皆さんこんにちは!
TomoKです。
今回は 第4回垂れ流し数学模試 の 理型第5問 を解説しようと思います。
理型 第5問
問題
-\dfrac{\pi}{2}\lt x\lt \dfrac{\pi}{2}を定義域とするときの関数f(x)=\tan{x}について, その逆関数をg(x)で表す.
- aが正の数のとき, 等式g(a)+g\left(\dfrac{1}{a}\right)=\dfrac{\pi}{2}が成り立つことを示せ.
- 定積分\dint_{-1}^{1}xg(x)g\left(x+\sqrt{1+x^2}\right) dxを求めよ.
理型第5問は積分です。
過去3回では面積や体積を求める問題を出題しましたが, 今回は積分そのものの計算を出題しました。
\tanの逆関数を用いた積分になっていますが, 逆関数の引数が複雑なので少し難しかったかもしれません.
解答のために考えること
- 0\lt \alpha\lt \dfrac{\pi}{2}のとき, \tan\left(\dfrac{\pi}{2}-\alpha\right)=\dfrac{1}{\tan{\alpha}}>0であることからすぐにわかります.
-
x+\sqrt{1+x^2}\lt 0と
\dfrac{1}{x+\sqrt{1+x^2}}=-x+\sqrt{1+x^2}=(-x)+\sqrt{1+(-x)^2}
に気付ければ(1)が使えそうです.
問題の定積分をIとおくと, x=-tの置換によって,
I=-\dint_{1}^{1}(-t)g(-t)g\left(-t+\sqrt{1+x^2}\right) dt=\dint_{-1}^{1}xg(x)g\left(\dfrac{1}{x+\sqrt{1+x^2}}\right) dx
より,
2I=\dfrac{\pi}{2}\dint_{-1}^{1}xg(x) dxとなります.ここからは\theta=g(x)と置換することで\tan\thetaを使った積分に帰着できます.
別解として, まずg(x)=\thetaと置いて, g\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)を\thetaを用いて表してから計算人はいる方法を後述します.
解答
-
\alpha=g(a)とおけば, a=\tan\alphaかつ0\lt \alpha\lt \dfrac{\pi}{2}
ここで\tan\left(\dfrac{\pi}{2}-\alpha\right)=\dfrac{1}{a}であり,
0\lt \dfrac{\pi}{2}-\alpha\lt \dfrac{\pi}{2}および関数\tan xが0\lt x\lt \dfrac{\pi}{2}で単調増加であることから,
g\left(\dfrac{1}{a}\right)=\dfrac{\pi}{2}-\alpha
よって, g(a)+g\left(\dfrac{1}{a}\right)=\alpha+\left(\dfrac{\pi}{2}-\alpha\right)=\dfrac{\pi}{2} である. (終) -
I=\dint_{-1}^{1}xg(x)g\left(x+\sqrt{1+x^2}\right) dx とおく.
\sqrt{1+x^2}\gt |x|であるから, 全ての実数xに対してx+\sqrt{1+x^2}\gt 0であり,
\dfrac{1}{x+\sqrt{1+x^2}}=\dfrac{x-\sqrt{1+x^2}}{(x+\sqrt{1+x^2})(x-\sqrt{1+x^2})}=-x+\sqrt{1+x^2} であるから, (1)より, g(x+\sqrt{1+x^2})+g(-x+\sqrt{1+x^2})=\dfrac{\pi}{2}また-\dfrac{\pi}{2}\lt \beta \lt\dfrac{\pi}{2}のとき\tan (-\beta)=-\tan \beta
かつ\tan \betaが\betaについて単調増加だから,
全ての実数bに対してg(-b)=-g(b)したがって, Iについて, x=-tとすると,
dx=-dt, x:-1\to 1のときt:1\to -1であるから, I=-\dint_{1}^{-1}(-t)g(-t)g(-t+\sqrt{1+t^2}) dt=\dint_{-1}^{1}xg(x)g(-x+\sqrt{1+x^2}) dx よって, 2I=\dint_{-1}^{1}xg(x)\left\{g(x+\sqrt{1+x^2})+g(-x+\sqrt{1+x^2})\right\} dt=\dfrac{\pi}{2}\dint_{-1}^{1}xg(x) dx すなわち, I=\dfrac{\pi}{4}\dint_{-1}^{1}xg(x) dxここで, J=\dint_{-1}^{1}xg(x) dxとして, Jを求める.
g(x)=\thetaとおくとx=\tan\thetaであり,
dx=\dfrac{d\theta}{\cos^2{\theta}}, x:-1\to 1のとき\theta:-\dfrac{\pi}{4}\to \dfrac{\pi}{4}であり, J=\dint_{-\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{4}}\dfrac{\theta\tan\theta}{\cos^2\theta} d\theta \theta,\tan \thetaは\thetaの奇関数, \cos^2\thetaは\thetaの偶関数より,
\dfrac{\theta\tan\theta}{\cos^2\theta}は\thetaの偶関数だから, \begin{aligned} J&=2\dint_{0}^{\frac{\pi}{4}}\dfrac{\theta\tan\theta}{\cos^2\theta} d\theta=2\dint_{0}^{\frac{\pi}{4}}\theta\tan\theta(\tan\theta)' d\theta \\ &=\left[\theta\tan^2\theta\right]_0^{\frac{\pi}{4}}-\dint_{0}^{\frac{\pi}{4}}\tan^2\theta d\theta \\ &=\dfrac{\pi}{4}-\dint_{0}^{\frac{\pi}{4}}\left(\dfrac{1}{\cos^2\theta}-1\right) d\theta \\ &=\dfrac{\pi}{4}-\left[\tan\theta-\theta\right]_0^{\frac{\pi}{4}} \\ &=\dfrac{\pi}{4}-1+\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\pi -2}{2} \end{aligned}よって, I=\dfrac{\pi}{2}J=\bold{\dfrac{\pi(\pi -2)}{8}}
逆関数の積分は, 逆関数ごと置換することで, 既知の関数からなる積分に置き換えられます.
それとともに, 常に和が一定である組み合わせ(今回ならg(x+\sqrt{1+x^2})とg(-x+\sqrt{1+x^2}))を作って, 置換により一方のものが他方のものに置き換わる場合に,
それらの和をとって非積分関数をより簡単なものに帰着できる場合があります.
では別解です.
別解
まず\beta=g(x), \gamma=g(x+\sqrt{1+x^2})とおき, \gammaを\betaで表す.
x=\tan\theta, -\dfrac{\pi}{2}\lt \theta\lt \dfrac{\pi}{2}だから, \tan\gamma=x+\sqrt{1+x^2}=\tan\beta+\sqrt{1+\tan^2\beta}=\tan\beta+\dfrac{1}{\cos\beta}=\dfrac{1+\sin\beta}{\cos\beta}
よって,
\begin{aligned}
\tan^2\gamma&=\dfrac{(1+\sin\beta)^2}{\cos^2\beta}=\dfrac{(1+\sin\beta)^2}{1-\sin^2\beta}=\dfrac{1+\sin\beta}{1-\sin\beta} \\
&=\dfrac{1+\cos(\frac{\pi}{2}-\beta)}{1-\cos(\frac{\pi}{2}-\beta)}=\dfrac{2\cos^2(\frac{\pi}{4}-\frac{\beta}{2})}{2\sin^2(\frac{\pi}{4}-\frac{\beta}{2})} \\
&=\left\{\dfrac{1}{\tan(\frac{\pi}{4}-\frac{\beta}{2})}\right\}^2=\tan^2\left\{\dfrac{\pi}{2}-\left(\dfrac{\pi}{4}-\dfrac{\beta}{2}\right)\right\} \\
&=\tan^2\left(\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{\alpha}{2}\right)
\end{aligned}
ここで\sqrt{1+x^2}\gt |x|であるから, 全ての実数xに対して\tan\gamma=x+\sqrt{1+x^2}\gt 0,
よって0\lt \gamma\lt \dfrac{\pi}{2}
また-\dfrac{\pi}{2}\lt \alpha\lt \dfrac{\pi}{2}より0\lt \dfrac{\pi}{4}+\dfrac{\alpha}{2}\lt \dfrac{\pi}{2}
\tan \gammaは\gammaに関して単調増加だから,
g(x+\sqrt{1+x^2})=\gamma=\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{\alpha}{2}=\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{g(x)}{2}
したがって, I=\dint_{-1}^{1}xg(x)g\left(x+\sqrt{1+x^2}\right) dxとおけば, I=\dint_{-1}^{1}xg(x)\left(\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{g(x)}{2}\right) dx
\tan \alphaはいずれも-\dfrac{\pi}{2}\lt \alpha\lt \dfrac{\pi}{2}の範囲で\alphaの奇関数であるので, g(x)は奇関数である.
よってx\{g(x)\}^2は奇関数だから,
I=\dfrac{\pi}{4}\dint_{-1}^{1}xg(x) dx
(以降、本解と同じ)
ということで, 理型第5問でした.
次回は最後、理型第6問・文型第5問の解説です. お楽しみに.
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた。
0 件のコメント:
コメントを投稿