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2016年7月14日

【高校数学I】必要条件と十分条件

皆さんこんにちは!
TomoKです。

前回までにいろいろな条件や命題を見てきたわけですが、
2つの条件p,qに対して、それらの「成り立つ」「成り立たない」の関係を見るのに、
「必要条件」と「十分条件」という考え方を使います。

定義
2つの条件p,qについて、
(i) p\Rightarrow qが成り立つとき、pqであるための十分条件であるという。
(ii) q\Rightarrow pが成り立つとき、pqであるための必要条件であるという。

p\Rightarrow qが成り立つときは、
pという条件があれば、qという条件が成り立つのに十分である、
という意味合いで、「pqであるための十分条件」というわけです。

次に、q\Rightarrow pが成り立つときは、
qという条件を成り立たせるためには、少なくともpという条件が必要である、
という意味合いで、「qpであるための必要条件である」というわけです。

だいぶどっちがどっちだか迷うかもしれません。
この記事を書いている私もここのところは結構わかるのに時間がかかった覚えがあります。

上のことを図でかいてみます。
ただし、この図では「q\Rightarrow p」のことを「p\Leftarrow q」と表しています。



「は」から「であるための」に向かう矢印が成り立つのは十分条件
「であるための」から「は」に向かう矢印が成り立つのは必要条件
です。

有名な覚え方で下のようなものがあります。
これを最初に思いついた人ってなかなかセンスあるような気がします。

注意しなければならないのは、
「は」「ための」の位置を合わせておかないとならないことです。
必ず、「は」は左、「ための」は右において考えます。

ともかく、「十分条件」と「必要条件」が逆にならないように覚えておきましょう。

定義
2つの条件p,qについて、pqであるための十分条件かつ必要条件であるとき、
すなわち、p\Rightarrow qかつq\Rightarrow pが成り立つとき、
pqであるための必要十分条件である、またはpq同値であるといい、
p\Leftrightarrow qで表す。

一般には、p\Rightarrow qが仮に成り立っても、その逆のq\Rightarrow pが成り立つとは限りません。
しかし、p\Rightarrow qq\Rightarrow pの両方が成り立った場合は、
pqの条件は同じときに成り立つと考えてよいわけです。
その時、pqであるための必要かつ十分な条件となり、
それをpqは同値であるということがある、というわけです。

例題
EXQ1. 次の[    ]にあてはまる最も適切なものを、次の①~④から選べ。
  ①必要条件ではあるが、十分条件ではない
  ②十分条件ではあるが、必要条件ではない
  ③必要十分条件である
  ④必要条件でも十分条件でもない

 (1) 実数xについて、x=1であることは、x^2=1であるための[    ]。
 (2) 整数aについて、a^2が4の倍数であることは、aが4の倍数であるための[    ]。
 (3) 自然数pについて、pが素数であることは、pが奇数であるための[    ]。

よくある問題です。
「は」のついたほうの条件を左に、「ための」のついたほうの条件を右において、
\green{十}\rightleftarrows \orange{要}ですね。

(1)をこの図式にあてはめると
\green{x=1}\rightleftarrows \orange{x^2=1}となります。

\green{x=1}\Rightarrow \orange{x^2=1}1^2=1よりです。
 「」のほうから出ている→がOKなので、十分性はあります

\green{x=1}\Leftarrow \orange{x^2=1}
 すなわちx^2=1\Rightarrow \green{x=1}はどうかというと、
 x^2=1から出てくるのはx=1,-1の2つがあるので、 x=-1を反例としてです。
 「」のほうから出ている←がNGですので、必要性はありません

以上のことから、(1)の[   ]に入るのは、だとわかります。

同じようにして(2)(3)を調べます。

(2)の図式は
\green{a^{2}が4の倍数}\rightleftarrows \orange{aが4の倍数}

\green{a^{2}が4の倍数}\Rightarrow \orange{aが4の倍数}を考えると、
 a=2のとき、a^2=4は4の倍数だが、a=2は4の倍数でないから、 a=2を反例として
 「」のほうから出ている→がNGだから、十分性はなし

\green{a^{2}が4の倍数}\Leftarrow \orange{aが4の倍数}
 すなわちaが4の倍数\Rightarrow a^{2}が4の倍数は、
 a=4k(kは整数)とおくと、a^2=(4k)^2=16k^2=4\cdot 4k^2は4の倍数 よって
 「」のほうから出ている←がOKだから、必要性はあり

以上のことから、(2)の[   ]に入るのは、

(3)の図式は
\green{pが素数}\rightleftarrows \orange{pが奇数}

\green{pが素数}\Rightarrow \orange{pが奇数}は、
 p=2は素数だが奇数でないから、p=2を反例として
 「」のほうから出ている→がNGだから、十分性はなし

\green{pが素数}\Leftarrow \orange{pが奇数} すなわちpが奇数\Rightarrow pが素数は、
 p=9は奇数だが素数でない(9=3^2)ので、p=9を反例として
 「」のほうから出ている←がNGだから、必要性もなし

以上のことから、(3)の[   ]に入るのは、

練習問題
Q1. 次の[    ]にあてはまる最も適切なものを、次の①~④から選べ。   [解答]
  ①必要条件ではあるが、十分条件ではない
  ②十分条件ではあるが、必要条件ではない
  ③必要十分条件である
  ④必要条件でも十分条件でもない

(1) 整数aについて、aが3の倍数であることは、aが6の倍数であるための[    ]。
 (2) 実数xについて、2\leqq x<5であることは、x>0であるための[    ]。
 (3) 四角形ABCDについて、
  AB=BC=CD=DAであることは、∠A=∠B=∠C=∠Dであるための[    ]。
 (4) 自然数nに対し、
  nが40と60の公約数であることは、nが20の約数であるための[    ]。
 (5) 2つの実数x,yについて、xy=0であることは、x=0かつy=0であるための[    ]。

さて、論理に関する事柄を知ったところで、それらを使わなければあまり意味をなしません。
次回以降は、その「実際に使ってみる」ところをやることになります。
つまり、いろいろな命題が正しいことを論理的に証明する方法を考えていきます。

もちろん、そのまま証明するのができればそのほうがいいのですが、
場合によってそれが難しいこともあるので、
そんな時、ほかにどういった手段が使えるのかを見ていくことにしましょう。

今日はここまでです。
お読みくださってありがとうございました。
ではまた!


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練習問題の答え

Q1.
(1)① (\Rightarrowa=3が反例で偽, \Leftarrowa=6k=3\cdot 2k(kは整数)より真)
(2)② (\Rightarrow0<2\leqq x<5より真, \Leftarrowx=1が反例で偽)
(3)④ (\Rightarrowは1つの角が60°のひし形が反例で偽, \LeftarrowはAB=3cm, BC=5cmの長方形が反例で偽)
(4)③ (\Rightarrowは40と60の最大公約数が20だから真(*), \Leftarrowは40と60がともに20で割り切れるので真)
 (*)一般に、2つの自然数a,bについて、a,bの公約数はa,bの最大公約数の約数であることが成り立つ。
(5)① (\Rightarrowx=0,y=1が反例で偽, \Leftarrow0\cdot 0=0より真)

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