TomoKです。
前々回と前回で、
乗法の公式の逆を用いた
因数分解の方法を書きました。
今回は、
より工夫して因数分解を行う方法を
書きたいと思います。
今日からは応用編といった感じです。
次回で因数分解の話はとりあえず一区切りにしますが、
とりあえず今回までの技法は
できれば身に着けてほしいと思います。
では、今回の内容に入ります。
[1] 共通因数でくくる
共通因数があれば、まず最初に共通因数をくくって、
残ったところをさらに因数分解する、
という方針をとると楽です。
例えば、
4x^2-16x+12を因数分解するとき、
2次式だから、最初から「たすき掛け」してもいいんですが、
それよりも、係数がすべて4で割り切れるところを見て、
まず4でくくると、
\begin{align*} 4x^2-16x+12&=\red{4}\cdot x^2-\red{4}\cdot 4x+\red{4}\cdot 3\\ &=\red{4}(x^2-4x+3) \end{align*}
となります。
そこで、x^2-4x+3がさらに
公式2の形で因数分解できますので、
\quad 4x^2-16x+12\\ =\red{4}(x^2-4x+3)\\ =4(x-1)(x-3)
となるわけです。
なお、
因数分解の問題では、
( )の中がそれ以上因数分解できない形になるまで
因数分解をするのが普通です。
(ただし、どこまで因数分解できるか、というのは、
整式の係数をどんな数まで扱うかによって変わります。
しかし、当面は、有理数の範囲、
すなわち、係数に整数と分数しか出てこない範囲で
できる限り因数分解するものとします。)
[2] 置き換え
展開のとき同様に、繰り返し出てくる場合や、
見た目を整える場合などに
置き換えを利用することがあります。
例題
EXQ1. 次の式を因数分解せよ。
(1) x^4-2x^2+1 (2) (x^2+3x)^2-(x^2+3x)-6 (3) (x+1)^2-(y-2)^2
EXQ1. 次の式を因数分解せよ。
(1) x^4-2x^2+1 (2) (x^2+3x)^2-(x^2+3x)-6 (3) (x+1)^2-(y-2)^2
では、始めましょうか。
(1)はx^4とx^2の項があるので、
とりあえずx^4=(x^2)^2と考えて、
\red{A=x^2}とおくと、
\begin{align*} x^4-2x^2+1&=(\red{x^2})^2-2\red{x^2}+1\\ &=\red{A}^2-2\red{A}+1\quad \quad \leftarrow 公式3'\\ &=(\red{A}-1)^2 \end{align*}
となります。
そしてさらにこの\red{A}をもとに戻すと、
もう1回因数分解ができることがわかりますね。
\begin{align*} x^4-2x^2+1&=(\red{x^2}-1)^2\quad \quad \leftarrow (\quad )内に公式4\\ &=\{(x+1)(x-1)^2\}\\ &=\boldsymbol{(x+1)^{2}(x-1)^{2}} \end{align*}
上のように置き換えを使えば
因数分解ができる場合が非常に増えるわけですが、
展開のとき同様に、慣れてくると、
「塊」を作ってそのまま公式に持ち込むことができます。
以下の解答、少し意地悪ですが、
置き換えずに「塊」を意識して変形していきます。
慣れない方は、「塊」とした部分を文字で置き換えると
少しはわかりやすくなるかと思います。
やはり、ここらへんは、
自分で考えながら手を動かして
理解してから読み進めるのが早道だと思います。
では、例題の(2)ですが、
これははっきりしていて、
\blue{(x^2+3x)}を塊にして考えます。
\quad \blue{(x^2+3x)}^2-\blue{(x^2+3x)}-6\quad \quad \leftarrow \blue{(x^2+3x)}を塊として公式2\\ =\{\blue{(x^2+3x)}+2\} \{\blue{(x^2+3x)}-3\}\\ =(x^2+3x+2)(x^2+3x-3)\quad \quad \leftarrow 左の(\quad )に公式2\\ =\boldsymbol{(x+1)(x+2)(x^2+3x-3)}
(3)ですが、
こちらは同じものが出てくるわけではないですが、
2乗-2乗の形なので、
\orange{(x+1)}と\purple{(y-2)}をそれぞれ塊とみれば、
公式4が使えます。
\quad \orange{(x+1)}^2-\purple{(y-2)}^2 \quad \quad \leftarrow \orange{(x+1)}と\purple{(y-2)}を塊として公式4\\ =\{\orange{(x+1)}+\purple{(y-2)}\} \{\orange{(x+1)}-\purple{(y-2)}\}\\ =(x+1+y-2)(x+1-y+2)\\ =\boldsymbol{(x+y-1)(x-y+3)}
練習問題
Q2. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) x^4-y^4 (2) (x^2-5)^2-3(x^2-5)-4
(3) (2x^2+5x-5)(2x^2+5x+1)-16 (4) (x+1)^3-8y^3
Q2. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) x^4-y^4 (2) (x^2-5)^2-3(x^2-5)-4
(3) (2x^2+5x-5)(2x^2+5x+1)-16 (4) (x+1)^3-8y^3
[3] 項を組み合わせる
式の中で、部分的な因数分解を行うため、項をいくつか組み合わせる
という手段をとることもあります。
次の例題を見て考えましょう。
例題
EXQ2. 次の式を因数分解せよ。
(1) xy-3x+5y-15 (2) x^2-9y^2+4x+4 (3) x^3-xy(x+y)+y^3
EXQ2. 次の式を因数分解せよ。
(1) xy-3x+5y-15 (2) x^2-9y^2+4x+4 (3) x^3-xy(x+y)+y^3
では、(1)から行きます。
これは前の2項xy-3xはいずれもxがついていて、
この部分だけxでくくると、
xy-3x=x\green{(y-3)}
となります。
一方、
後ろの2項5y-15はxがついていませんが、
係数を見るとこの部分については5でくくれて、
5x-15=5\green{(y-3)}
となります。
あれ? 両方に\green{(y-3)}が出てきましたねぇ。
ということは、最後に\green{(y-3)}を塊として
共通因数としてくくりだせばいいわけですね。
したがって、(1)については、
\begin{align*} xy-3x+5y-15&=x\green{(y-3)}+5\green{(y-3)}\\ &=\boldsymbol{(x+5)\green{(y-3)}} \end{align*}
となります。
次に(2)ですが、
まず、どの項を組み合わせるとよさそうか考えます。
よく見ると、
x^2+4x+4=(x+2)^2
-9y^2=-(3y)^2
と組み合わせると、2乗-2乗の形が作り出せますね。
よって、(2)は次のように因数分解できます。
\begin{align*} x^2-9y^2+4x+4&=(x^2+4x+4)-9y^2\\ &=(x+2)^2-(3y)^2 \quad \quad \leftarrow (x+2), (3y)を塊として公式4\\ &=\{(x+2)+3y\} \{(x+2)-3y\}\\ &=\boldsymbol{(x+3y+2)(x-3y+2)} \end{align*}
因数分解は、結果的に、
共通因数をくくるか、公式を使うかということになるので、
項を組み合わせる場合には、
・式全体に共通因数が出てくる組み合わせであるか?
または
・式全体に公式に当てはまる形ができる組み合わせか?
ということを考えましょう。
(3)も同様です。
今度も、上の2点に着目して考えますと、
x^3+y^3=\blue{(x+y)}(x^2-xy+y^2)
と-xy\blue{(x+y)}の組み合わせにすると、
式全体で\blue{(x+y)}でくくれることがわかります。
\begin{align*} x^3-xy(x+y)+y^3&=(x^3+y^3)-xy(x+y) \quad \quad \leftarrow (x^3+y^3)に公式8\\ &=\blue{(x+y)}(x^2-xy+y^2)-xy\blue{(x+y)}\\ &=\blue{(x+y)}\{(x^2-xy+y^2)-xy\}\\ &=(x+y)(x^2-2xy+y^2) \quad \quad \leftarrow 右の(\quad )に公式3'\\ &=\boldsymbol{(x+y)(x-y)^2} \end{align*}
となります。
練習問題
Q3. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) 6xy+4x-9y-6 (2) a^{2}c^{2}-4a^{2}d^{2}-9b^{2}c^{2}+36b^{2}d^{2}
(3) x^3+x^2-x-1 (4) 4x^2+y^2-z^2+4xy
(5) x^2+x-y-y^2 (6) (x-3y)^3-x^{2}y+9y^3
Q3. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) 6xy+4x-9y-6 (2) a^{2}c^{2}-4a^{2}d^{2}-9b^{2}c^{2}+36b^{2}d^{2}
(3) x^3+x^2-x-1 (4) 4x^2+y^2-z^2+4xy
(5) x^2+x-y-y^2 (6) (x-3y)^3-x^{2}y+9y^3
(6)はちょっと難しいかな?
でも、上の太字で示してある2つのことに気を付けて、
やってみてください。
次回はラストスパートです。
今の上の問題では、
たまたま運よく
項を組み合わせて共通因数をうまく作って…
といきました。
しかし、
まれに式が整いすぎて
共通因数が見つかりにくい場合もあります。
その場合の因数分解の工夫を
お話ししたいと思います。
今回までの学習がフルに活用されますので、
次回いつ更新かはわかりませんが、
それまでによく復習してくださいね。
まあ次回は数学になるか標識になるかは
やはりまだ未定ということで。
次回更新までのお楽しみです!
では、今日はここまで。
お読みくださりありがとうございました。
ではまた!
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練習問題の答え
Q1.
(1) 2(x+4)^2 (2) -(x+y)(3x-y)(3) a(x-2)(x+5) (4) 3y(3y-2)(9y^2+6y+4)
Q2.
(1) (x^2-y^2)(x^2+y^2)=\boldsymbol{(x-y)(x+y)(x^2+y^2)}(2) \quad \{(x^2-5)-4\} \{(x^2-5)+1\}=(x^2-9)(x^2-4)
=\boldsymbol{(x+3)(x-3)(x+2)(x-2)}
(3) (2x^2+5x)^2-4(2x^2+5x)-5-16=(2x^2+5x)^2-4(2x^2+5x)-21
\phantom{(2x^2+5x)^2-4(2x^2+5x)-5-16}=(2x^2+5x-7)(2x^2+5x+3)
\phantom{(2x^2+5x)^2-4(2x^2+5x)-5-16}=\boldsymbol{(x-1)(2x+7)(x+1)(2x+3)}
※ただし、個人的には(x-1)(x+1)(2x+3)(2x+7)と並び替えたほうが順番としてしっくりくるような気がする。
(4) \quad \{(x+1)-2y\} \{(x+1)^2-(x+1)\cdot 2y+(2y)^2\}
=\boldsymbol{(x-2y+1)(x^2-2xy+4y^2+2x-2y+1)}
Q3.
(1) 2x(3y+2)-3(3y+2)=\boldsymbol{(2x-3)(3y+2)}(2) a^{2}(c^{2}-4d^{2})-9b^{2}(c^{2}-4d^{2})=(a^2-9b^2)(c^2-4d^2)
\phantom{a^{2}(c^{2}-4d^{2})-9b^{2}(c^{2}-4d^{2})}=\boldsymbol{(a+3b)(a-3b)(c+2d)(c-2d)}
(3) x^2(x+1)-(x+1)=(x^2-1)(x+1)=(x-1)(x+1)(x+1)
\phantom{x^2(x+1)-(x+1)}=\boldsymbol{(x-1)(x+1)^2}
(4) (4x^2+4xy+y^2)-z^2=(2x+y)^2-z^2=\boldsymbol{(2x+y+z)(2x+y-z)}
(5) (x^2-y^2)+(x-y)=(x+y)(x-y)+(x-y)=\boldsymbol{(x+y+1)(x-y)}
(6) (x-3y)^3-y(x^2-9y^2)=(x-3y)^3-y(x+3y)(x-3y)
\begin{align*} \phantom{(x-3y)^3-y(x^2-9y^2)}&=(x-3y)\{(x-3y)^2-y(x+3y)\}\\ &=(x-3y)(x^2-6xy+9y^2-xy-3y^2)\\ &=(x-3y)(x^2-7xy+6y^2)\\ &=\boldsymbol{(x-3y)(x-y)(x-6y)} \end{align*}
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