$は$(\green{xy+yz+zx})^2$の展開式の中に出てきますよね。
$\begin{align*} (\green{xy+yz+zx})^2&=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2(xy\cdot yz+yz\cdot zx+zx\cdot xy)\\ &=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2(xy^{2}z+xyz^{2}+x^{2}yz)\\ &=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2\purple{xyz}(\orange{x+y+z}) \end{align*}$
となるので、ここに値の代入をします。
$(\green{-3})^2=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2\cdot \purple{2}\cdot \orange{1}$
すなわち $9=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+4$
よって、$x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}=9-4=\bold{5}$となります。

(3)は、これも$x^4+y^4+z^4$が$(x^2+y^2+z^2)^2$の展開式の中に現れることを使いますね。
$(x^2+y^2+z^2)^2=x^4+y^4+z^4+2(x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2})$
ここに(1)と(2)の結果を代入すれば、
$7^2=x^4+y^4+z^4+2\cdot 5$ すなわち $49=x^4+y^4+z^4+10$ となるので、
$x^4+y^4+z^4=49-10=\bold{39}$ となります。

(4)ですが、これは通分して計算してみましょう。
$\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}=\dfrac{yz}{xyz}+\dfrac{zx}{xyz}+\dfrac{xy}{xyz}=\dfrac{\green{xy+yz+zx}}{\purple{xyz}}=\dfrac{\green{-3}}{\purple{2}}=\bold{-\dfrac{3}{2}}$
となります。

練習問題
Q1. 実数x,y,zが$x+y+z=-3, xy+yz+zx=-1, xyz=4$のとき、次の式の値を求めよ。   [解答]
 (1) $x^2+y^2+z^2$  (2) $x^3+y^3+z^3$  (3) $(x+1)(y+1)(z+1)$
 (4) $\dfrac{1}{xy}+\dfrac{1}{yz}+\dfrac{1}{zx}$  (5) $\dfrac{z-1}{xy}+\dfrac{x-1}{yz}+\dfrac{y-1}{zx}$

と、いうわけで、
3月から始めた「数と式の扱い」の部分は今日でおしまいです。

ここまで学んだことが、今後いろんなところで出てくるはずです。
しっかり復習して、今後の数学の勉強に役立ててください。

次回の数学の記事からは「集合と論理」の部分に入ります。

ここも数学を考える上では非常に核となる部分です。

しかし高校数学らしいといえばらしいところで、
少し話が難しい、と思うところがあるかもしれません。

でも、いっしょに取り組んでいきながら、
一つ一つ理解していきましょう。

では、今回はここまでです。
お読みいただきありがとうございます。
ではまた!


2016年5月26日

【高校数学I】対称式(2変数の場合)

こんにちは。TomoKです。

今日は、式の値を求めるための工夫について考えます。

式の値を求める工夫の一つに「対称式の利用」があります。

x,yを入れ替えても、式として変わらないような整式を、
x,yの対称式と呼びます。

例えば、$x^2+y^2$はxとyを入れ替えると$y^2+x^2$であり、これは$x^2+y^2$に等しいので、
$x^2+y^2$は対称式になります。

実は、x,yの対称式は、和$x+y$積$xy$のみで表すことができることが知られています
この$x+y$と$xy$は、もっとも簡単なx,yの対称式なので、基本対称式と呼ばれます。

例えば、今の$x^2+y^2$を$\orange{s=x+y}$と$\green{t=xy}$だけで表すとしましょう。
まず2乗が出ているので、ためしに$\orange{x+y}$を2乗すると、
$(\orange{x+y})^2=x^2+2\green{xy}+y^2$
となります。右辺に$x^2+y^2$が出てくるので、それ以外のものを移項すると、
$(\orange{x+y})^2-2\green{xy}=x^2+y^2$
となりますね。このことから、
$x^2+y^2=(\orange{x+y})^2-2\green{xy}=\orange{s}^2-2\green{t}$
となることがわかり、対称式$x^2+y^2$は確かに基本対称式$\orange{s=x+y}$と$\green{t=xy}$だけで表せることがわかりました。

練習問題
Q1. 次のx, yの整式が対称式であることを確認せよ。
  また、$s=x+y, t=xy$として、次のx,yの整式をs,tで表せ。   [解答]
 (1) $(x-y)^2$  (2) $x^3+y^3$  (3) $x^4+y^4$  (4) $(x^2-y)(x-y^2)$

さて、x,yの対称式の値は、結局、$\orange{x+y}$と$\green{xy}$の値がわかればいいということになります。

例題
EXQ1. $x=\sqrt{2}+1, y=\sqrt{2}-1$のとき、次の式の値を求めよ。
 (1) $x+y$  (2) $xy$  (3) $x^2+y^2$  (4) $\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}$  (5) $\dfrac{y}{x}+\dfrac{x}{y}$

(1)と(2)は次のようになるのはいいと思います。
$\orange{x+y}=(\sqrt{2}+1)+(\sqrt{2}-1)=\orange{\bold{2\sqrt{2}}}$
$\green{xy}=(\sqrt{2}+1)(\sqrt{2}-1)=(\sqrt{2})^2-1^2=2-1=\green{\bold{1}}$

さて、(3)はすぐに対称式だとわかります。
先ほどの結果から、$x^2+y^2=(\orange{x+y})^2-2\green{xy}$なので、
$x^2+y^2=(\orange{2\sqrt{2}})^2-2\cdot \green{1}=8-2=\bold{6}$
となります。

(4),(5)も、整式ではないので対称式と呼ぶのは正確ではありませんが、
やはりxとyを入れ替えても等しい式になります。

(4)の式を、ためしに通分して計算しましょう。
$\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}=\dfrac{\red{y}}{x\red{y}}+\dfrac{\blue{x}}{\blue{x}y}=\dfrac{\orange{x+y}}{\green{xy}}$
おっ! $\orange{x+y}$と$\green{xy}$が出てきましたねえ。ならばあとは代入するだけ。
$\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}=\dfrac{\orange{x+y}}{\green{xy}}=\dfrac{\orange{2\sqrt{2}}}{\green{1}}=\bold{2\sqrt{2}}$
ですね。

(5)も同様に、通分して計算しましょう。
$\dfrac{y}{x}+\dfrac{x}{y}=\dfrac{y\cdot \red{y}}{x\red{y}}+\dfrac{x\cdot \blue{x}}{\blue{x}y}=\dfrac{x^2+y^2}{\green{xy}}$
となります。
ここで、$\green{xy}$は基本対称式です。また$x^2+y^2$は対称式ですから、
$\orange{x+y}$と$\green{xy}$で表していけばいいのですが、
幸運にも(3)で$x^2+y^2=6$と出ていますから、それを使いましょう。
すると、
$\dfrac{y}{x}+\dfrac{x}{y}=\dfrac{x^2+y^2}{\green{xy}}=\dfrac{6}{\green{1}}=\bold{6}$
となります。

分数型の式であっても、x,yを入れ替えて等しくなるなら、
やはり$\orange{x+y}$と$\green{xy}$を使って表せるわけですね。

練習問題
Q2. $x=1+2\sqrt{2}, y=1-2\sqrt{2}$のとき、次の式の値を求めよ。   [解答]
 (1) $x^2+y^2$  (2) $x^3+y^3$  (3) $\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}$  (4) $\left(\dfrac{y}{x}-1\right) \left(\dfrac{x}{y}-1\right)$

Q3. 実数$a, b$が$a+b=4, ab=-1$を満たすとき、次の式の値を求めよ。   [解答]
 (1) $a^2+b^2$  (2) $(a-b)^2$  (3) $\dfrac{b}{a}+\dfrac{a}{b}$  (4) $\dfrac{b}{a^2}+\dfrac{a}{b^2}$

レベルアップ問題
LUQ11. 実数$a, b$が$a+b=5, ab=3, a>b$を満たすとき、次の式の値を求めよ。
 (1) $a-b$  (2) $a^2-b^2$  (3) $\sqrt{a}-\sqrt{b}$

今回はここで終わりです。
今回は2変数でしたが、
次回は少し難しくして、3変数にトライしたいと思います。

お読みいただきありがとうございます。
ではまた!

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2016年5月16日

【高校数学I】分母の有理化

皆さん、こんにちは!
TomoKです。

さて、前回は平方根の意味や基本的な計算を学習しました。
今回は、その続きとして、分母の有理化を扱います。

分母に$\sqrt{}$を含む分数の形をした式を、
ある方法で分母の$\sqrt{}$をなくすことができるようになります。

[1] 分母の有理化

おそらく、中学校で、$\dfrac{1}{\sqrt{2}}$や$\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}$のようなタイプのものの
分母の有理化を学習したと思います。

例えば、$\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ならば、$\sqrt{2}\cdot \red{\sqrt{2}}=2$を使って、
分母と分子にそれぞれ$\sqrt{2}$をかけて、
$\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{1\cdot \orange{\sqrt{2}}}{\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{2}}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
となりました。

1つ注意することは、
まず、有理化する前に、$\sqrt{}$の中を簡単にしておく
ということです。

どういうことか、例を見て説明します。
例えば、$\dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{75}}$を有理化するとしましょう。

このまま、分母と分子に$\sqrt{75}$をかけてしまうと、
数が大きくなって計算が大変そうです。

でも、$\sqrt{75}=5\sqrt{3}$に気づくと、$\sqrt{}$の中が小さくなりますね。
$\dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{75}}=\dfrac{3\sqrt{2}}{5\sqrt{3}}$

分母は$\sqrt{3}$しか残っていませんから、
分母と分子の両方に$\sqrt{3}$をかけて
$\cdots =\dfrac{3\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{3}}}{5\sqrt{3}\cdot \orange{\sqrt{3}}}=\dfrac{3\sqrt{6}}{5\cdot 3}=\dfrac{3\sqrt{6}}{15}$
となります。
分母と分子が3で割り切れるので、最後に約分すると、
$\cdots =\dfrac{\sqrt{6}}{5}$となります。

その他、先に約分してから分母の有理化を始めることも考えられます。
$\sqrt{}$の中どうし、$\sqrt{}$の外どうしは約分可能です。

例えば、$\dfrac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{6}}$は、
分母と分子の$\sqrt{}$の中を3でわって、
$\dfrac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{6}}=\dfrac{2}{3\sqrt{2}}$とします。

ただし、この右辺の分子の2と、分母の$\sqrt{2}$の中の2は約分できません。
(分子の2は$\sqrt{}$の外、分母の2は$\sqrt{}$の中)

その後は分母と分子に$\sqrt{2}$をかけて、
$\dfrac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{6}}=\dfrac{2}{3\sqrt{2}}=\dfrac{2 \cdot \orange{\sqrt{2}}}{3\sqrt{2} \cdot \orange{\sqrt{2}}}=\dfrac{2\sqrt{2}}{3\cdot 2}=\dfrac{\sqrt{2}}{3}$
となります。

練習問題
Q1. 次の分母を有理化せよ。   [解答]
 (1) $\dfrac{4}{\sqrt{7}}$  (2) $\dfrac{3}{\sqrt{6}}$  (3) $\dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}}$ (4) $\dfrac{1}{4\sqrt{2}}$  (5) $\dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{24}}$  (6) $\dfrac{\sqrt{40}}{3\sqrt{6}}$

では、ここからが本題です。
次のようなタイプについて、分母の有理化をしてみましょう。

例題
EXQ1. 次の分母を有理化せよ。
 (1) $\dfrac{1}{\sqrt{7}+\sqrt{5}}$  (2) $\dfrac{\sqrt{2}+3}{2\sqrt{2}-1}$ (3) $\dfrac{2\sqrt{2}+\sqrt{5}}{\sqrt{2}+\sqrt{5}}$

ポイントは、
$\sqrt{a}\red{+}\sqrt{b}$には$\orange{\sqrt{a}}\blue{-}\orange{\sqrt{b}}$をかけると、
$(\sqrt{a}\red{+}\sqrt{b})(\orange{\sqrt{a}}\blue{-}\orange{\sqrt{b}})=(\sqrt{a})^2-(\sqrt{b})^2=a-b$
となって、$\sqrt{}$が消えてしまうところです。
同様に、$\sqrt{a}\blue{-}\sqrt{b}$には$\orange{\sqrt{a}}\red{+}\orange{\sqrt{b}}$をかけると、
うまく$\sqrt{}$が消えます。

これを利用すると、例題のタイプは有理化できます。

(1)は分母が$\sqrt{7}\red{+}\sqrt{5}$なので、
分母と分子に$\orange{\sqrt{7}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}}$をかけますと、
$\begin{align*}\dfrac{1}{\sqrt{7}\red{+}\sqrt{5}}&=\dfrac{1(\orange{\sqrt{7}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}{(\sqrt{7}\red{+}\sqrt{5})(\orange{\sqrt{7}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}=\dfrac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{(\sqrt{7})^2-(\sqrt{5})^2}=\dfrac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{7-5}\\ &=\bold{\dfrac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{2}}\end{align*}$
と分母を有理化できます。

(2)は、今度は分母が$2\sqrt{2}\blue{-}1$なので、
分母と分子に$\orange{2\sqrt{2}}\red{+}\orange{1}$をかけて、
$\begin{align*} \dfrac{\sqrt{2}+3}{2\sqrt{2}\blue{-}1}&=\dfrac{(\sqrt{2}+3)(\orange{2\sqrt{2}}\red{+}\orange{1})}{(2\sqrt{2}\blue{-}1)(\orange{2\sqrt{2}}\red{+}\orange{1})}=\dfrac{2\cdot (\sqrt{2})^2+7\sqrt{2}+3}{(2\sqrt{2})^2-1^2}\\
&=\dfrac{4+7\sqrt{2}+3}{8-1}=\dfrac{7\sqrt{2}+7}{7}=\dfrac{7(\sqrt{2}+1)}{7}=\bold{\sqrt{2}+1}
\end{align*}$
となります。
最後に分母全体と分子全体が7で割れることに注意します。

(3)はどうでしょうか?
分母は${\sqrt{2}\red{+}\sqrt{5}}$なので、
今度は分母と分子に$\orange{\sqrt{2}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}}$をかけて
$\begin{align*} \dfrac{2\sqrt{2}+\sqrt{5}}{\sqrt{2}\red{+}\sqrt{5}}&=\dfrac{(2\sqrt{2}+\sqrt{5})(\orange{\sqrt{2}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}{(\sqrt{2}\red{+}\sqrt{5})(\orange{\sqrt{2}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}=\dfrac{2\cdot (\sqrt{2})^2-\sqrt{2}\sqrt{5}-(\sqrt{5})^2}{(\sqrt{2})^2-(\sqrt{5})^2}\\ &=\dfrac{4-\sqrt{10}-5}{2-5}=\dfrac{-1-\sqrt{10}}{-3}=\bold{\dfrac{1+\sqrt{10}}{3}} \end{align*}$
となりますね。
今度は最後の分母が1つの負の数になったので、
上のように最後に分母と分子に-1をかけておくとよいでしょう。

練習問題
Q2. 次の分母を有理化せよ。   [解答]
 (1) $\dfrac{1}{\sqrt{5}+1}$  (2) $\dfrac{2\sqrt{7}}{\sqrt{7}-\sqrt{3}}$  (3) $\dfrac{1+\sqrt{2}}{3-\sqrt{2}}$
 (4) $\dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{5}}{\sqrt{6}+\sqrt{5}}$  (5) $\dfrac{3\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}+3\sqrt{3}}$

レベルアップ問題
LUQ10. $\dfrac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{1-\sqrt{2}+\sqrt{3}}$の分母を有理化せよ。

有理化ができると、分母に$\sqrt{}$を含む式の計算もできるようになります。

例題
EXQ2. 次の計算をせよ。
 (1) $18\sqrt{2}\div 3\sqrt{3}$  (2) $\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{\sqrt{8}}{3}$
 (3) $\dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}-\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}$

(1)ですが、$\red{A}\div \blue{B}=\dfrac{\red{A}}{\blue{B}}$であるので、
$\red{18\sqrt{2}}\div \blue{3\sqrt{3}}=\dfrac{\red{18\sqrt{2}}}{\blue{3\sqrt{3}}}=\dfrac{6\sqrt{2}}{\sqrt{3}}=\dfrac{6\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{3}}}{\sqrt{3}\cdot \orange{\sqrt{3}}}=\dfrac{6\sqrt{6}}{3}=\bold{2\sqrt{6}}$
となります。
$\sqrt{}$を含む式の割り算は、分数型に持ち込むとやりやすいです。

(2)は、$\dfrac{1}{\sqrt{2}}$の分母が有理化できますので、
それから行います。
$\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\orange{\sqrt{2}}}{\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{2}}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
また、$\sqrt{8}=2\sqrt{2}$ですから、分母を通分して、
$\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{\sqrt{8}}{3}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}+\dfrac{2\sqrt{2}}{3}=\dfrac{3\sqrt{2}}{6}+\dfrac{4\sqrt{2}}{6}=\bold{\dfrac{7\sqrt{2}}{6}}$
と計算できます。

(3)もまず分母の有理化をしてしまいましょう。
$\dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}=\dfrac{(4-\sqrt{5})(\orange{3}\red{+}\orange{\sqrt{5}})}{(3\blue{-}\sqrt{5})(\orange{3}\red{+}\orange{\sqrt{5}})}=\dfrac{12+\sqrt{5}-(\sqrt{5})^2}{3^2-(\sqrt{5})^2}=\dfrac{7+\sqrt{5}}{4}$
$\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}=\dfrac{(2+\sqrt{5})(\orange{7}\blue{-}\orange{3\sqrt{5}})}{(7\red{+}3\sqrt{5})(\orange{7}\blue{-}\orange{3\sqrt{5}})}=\dfrac{14+\sqrt{5}-3\cdot (\sqrt{5})^2}{7^2-(3\sqrt{5})^2}=\dfrac{-1+\sqrt{5}}{4}$
となるので、
$\quad \dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}-\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}\\
=\dfrac{7+\sqrt{5}}{4}-\dfrac{-1+\sqrt{5}}{4}=\dfrac{(7+\sqrt{5})-(-1+\sqrt{5})}{4}\\
=\dfrac{8}{4}=\bold{2}$
となります。

分母に$\sqrt{}$があるときは、
上のようにまず分母の有理化を試みる場合が多いです。
(かけ算わり算の場合には例外も多少ありますが、
足し算引き算の場合はほぼ最初に分母の有理化をしますね。)

練習問題
Q3. 次の計算をせよ。   [解答]
 (1) $10\sqrt{6}\div \sqrt{15}$  (2) $14\div \sqrt{7}$
 (3) $\dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}+\dfrac{4}{\sqrt{6}}$  (4) $\dfrac{\sqrt{3}}{3\sqrt{3}+5}-\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{3}-1}$

というわけで、今日は分母の有理化についてお話ししました。

次回は、式に値を求める問題を中心にお話ししますが、
「対称式」や「交代式」とよばれる、ある特徴を持った式の値を
効率的に求める方法についてお話しする予定です。

このブログの「数と式の扱い」についても
終盤に差し掛かってきました。
なかなか長かったですが、みなさんには、
ぜひあきらめずに数学の勉強を続けてもらいたいと思います。

ということで、今回はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた!


2016年5月7日

【高校数学I】平方根の意味と計算

皆さん、こんにちは!
TomoKです!

ゴールデンウィークが終わり、
ネット環境のない長野の実家に帰省して、
今日は1週間半ぶりの更新です。

お待たせしました!
今回こそは「平方根」をやります。

まず、平方根という言葉や記号√の意味を復習し、
平方根を用いた数の計算の練習をしていきます。

ルートの計算も、数学では基礎的な計算法になるので、
ぜひとも身に着けてほしいところです。

[1] 平方根の意味

中学校で学習した「平方根」や記号の意味を確認しておきましょう。

定義
(1) 0以上の$a$に対し、$x^2=a$をみたす数$x$を、$a$の平方根という。
(2) $a$の平方根のうち0以上のものを、$\sqrt{a}$と書き表し、ルート$a$という。
(3) 記号$\sqrt{\ }$を根号という。

注1 どんな0以上の実数$a$に対しても、その平方根が存在することは、
  今後は証明なしに用いることにします。

注2 しかし、どんな実数も2乗すると0以上になるので、
  実数の範囲内には負の数の平方根は存在しません
  (一方、実数ではないが、2乗して-1になる数を考えることも可能です。
  その1つが虚数単位$i=\sqrt{-1}$です。)

注3 また、0以上の実数$a$に対して、
  $a$の0以上の平方根がただ1つしか存在しないことも、
  厳密には証明が必要ですが、
  ここでは直観に任せて証明なしに用います。

例えば、$36=6^2$かつ$6>0$なので、
$\sqrt{36}=6$です。
また、$36=(-6)^2$もいえて、
2乗して36になる2つの数は$6$と$-6$以外にないので、
「36の平方根は6と-6の2つ」ということがわかります。
この6と-6をまとめて、$\pm 6$と書きましたよね。

一般に、
0の平方根は0だけ
正の数$a$の平方根は2つで、$\pm \sqrt{a}$
となります。

$\sqrt{a}$については、
$a$が何かしらの2乗のときには、
根号$\sqrt{\ }$を外した形に直せました。

例えば、
$\sqrt{5^2}=\sqrt{25}=5$
$\sqrt{(-5)^2}=\sqrt{25}=5$
という調子です。
下の例、×$\sqrt{(-5)^2}=-5$としないようにしましょう。
$\sqrt{\ }$は常に0か正の数であることに注意しましょう。

一般に、次のことが言えます。

平方根
実数$a$に対し、
\[\sqrt{a^2}=|a|=\left\{\begin{align*} \red{a}\quad &(\red{a\geq 0}のとき)\\ \blue{-a}\quad &(\blue{a<0}のとき)\end{align*}\right. \]

aが0以上だったらわかりやすいと思います。
この場合、2乗して$a^2$になる0以上の数はaだけになるはずです。

あれ?
2段目に$-a$とあるけれど、
$\sqrt{a}$は0か正の数だから、おかしいんじゃないの?
と思った方は、その後ろに$(\blue{a<0}のとき)$とあるのに注目しましょう。

$\blue{a<0}$すなわち$a$が負の数("-")のとき、
$-a$は正の数("+")です。
ここに出てくる"-"は、
負の数を表す記号ではなく、
「符号を入れ替えよ」という命令を表すと考えてください。

つまり、$\sqrt{a^2}$は、
aが0または正の数("+")なら、そのまま$\sqrt{{\ }^2}$を外す
aが負の数("-")なら、$\sqrt{{\ }^2}$を外してから符号を変え(て正の数にす)る
ということを、上の囲みで言っています。

例題
EXQ1. 次を、根号($\sqrt{\ }$)を使わないで表せ。
 (1) $\sqrt{8^2}$  (2) $\sqrt{(-7)^2}$  (3) $\sqrt{121}$
 (4) $a<1$のとき、$\sqrt{{(a-1)}^2}$

$\sqrt{\ }$をうまく外せるのは、その中が2乗の形にかける場合です。
(1),(2)は上で説明したことを使うと、
(1) $\sqrt{\red{8}^2}=\bold{8}$  (2) $\sqrt{(\blue{-7})^2}=-(\blue{-7})=\bold{7}$ ですね。

(3)も、$121=11^2$に気づけば、$\sqrt{121}=\sqrt{11^2}=\bold{11}$となりますね。

さて、(4)ですが、
2乗があるからといって、
すぐに×$\sqrt{{(a-1)}^2}=a-1$としないように注意!

$a-1$が0または正の数("+")だったらこれで問題がないんですが、
$a<1$のときは、$a-1$は負の数("-")になります。
このときは、上で見たように、符号を変える必要があったのです。
$\sqrt{\ }$の中に文字が入っているときは取扱いに注意しなければなりません。

そうすると、$a<1$のときは、$a-1<0$だから、
$\sqrt{{(\blue{a-1})}^2}=-(\blue{a-1})=\bold{1-a}$
となります。

この(4)のように、
出てくる文字に範囲がついていて、
$\sqrt{()^2}$の中がはっきりと「0または正」なのか、「負」なのか、わかれば
上のように符号をよく考えて答えることになります。

しかし、もし出てくる文字に範囲がついていないときには、
その文字の符号が変わる瞬間を見つけて、「場合分け」しなければなりません。
この「場合分け」については後日詳しく扱います。

練習問題
Q1. 次を、根号($\sqrt{\ }$)を使わないで表せ。   [解答]
 (1) $\sqrt{3^2}$  (2) $\sqrt{{(-2.5)}^2}$  (3) $\sqrt{1}$  (4) $\sqrt{\dfrac{16}{81}}$
 (5) $x\geq 2$のとき、$\sqrt{{(x-2)}^2}$  (6) $p<-4$のとき、$\sqrt{p^2+8p+16}$

[2] 根号を含んだ式の計算

まず、中学校で学んだとおり、次のことが成り立ちます。

平方根の積と商
0以上の実数$a,b$に対し、
(1) $\sqrt{a}\sqrt{b}=\sqrt{ab}$  (2) $b\neq 0$のとき、$\dfrac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\dfrac{a}{b}}$

[証明]
(1) $(\sqrt{a}\sqrt{b})^2=(\sqrt{a})^2(\sqrt{b})^2=ab$
 ここで、$\sqrt{a}\geq 0, \sqrt{b}\geq 0$より$\sqrt{a}\sqrt{b}\geq 0$  一方、$\sqrt{ab}\geq 0$だから、上の注3により、
 $\sqrt{a}\sqrt{b}=\sqrt{(\sqrt{a}\sqrt{b})^2}=\sqrt{ab}$
(2)も$b>0$に注意すれば、同様にできる。                     (終)

したがって、
$\sqrt{\ }$どうしのかけ算、わり算は、
$\sqrt{\ }$の中どうしをかけたりわったりすればいいんでしたよね。

例えば、
$\sqrt{2}\sqrt{5}=\sqrt{2\cdot 5}=\sqrt{10}$
$\sqrt{21}\div \sqrt{3}=\sqrt{21\div 3}=\sqrt{7}$
という具合です。

また、これを使って、$\sqrt{\ }$の中を小さな数にすることができました。
例えば、$\sqrt{28}$は、$28={2}^{2}\cdot 7$なので、
$\sqrt{28}=\sqrt{{2}^{2}\cdot 7}=\sqrt{2^2}\sqrt{7}=2\sqrt{7}$
となります。

すると、次のように、できるだけ$\sqrt{\ }$の中が小さい数のまま、
平方根のかけ算ができます。
$\sqrt{8}\sqrt{24}=2\sqrt{2}\cdot 2\sqrt{6}=2\cdot 2\sqrt{2\cdot 6}=4\sqrt{12}=4\cdot 2\sqrt{3}=8\sqrt{3}$
$\sqrt{12}\sqrt{27}=2\sqrt{3}\cdot 3\sqrt{3}=2\cdot 3\sqrt{3\cdot 3}=6\sqrt{3^2}=6\cdot 3=12$

練習問題
Q2. 次の数の根号($\sqrt{\ }$)を、できるだけ小さな整数になるようにせよ。   [解答]
 (1) $\sqrt{18}$  (2) $\sqrt{54}$   (3) $\sqrt{96}$   (4) $\sqrt{\dfrac{8}{25}}$

Q3. 次の計算をせよ。  [解答]
 (1) $\sqrt{5}\sqrt{7}$  (2) $4\sqrt{6}\cdot (-3\sqrt{10})$  (3) $\sqrt{8}\sqrt{20}$
 (4) $\sqrt{32}\sqrt{56}$  (5) $\sqrt{18}\sqrt{50}$

次に、たし算とひき算は、
$\sqrt{\ }$の中が同じ数のときに、
分配法則を利用して行うのでした。

例えば、
$3\sqrt{2}+5\sqrt{2}=(3+5)\sqrt{2}=8\sqrt{2}$
$\sqrt{48}-\sqrt{20}-\sqrt{27}+\sqrt{45}=4\sqrt{3}-2\sqrt{5}-3\sqrt{3}+3\sqrt{5}=(4-3)\sqrt{3}+(-2+3)\sqrt{5}\\
\phantom{\sqrt{48}-\sqrt{20}-\sqrt{27}+\sqrt{45}}=\sqrt{3}+\sqrt{5}$
という感じです。
最後の例ですが、うっかり×$\sqrt{3}+\sqrt{5}=\sqrt{8}$としないように注意!
一般には$\sqrt{a}+\sqrt{b}\neq \sqrt{a+b}$です。

練習問題
Q4. 次の計算をせよ。   [解答]
 (1) $3\sqrt{11}-7\sqrt{11}$  (2) $\sqrt{2}+\sqrt{8}$
 (3) $1-\sqrt{6}+\sqrt{54}+4$  (4) $\sqrt{3}+\sqrt{18}-\sqrt{75}-\sqrt{50}$

また、乗法の公式を利用して計算を進めることができます。

例題
EXQ2. 次の計算をせよ。
 (1) $\sqrt{2}(\sqrt{5}-2\sqrt{2})$  (2) $(2\sqrt{3}+1)(3\sqrt{3}-2)$
 (3) $(5\sqrt{2}+\sqrt{7})(5\sqrt{2}-\sqrt{7})$  (4) ${(2\sqrt{3}-\sqrt{2})}^2-2(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-3)$

文字を含む計算のようにして展開したのち、
平方根を含む四則計算を行います。

(1)は分配法則ですね。
$\red{\sqrt{2}}(\sqrt{5}-2\sqrt{2})=\red{\sqrt{2}}\cdot \sqrt{5}-\red{\sqrt{2}}\cdot 2\sqrt{2}=\bold{\sqrt{10}-4}$

(2)は$\purple{\sqrt{3}}$を1つの文字のようにして、公式5です。
$\quad (\red{2}\purple{\sqrt{3}}+\orange{1})(\green{3}\purple{\sqrt{3}}\blue{-2})\\
=\red{2}\cdot \green{3}{(\purple{\sqrt{3}})}^{2}+\{\red{2}\cdot (\blue{-2})+\orange{1}\cdot \green{3}\}\purple{\sqrt{3}}+\orange{1}\cdot (\blue{-2})\\
=18-\sqrt{3}-2=\bold{16-\sqrt{3}}$

(3)は和と差の積で、公式4です。
$(\red{5\sqrt{2}}+\blue{\sqrt{7}})(\red{5\sqrt{2}}-\blue{\sqrt{7}})=(\red{5\sqrt{2}})^2-(\blue{\sqrt{7}})^2=50-7=\bold{41}$
ちなみに途中の$(5\sqrt{2})^2$は$5\sqrt{2}\cdot 5\sqrt{2}$として計算しますよ~

最後、(4)は、
${(2\sqrt{3}-\sqrt{2})}^2$には公式3(')を使って、
${(\red{2\sqrt{3}}-\blue{\sqrt{2}})}^2=(\red{2\sqrt{3}})^2-2\cdot \red{2\sqrt{3}} \cdot \blue{\sqrt{2}}+(\blue{\sqrt{2}})^2=12-4\sqrt{6}+2=16-4\sqrt{6}$
$(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-3)$には公式2を使って、
$(\purple{\sqrt{6}}+\orange{1})(\purple{\sqrt{6}}\green{-3})=(\purple{\sqrt{6}})^2+(\orange{1}\green{-3})\purple{\sqrt{6}}+\orange{1}\cdot (\green{-3})=6-2\sqrt{6}-3=3-2\sqrt{6}$
となります。
したがって、
$\quad {(2\sqrt{3}-\sqrt{2})}^2-2(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-3)\\
=(16-4\sqrt{6})-2(3-2\sqrt{6})\\
=16-4\sqrt{6}-6+4\sqrt{6}\\
=\bold{10}$
となります。

公式を間違えずに利用していき、
丁寧に順序良く計算していきましょう。

練習問題
Q5. 次の計算をせよ。   [解答]
 (1) $\sqrt{6}(2\sqrt{3}+3\sqrt{2})$  (2) $(\sqrt{3}+5)(\sqrt{3}-1)$
 (3) $(2\sqrt{7}-3)^2$  (4) $(2\sqrt{2}-\sqrt{5})(3\sqrt{2}+2\sqrt{5})-2(\sqrt{5}+2)(\sqrt{5}-2)$

レベルアップ問題
LUQ9. 次の計算をせよ。
 (1) $(1+\sqrt{2}+\sqrt{3})^2+(1+\sqrt{2}-\sqrt{3})^2+(1-\sqrt{2}+\sqrt{3})^2+(1-\sqrt{2}-\sqrt{3})^2$

 (2) $(1+\sqrt{2}+\sqrt{3})(1+\sqrt{2}-\sqrt{3})(1-\sqrt{2}+\sqrt{3})(1-\sqrt{2}-\sqrt{3})$

 (3) $(\sqrt{2}+\sqrt{3})(\sqrt{2}+\sqrt{6})(\sqrt{6}-\sqrt{3})+(\sqrt{3}+\sqrt{6})(\sqrt{3}+\sqrt{2})(\sqrt{2}-\sqrt{6})+(\sqrt{6}+\sqrt{2})(\sqrt{6}+\sqrt{3})(\sqrt{3}-\sqrt{2})$

ということで、今回で、$\sqrt{\ }$のついた加減乗はできることがわかりましたが、
例によってわり算は少し工夫が必要になるわけです。
その手法が「分母の有理化」です。

中学校でも「分母の有理化」を学びましたが、
分母に$\sqrt{\ }$が1つだけはいるもの($\dfrac{1}{\sqrt{2}}$など)が中心でした。

高校では、あたらしく
$\dfrac{1}{\sqrt{5}-2}$や$\dfrac{\sqrt{3}-\sqrt{2}}{\sqrt{3}+\sqrt{2}}$
のようなものも、分母を有理化することができるようになります。

そのためには、今回の内容が確実にできる必要がありますので、
何度もできるようになるまで練習を行ってください。

今回はここまで。
お読みくださってありがとうございました。
ではまた!


2016年4月25日

【高校数学I】 実数と数直線

皆さん、こんにちは!
TomoKです。

今回は、平方根のお話に入りたかったのですが、
その前に、まず「実数」や「数直線」について触れておきたいので、
そのお話をします。

(本当は、今までのレベルアップ問題の解答を、
と思ったんですが、
解答だけつらつら書いてもあまり面白くなさそうなので、
予定変更…)

数直線は、小中学校でも出てきて、なじみ深いと思いますが、
その数直線のしくみをもう一度ここで振り返ることにします。

では、始めましょう。

2016年4月19日

【数学雑論】$ax^2+bxy+cy^2+dx+ey+f$の因数分解の別法とそれについての雑論

皆さん、こんにちは!
TomoKです!

前回まで4回も因数分解に関して
教科書に載ってるであろう話を書いてきたので、
たぶん、このブログでこの前の「追越し禁止」の話ぐらいには
ブログらしいことが書けるかもしれません!

ようやく数学の内容でブログらしいことが書ける…

やっぱりブログって
ただ事実を書き連ねるだけじゃ
つまんないんですよね…

今日は少し持論(自論?)を交えながら
書いていきたいと思います。


2016年4月18日

【高校数学I,II】因数分解(4)

皆さん、こんにちは!
TomoKです。

また1週間以上空いてしまいましたね…
今後も更新は1週間に1回が多くなるかも…

でも、できるだけ書きたいと思いますので
どうぞよろしく…

今日は、今までの学習を駆使して、
少し複雑な式を因数分解できるようになりましょう。

前回は、
置き換えによる因数分解や、
項の組み合わせで因数分解をすることを
お話ししました。

でも、もし仮に
公式通りの式でなく、
しかも項の組み合わせが難しい、となったら、
どうすればいいでしょうか。

それについては、
今回の記事で明らかになります。

2016年4月10日

【高校数学I,II】因数分解(3)

皆さん、こんにちは!
TomoKです。

前々回前回で、
乗法の公式の逆を用いた
因数分解の方法を書きました。

今回は、
より工夫して因数分解を行う方法を
書きたいと思います。

今日からは応用編といった感じです。
次回で因数分解の話はとりあえず一区切りにしますが、
とりあえず今回までの技法は
できれば身に着けてほしいと思います。

では、今回の内容に入ります。

2016年4月4日

【高校数学I,II】因数分解(2)

皆さん、こんにちは! TomoKです。

実に1週間ぶりの更新でした…
私もやることがいろいろとあって
全く暇だというわけではないので…

まあ、この季節は引っ越しとやら入学・就職とやらで
忙しい方も多いでしょう。
皆様はいかがだったでしょうか?

さて、前回は、中学校の因数分解の復習をやりました。

今回こそは、新しい因数分解の手法を
皆さんに伝授することができると思います。
今日はその手法に慣れてもらいたいと思っています。

今までは、主に2次式でも、
2乗の項の係数が1であるものが基本でしたが、
今回学習するのは
2乗の項の係数が1ではない2次式も因数分解できる場合があるよ!
ということがわかると思います。

では、今回のお話を始めます。

2016年3月28日

【高校数学I】因数分解(1)

皆さん、こんにちは! TomoKです。

前回までは展開について話してきましたが、
今回からは因数分解についてお話しします。

数や式の性質を見るには、
和よりも積に関する扱いが必要になります。

和で表された整式(多項式)を
いくつかの整式の積としてあらわすことを学習していきます。

因数分解には展開の公式が必要です。
展開の公式は前回一挙にまとめてありますので、
忘れた方は見てください。
特に、各項式の右辺の形の特徴をよく見ておいてください。

と、言っても、今日は中学校の復習がほとんどかと思います。
(今後、中学生向けには今回よりも詳しく書くつもりですが…
今回は高校生向けの中学の内容の記事になってます…)

では、今回の内容に入ります。

2016年3月25日

【高校数学I,II】展開の工夫

皆さん、こんにちは! TomoKです。

前々回前回と展開公式を学習してきました。
今回は、展開公式を使って、
展開の工夫をすることについてお話ししたいと思っています。

それでは、今回の内容に入ります。

2016年3月23日

【高校数学I,II】展開の公式(2)

皆さん、こんにちは! TomoKです。

前回は、2次の展開公式を学習しました。
今回は、3次の展開公式を使えるように学習しましょう。
少しややこしいものがありますから、慎重に覚えましょう。

(ちなみに、今回も厳密には数Iの内容ではありません。
数IIで学習します。
が、またもやここで記事を書くことにしたのは
勝手な私の願望でございます。)

では、今回の内容に入ります。

【高校数学I】展開の公式(1)

皆さん、こんにちは! TomoKです。

今まで、整式の加法、減法、乗法、および除法を学習しました。

今後しばらくは、式を扱ううえで
基本として使えるようになってほしい
展開や因数分解の公式や方法についてのお話が中心となります。

今回は、その第1弾として、
2次の展開公式について
お話していきます。

2016年3月22日

【高校数学I,II】整式の除法

皆さん、こんにちは! TomoKです。

今回は数学の記事で参りたいと思います。

前々回
整式の加法(たし算), 減法(ひき算), 乗法(かけ算)
についてお話ししました。

今回は整式の除法(わり算)についてお話しします。

(実をいうと、
整式の除法は数学Iでは学習せず、
数学IIで扱う内容なのですが、
「加減乗法をやって除法をやらないとは納得いかない!!!」
という僕のわがままにより、
ここで扱わせてもらいます。)

では、今回の内容に入ります。

2016年3月19日

【道路標識】私と道路趣味①「追越し禁止」を語る

皆さん、こんにちは!

今日は数学の記事ではなく、
道路標識の記事を書きます。

車好き、という人は多分いっぱいいるんですが、
車の走る道路というものに興味がある人って
全国にどれだけいるんだろうか、
なんて思っちゃったりしますけどね。

(まあ日本にはおよそ1億人いますから、
そのうち5万人から10万人ぐらいは
いてほしいなあ…)

ましてや、道路に立っている標識に興味がある人は
もしかしたら一握りくらいしかいないかもしれません。

町中に出て、標識を見て興奮している人って、
はたからみたら変人と思われているかもしれません。
私はそんな変人の一人です。
まあそんな変人もブログで数学の話をするんだから、
本当に世の中は面白いものです。

2016年3月18日

【高校数学I】整式の加法・減法・乗法

皆さん、こんにちは! TomoKです。

前回までは、基本的な式の見方を見てきました。
忘れた人は、ぜひ復習してください。

【高校数学I】ある文字に着目して考える
【中学数学, 高校数学I】多項式と単項式

そしていよいよ今回からは、
整式を計算するところに入ります。

今回は、
整式の加法(たし算)・減法(ひき算)・乗法(かけ算)
について考えたいと思います。
中学校までの式の計算ができている人であれば、
今回はやりやすいと思います。

では、今回の内容に入ります。


2016年3月14日

【高校数学I】ある文字に着目して考える

皆さん、こんにちは! TomoKです。

前回の記事では、単項式や多項式に関する知識を学びました。
今回は、さらに式、特に整式の見方を学習していくことにしましょう。

キーワードは、前回の最後のほうでも出てきた、
ある文字に着目して考える
です。
が、その前に、まず「項の整理の仕方」を学習することにします。

では、今回の内容に入ります。


2016年3月13日

【中学数学, 高校数学I】多項式と単項式

皆さん、こんにちは! TomoKです。

もうすぐ新年度ですね。
この記事をお読みのみなさんの中には、
この春に進級したり、卒業して進学したりする人もいると思います。
進級、進学、おめでとうございます。

さて、中学2年に進級する人、また、高校に進学する人は、
最初に式の取り扱い方について学習します。
今回は、「単項式と多項式」についてまとめました。

このあたりのお話は、数学全般にかかわる基本事項なので、
中学生・高校生いずれも、しっかりと理解しておいてほしいですね。

中学校に進級する人は、まだここでお話しすることが難しいとは思いますが、
中学校ではxやyなどの文字を使った式が「自在に」扱えるようになるんだな、
ということは知っておいてください。

では今回のお話を始めます。

2016年3月10日

道路標識について・・・・

こんにちは! TomoKです。
(今日3回目の投稿です)

今回は、「道路標識」について、
このブログでやりたいことをいろいろ書き連ねます。

道路標識は、道路上に立っていて、
私たちの交通を安全に誘導する役割があります。

しかし、標識の設置基準や表示の仕方については、
全都道府県である程度決まっておりますが、
細かなところでは都道府県ごと別に基準が定まっています。

とくに補助標識(四角い板の中に時間とか車種とか書いてあるあれ)は
都道府県によって割と表現に幅がありますね。

また、津々浦々、いろいろな道路状況がありますから、
標識によっては、教本で見たきり全然見ないという
レアな標識もあります。
右、ここから規制が始まるのが「追越し禁止」
左、ここで規制が終わるのが「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」
石岡市、茨城県道118号で撮影。当面のプロフィール画像。
このブログでは、私や他の方々がお持ちの情報を基に、
「ここにはこんな標識が設置されているんだ」
「ここにこの標識があるのはこういう理由ではないだろうか」
「ここら辺の地方ではこんな設置の仕方をするんだ」
などと、道路標識に関して観察やちょっとした考察をして行きます。

私も外に出ていろいろな標識を見て回るので、
その時の画像もUPできればと思います。

ただし、あくまで趣味ですので、
正確な法律的判断とは言えない部分もあると思いますので、
それだけはご注意ください。

道路標識に関することで、皆さんが、
「ここでこんな標識をみつけたよ」
「ここで標識は珍しいんじゃない?」
「この標識はここらへんに多いよ」
とかいうタレコミ情報もお待ちしています。
ぜひコメント欄にお願いします。

また、数学・道路標識・それ以外のこともたまに書くこともあるかもしれません。
もしこのブログ内で、「ここはなんかおかしいな」と思ったところがあれば、
コメント欄にお寄せいただければと思います。
よろしくお願いします。

ということで、今日はここまで。
お読みいただきありがとうございました。
ではまた!