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2016年4月25日

【高校数学I】 実数と数直線

皆さん、こんにちは!
TomoKです。

今回は、平方根のお話に入りたかったのですが、
その前に、まず「実数」や「数直線」について触れておきたいので、
そのお話をします。

(本当は、今までのレベルアップ問題の解答を、
と思ったんですが、
解答だけつらつら書いてもあまり面白くなさそうなので、
予定変更…)

数直線は、小中学校でも出てきて、なじみ深いと思いますが、
その数直線のしくみをもう一度ここで振り返ることにします。

では、始めましょう。

[1] 数直線のしくみ

さて、中学校までの学習では、
いろいろな「数」を扱ってきたと思います。

小学校では、まず0を含んだ「整数」を学んで、
(後々ここでの「整数」とは「0と正の整数」、
すなわち「0と自然数」の世界だったことがわかる)
位を増やすとどんな大きさの整数でも表せる、
ということを勉強しました。

しかし、大きな数を表せるけど、
例えば、「1リットルの半分」を表す量を表すのに
「ミリリットル」に単位を変換しなければなりませんでした。

そこで、「小数」や「分数」を用いて、
ちょうど整数にならない量を表現することができ、
小数に至っては、小数点以下に桁を下げていけば、
0と1の間にある(ほぼ)どんな小ささも表現できる
ということがわかりました。

さらに、中学校では
例えば温度計や標高など、
ある基準を0と見たときに、0より下であることを表すため、
"-"のついた「負の数」を考えたわけです。

ここまでに出てきた数は、
すべて整数か分数で表すことが可能で、
そのような数を「有理数」と呼びます。

でも、人間というのは欲が深くて、
世の中にあるいろんな量を数字で表したくなってくるんですね。
そうして、有理数の世界では物足りない場合も生じました。

例えば、
・円周と直径の比率を表す円周率\pi
・1辺の長さが1の正方形の1本の対角線の長さ\sqrt{2}
のように、整数でも分数でも表せず、
小数だと小数点以下に数字が続いてきりがない数が
存在することがわかりました。
そのような数は「無理数」と呼ばれています。

つまり、中学校までで学習した「数」は、
大きく2つに分けて、
「有理数」と「無理数」に分類できます。

さて、有理数も、無理数も、物の量を表すものなので、
0を基準として、一直線上のどこらへんにいるかで、
その数を表すことができます。
(というと数学的には非常に不備があるが)

それが、数直線と呼ばれているものです。

図1 数直線
原点Oは0を、単位点Eは1を表す


数直線上には、数0に対応する原点Oと、
数1に対応する単位点Eがあり、
ふつうEがOの右側にあります。
そうすることで
Oよりも右側の点は正の数("+")
Oよりも左側の点は負の数("-")
を表すことになります。

また、数直線上の点Aの表す数が、
0とどのぐらい離れているかを見るときは、
Oとその点Aとを結ぶ線分OAの長さが、OEの長さの何倍か
を見ればよいことになります。
その値を、"数直線上におけるOとAとの距離"と呼びます。

例えば、下の数直線の2点P,Qを見てみましょう。
この数直線には目盛りが等間隔についていると思ってください。

図2
OEの長さを1として、
右に行くほど大きく、左に行くほど小さくなる


まず、点EはOより右に1目盛り進んだところにあります。
したがって、隣どうしの目盛りと目盛りの間が1の長さです。

さて、点PはOよりも右に3目盛り進んだところにあるので、
点Pは正の数("+")で、
数直線上におけるOとPとの距離は3です。
だから、点Pの表す数は +3 ,すなわち 3 です。

次に点Qですが、
点QはOより左に4目盛り進んだところにあるので、
点Qは負の数("-")で、
数直線上におけるOとQとの距離は4です。
だから、点Qの表す数は -4 です。

このようにして、数直線上の点Pは、
・Oより右にいる(+)か、左にいる(-)か で符号を決め、
・符号の後ろに数直線上におけるOとPとの距離をつける
というふうにして、Pに対応する数pが決まります。
このPに対応する数pを、
"数直線上における点Pの座標"
といい、
点Pの座標がpであることを、\text{P}(p)と書き表します。

今の話から、上の図2の数直線では、
\text{P}(3)\quad \quad \text{Q}(-4)
であるということになります。

逆に、例えば、数直線上に点\text{R}(\blue{-}\green{2})をとるときは、
符号は"-"だからOより左側
OとRとの距離が2だから、OEの2倍、すなわち2目盛り進む

ので、下の図3の位置にRがとれます。

図3
R(-2)は負だからOより左に、
OEの2倍の距離のところにとれる。


練習問題
Q1. 下の数直線で、Oは原点, Eは単位点で、目盛りは等間隔についている。   [解答]
 
 (1) A,B,Cの座標を答えよ。
 (2) \text{P}(-3), \text{Q}(4), \text{R}(-0.5)は、この数直線のどこに位置するか、指し示せ。

[2] 実数・絶対値

中学校までに学んできたありとあらゆる数が、
数直線上に点としてあらわせることがわかりました。

定義
数直線上の点として表せる数、すなわち、数直線上の点の座標となりうる数を、実数という。

 もちろん、この実数の定義は数学的には厳密ではありませんが、
 本気で数学的に実数を定義するとなると非常に大変で、時間がかかるので、
 ここでは上のようにして理解しておけば十分でしょう
 (興味がある人は大学で勉強してください)。

つまり、今まで学習してきた数は、すべて実数で、
すべての実数は有理数と無理数のいずれかに分類される
というわけですね。

ちなみに、数直線が実数全体を表すため、
数直線のことを「実数直線」という人もいます。

さて、そうすると、
0以外のすべての実数は、
符号(+か-)と、数直線上の原点Oからの距離で
決まることがわかったわけです。

定義
実数aに対し、数直線上における原点Oと点\text{A}(a)との距離を、
a絶対値といい、|a|で表す。

このとき、数直線と実数の対応の仕方から、
実数aの絶対値|a|は、aから符号を取り去ったものだ
と考えることができます。

絶対値は、距離を表す数なので、必ず0か正の数(+)になります。

例えば、
3=+3 の絶対値は |3|=3    -4 の絶対値は|-4|=4
となります。
図4 絶対値
絶対値は、その数の符号を取り去った値と考えられる

練習問題
Q2. 次の値を求めよ。   [解答]
 (1) |7|  (2) |-8|  (3) |0.2|  (4) \left|-\dfrac{2}{9}\right|

ここで、符号に着目してみましょう。
実数aの絶対値|a|は、
a\geq 0(0または符号が+)ならば、aがそのまま絶対値となり、|a|=a
a<0(符号が-)ならば、aの符号を変えたものが絶対値となり、|a|=-a
となるわけです。

あ、たぶん大丈夫だと思いますが、
記号\geqは≦と同じ意味です。

絶対値
実数aに対し、
|a|=\left\{\begin{align*} \red{a}\quad &(\red{a\geq 0}のとき)\\ \blue{-a}\quad &(\blue{a<0}のとき)\end{align*}\right.

例題
EXQ1. 次の値を求めよ。
 (1) |-1|+|3|  (2) |-1+3|  (3) |\pi -3|  (4) |\pi -4|

絶対値の記号|\quad |があるときは、
まず、その記号のところを先に処理します。

まず(1)は|-1|=1, |3|=3なので、
|-1|+|3|=1+3=\boldsymbol{4}
となります。

次に(2)は|\quad |の中を計算しますから、
|-1+3|=|2|=\boldsymbol{2}
ですね。

では、(3)ですが、
これは|\quad |の中がこれ以上計算できませんね…

でも、\piと3の大小を比べると、
\pi は3より大きいので、
\pi -3は0より大きい、すなわち正の数(+)
ということがわかります。
だから、絶対値はそのまま、
|\pi -3|=\boldsymbol{\pi -3}
となります。

一方、(4)はどうでしょう。
今度は\pi と4の大きさを比べて、
\piは4より小さいので、
\pi -4は0より小さい、すなわち負の数(-)
ということがわかります。
よって、絶対値は符号を変えて、
|\pi -4|=\blue{-}(\pi -4)=\boldsymbol{-\pi +4}
となります。OKですか?

練習問題
Q3. 次の値を求めよ。   [解答]
 (1) |-4-9|  (2) |-4|-|9|  (3) |\pi -2|+|3-\pi |

ところで、先の例題のこの(1),(2)からわかるように、
一般には|a+b|=|a|+|b|とは限らない
ということに注意してください。

しかし、乗除に関しては、
"積、商の絶対値は絶対値の積、商"だったので、
次が成り立ちます。

絶対値の積と商
実数a, bに対し、
(1) |a||b|=|ab|  (2) b\neq 0ならば、\dfrac{|a|}{|b|}=\left|\dfrac{a}{b}\right|

[3] 数直線上の2点間の距離

さて、数直線上における2点\text{A}(a),\text{B}(b)の距離は

・bがaより大きければ、b-a
・bとaが等しければ、0
・bがaより小さければ、a-b=-(b-a)

であるから、
2点\text{A}(a),\text{B}(b)の距離は \text{AB}=|b-a|
となります。

例えば、数直線上の3点
\text{A}(6),\text{B}(-4),\text{C}(1)
に対し、
2点A,Bの距離は、\text{AB}=|-4-6|=|-10|=10
2点B,Cの距離は、\text{BC}=|1-(-4)|=|5|=5
となります。

練習問題
Q4. 数直線上の3点\text{A}(-1),\text{B}(5),\text{C}\left(-\dfrac{1}{3}\right)に対し、次の2点間の距離を求めよ。   [解答]
 (1) A,B  (2) B,C  (3) C,A

レベルアップ問題
LUQ8. 数直線上の2点A(a),B(b)について、線分ABの中点Mの座標は
  \dfrac{a+b}{2}であることを示せ。

ということで、
今回は、数直線の仕組みを振り返り、
実数という言葉と絶対値の扱いについてお話しました。

次回こそは平方根に入りますので
楽しみに待っていてください。

もうすぐゴールデンウィークですか…
もしかすると標識の話題も
若干できるかもしれませんね…
まあそれはその時気が向くかどうかですが…

では、今日はここまで。
お読みいただきありがとうございました。
ではまた!

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練習問題の答え

Q1.
単位点EはOから2目盛り進んだところにあることに注意。
(1) Aの座標は-1, Bの座標は2, Cの座標は\dfrac{7}{2}もしくは3.5
(2) 

Q2.
(1) 7  (2) 8  (3) 0.2  (4) \dfrac{2}{9}

Q3.
(1) |-13|=\boldsymbol{13}  (2) 4-9=\boldsymbol{5}

(3) \pi -2>0だから|\pi -2|=\pi -2,
 3-\pi <0だから|3-\pi |=-(3-\pi )
 よって|\pi -2|+|3-\pi |=\pi -2-(3-\pi )=\boldsymbol{2\pi -5}

Q4.
(1) \text{AB}=|5-(-1)|=|6|=\boldsymbol{6}

(2) \text{BC}=\left|-\dfrac{1}{3}-5\right|=\left|-\dfrac{16}{3}\right|=\boldsymbol{\dfrac{16}{3}}

(3) \text{CA}=\left|-1-\left(-\dfrac{1}{3}\right)\right|=\left|-\dfrac{2}{3}\right|=\boldsymbol{\dfrac{2}{3}}

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