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2016年7月8日

【高校数学I】「すべて」と「ある」

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今日は「すべて」と「ある」を用いた命題について考えます。

前回同様、ある集合Uを全体集合とし、
Uの要素xの条件p(x), q(x)を考えます。
そしてそのとき、Uの部分集合として、
条件p(x)を満たすx全体の集合をPとします。

さて、Uの要素xに関する命題
すべてのxについてp(x)
は、xUの要素であれば、必ずxが条件p(x)を満たすことを意味します。

Pp(x)を満たすUの要素全体の集合ですから、
すべてのUの要素xについてp(x)」がであるときは、\orange{U=P}となります。

「すべての」の部分は、人によって、
「任意の」とか「勝手な」という言い方をすることもありますが、
すべて同じ意味です。

次に、これと(ある意味)対になる命題として、
あるxについてp(x)
というのがあります。
これは、Uの中に、p(x)を満たすxがある、という意味です。

今度は、「あるUの要素xについてp(x)」がであることは、\green{P\neq \emptyset}ということになります。

ちなみにこれも言い方が人によっていろいろありまして、
「あるxについてp(x)」のことを、
p(x)を満たすxが(少なくとも1つ)存在する」とか、
「適当なxについてp(x)」と言ったりします。
(ちなみに数学でいう「適当な」は、「条件を満たすようにとってきた」というような意味です)

さて、この「すべて」と「ある」を用いた命題が偽であるとはどんなときか、考えましょう。

まず、「すべてのUの要素xについてp(x)」がであるのは、
さっきのPを用いれば、U=Pが偽、つまり、U\neq Pということです。
Pは全体集合Uの部分集合なので、これの意味することは、
Uの要素で、Pの要素でないものがあるということです。
集合の式で書くと、U\neq Pだから、\overline{P}\neq \emptysetということです。

したがって、
          「すべてのUの要素xについてp(x)」がであるときは、
          「あるUの要素xについて\overline{p(x)}」がのとき
と分かります。

言葉や式だとわかりにくいと思いますが、図で書けば下のようになります。


次に、「あるUの要素xについてp(x)」がであるのは、
P\neq \emptysetが偽、すなわちP=\emptysetということです。
これは、p(x)を満たすxが(Uの中に)存在しない、
すなわち、すべてのxについてp(x)が満たさない、ということです。
これも集合で言えば、P=\emptysetだから、\overline{P}=Uということになりますね。

したがって、
          「あるUの要素xについてp(x)」がであるときは、
          「すべてのUの要素xについて\overline{p(x)}」がのとき
となります。

これも図で見るといくらかわかりやすいと思います。



ここまでのことを、「否定」という言葉で表現すると、次のことが言えたことになります。

ド・モルガンの法則(「すべて」と「ある」ver.) 
2つの条件p,qについて、次が成り立つ。
(1) 「すべてのxについてp(x)」の否定は、あるxについて\overline{p(x)}
(2) 「あるxについてp(x)」の否定は、すべてのxについて\overline{p(x)}

このように、「すべて」と「ある」のときも、否定をとると互いに入れ替わります。

例題
EXQ1. 次の命題の否定を作れ。
 (1) すべての実数xについて x^2=1
 (2) ある自然数nについて nは偶数
 (3) すべての実数x,yについて x>0またはy>0

条件部分が否定されるだけでなく、「すべて」と「ある」が入れ替わることに注意です。

(1)は、x^2>0の否定はx^2\neq 1なので、
(1)の否定は \bold{ある実数xについて x^2\neq 1}

(2)は、nが自然数の範囲では「nが偶数」の否定は「nが奇数」なので、
(2)の否定は、\bold{すべての自然数nについて nは奇数}

(3)はちょっと注意。
x>0またはy>0」の否定は、「x\leqq 0かつy\leqq 0」でしたよね。
したがって、(3)の否定は、\bold{ある実数x,yについて x\leqq 0かつy\leqq 0}です。

練習問題
Q1. 次の命題の否定をつくれ。   [解答]
 (1) すべての実数xについて x^2>x
 (2) ある実数x,yについて x^2+y^2=0
 (3) ある四角形ABCDについて AB=CD かつ AD=BC

さて、先ほどの話から、次のことが言えます。

・「すべてのxについてp(x)」がであることを言うには、
 xをとりあえず1つとってきて、それがp(x)を満たすことを証明する
・「すべてのxについてp(x)」がであることを言うには、
 p(x)を満たさないxを1つ挙げる(反例を示す)

だから、「すべて」を用いた命題は、
感覚としては「ならば」のときと同じようなものだと考えていいでしょう。

ですが、「ある」のときは状況が逆転しまして、

・「あるxについてp(x)」がであることを言うには、
 p(x)を満たすxを1つ挙げる
・「あるxについてp(x)」がであることを言うには、
 xをとりあえずとってきて、それがp(x)を満たさないことを証明する
 (または、p(x)を満たすxがあるとして矛盾を導く →「背理法」 後日扱います。)

となります。

例題
EXQ2. 次の命題の真偽を答えよ。
 (1) すべての実数xについて x^2\geqq 0
 (2) すべての整数aについて \sqrt{a}は整数である
 (3) ある素数pについて pは偶数である
 (4) ある実数x,yについて x^2+y^2<0

(1)は、正の数でも、0でも、負の数でも、
どんな実数をとってきても、2乗すれば必ず0以上になりましたから、
(1)はです。

(2)はどうかというと、
例えばa=3とすると、\sqrt{a}=\sqrt{3}=1.732\cdotsとなり、整数になりません。
したがって、反例a=3により、(2)はです。

(3)ですが、今度は「ある」を用いた命題です。
素数pで偶数であるものといえば、p=2がありますね。
ですから、(3)はです。

最後の(4)です。
これも「ある」を使った命題ですが、
どんな実数x,yをとってきても、x^2\geqq 0かつy^2\geqq 0よりx^2+y^2\geqq 0になります。
すなわち、どんな実数x,yでも、x^2+y^2<0とはなりえないので、
(4)はとなります。

練習問題
Q2. 次の命題の真偽を答えよ。   [解答]
 (1) すべての実数xについて |x|=x
 (2) ある実数x,yについて x+y=0
 (3) すべての偶数mについて \dfrac{m}{2}は整数
 (4) ある実数xについて x^2+1=0

レベルアップ問題
LUQ12. 実数x,yに関する条件p(x,y)について、次は成り立つか。
 (1) 「すべての実数xについて、ある実数yがあって、p(x,y)」が真ならば、
   「ある実数yがあって、すべての実数xについて、p(x,y)」も真である。

 (2) 「ある実数yがあって、すべての実数xについて、p(x,y)」が真ならば、
   「すべての実数xについて、ある実数yがあって、p(x,y)」も真である。

LUQ13. 次の命題の真偽を答えよ。
 (1) すべての実数aについて、ある実数xがあって、x^2=a
 (2) ある実数xがあって、すべての実数aについて、x^2=a
 (3) すべての自然数Kについて、ある自然数Nがあって、
  Nより大きいすべての自然数nについて、\sqrt{n}>K

さて、ここまでで、いろいろな命題を見ていきました。
次回は、これを踏まえ、数学をやるうえで大事な考え方である
「十分条件」と「必要条件」について扱います。

では、今回はここまで。
お読みくださり、ありがとうございました。
ではまた!


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練習問題の答え

Q1.
(1) ある実数xについて x^2\leqq x
(2) すべての実数x,yについて x^2+y^2\neq 0
(3) すべての四角形ABCDについて AB≠CD または AD≠BC

Q2.
(1) |-1|=1\neq -1なので、反例x=-1をもって、
 (このときの反例は、負の数であればどれでもOK)

(2) x=1, y=-1のときx+y=1+(-1)=0だから、これをもって
 (「ある」なので、適する例を見つけることになるが、
  xyが符号を入れ換えただけだったり、x=0, y=0の場合を挙げたりできればOK)

(3)
 mを偶数とすると、ある整数kを用いて、m=2kと書ける。
 このとき、\dfrac{m}{2}=\dfrac{2k}{2}=kとなり、これは整数。

(4)
 この命題が偽であることを示すには、
 「すべての実数xに対してx^2+1\neq 0」を示せばよい。
 xを実数とすると、x^2\geqq 0だから、x^2+1>x^{2}\geqq 0
 よって、x^2+1>0 したがって x^2+1\neq 0

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