2016年4月18日

【高校数学I,II】因数分解(4)

皆さん、こんにちは!
TomoKです。

また1週間以上空いてしまいましたね…
今後も更新は1週間に1回が多くなるかも…

でも、できるだけ書きたいと思いますので
どうぞよろしく…

今日は、今までの学習を駆使して、
少し複雑な式を因数分解できるようになりましょう。

前回は、
置き換えによる因数分解や、
項の組み合わせで因数分解をすることを
お話ししました。

でも、もし仮に
公式通りの式でなく、
しかも項の組み合わせが難しい、となったら、
どうすればいいでしょうか。

それについては、
今回の記事で明らかになります。


[1] 2元2次式の因数分解

まず、次の例題をみてみましょう。

例題
EXQ1. 次の式を因数分解せよ。
 (1) $x^2+(4k+1)x+3k^2+5k-2$  (2) $2x^2+3xy-2y^2-5x+5y-3$

(1)も(2)も、一見すると今まで見た形に見えません。

しかし、(1)を$x$に着目してみてみると、
公式2($x^2+(\orange{a+b})x+\green{ab}=(x+a)(x+b)$)に似ているような気がしませんか?

多少強引ではありますが、
ためしに、$x^2+(\orange{4k+1})x+\green{3k^2+5k-2}$で、
たして$\orange{4k+1}$,かけて$\green{3k^2+5k-2}$となる
2つの数(というより式)を考えます。

$\green{3k^2+5k-2=(k+2)(3k-1)}$と因数分解ができます。
そこで$(k+2)+(3x-1)=\orange{4k+1}$となり、
この2つの式が$k+2$と$3k-1$だとわかります。

結局、
$\begin{align*}
x^2+(4k+1)+3k^2+5k-2&=x^2+(4k+1)x+(k+2)(3k-1)\\
&=\boldsymbol{(x+k+2)(x+3k-1)}
\end{align*}$
と分かります。

(1)は、今までやってきた因数分解で、
係数に文字が入ってきたと考えればいいわけですね。

では、(2)へ行きます。
今度こそ、今までには出てこなかった式の形です。

でも、$x$についても$y$についても2次式だから、
とりあえず$x$について整理したら、
(1)みたいに、係数に文字が入ったものとして
取り扱うことができそうです。

(2)の式を$x$について整理すると、
$2x^2+3xy-2y^2-5x+5y-3=\blue{2}x^2+(\orange{3y-5})x\green{-2y^2+5y-3}$
となります。

やはり強引に、
こんどは$x^2$の係数が2ですので、
「たすき掛け」を行うことになるわけですね。

「真ん中は最後」なので、
最初の状態は右の通りになりますよね。

そこで、最も左の縦列は
かけて2になる2つの数で
1と2しか入れようがありません。

さて、真ん中の縦列ですが、
かけて$\green{-2y^2+5y-3}$となる2つの数(式)
を探さなければいけません。
つまり、まず$\green{-2y^2+5y-3}$を
因数分解しておく必要があります。

すると、
$\begin{align*}
-2y^2+5y-3&=-(2y^2-5y+3)\\
&=-(y-1)(2y-3)
\end{align*}$
となります。

したがって、
「たすき掛け」の真ん中の縦列には
かけて$\green{-(y-1)(2y-3)}$になるように
上と下に式を入れます。
そして、ななめどうしにかけて
たして$\orange{3y-5}$になれば成功です。
これを実行すると、
右のようになります。
例によって、ここはいろいろやってみるところです。

この「たすきがけ」から、
(2)を因数分解すると、
${x+(2y-3)}{2x-(y-1)}=(x+2y-3)(2x-y+1)$
となることがわかります。

どうですか?
今までより少し難しかったかもしれません。

ちなみに、この式を因数分解するのに、
文字を含んだ「たすき掛け」を回避する方法があります。
(普通の「たすき掛け」は必要ですが…)
よかったらご覧ください…(2016.4.19)

練習問題
Q1. 次の式を因数分解せよ。   [解答]
 (1) $a^2+(2b+5)a+b^2+5b+4$  (2) $x^2-3xy+2y^2+y-1$
 (3) $2x^2+(3y-1)x+y^2-2y-3$  (4) $3x^2-7xy+4y^2+5x-7y-2$
 (5) $6x^2-xy-y^2-8x-y+2$  (6) $9x^2-12xy+4y^2-12x+8y+4$


[2] 式を整理して因数分解する方法

上の例題の(2)もそうですが、
整式を、ある特定の文字について整理すると、
因数分解の方針が見えてくることがあります。

このとき、特によくあるのは、
次数の最も低い文字について整理する
という方針です。

例題
EXQ2. 次の式を因数分解せよ。
 (1) $a^{2}b+ab+a-2b-1$  (2) $xy(x-y)+yz(y-z)+zx(z-x)$

では行きましょう。

(1)ですが、
このまま項の組み合わせが
ぱっと思いつけばいいんですが、
なかなかばらばらになっていて見つけにくいです。

こんな時に、
この式をaに着目した次数が2, bに着目した次数が1
ですので、
とりあえず次数の低いbについてこの式を整理するわけですね。

すると、
$\quad a^{2}b+ab+a-2b-1\\
=(a^2+a-2)b+a-1$
となりまして、
さらに、bの1次の項の(bに着目した時の)係数
$a^2+a-2$が因数分解できて、
$\cdots \\
=(a+2)\red{(a-1)}b+\red{a-1}$
となります。

あっ...$\red{a-1}$が出てきた!
とお気づきになったと思います。
あとは$\red{a-1}$で全体をくくりまして、
$\cdots \\
=\red{(a-1)}\{(a+2)b+1\}\\
=\boldsymbol{(a-1)(ab+2b+1)}$
となります。

このように、
次数の低い文字について式を整理する、
というのは、共通因数を見つけやすくする作用があります。
(実践だと、さらに次数が2次の文字について
「文字を含んだたすき掛け」ができるということもあります)

(2)も同様の方針でやってみます。
まず、一度この( )を全部外すと、
$\quad xy(x-y)+yz(y-z)+zx(z-x)\\
=x^{2}y-xy^{2}+y^{2}z-yz^{2}+z^{2}x-zx^{2}$
となります。

あれ、、、この式は
xについてもyについてもzについても
2次であることがわかると思います。

そういう場合には、
係数などが楽になるような文字で
整理するといいんですが、
今回の場合、どの文字で整理しても
変わらなそうです。

したがって、
今回はとりあえずxで整理します
その後、(xに着目した)係数ごとに因数分解します。
xの項は"-"でくくってからさらに因数分解することに注意してください。

$\cdots \\
=(y-z)x^2+(-y^2+z^2)x+y^{2}z-yz^{2}\\
=\red{(y-z)}x^2-(y+z)\red{(y-z)}x+yz\red{(y-z)}$
となり、共通因数$\red{(y-z)}$が見つかりますので、
くくってしまうと…

$\cdots \\
=\red{(y-z)}\{x^2-(y+z)x+yz\}$
となりますね。

この後ろの$x^2\orange{-(y+z)}x+\green{yz}$
は、公式2($x^2+(\orange{a+b})x+\green{ab}=(x+a)(x+b)$)の形ですが、
和が$\orange{-(y+z)=-y-z}$,積が$\green{yz}$の2つの数(式)は
$-y$と$-z$ですので、
$x^2\orange{-(y+z)}x+\green{yz}=(x-y)(x-z)$
となります。

以上によって、(2)は
$\quad xy(x-y)+yz(y-z)+zx(z-x)\\
=\cdots \\
=(y-z)\{x^2-(y+z)x+yz\}\\
=(y-z)(x-y)(x-z)$
となります。

もちろんこれで因数分解は終わりですが、
x→y→z→xの輪環の順に並べるため
$x-z=-(z-x)$と考えて、
答えを$\boldsymbol{-(x-y)(y-z)(z-x)}$
とするとさらにカッコイイです。

練習問題
Q2. 次の式を因数分解せよ。   [解答]
 (1) $x^{2}y+2xy+x+y+1$
 (2) $(y-1)x^2-(x-1)y^2+x-y$
 (3) $(x+y)^{2}z+(x+y)(xy+z)+xy$
 (4) $x(y^2+z^2)+y(z^2+x^2)+z(x^2+y^2)+2xyz$

さて、展開のときに残していた公式を
ここで紹介しましょう。

(ここでは出すだけなので
あまり意味はないですが、
このブログで忘れたころに出てきます)

因数分解の公式
公式9 $x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2\red{-}xy\red{-}yz\red{-}zx)$

この公式の証明を含め、
いくつかの問題を
レベルアップ問題として出しておきます。
余力があればやってみてください。

レベルアップ問題
LUQ6. 次の問いに答えよ。
 (1) $a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)$を確かめよ。
 (2) (1)を利用して、$x^3+y^3+z^3-3xyz$を因数分解せよ。
 (3) $x^3+y^3-6xy+8$を因数分解せよ。

LUQ7. 次の式を因数分解せよ。
 (1) $a(b^3-c^3)+b(c^3-a^3)+c(a^3-b^3)$
 (2) $ab(a+b)+bc(b+c)+ca(c+a)+3abc$

と、いうことで、
因数分解については
とりあえずはここまでですね。

とはいっても、
整式の分野にはまだトピックが残っていますので、
(因数分解の大事な手法も残っています)
それらについては今後記事に書きたいと思います。

中高数学の記事は、
上の「文字を含んだたすき掛けの回避」の話と
今までためてきた「レベルアップ問題」の解答を挟んで
数の計算に関するお話に入ろうと思います。

では、今日はここまで。
お読みくださりありがとうございました。
ではまた!

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練習問題の答え

Q1.
(1) $(a+b+1)(a+b+4)$  (2) $(x-y-1)(x-2y+1)$

(3) $(x+y+1)(2x+y-3)$  (4) $(x-y+2)(3x-4y-1)$

(5) $(2x-y-2)(3x+y-1)$  (6) $(2x-3y-2)^2$

Q2.
(1) $(x^2+2x+1)y+x+1=(x+1)^{2}y+x+1=(x+1)\{(x+1)y+1\}$
   $\phantom{(x^2+2x+1)y+x+1}=\boldsymbol{(x+1)(xy+y+1)}$

(2) $(y-1)x^2+(-y^2+1)x+y^2-y=(y-1)x^2-(y-1)(y+1)x+(y-1)y$
  $\phantom{(y-1)x^2+(-y^2+1)x+y^2-y}=(y-1)\{x^2-(y+1)x+y\}$
  $\phantom{(y-1)x^2+(-y^2+1)x+y^2-y}=\boldsymbol{(x-1)(y-1)(x-y)}$

(3) $\{(x+y)^2+(x+y)\}z+(x+y)xy+xy=(x+y)(x+y+1)z+xy(x+y+1)$
  $\phantom{\{(x+y)^2+(x+y)\}z+(x+y)xy+xy}=(x+y+1)\{(x+y)z+xy\}$
  $\phantom{\{(x+y)^2+(x+y)\}z+(x+y)xy+xy}=\boldsymbol{(x+y+1)(xy+yz+zx)}$

(4) $(y+z)x^2+(y^2+2yz+z^2)x+y^{2}z+yz^2$
 $=(y+z)x^2+(y+z)^{2}x+yz(y+z)$
 $=(y+z)\{x^2+(y+z)x+yz\}$
 $=\boldsymbol{(x+y)(y+z)(z+x)}$

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