2016年3月22日

【高校数学I,II】整式の除法

皆さん、こんにちは! TomoKです。

今回は数学の記事で参りたいと思います。

前々回
整式の加法(たし算), 減法(ひき算), 乗法(かけ算)
についてお話ししました。

今回は整式の除法(わり算)についてお話しします。

(実をいうと、
整式の除法は数学Iでは学習せず、
数学IIで扱う内容なのですが、
「加減乗法をやって除法をやらないとは納得いかない!!!」
という僕のわがままにより、
ここで扱わせてもらいます。)

では、今回の内容に入ります。


[1] 整式の除法

数、特に整数のわり算ができるのと同様に、
整式のわり算もできます。

整数のわり算のときは、
$a,b,c,d$を整数(ただしここでは$b$は正の整数)
「$a$を$b$でわると、商が$c$で余りが$d$」
であるとき、
$a=bc+d$ および $0\leq c<b$
が成り立ちます。
(実はこの式がむしろ整数の除法の定義なんですけどね。
それについてはもしかしたら後で扱うかもしれませんが。)

これと同様に、整式の除法(わりざん)を定義することができます。

定義
$x$についての2つの整式$A,B$に対し、$B\neq 0$ならば、
$A=BQ+R$ かつ $R$は$0$または$B$よりも次数の小さい整式
を満たす整式$Q,R$がただ1組存在する。
このとき、「AをBでわったとき商は$\boldsymbol{Q}$で、余りは$\boldsymbol{R}$である」という。
 $A$を$B$でわった時のときの余りが0のとき、「$A$は$B$でわり切れる」という。


 上を満たす$Q,R$がただ1組存在することの証明は後日。ただし、$Q,R$の存在は次の筆算が実質示しています。

特に上で示した
$A=BQ+R$ かつ $R$は$0$または$B$よりも次数の小さい整式
は、「整式における除法の原理」と呼ばれていて、重要な定理です。

この整式の除法は、
筆算でやったほうがわかりやすいので、
それのやり方に沿って説明します。

例えば、
整式$A=6x^3+5x^2-4$を整式$B=2x^2+3x-1$でわることを考えます。

筆算のとき、
必ず、次数が(3→2→1→定数)となるように書き(降べきの順)
抜けている次数のところは空けておきます。

①まず、$A$の最高次の項$6x^2$を、$B$の最高次の項$2x^2$でわると、
 $6x^3\div 2x^2=3x$となります。
 そこで、$A$から$B\times 3x$をひき、それを$A'$とします。
$A'=-4x^2+3x-4$となります。
 ここで、$A'$は次数が2で、
 $B$の次数2より小さくはありませんので、
 わり算はまだ続きます。

②次に、$A'$の最高次の項$-4x^2$を、$B$の最高次の項$2x^2$でわると、
 $-4x^2\div 2x^2=-2$となるので、
 $A'$から$B\times (-2)$をひき、それを$A''$とします。
$A''=9x-6$となりますが、
 今度は$A''$の次数が1で
 $B$の次数2より小さくなったので、
 わり算はここまでで、
 この$A''=9x-6$が余り$R$であり、
 商$Q$は$3x-2$となります。

以上によって、
整式$A=6x^3+5x^2-4$を整式$B=2x^2+3x-1$でわると、
商が$3x-2$, 余りが$9x-6$となります。
これを、「除法の原理」の書き方で表すと、
$6x^3+5x^2-4=(2x^2+3x-1)(3x-2)+9x-6$
となります。

わり算の筆算も、整数の割り算と似た方法で計算できます。
まずは、筆算を正確にできることを目指しましょう。

整式のわり算
$A$を$B$でわる方法
(i) $A$の最高次の項を$B$の最高次の項で割る
(ii) (i)の商に$B$をかけて、$A$からひく
(iii) (ii)の結果が0または$B$よりも次数が低くなるまで、(ii)の結果で(i)→(ii)→(iii)を繰り返す。
(iv) 最後に出てきた(ii)の結果が余り。商は、それまでに(i)で求めた商をすべて並べる。

ちなみに、整数のときとは異なり、
最高次のところだけを見てわり算を行うので、
計算の最中に分数が出てくることもあるので、
気を付けてください。

例えば、右は$4x^2-5x-2$を$2x-4$でわる筆算ですが、
(*)の段の$3x-2$のところで、
$3x\div 2x=\dfrac{3}{2}$より、
$3x-2$から$(2x-4)\cdot \dfrac{3}{2}$をひいています


なお、$A$を$B$でわったときに商が$Q$で余りが$R$であることを、
$A\div B=Q$余り$R$ または $A\div B=Q \cdots R$
と書くこともあるようです。
いずれも$A=BQ+R$の別記法ですが、
わり切れる場合(A÷B=Q)にはともかく、わり切れず、しかも余りを出す場合には、
記号÷や等号=の使い方を考えると、あまりいい記法とは言えません
...と思ったら、手元の「理解しやすい」(文英堂のシグマベスト「理解しやすい数学II+B」2008改訂第1刷)には
この記法がつかわれていますねぇ...

練習問題
Q1. 整式$A,B$が次のとき、$A$を$B$でわったときの商と余りを求めよ。
(1) $A=2x^2-5x+1,\quad B=x-2$
(2) $A=6x^3-5x^2-8x+3,\quad B=3x-1$
(3) $A=-2x^3+4x^2+1,\quad B=2x^2-3$
(4) $A=8x^4+8x^3-6x^2+x,\quad B=4x^2-2x+1$


[2] わり算の原理の利用

一方、先の「わり算の原理」$A=BQ+R$を用いて、
わられる式$A$やわる式$B$を求めることができることがあります。
例題で見てみましょう。

例題
EXQ1. $x$の整式$A$を、$x^2-3x+4$でわったら、商が$2x-1$で余りが$-x+3$となった。
  整式$A$を求めよ。

これは、わる式が$B=x^2-3x+4$, 商が$Q=2x-1$, 余りが$R=-x+3$であり、
「わり算の原理」より$A=BQ+R$ですから、
$A=(x^2-3x+4)(2x-1)+(-x+3)$
 $=2x^3-7x^2+11x-4-x+3$
  $=2x^3-7x^2+10x-1$
となるので、$\boldsymbol{A=2x^3-7x^2+10x-1}$と求められます。

例題
EXQ2. $3x^3+4x^2-1$を、$x$の整式$B$でわったら、商が$3x^2-2x+4$で余りが$-9$となった。
  整式$B$を求めよ。

今度は、わられる式が$A=3x^3+4x^2-1$, 商が$Q=3x^2-2x+4$, 余りが$R=-9$です。
「わり算の原理」$A=BQ+R$に代入すれば、
$3x^3+4x^2-1=B(3x^2-2x+4)-9$
となります。

ここで、$-9$を左辺に移項して整理して、
$3x^3+4x^2+8=B(3x^2-2x+4)$
となります。

したがって、$3x^3+4x^2+8$を$3x^2-2x+4$で割ることで$B$を求めることができて、
右の筆算から、$\boldsymbol{B=x+2}$となります。

練習問題
Q2. $x$の整式$A$を、$3x-4$でわったら、商が$2x+3$で余りが$4$になった。
  整式$A$を求めよ。

Q3. $2x^4-8x^3+3x^2+7x-6$を、$x$の整式$B$でわったら、商が$2x^2-3$で
 余りが$-5x+3$となった。
  整式$B$を求めよ。

と、いうことで、
今回は整式の除法を学習しました。

ところで、今回の学習した除法では、
意図的に1文字についての文字式のみを扱いました。

2文字以上についての整式の除法では、
ふつう1文字について整理してから、
その文字に着目しながらわり算を行います。
このとき、着目した文字によって余りが異なることがありますので
注意してください。
(またいつか、この話題については取り上げるかもしれませんが)

ということで、今回はここまでです。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございます。
ではまた!

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練習問題の答え

Q1. (1) 商$2x-1$, 余り$-1$  (2) 商$2x^2-x-3$, 余り$0$

 (3) 商$-x+2$, 余り$-3x+7$  (4) 商$2x^3+3x-\dfrac{1}{2}$, 余り$-3x+\dfrac{1}{2}$

Q2. $A=(3x-4)(2x+3)+4=\underline{6x^2+x-8}$

Q3. $2x^4-8x^3+3x^2+7x-6=B(2x^2-3)-5x+3$から、
  $2x^2-8x^3+3x^2+12x-9=B(2x^2-3)$
  よって、$2x^2-8x^3+3x^2+12x-9$を$2x^2-3$でわって、
  $B=\underline{x^2-4x+3}$

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