TomoKです。
さて、前回は平方根の意味や基本的な計算を学習しました。
今回は、その続きとして、分母の有理化を扱います。
分母に$\sqrt{}$を含む分数の形をした式を、
ある方法で分母の$\sqrt{}$をなくすことができるようになります。
[1] 分母の有理化
おそらく、中学校で、$\dfrac{1}{\sqrt{2}}$や$\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}$のようなタイプのものの分母の有理化を学習したと思います。
例えば、$\dfrac{1}{\sqrt{2}}$ならば、$\sqrt{2}\cdot \red{\sqrt{2}}=2$を使って、
分母と分子にそれぞれ$\sqrt{2}$をかけて、
$\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{1\cdot \orange{\sqrt{2}}}{\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{2}}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
となりました。
1つ注意することは、
まず、有理化する前に、$\sqrt{}$の中を簡単にしておく
ということです。
どういうことか、例を見て説明します。
例えば、$\dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{75}}$を有理化するとしましょう。
このまま、分母と分子に$\sqrt{75}$をかけてしまうと、
数が大きくなって計算が大変そうです。
でも、$\sqrt{75}=5\sqrt{3}$に気づくと、$\sqrt{}$の中が小さくなりますね。
$\dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{75}}=\dfrac{3\sqrt{2}}{5\sqrt{3}}$
分母は$\sqrt{3}$しか残っていませんから、
分母と分子の両方に$\sqrt{3}$をかけて
$\cdots =\dfrac{3\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{3}}}{5\sqrt{3}\cdot \orange{\sqrt{3}}}=\dfrac{3\sqrt{6}}{5\cdot 3}=\dfrac{3\sqrt{6}}{15}$
となります。
分母と分子が3で割り切れるので、最後に約分すると、
$\cdots =\dfrac{\sqrt{6}}{5}$となります。
その他、先に約分してから分母の有理化を始めることも考えられます。
$\sqrt{}$の中どうし、$\sqrt{}$の外どうしは約分可能です。
例えば、$\dfrac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{6}}$は、
分母と分子の$\sqrt{}$の中を3でわって、
$\dfrac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{6}}=\dfrac{2}{3\sqrt{2}}$とします。
ただし、この右辺の分子の2と、分母の$\sqrt{2}$の中の2は約分できません。
(分子の2は$\sqrt{}$の外、分母の2は$\sqrt{}$の中)
その後は分母と分子に$\sqrt{2}$をかけて、
$\dfrac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{6}}=\dfrac{2}{3\sqrt{2}}=\dfrac{2 \cdot \orange{\sqrt{2}}}{3\sqrt{2} \cdot \orange{\sqrt{2}}}=\dfrac{2\sqrt{2}}{3\cdot 2}=\dfrac{\sqrt{2}}{3}$
となります。
練習問題
Q1. 次の分母を有理化せよ。 [解答]
(1) $\dfrac{4}{\sqrt{7}}$ (2) $\dfrac{3}{\sqrt{6}}$ (3) $\dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}}$ (4) $\dfrac{1}{4\sqrt{2}}$ (5) $\dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{24}}$ (6) $\dfrac{\sqrt{40}}{3\sqrt{6}}$
Q1. 次の分母を有理化せよ。 [解答]
(1) $\dfrac{4}{\sqrt{7}}$ (2) $\dfrac{3}{\sqrt{6}}$ (3) $\dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}}$ (4) $\dfrac{1}{4\sqrt{2}}$ (5) $\dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{24}}$ (6) $\dfrac{\sqrt{40}}{3\sqrt{6}}$
では、ここからが本題です。
次のようなタイプについて、分母の有理化をしてみましょう。
例題
EXQ1. 次の分母を有理化せよ。
(1) $\dfrac{1}{\sqrt{7}+\sqrt{5}}$ (2) $\dfrac{\sqrt{2}+3}{2\sqrt{2}-1}$ (3) $\dfrac{2\sqrt{2}+\sqrt{5}}{\sqrt{2}+\sqrt{5}}$
EXQ1. 次の分母を有理化せよ。
(1) $\dfrac{1}{\sqrt{7}+\sqrt{5}}$ (2) $\dfrac{\sqrt{2}+3}{2\sqrt{2}-1}$ (3) $\dfrac{2\sqrt{2}+\sqrt{5}}{\sqrt{2}+\sqrt{5}}$
ポイントは、
$\sqrt{a}\red{+}\sqrt{b}$には$\orange{\sqrt{a}}\blue{-}\orange{\sqrt{b}}$をかけると、
$(\sqrt{a}\red{+}\sqrt{b})(\orange{\sqrt{a}}\blue{-}\orange{\sqrt{b}})=(\sqrt{a})^2-(\sqrt{b})^2=a-b$
となって、$\sqrt{}$が消えてしまうところです。
同様に、$\sqrt{a}\blue{-}\sqrt{b}$には$\orange{\sqrt{a}}\red{+}\orange{\sqrt{b}}$をかけると、
うまく$\sqrt{}$が消えます。
これを利用すると、例題のタイプは有理化できます。
(1)は分母が$\sqrt{7}\red{+}\sqrt{5}$なので、
分母と分子に$\orange{\sqrt{7}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}}$をかけますと、
$\begin{align*}\dfrac{1}{\sqrt{7}\red{+}\sqrt{5}}&=\dfrac{1(\orange{\sqrt{7}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}{(\sqrt{7}\red{+}\sqrt{5})(\orange{\sqrt{7}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}=\dfrac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{(\sqrt{7})^2-(\sqrt{5})^2}=\dfrac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{7-5}\\ &=\bold{\dfrac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{2}}\end{align*}$
と分母を有理化できます。
(2)は、今度は分母が$2\sqrt{2}\blue{-}1$なので、
分母と分子に$\orange{2\sqrt{2}}\red{+}\orange{1}$をかけて、
$\begin{align*} \dfrac{\sqrt{2}+3}{2\sqrt{2}\blue{-}1}&=\dfrac{(\sqrt{2}+3)(\orange{2\sqrt{2}}\red{+}\orange{1})}{(2\sqrt{2}\blue{-}1)(\orange{2\sqrt{2}}\red{+}\orange{1})}=\dfrac{2\cdot (\sqrt{2})^2+7\sqrt{2}+3}{(2\sqrt{2})^2-1^2}\\
&=\dfrac{4+7\sqrt{2}+3}{8-1}=\dfrac{7\sqrt{2}+7}{7}=\dfrac{7(\sqrt{2}+1)}{7}=\bold{\sqrt{2}+1}
\end{align*}$
となります。
最後に分母全体と分子全体が7で割れることに注意します。
(3)はどうでしょうか?
分母は${\sqrt{2}\red{+}\sqrt{5}}$なので、
今度は分母と分子に$\orange{\sqrt{2}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}}$をかけて
$\begin{align*} \dfrac{2\sqrt{2}+\sqrt{5}}{\sqrt{2}\red{+}\sqrt{5}}&=\dfrac{(2\sqrt{2}+\sqrt{5})(\orange{\sqrt{2}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}{(\sqrt{2}\red{+}\sqrt{5})(\orange{\sqrt{2}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}=\dfrac{2\cdot (\sqrt{2})^2-\sqrt{2}\sqrt{5}-(\sqrt{5})^2}{(\sqrt{2})^2-(\sqrt{5})^2}\\ &=\dfrac{4-\sqrt{10}-5}{2-5}=\dfrac{-1-\sqrt{10}}{-3}=\bold{\dfrac{1+\sqrt{10}}{3}} \end{align*}$
となりますね。
今度は最後の分母が1つの負の数になったので、
上のように最後に分母と分子に-1をかけておくとよいでしょう。
練習問題
Q2. 次の分母を有理化せよ。 [解答]
(1) $\dfrac{1}{\sqrt{5}+1}$ (2) $\dfrac{2\sqrt{7}}{\sqrt{7}-\sqrt{3}}$ (3) $\dfrac{1+\sqrt{2}}{3-\sqrt{2}}$
(4) $\dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{5}}{\sqrt{6}+\sqrt{5}}$ (5) $\dfrac{3\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}+3\sqrt{3}}$
Q2. 次の分母を有理化せよ。 [解答]
(1) $\dfrac{1}{\sqrt{5}+1}$ (2) $\dfrac{2\sqrt{7}}{\sqrt{7}-\sqrt{3}}$ (3) $\dfrac{1+\sqrt{2}}{3-\sqrt{2}}$
(4) $\dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{5}}{\sqrt{6}+\sqrt{5}}$ (5) $\dfrac{3\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}+3\sqrt{3}}$
レベルアップ問題
LUQ10. $\dfrac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{1-\sqrt{2}+\sqrt{3}}$の分母を有理化せよ。
LUQ10. $\dfrac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{1-\sqrt{2}+\sqrt{3}}$の分母を有理化せよ。
有理化ができると、分母に$\sqrt{}$を含む式の計算もできるようになります。
例題
EXQ2. 次の計算をせよ。
(1) $18\sqrt{2}\div 3\sqrt{3}$ (2) $\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{\sqrt{8}}{3}$
(3) $\dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}-\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}$
EXQ2. 次の計算をせよ。
(1) $18\sqrt{2}\div 3\sqrt{3}$ (2) $\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{\sqrt{8}}{3}$
(3) $\dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}-\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}$
(1)ですが、$\red{A}\div \blue{B}=\dfrac{\red{A}}{\blue{B}}$であるので、
$\red{18\sqrt{2}}\div \blue{3\sqrt{3}}=\dfrac{\red{18\sqrt{2}}}{\blue{3\sqrt{3}}}=\dfrac{6\sqrt{2}}{\sqrt{3}}=\dfrac{6\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{3}}}{\sqrt{3}\cdot \orange{\sqrt{3}}}=\dfrac{6\sqrt{6}}{3}=\bold{2\sqrt{6}}$
となります。
$\sqrt{}$を含む式の割り算は、分数型に持ち込むとやりやすいです。
(2)は、$\dfrac{1}{\sqrt{2}}$の分母が有理化できますので、
それから行います。
$\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\orange{\sqrt{2}}}{\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{2}}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$
また、$\sqrt{8}=2\sqrt{2}$ですから、分母を通分して、
$\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{\sqrt{8}}{3}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}+\dfrac{2\sqrt{2}}{3}=\dfrac{3\sqrt{2}}{6}+\dfrac{4\sqrt{2}}{6}=\bold{\dfrac{7\sqrt{2}}{6}}$
と計算できます。
(3)もまず分母の有理化をしてしまいましょう。
$\dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}=\dfrac{(4-\sqrt{5})(\orange{3}\red{+}\orange{\sqrt{5}})}{(3\blue{-}\sqrt{5})(\orange{3}\red{+}\orange{\sqrt{5}})}=\dfrac{12+\sqrt{5}-(\sqrt{5})^2}{3^2-(\sqrt{5})^2}=\dfrac{7+\sqrt{5}}{4}$
$\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}=\dfrac{(2+\sqrt{5})(\orange{7}\blue{-}\orange{3\sqrt{5}})}{(7\red{+}3\sqrt{5})(\orange{7}\blue{-}\orange{3\sqrt{5}})}=\dfrac{14+\sqrt{5}-3\cdot (\sqrt{5})^2}{7^2-(3\sqrt{5})^2}=\dfrac{-1+\sqrt{5}}{4}$
となるので、
$\quad \dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}-\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}\\
=\dfrac{7+\sqrt{5}}{4}-\dfrac{-1+\sqrt{5}}{4}=\dfrac{(7+\sqrt{5})-(-1+\sqrt{5})}{4}\\
=\dfrac{8}{4}=\bold{2}$
となります。
分母に$\sqrt{}$があるときは、
上のようにまず分母の有理化を試みる場合が多いです。
(かけ算わり算の場合には例外も多少ありますが、
足し算引き算の場合はほぼ最初に分母の有理化をしますね。)
練習問題
Q3. 次の計算をせよ。 [解答]
(1) $10\sqrt{6}\div \sqrt{15}$ (2) $14\div \sqrt{7}$
(3) $\dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}+\dfrac{4}{\sqrt{6}}$ (4) $\dfrac{\sqrt{3}}{3\sqrt{3}+5}-\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{3}-1}$
Q3. 次の計算をせよ。 [解答]
(1) $10\sqrt{6}\div \sqrt{15}$ (2) $14\div \sqrt{7}$
(3) $\dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}+\dfrac{4}{\sqrt{6}}$ (4) $\dfrac{\sqrt{3}}{3\sqrt{3}+5}-\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{3}-1}$
というわけで、今日は分母の有理化についてお話ししました。
次回は、式に値を求める問題を中心にお話ししますが、
「対称式」や「交代式」とよばれる、ある特徴を持った式の値を
効率的に求める方法についてお話しする予定です。
このブログの「数と式の扱い」についても
終盤に差し掛かってきました。
なかなか長かったですが、みなさんには、
ぜひあきらめずに数学の勉強を続けてもらいたいと思います。
ということで、今回はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた!
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練習問題の答え
Q1.
(1) $\dfrac{4\sqrt{7}}{7}$ (2) $\dfrac{\sqrt{6}}{2}$ (3) $\dfrac{\sqrt{10}}{5}$ (4) $\dfrac{\sqrt{2}}{8}$ (5) $\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ (6) $\dfrac{2\sqrt{15}}{9}$
Q2.
(1) $\dfrac{\sqrt{5}-1}{4}$ (2) $\dfrac{7-\sqrt{21}}{2}$ (3) $\dfrac{5+4\sqrt{2}}{7}$(4) $11-2\sqrt{30}$ (5) $\dfrac{-12+5\sqrt{15}}{11}$
Q3.
(1) $2\sqrt{10}$ (2) $2\sqrt{7}$ (3) $\dfrac{\sqrt{6}}{3}+\dfrac{2\sqrt{6}}{3}=\bold{\sqrt{6}}$(4) $\dfrac{9-5\sqrt{3}}{2}-\dfrac{3+\sqrt{3}}{2}=\dfrac{6-6\sqrt{3}}{2}=\bold{3-3\sqrt{3}}$
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