前回までは展開について話してきましたが、
今回からは因数分解についてお話しします。
数や式の性質を見るには、
和よりも積に関する扱いが必要になります。
和で表された整式(多項式)を
いくつかの整式の積としてあらわすことを学習していきます。
因数分解には展開の公式が必要です。
展開の公式は前回一挙にまとめてありますので、
忘れた方は見てください。
特に、各項式の右辺の形の特徴をよく見ておいてください。
と、言っても、今日は中学校の復習がほとんどかと思います。
(今後、中学生向けには今回よりも詳しく書くつもりですが…
今回は高校生向けの中学の内容の記事になってます…)
では、今回の内容に入ります。
[1] 因数分解
定義
(1) 2つの整式$A,B$について、$A$が$B$でわり切れるとき、
すなわち、$A=BQ$となる整式$Q$が存在するとき、$B$は$A$の因数であるといい、
または$A$は$B$を因数にもつという。
(2) 整式$A$を2つ以上の整式の積で表すことを、$A$を因数分解するという。
(1) 2つの整式$A,B$について、$A$が$B$でわり切れるとき、
すなわち、$A=BQ$となる整式$Q$が存在するとき、$B$は$A$の因数であるといい、
または$A$は$B$を因数にもつという。
(2) 整式$A$を2つ以上の整式の積で表すことを、$A$を因数分解するという。
すなわち、今までの「展開」というのは
整式の積を1つの整式に表すことでありましたが、
「因数分解」というのはその逆で、
1つの整式がどんな整式の積なのか、できるだけたどってみよ、
というのが目標になるわけです。
$(x+7)(x-4)\quad \overset{展開}{\underset{因数分解}{\leftrightarrows}}\quad x^2+3x-28$
したがって、冒頭でふれたとおり、
展開の公式それぞれの式の特徴を知っておくと、
因数分解も楽になります。
[2] 共通因数をくくる
例えば、$15x^2+6xy$という整式を見ると、$15x^2$の項も、$6xy$という項も、
いずれも$x$という因数を持っています。
もっと言うと、係数は15と6で、
最大公約数が3となっています。
そこで、分配法則$\red{m}x+\red{m}y=\red{m}(x+y)$によって、
$15x^2+6xy=\red{3x}\cdot 5x+\red{3x}\cdot 2y=\red{3x}(5x+2y)$
と変形することができます。
この$3x$は、2つの項$15x^2, 6xy$の両方に共通する因数です。
各項に共通する因数をすべて括弧の外に出す手法を、
共通因数をくくる、といいます。
注意することは、係数の先頭が-のときは、
通常-でくくります。
例えば、$-3x^2+4xy$は、
$x$ももちろんくくりだせますが、
同時に$-1$もくくって、
$-3x^2+4xy=(\red{-x})\cdot 3x+(\red{-x})\cdot (-4y)=\red{-x}(3x+4y)$
となるわけです。
さらに言うと、
整式のどこかに分数を含むときは、
分数でくくる場合もあります。
例えば$\dfrac{2}{3}x^2-\dfrac{1}{4}x$は、「通分」すると、
$\dfrac{2}{3}x^2-\dfrac{1}{4}x=\dfrac{8}{12}x^2-\dfrac{3}{12}x$
となるので、$\red{\dfrac{1}{12}x}$でくくることを考えます。
$\dfrac{2}{3}x^2-\dfrac{1}{4}x=\dfrac{8}{12}x^2-\dfrac{3}{12}x=\red{\dfrac{1}{12}x}\cdot 8x-\red{\dfrac{1}{12}x}\cdot 3=\red{\dfrac{1}{12}x}(8x-3)$
となります。
ただ、この「分数でくくる」という操作は人や場合によりけりで、
実用面において、分数を含む整式が出てきたときに、
因数分解を楽にするぐらいの操作でしかないかもしれません。
でも、知っておくと便利な操作です。
練習問題
Q1. 次の多項式の共通因数をくくれ。
ただし、この問題では、くくった後は因数分解できないとしてよい。 [解答]
(1) $7x^2-6x$ (2) $4xy-6y^2$ (3) $-9x^{3}y+3x^{2}y^{2}-6xy^{3}$
Q1. 次の多項式の共通因数をくくれ。
ただし、この問題では、くくった後は因数分解できないとしてよい。 [解答]
(1) $7x^2-6x$ (2) $4xy-6y^2$ (3) $-9x^{3}y+3x^{2}y^{2}-6xy^{3}$
[3] 2次式の因数分解($x^2$の係数が1)
さて、例えば、整式$x^2+5x+6$は、$5x$を$2x+3x$としてから、$x+3$をひと塊に見て、
$\begin{align*}
x^2+5x+6&=x^2+3x+2x+6\\
&=x(x+3)+2(x+3)\\
&=(x+2)(x+3)\end{align*}$
とすることで因数分解できます。
しかし、因数分解の時
常にこの方法でやってると時間がかかるので、
展開の公式をじっとにらんで、
「どの式になりそうかな」と考えながらやると楽ですね。
$x^2+5x+6$の場合は、
次数が2次で項の数3つ。
$x^2$の係数は1で、定数項は整数の2乗ではありません。
ということで、前回の展開の公式のうちで、公式2に似ている気がします。
公式2(の逆) $x^2+(\orange{a+b})x+\green{ab}=(x+a)(x+b)$
右辺のの$x$の係数は$a+b$で、定数項は$ab$です。
これをもとの$x^2+\orange{5}x+\green{6}$と見比べますと、
$\orange{a+b=5}, \green{ab=6}$となるような2つの整数$a,b$を見つけることになります。
つまり、$x$の係数が和, 定数項が積というわけですね。
すると、そのような2つの整数として2と3が見つかるので、
$x^2+\orange{5}x+\green{6}=x^2+(\orange{2+3})x+\green{2\cdot 3}=(x+2)(x+3)$
となるわけです。
思い出しましたか?
次に、式$x^2-10x+25$を因数分解してみましょう。
今度も公式2に近いように見えるので、
$x^2\orange{-10}x+\green{25}$で公式2を使うことを考えると、
和が-10, 積が25となる2つの整数は-5と-5です。
このように、公式2で行う場合に2つの同じ整数が現れることがあります。
したがって、
$x^2\orange{-10}x+\green{25}=x^2+(\orange{-5-5})+\green{5\cdot 5}=(x-5)(x-5)=(x-5)^2$
となります。
ところで、この$x^2-10x+25$については、次の公式3または3'が使えます。
公式3(の逆) $\red{a}^2+2\red{a}\blue{b}+\blue{b}^2=(\red{a}+\blue{b})^2$
公式3'(の逆) $\red{a}^2-2\red{a}\blue{b}+\blue{b}^2=(\red{a}-\blue{b})^2$$x^2-10x+25$については、公式3'を使えば、
$x^2-10x+25=\red{x}^2-2\cdot \red{x}\cdot \blue{5}+\blue{5}^2=(\red{x}-\blue{5})^2$
と使えます。
最初の項($\red{a}^2$)、最後の項($\blue{b}^2$)が2乗の形にできて、
中央はそれらの2乗をとったものの積の2倍($2\red{a}\blue{b}$)になっていると、
この公式3や3'が使える、ということを
知っておくと便利です。
あとは、真ん中の項の符号を見て、
( )の中の符号を決めます。
わりと機械的に進めるところがあるので、
このやり方はちょっとなあ…と思う人は、
公式2を使う(和と積)のもいいでしょう。
好きな方法でやってみてください。
もう1つ。
$x^2-9$です。これはもうおそらく公式4しかありません。
公式4(の逆) $\red{a}^2-\blue{b}^2=(\red{a}+\blue{b})(\red{a}-\blue{b})$
ひき算で、「2乗-2乗」の形です。
むりやり公式2を使って
$a^2+0ab-b^2=a^2+(b-b)a+b\cdot (-b)=(a+b)(a-b)$
としてもいいですが、
項を増やすのが面倒ですので、
「2乗-2乗」にはすぐ公式4を利用します。
今の$x^2-9$のときは、
$x^2-9=\red{x}^2-\blue{3}^2=(\red{x}+\blue{3})(\red{x}-\blue{3})$
となってきます。
練習問題
Q2. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) $x^2+3x+2$ (2) $x^2-6x+8$ (3) $x^2+x-12$
(4) $x^2+4x+4$ (5) $a^2-12a+36$ (6) $x^2-16$
(7) $x^2-4xy-77y^2$ (8) $x^2+16xy+64y^2$ (9) $a^2-100b^2$
Q2. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) $x^2+3x+2$ (2) $x^2-6x+8$ (3) $x^2+x-12$
(4) $x^2+4x+4$ (5) $a^2-12a+36$ (6) $x^2-16$
(7) $x^2-4xy-77y^2$ (8) $x^2+16xy+64y^2$ (9) $a^2-100b^2$
と、いうことで、
実は今回はここまでです。
「なんだ…今日はこれっぽっちか」
と思われるかもしれませんが、
次回が若干厄介なところですので。
(厄介と思うかは人それぞれあると思いますが、
少なくとも図を使う内容が近づくと、
私の更新が遅くなります。。。)
ゆえ、次回は数学か標識かわかりませんが、
次回が数学の記事であれば、今回の話の続きを書きます。
お読みくださってありがとうございました。
ではまた!
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練習問題の答え
Q1.
(1) $x(7x-6)$ (2) $2y(2x-3y)$ (3) $-3xy(3x^2-xy+2y^2)$
Q2.
(1) $(x+1)(x+2)$ (2) $(x-2)(x-4)$ (3) $(x-3)(x+4)$(4) $(x+2)^2$ (5) $(a-6)^2$ (6) $(x+4)(x-4)$
(7) $(x+7y)(x-11y)$ (8) $(x+8y)^2$ (9) $(a+10b)(a-10b)$
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