2016年5月7日

【高校数学I】平方根の意味と計算

皆さん、こんにちは!
TomoKです!

ゴールデンウィークが終わり、
ネット環境のない長野の実家に帰省して、
今日は1週間半ぶりの更新です。

お待たせしました!
今回こそは「平方根」をやります。

まず、平方根という言葉や記号√の意味を復習し、
平方根を用いた数の計算の練習をしていきます。

ルートの計算も、数学では基礎的な計算法になるので、
ぜひとも身に着けてほしいところです。

[1] 平方根の意味

中学校で学習した「平方根」や記号の意味を確認しておきましょう。

定義
(1) 0以上の$a$に対し、$x^2=a$をみたす数$x$を、$a$の平方根という。
(2) $a$の平方根のうち0以上のものを、$\sqrt{a}$と書き表し、ルート$a$という。
(3) 記号$\sqrt{\ }$を根号という。

注1 どんな0以上の実数$a$に対しても、その平方根が存在することは、
  今後は証明なしに用いることにします。

注2 しかし、どんな実数も2乗すると0以上になるので、
  実数の範囲内には負の数の平方根は存在しません
  (一方、実数ではないが、2乗して-1になる数を考えることも可能です。
  その1つが虚数単位$i=\sqrt{-1}$です。)

注3 また、0以上の実数$a$に対して、
  $a$の0以上の平方根がただ1つしか存在しないことも、
  厳密には証明が必要ですが、
  ここでは直観に任せて証明なしに用います。

例えば、$36=6^2$かつ$6>0$なので、
$\sqrt{36}=6$です。
また、$36=(-6)^2$もいえて、
2乗して36になる2つの数は$6$と$-6$以外にないので、
「36の平方根は6と-6の2つ」ということがわかります。
この6と-6をまとめて、$\pm 6$と書きましたよね。

一般に、
0の平方根は0だけ
正の数$a$の平方根は2つで、$\pm \sqrt{a}$
となります。

$\sqrt{a}$については、
$a$が何かしらの2乗のときには、
根号$\sqrt{\ }$を外した形に直せました。

例えば、
$\sqrt{5^2}=\sqrt{25}=5$
$\sqrt{(-5)^2}=\sqrt{25}=5$
という調子です。
下の例、×$\sqrt{(-5)^2}=-5$としないようにしましょう。
$\sqrt{\ }$は常に0か正の数であることに注意しましょう。

一般に、次のことが言えます。

平方根
実数$a$に対し、
\[\sqrt{a^2}=|a|=\left\{\begin{align*} \red{a}\quad &(\red{a\geq 0}のとき)\\ \blue{-a}\quad &(\blue{a<0}のとき)\end{align*}\right. \]

aが0以上だったらわかりやすいと思います。
この場合、2乗して$a^2$になる0以上の数はaだけになるはずです。

あれ?
2段目に$-a$とあるけれど、
$\sqrt{a}$は0か正の数だから、おかしいんじゃないの?
と思った方は、その後ろに$(\blue{a<0}のとき)$とあるのに注目しましょう。

$\blue{a<0}$すなわち$a$が負の数("-")のとき、
$-a$は正の数("+")です。
ここに出てくる"-"は、
負の数を表す記号ではなく、
「符号を入れ替えよ」という命令を表すと考えてください。

つまり、$\sqrt{a^2}$は、
aが0または正の数("+")なら、そのまま$\sqrt{{\ }^2}$を外す
aが負の数("-")なら、$\sqrt{{\ }^2}$を外してから符号を変え(て正の数にす)る
ということを、上の囲みで言っています。

例題
EXQ1. 次を、根号($\sqrt{\ }$)を使わないで表せ。
 (1) $\sqrt{8^2}$  (2) $\sqrt{(-7)^2}$  (3) $\sqrt{121}$
 (4) $a<1$のとき、$\sqrt{{(a-1)}^2}$

$\sqrt{\ }$をうまく外せるのは、その中が2乗の形にかける場合です。
(1),(2)は上で説明したことを使うと、
(1) $\sqrt{\red{8}^2}=\bold{8}$  (2) $\sqrt{(\blue{-7})^2}=-(\blue{-7})=\bold{7}$ ですね。

(3)も、$121=11^2$に気づけば、$\sqrt{121}=\sqrt{11^2}=\bold{11}$となりますね。

さて、(4)ですが、
2乗があるからといって、
すぐに×$\sqrt{{(a-1)}^2}=a-1$としないように注意!

$a-1$が0または正の数("+")だったらこれで問題がないんですが、
$a<1$のときは、$a-1$は負の数("-")になります。
このときは、上で見たように、符号を変える必要があったのです。
$\sqrt{\ }$の中に文字が入っているときは取扱いに注意しなければなりません。

そうすると、$a<1$のときは、$a-1<0$だから、
$\sqrt{{(\blue{a-1})}^2}=-(\blue{a-1})=\bold{1-a}$
となります。

この(4)のように、
出てくる文字に範囲がついていて、
$\sqrt{()^2}$の中がはっきりと「0または正」なのか、「負」なのか、わかれば
上のように符号をよく考えて答えることになります。

しかし、もし出てくる文字に範囲がついていないときには、
その文字の符号が変わる瞬間を見つけて、「場合分け」しなければなりません。
この「場合分け」については後日詳しく扱います。

練習問題
Q1. 次を、根号($\sqrt{\ }$)を使わないで表せ。   [解答]
 (1) $\sqrt{3^2}$  (2) $\sqrt{{(-2.5)}^2}$  (3) $\sqrt{1}$  (4) $\sqrt{\dfrac{16}{81}}$
 (5) $x\geq 2$のとき、$\sqrt{{(x-2)}^2}$  (6) $p<-4$のとき、$\sqrt{p^2+8p+16}$

[2] 根号を含んだ式の計算

まず、中学校で学んだとおり、次のことが成り立ちます。

平方根の積と商
0以上の実数$a,b$に対し、
(1) $\sqrt{a}\sqrt{b}=\sqrt{ab}$  (2) $b\neq 0$のとき、$\dfrac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\dfrac{a}{b}}$

[証明]
(1) $(\sqrt{a}\sqrt{b})^2=(\sqrt{a})^2(\sqrt{b})^2=ab$
 ここで、$\sqrt{a}\geq 0, \sqrt{b}\geq 0$より$\sqrt{a}\sqrt{b}\geq 0$  一方、$\sqrt{ab}\geq 0$だから、上の注3により、
 $\sqrt{a}\sqrt{b}=\sqrt{(\sqrt{a}\sqrt{b})^2}=\sqrt{ab}$
(2)も$b>0$に注意すれば、同様にできる。                     (終)

したがって、
$\sqrt{\ }$どうしのかけ算、わり算は、
$\sqrt{\ }$の中どうしをかけたりわったりすればいいんでしたよね。

例えば、
$\sqrt{2}\sqrt{5}=\sqrt{2\cdot 5}=\sqrt{10}$
$\sqrt{21}\div \sqrt{3}=\sqrt{21\div 3}=\sqrt{7}$
という具合です。

また、これを使って、$\sqrt{\ }$の中を小さな数にすることができました。
例えば、$\sqrt{28}$は、$28={2}^{2}\cdot 7$なので、
$\sqrt{28}=\sqrt{{2}^{2}\cdot 7}=\sqrt{2^2}\sqrt{7}=2\sqrt{7}$
となります。

すると、次のように、できるだけ$\sqrt{\ }$の中が小さい数のまま、
平方根のかけ算ができます。
$\sqrt{8}\sqrt{24}=2\sqrt{2}\cdot 2\sqrt{6}=2\cdot 2\sqrt{2\cdot 6}=4\sqrt{12}=4\cdot 2\sqrt{3}=8\sqrt{3}$
$\sqrt{12}\sqrt{27}=2\sqrt{3}\cdot 3\sqrt{3}=2\cdot 3\sqrt{3\cdot 3}=6\sqrt{3^2}=6\cdot 3=12$

練習問題
Q2. 次の数の根号($\sqrt{\ }$)を、できるだけ小さな整数になるようにせよ。   [解答]
 (1) $\sqrt{18}$  (2) $\sqrt{54}$   (3) $\sqrt{96}$   (4) $\sqrt{\dfrac{8}{25}}$

Q3. 次の計算をせよ。  [解答]
 (1) $\sqrt{5}\sqrt{7}$  (2) $4\sqrt{6}\cdot (-3\sqrt{10})$  (3) $\sqrt{8}\sqrt{20}$
 (4) $\sqrt{32}\sqrt{56}$  (5) $\sqrt{18}\sqrt{50}$

次に、たし算とひき算は、
$\sqrt{\ }$の中が同じ数のときに、
分配法則を利用して行うのでした。

例えば、
$3\sqrt{2}+5\sqrt{2}=(3+5)\sqrt{2}=8\sqrt{2}$
$\sqrt{48}-\sqrt{20}-\sqrt{27}+\sqrt{45}=4\sqrt{3}-2\sqrt{5}-3\sqrt{3}+3\sqrt{5}=(4-3)\sqrt{3}+(-2+3)\sqrt{5}\\
\phantom{\sqrt{48}-\sqrt{20}-\sqrt{27}+\sqrt{45}}=\sqrt{3}+\sqrt{5}$
という感じです。
最後の例ですが、うっかり×$\sqrt{3}+\sqrt{5}=\sqrt{8}$としないように注意!
一般には$\sqrt{a}+\sqrt{b}\neq \sqrt{a+b}$です。

練習問題
Q4. 次の計算をせよ。   [解答]
 (1) $3\sqrt{11}-7\sqrt{11}$  (2) $\sqrt{2}+\sqrt{8}$
 (3) $1-\sqrt{6}+\sqrt{54}+4$  (4) $\sqrt{3}+\sqrt{18}-\sqrt{75}-\sqrt{50}$

また、乗法の公式を利用して計算を進めることができます。

例題
EXQ2. 次の計算をせよ。
 (1) $\sqrt{2}(\sqrt{5}-2\sqrt{2})$  (2) $(2\sqrt{3}+1)(3\sqrt{3}-2)$
 (3) $(5\sqrt{2}+\sqrt{7})(5\sqrt{2}-\sqrt{7})$  (4) ${(2\sqrt{3}-\sqrt{2})}^2-2(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-3)$

文字を含む計算のようにして展開したのち、
平方根を含む四則計算を行います。

(1)は分配法則ですね。
$\red{\sqrt{2}}(\sqrt{5}-2\sqrt{2})=\red{\sqrt{2}}\cdot \sqrt{5}-\red{\sqrt{2}}\cdot 2\sqrt{2}=\bold{\sqrt{10}-4}$

(2)は$\purple{\sqrt{3}}$を1つの文字のようにして、公式5です。
$\quad (\red{2}\purple{\sqrt{3}}+\orange{1})(\green{3}\purple{\sqrt{3}}\blue{-2})\\
=\red{2}\cdot \green{3}{(\purple{\sqrt{3}})}^{2}+\{\red{2}\cdot (\blue{-2})+\orange{1}\cdot \green{3}\}\purple{\sqrt{3}}+\orange{1}\cdot (\blue{-2})\\
=18-\sqrt{3}-2=\bold{16-\sqrt{3}}$

(3)は和と差の積で、公式4です。
$(\red{5\sqrt{2}}+\blue{\sqrt{7}})(\red{5\sqrt{2}}-\blue{\sqrt{7}})=(\red{5\sqrt{2}})^2-(\blue{\sqrt{7}})^2=50-7=\bold{41}$
ちなみに途中の$(5\sqrt{2})^2$は$5\sqrt{2}\cdot 5\sqrt{2}$として計算しますよ~

最後、(4)は、
${(2\sqrt{3}-\sqrt{2})}^2$には公式3(')を使って、
${(\red{2\sqrt{3}}-\blue{\sqrt{2}})}^2=(\red{2\sqrt{3}})^2-2\cdot \red{2\sqrt{3}} \cdot \blue{\sqrt{2}}+(\blue{\sqrt{2}})^2=12-4\sqrt{6}+2=16-4\sqrt{6}$
$(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-3)$には公式2を使って、
$(\purple{\sqrt{6}}+\orange{1})(\purple{\sqrt{6}}\green{-3})=(\purple{\sqrt{6}})^2+(\orange{1}\green{-3})\purple{\sqrt{6}}+\orange{1}\cdot (\green{-3})=6-2\sqrt{6}-3=3-2\sqrt{6}$
となります。
したがって、
$\quad {(2\sqrt{3}-\sqrt{2})}^2-2(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-3)\\
=(16-4\sqrt{6})-2(3-2\sqrt{6})\\
=16-4\sqrt{6}-6+4\sqrt{6}\\
=\bold{10}$
となります。

公式を間違えずに利用していき、
丁寧に順序良く計算していきましょう。

練習問題
Q5. 次の計算をせよ。   [解答]
 (1) $\sqrt{6}(2\sqrt{3}+3\sqrt{2})$  (2) $(\sqrt{3}+5)(\sqrt{3}-1)$
 (3) $(2\sqrt{7}-3)^2$  (4) $(2\sqrt{2}-\sqrt{5})(3\sqrt{2}+2\sqrt{5})-2(\sqrt{5}+2)(\sqrt{5}-2)$

レベルアップ問題
LUQ9. 次の計算をせよ。
 (1) $(1+\sqrt{2}+\sqrt{3})^2+(1+\sqrt{2}-\sqrt{3})^2+(1-\sqrt{2}+\sqrt{3})^2+(1-\sqrt{2}-\sqrt{3})^2$

 (2) $(1+\sqrt{2}+\sqrt{3})(1+\sqrt{2}-\sqrt{3})(1-\sqrt{2}+\sqrt{3})(1-\sqrt{2}-\sqrt{3})$

 (3) $(\sqrt{2}+\sqrt{3})(\sqrt{2}+\sqrt{6})(\sqrt{6}-\sqrt{3})+(\sqrt{3}+\sqrt{6})(\sqrt{3}+\sqrt{2})(\sqrt{2}-\sqrt{6})+(\sqrt{6}+\sqrt{2})(\sqrt{6}+\sqrt{3})(\sqrt{3}-\sqrt{2})$

ということで、今回で、$\sqrt{\ }$のついた加減乗はできることがわかりましたが、
例によってわり算は少し工夫が必要になるわけです。
その手法が「分母の有理化」です。

中学校でも「分母の有理化」を学びましたが、
分母に$\sqrt{\ }$が1つだけはいるもの($\dfrac{1}{\sqrt{2}}$など)が中心でした。

高校では、あたらしく
$\dfrac{1}{\sqrt{5}-2}$や$\dfrac{\sqrt{3}-\sqrt{2}}{\sqrt{3}+\sqrt{2}}$
のようなものも、分母を有理化することができるようになります。

そのためには、今回の内容が確実にできる必要がありますので、
何度もできるようになるまで練習を行ってください。

今回はここまで。
お読みくださってありがとうございました。
ではまた!


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練習問題の答え

Q1.
(1) 3  (2) 2.5  (3) 1  (4) $\dfrac{4}{9}$

(5) $x\geq 2$だから$x-2\geq 0$ よって$\sqrt{(x-2)^2}=\bold{x-2}$

(6) $p^2+8p+16=(p+4)^2$ ここで$p<-4$より$p+4<0$
 よって$\sqrt{p^2+8p+16}=\sqrt{(p+4)^2}=-(p+4)=\bold{-p-4}$

Q2.
(1) $3\sqrt{2}$  (2) $3\sqrt{6}$  (3) $4\sqrt{6}$  (4) $\dfrac{2\sqrt{2}}{5}$

Q3.
(1) $\sqrt{35}$  (2) $-24\sqrt{15}$  (3) $4\sqrt{10}$  (4) $16\sqrt{7}$  (5) 30

Q4.
(1) $-4\sqrt{11}$  (2) $3\sqrt{2}$  (3) $5+2\sqrt{6}$  (4) $-4\sqrt{3}-2\sqrt{2}$

Q5.
(1) $\sqrt{6}\cdot 2\sqrt{3}+\sqrt{6}\cdot 3\sqrt{2}=\bold{6\sqrt{2}+6\sqrt{3}}$

(2) $(\sqrt{3})^2+4\sqrt{3}-5=3+4\sqrt{3}-5=\bold{-2+4\sqrt{3}}$

(3) $(2\sqrt{7})^2-2\cdot 2\sqrt{7}\cdot 3+3^2=28-12\sqrt{7}+9=\bold{37-12\sqrt{7}}$

(4) $(2\sqrt{2}-\sqrt{5})(3\sqrt{2}+2\sqrt{5})=6(\sqrt{2})^2+\sqrt{2}\sqrt{5}-2(\sqrt{5})^2=12-\sqrt{10}-10\\
\phantom{(2\sqrt{2}-\sqrt{5})(3\sqrt{2}+2\sqrt{5})}=2-\sqrt{10}$
 また、$(\sqrt{5}+2)(\sqrt{5}-2)=(\sqrt{5})^2-2^2=5-4=1$
 よって、
 $(2\sqrt{2}-\sqrt{5})(3\sqrt{2}+2\sqrt{5})-2(\sqrt{5}+2)(\sqrt{5}-2)=2-\sqrt{10}-2\cdot 1=\bold{-\sqrt{10}}$

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