TomoKです。
また1週間以上空いてしまいましたね…
今後も更新は1週間に1回が多くなるかも…
でも、できるだけ書きたいと思いますので
どうぞよろしく…
今日は、今までの学習を駆使して、
少し複雑な式を因数分解できるようになりましょう。
前回は、
置き換えによる因数分解や、
項の組み合わせで因数分解をすることを
お話ししました。
でも、もし仮に
公式通りの式でなく、
しかも項の組み合わせが難しい、となったら、
どうすればいいでしょうか。
それについては、
今回の記事で明らかになります。
[1] 2元2次式の因数分解
まず、次の例題をみてみましょう。
例題
EXQ1. 次の式を因数分解せよ。
(1) x^2+(4k+1)x+3k^2+5k-2 (2) 2x^2+3xy-2y^2-5x+5y-3
EXQ1. 次の式を因数分解せよ。
(1) x^2+(4k+1)x+3k^2+5k-2 (2) 2x^2+3xy-2y^2-5x+5y-3
(1)も(2)も、一見すると今まで見た形に見えません。
しかし、(1)をxに着目してみてみると、
公式2(x^2+(\orange{a+b})x+\green{ab}=(x+a)(x+b))に似ているような気がしませんか?
多少強引ではありますが、
ためしに、x^2+(\orange{4k+1})x+\green{3k^2+5k-2}で、
たして\orange{4k+1},かけて\green{3k^2+5k-2}となる
2つの数(というより式)を考えます。
\green{3k^2+5k-2=(k+2)(3k-1)}と因数分解ができます。
そこで(k+2)+(3x-1)=\orange{4k+1}となり、
この2つの式がk+2と3k-1だとわかります。
結局、
\begin{align*} x^2+(4k+1)+3k^2+5k-2&=x^2+(4k+1)x+(k+2)(3k-1)\\ &=\boldsymbol{(x+k+2)(x+3k-1)} \end{align*}
と分かります。
(1)は、今までやってきた因数分解で、
係数に文字が入ってきたと考えればいいわけですね。
では、(2)へ行きます。
今度こそ、今までには出てこなかった式の形です。
でも、xについてもyについても2次式だから、
とりあえずxについて整理したら、
(1)みたいに、係数に文字が入ったものとして
取り扱うことができそうです。
(2)の式をxについて整理すると、
2x^2+3xy-2y^2-5x+5y-3=\blue{2}x^2+(\orange{3y-5})x\green{-2y^2+5y-3}
となります。
やはり強引に、
こんどはx^2の係数が2ですので、
「たすき掛け」を行うことになるわけですね。
「真ん中は最後」なので、
そこで、最も左の縦列は
かけて2になる2つの数で
1と2しか入れようがありません。
さて、真ん中の縦列ですが、
かけて\green{-2y^2+5y-3}となる2つの数(式)
を探さなければいけません。
つまり、まず\green{-2y^2+5y-3}を
因数分解しておく必要があります。
すると、
\begin{align*} -2y^2+5y-3&=-(2y^2-5y+3)\\ &=-(y-1)(2y-3) \end{align*} となります。
したがって、
「たすき掛け」の真ん中の縦列には
かけて\green{-(y-1)(2y-3)}になるように
そして、ななめどうしにかけて
たして\orange{3y-5}になれば成功です。
これを実行すると、
右のようになります。
例によって、ここはいろいろやってみるところです。
この「たすきがけ」から、
(2)を因数分解すると、
{x+(2y-3)}{2x-(y-1)}=(x+2y-3)(2x-y+1)
となることがわかります。
どうですか?
今までより少し難しかったかもしれません。
ちなみに、この式を因数分解するのに、
文字を含んだ「たすき掛け」を回避する方法があります。
(普通の「たすき掛け」は必要ですが…)
よかったらご覧ください…(2016.4.19)
練習問題
Q1. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) a^2+(2b+5)a+b^2+5b+4 (2) x^2-3xy+2y^2+y-1
(3) 2x^2+(3y-1)x+y^2-2y-3 (4) 3x^2-7xy+4y^2+5x-7y-2
(5) 6x^2-xy-y^2-8x-y+2 (6) 9x^2-12xy+4y^2-12x+8y+4
Q1. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) a^2+(2b+5)a+b^2+5b+4 (2) x^2-3xy+2y^2+y-1
(3) 2x^2+(3y-1)x+y^2-2y-3 (4) 3x^2-7xy+4y^2+5x-7y-2
(5) 6x^2-xy-y^2-8x-y+2 (6) 9x^2-12xy+4y^2-12x+8y+4
[2] 式を整理して因数分解する方法
上の例題の(2)もそうですが、整式を、ある特定の文字について整理すると、
因数分解の方針が見えてくることがあります。
このとき、特によくあるのは、
「次数の最も低い文字について整理する」
という方針です。
例題
EXQ2. 次の式を因数分解せよ。
(1) a^{2}b+ab+a-2b-1 (2) xy(x-y)+yz(y-z)+zx(z-x)
EXQ2. 次の式を因数分解せよ。
(1) a^{2}b+ab+a-2b-1 (2) xy(x-y)+yz(y-z)+zx(z-x)
では行きましょう。
(1)ですが、
このまま項の組み合わせが
ぱっと思いつけばいいんですが、
なかなかばらばらになっていて見つけにくいです。
こんな時に、
この式をaに着目した次数が2, bに着目した次数が1
ですので、
とりあえず次数の低いbについてこの式を整理するわけですね。
すると、
\quad a^{2}b+ab+a-2b-1\\ =(a^2+a-2)b+a-1
となりまして、
さらに、bの1次の項の(bに着目した時の)係数
a^2+a-2が因数分解できて、
\cdots \\ =(a+2)\red{(a-1)}b+\red{a-1}
となります。
あっ...\red{a-1}が出てきた!
とお気づきになったと思います。
あとは\red{a-1}で全体をくくりまして、
\cdots \\ =\red{(a-1)}\{(a+2)b+1\}\\ =\boldsymbol{(a-1)(ab+2b+1)}
となります。
このように、
次数の低い文字について式を整理する、
というのは、共通因数を見つけやすくする作用があります。
(実践だと、さらに次数が2次の文字について
「文字を含んだたすき掛け」ができるということもあります)
(2)も同様の方針でやってみます。
まず、一度この( )を全部外すと、
\quad xy(x-y)+yz(y-z)+zx(z-x)\\ =x^{2}y-xy^{2}+y^{2}z-yz^{2}+z^{2}x-zx^{2}
となります。
あれ、、、この式は
xについてもyについてもzについても
2次であることがわかると思います。
そういう場合には、
係数などが楽になるような文字で
整理するといいんですが、
今回の場合、どの文字で整理しても
変わらなそうです。
したがって、
今回はとりあえずxで整理します。
その後、(xに着目した)係数ごとに因数分解します。
xの項は"-"でくくってからさらに因数分解することに注意してください。
\cdots \\ =(y-z)x^2+(-y^2+z^2)x+y^{2}z-yz^{2}\\ =\red{(y-z)}x^2-(y+z)\red{(y-z)}x+yz\red{(y-z)}
となり、共通因数\red{(y-z)}が見つかりますので、
くくってしまうと…
\cdots \\ =\red{(y-z)}\{x^2-(y+z)x+yz\}
となりますね。
この後ろのx^2\orange{-(y+z)}x+\green{yz}
は、公式2(x^2+(\orange{a+b})x+\green{ab}=(x+a)(x+b))の形ですが、
和が\orange{-(y+z)=-y-z},積が\green{yz}の2つの数(式)は
-yと-zですので、
x^2\orange{-(y+z)}x+\green{yz}=(x-y)(x-z)
となります。
以上によって、(2)は
\quad xy(x-y)+yz(y-z)+zx(z-x)\\ =\cdots \\ =(y-z)\{x^2-(y+z)x+yz\}\\ =(y-z)(x-y)(x-z)
となります。
もちろんこれで因数分解は終わりですが、
x→y→z→xの輪環の順に並べるため
x-z=-(z-x)と考えて、
答えを\boldsymbol{-(x-y)(y-z)(z-x)}
とするとさらにカッコイイです。
練習問題
Q2. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) x^{2}y+2xy+x+y+1
(2) (y-1)x^2-(x-1)y^2+x-y
(3) (x+y)^{2}z+(x+y)(xy+z)+xy
(4) x(y^2+z^2)+y(z^2+x^2)+z(x^2+y^2)+2xyz
Q2. 次の式を因数分解せよ。 [解答]
(1) x^{2}y+2xy+x+y+1
(2) (y-1)x^2-(x-1)y^2+x-y
(3) (x+y)^{2}z+(x+y)(xy+z)+xy
(4) x(y^2+z^2)+y(z^2+x^2)+z(x^2+y^2)+2xyz
さて、展開のときに残していた公式を
ここで紹介しましょう。
(ここでは出すだけなので
あまり意味はないですが、
このブログで忘れたころに出てきます)
因数分解の公式
公式9 x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2\red{-}xy\red{-}yz\red{-}zx)
公式9 x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2\red{-}xy\red{-}yz\red{-}zx)
この公式の証明を含め、
いくつかの問題を
レベルアップ問題として出しておきます。
余力があればやってみてください。
レベルアップ問題
LUQ6. 次の問いに答えよ。
(1) a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)を確かめよ。
(2) (1)を利用して、x^3+y^3+z^3-3xyzを因数分解せよ。
(3) x^3+y^3-6xy+8を因数分解せよ。
LUQ7. 次の式を因数分解せよ。
(1) a(b^3-c^3)+b(c^3-a^3)+c(a^3-b^3)
(2) ab(a+b)+bc(b+c)+ca(c+a)+3abc
LUQ6. 次の問いに答えよ。
(1) a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)を確かめよ。
(2) (1)を利用して、x^3+y^3+z^3-3xyzを因数分解せよ。
(3) x^3+y^3-6xy+8を因数分解せよ。
LUQ7. 次の式を因数分解せよ。
(1) a(b^3-c^3)+b(c^3-a^3)+c(a^3-b^3)
(2) ab(a+b)+bc(b+c)+ca(c+a)+3abc
と、いうことで、
因数分解については
とりあえずはここまでですね。
とはいっても、
整式の分野にはまだトピックが残っていますので、
(因数分解の大事な手法も残っています)
それらについては今後記事に書きたいと思います。
中高数学の記事は、
上の「文字を含んだたすき掛けの回避」の話と
今までためてきた「レベルアップ問題」の解答を挟んで
数の計算に関するお話に入ろうと思います。
では、今日はここまで。
お読みくださりありがとうございました。
ではまた!
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練習問題の答え
Q1.
(1) (a+b+1)(a+b+4) (2) (x-y-1)(x-2y+1)(3) (x+y+1)(2x+y-3) (4) (x-y+2)(3x-4y-1)
(5) (2x-y-2)(3x+y-1) (6) (2x-3y-2)^2
Q2.
(1) (x^2+2x+1)y+x+1=(x+1)^{2}y+x+1=(x+1)\{(x+1)y+1\}\phantom{(x^2+2x+1)y+x+1}=\boldsymbol{(x+1)(xy+y+1)}
(2) (y-1)x^2+(-y^2+1)x+y^2-y=(y-1)x^2-(y-1)(y+1)x+(y-1)y
\phantom{(y-1)x^2+(-y^2+1)x+y^2-y}=(y-1)\{x^2-(y+1)x+y\}
\phantom{(y-1)x^2+(-y^2+1)x+y^2-y}=\boldsymbol{(x-1)(y-1)(x-y)}
(3) \{(x+y)^2+(x+y)\}z+(x+y)xy+xy=(x+y)(x+y+1)z+xy(x+y+1)
\phantom{\{(x+y)^2+(x+y)\}z+(x+y)xy+xy}=(x+y+1)\{(x+y)z+xy\}
\phantom{\{(x+y)^2+(x+y)\}z+(x+y)xy+xy}=\boldsymbol{(x+y+1)(xy+yz+zx)}
(4) (y+z)x^2+(y^2+2yz+z^2)x+y^{2}z+yz^2
=(y+z)x^2+(y+z)^{2}x+yz(y+z)
=(y+z)\{x^2+(y+z)x+yz\}
=\boldsymbol{(x+y)(y+z)(z+x)}
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