前回の記事では、単項式や多項式に関する知識を学びました。
今回は、さらに式、特に整式の見方を学習していくことにしましょう。
キーワードは、前回の最後のほうでも出てきた、
「ある文字に着目して考える」
です。
が、その前に、まず「項の整理の仕方」を学習することにします。
では、今回の内容に入ります。
[1] 項の整理の仕方
まず、次の式を見てください。3x^2-2x+4x^2-3
この式の項を考えると、
3x^2, -2x, 4x^2, -3
となります。
ところが、よく見ると、
3\textcolor{red}{x^2}, 4\textcolor{red}{x^2}の2つの項は、
文字の部分が全くいっしょですね。
このように、文字の部分が全く同じ2つ以上の項は、
分配法則を使ってたすことができますね。
\quad 3\textcolor{red}{x^2}+4\textcolor{red}{x^2}
=(3+4)\textcolor{red}{x^2}
=7\textcolor{red}{x^2}
したがって、もとの式は、次のように、同等で少し短めの式に書くことができます。
\quad 3x^2-2x+4x^2-3
=3x^2+4x^2-2x-3
=7x^2-2x-3
ここで、注意すべきは、
7x^2と-2xは、いずれもxがかかっていますが、
かかっているxの個数が違うので、たし合わせることができません。
かかっている文字の種類と個数が一緒の項どうしでしか、たせないのです。
そこに気を付けてください。
定義
1) 1つの整式の中で、文字の部分が全く同じ2つ以上の項を、同類項という。
2) 整式の中の同類項を分配法則を用いてたし合わせることを、同類項をまとめるという。
3) 1つの整式の中の同類項をすべてまとめてこれ以上同類項のない整式に表すことを、その整式を整理するという。
1) 1つの整式の中で、文字の部分が全く同じ2つ以上の項を、同類項という。
2) 整式の中の同類項を分配法則を用いてたし合わせることを、同類項をまとめるという。
3) 1つの整式の中の同類項をすべてまとめてこれ以上同類項のない整式に表すことを、その整式を整理するという。
つまり、
整式 3x^2-2x+4x^2-3 の同類項をまとめて整理すると、 7x^2-2x-3 となる
というわけです。
ちなみに、整理した後の整式は、
普通次数の高い順に(降べきの順という)並べることが多いです。
もちろん、次数の低い順に(昇べきの順という)並べることもなくはないですが…
先ほどの7x^2-2x-3は降べきの順に整理されていて、
これを-3-2x+7x^2とすると、昇べきの順に整理されたということになります。
ではここでいったん練習問題をどうぞ。
前回同様、答えはこの記事の一番最後にあります。
練習問題
Q1.次の整式の同類項をまとめて、降べきの順に整理せよ。
(1) 3a^2-a+1+5a-4 (2) -x^3+xy-2x^3-y+5xy
Q1.次の整式の同類項をまとめて、降べきの順に整理せよ。
(1) 3a^2-a+1+5a-4 (2) -x^3+xy-2x^3-y+5xy
[2] ある文字に着目して考える
今度は次の式を見てみましょう。3a^3+4abc-2bc+c^2
この式は、普通の見方で行けば3次式です。
3a^3, 4abcの2つの項が3次,
-2bc, c^2の2つの項が2次ですよね。
しかも、次数が高い順に並んでて、同類項も見当たらないので、
この式は、降べきの順に整理されています。
しかし、この式にはa,b,cの3つの文字が混ざっています。
もし、これを仮に\textcolor{green}{b}の立場で見るとどうなるのでしょう。
各項に\textcolor{green}{b}がいくつかかっているかを見ると、
3a^3の項は\textcolor{green}{b}が0個 4a\textcolor{green}{b}cの項は\textcolor{green}{b}が1個
-2\textcolor{green}{b}cの項は\textcolor{green}{b}が1個 c^2の項は\textcolor{green}{b}が0個
となります。
したがって、\textcolor{green}{b}の立場で考えると、
4a\textcolor{green}{b}cと-2\textcolor{green}{b}cが同類項,
3a^3とc^2が同類項
と考えることができます。
それゆえ、分配法則によって、
\quad 3a^3+4abc-2bc+c^2
=4a\textcolor{green}{b}c-2\textcolor{green}{b}c+3a^3+c^2
=(4ac-2c)\textcolor{green}{b}+3a^3+c^2
と整理できます。
これで、この整式は、\textcolor{green}{b}については1次式で、
3a^3+c^2が\textcolor{green}{b}からすると定数項にあたるということになります。
これが、「文字\textcolor{green}{b}に着目して考える」ということです。
このような整理の仕方を、「文字\textcolor{green}{b}について整理する」といいます。
考え方としては、
今まではすべての文字を「文字」と言っていたのですが、
「bに着目して」とか「bについて」と言われた瞬間に、
b以外の文字は「文字」として扱われなくなる(数とみなす)
という感じです。
では、今度はもとの式
3a^3+4abc-2bc+c^2
を、\textcolor{green}{b}と\textcolor{blue}{c}の2文字に着目して考えてみます。
今度は、\textcolor{green}{b}, \textcolor{blue}{c}以外の文字(ここではa)は数と見なければなりません。
\textcolor{green}{b}, \textcolor{blue}{c}について考えると、
3a^3の項は\textcolor{green}{b}が0個、\textcolor{blue}{c}が0個
4a\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}の項は\textcolor{green}{b}が1個、\textcolor{blue}{c}が1個
-2\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}の項は\textcolor{green}{b}が1個、\textcolor{blue}{c}が1個
\textcolor{blue}{c^2}の項は\textcolor{green}{b}が0個、\textcolor{blue}{c}が2個
となるので、
4a\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}と-2\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}は同類項とみることができます。
結局、\textcolor{green}{b}と\textcolor{blue}{c}について整理すると、
\quad 3a^3+4abc-2bc+c^2
=4a\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}-2\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}+\textcolor{blue}{c^2}+3a^3
=(4a-2)\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}+\textcolor{blue}{c^2}+3a^3
となり、
この式は\textcolor{green}{b}と\textcolor{blue}{c}については2次式で、
その見方のとき、3a^2は定数項となることがわかります。
お分かりいただけますか?
ここまでが理解できましたら、ぜひ次の練習問題にチャレンジしてください。
また例のように答えはこの記事の最後においておきます。
まだ少しよくわからないという人は、
この記事に書いていることをもう一度よく考えながら読んでください。
式の実際の動きを、自分で紙と鉛筆を使って書きながら読むと
いっそう理解度が増すと思います。
それでもまだよくわからない、
または、「こういうことでいいのかな」と不安な人は、
ぜひ遠慮なく質問のコメントしていってくださいね。
このブログをかいている私にも、
「ここの部分の解説をもう少ししなければいけなかったな」
という感じで非常に参考になります。
とりあえず、次回の数学の記事は
「整式の加減乗除」
を予定しています。
次回の記事でどこまでかけるかはわかりませんが…
ということで、今日はここまで。
お読みくださいましてありがとうございます。
ではまた!
--------------------
練習問題の答え
Q1. (1) 3a^2+4a-3 (2) -3x^3+6xy-y
Q2. (1) bca^2+(3b^2-2c+4)a-bc (2) (a^{2}b-2a-b)c+3ab^{2}+4a
(3) この整式をb, cについて整理すると(a^{2}-1)bc+3ab^{2}-2ac+4aだから、
この整式はb. cについて2次式で、そのときの定数項は4a
となるので、
4a\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}と-2\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}は同類項とみることができます。
結局、\textcolor{green}{b}と\textcolor{blue}{c}について整理すると、
\quad 3a^3+4abc-2bc+c^2
=4a\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}-2\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}+\textcolor{blue}{c^2}+3a^3
=(4a-2)\textcolor{green}{b}\textcolor{blue}{c}+\textcolor{blue}{c^2}+3a^3
となり、
この式は\textcolor{green}{b}と\textcolor{blue}{c}については2次式で、
その見方のとき、3a^2は定数項となることがわかります。
お分かりいただけますか?
ここまでが理解できましたら、ぜひ次の練習問題にチャレンジしてください。
また例のように答えはこの記事の最後においておきます。
練習問題
Q2.整式a^{2}bc+3ab^{2}-2ac-bc+4aについて、
(1) この整式を文字aについて整理せよ。
(2) この整式を文字cについて整理せよ。
(3) この整式は、2つの文字b, cについては何次式で、そのときの定数項は何か。
Q2.整式a^{2}bc+3ab^{2}-2ac-bc+4aについて、
(1) この整式を文字aについて整理せよ。
(2) この整式を文字cについて整理せよ。
(3) この整式は、2つの文字b, cについては何次式で、そのときの定数項は何か。
まだ少しよくわからないという人は、
この記事に書いていることをもう一度よく考えながら読んでください。
式の実際の動きを、自分で紙と鉛筆を使って書きながら読むと
いっそう理解度が増すと思います。
それでもまだよくわからない、
または、「こういうことでいいのかな」と不安な人は、
ぜひ遠慮なく質問のコメントしていってくださいね。
このブログをかいている私にも、
「ここの部分の解説をもう少ししなければいけなかったな」
という感じで非常に参考になります。
とりあえず、次回の数学の記事は
「整式の加減乗除」
を予定しています。
次回の記事でどこまでかけるかはわかりませんが…
ということで、今日はここまで。
お読みくださいましてありがとうございます。
ではまた!
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練習問題の答え
Q1. (1) 3a^2+4a-3 (2) -3x^3+6xy-y
Q2. (1) bca^2+(3b^2-2c+4)a-bc (2) (a^{2}b-2a-b)c+3ab^{2}+4a
(3) この整式をb, cについて整理すると(a^{2}-1)bc+3ab^{2}-2ac+4aだから、
この整式はb. cについて2次式で、そのときの定数項は4a
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