2022年2月6日

【第4回垂れ流し数学模試】理型第4問・文型第4問解説

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回は 第4回垂れ流し数学模試 の 理型第4問 / 文型第4問 を解説しようと思います。

理型 第4問 / 文型 第4問

問題

係数がすべて実数である$x$の整式$A(x)$に対して,
$A(x)$を整式$x^3+6x+7$でわった余りを$[A(x)]$と表すとする.

以下の問いにおいて, 次の事実を証明なしに用いてもよいとする.

係数がすべて実数である2つの$x$の整式$A(x)$, $B(x)$に対し,
$\bullet [A(x)+B(x)]=[A(x)]+[B(x)]$$\bullet [A(x)B(x)]=[[A(x)][B(x)]]$
  1. 係数がすべて実数である$x$の整式$P(x)$で, $[xP(x)]=1$を満たすものを1つ求めよ.
  2. 係数がすべて実数である2つの$x$の整式$Q(x)$, $R(x)$があり,
    $Q(x)$は1次式もしくは2次式であるとする. \[\left[\{Q(x)\}^2-3xR(x)\right]=\left[\{R(x)\}^2-3xQ(x)\right]=0\] を満たすとき, $Q(x)$としてありうるものをすべて求めよ.

理型・文型第4問は整式に関する問題ですが, おそらく今回の問題の中で(次の理型第5問と並んで)比較的難しい部類に入るかもしれません。
(2)では、整式をわった余りが0になることと方程式の解を結び付けて考えられたかがカギになります。

解答のために考えること

  1. $P(x)$が2次以下と踏んで$P(x)=ax^2+bx+c$とおいて
    $xP(x)$を直接わり算するのもいいと思います.
    しかし, 直接変形して$(x^3+6x+7)-7=x(x^2+6)$に気付けばすぐです.
  2. 条件から$[\{Q(x)\}^2]=[3xR(x)]$, $[\{R(x)\}^2]=[3xQ(x)]$ですので,
    $[\{Q(x)\}^4]=[9x^2\{R(x)\}^2]=[27x^3Q(x)]$,
    よって$[Q(x)^4-27x^3Q(x)]=0$だから,
    $Q(x)^4-27x^3Q(x)=Q(x)\{Q(x)-3x\}\{(Q(x))^2+3xQ(x)+9x^2\}$が$x^3+6x+7=(x+1)(x^2-x+7)$でわりきれます.
    $(x+1)(x^2-x+7)=0$の複素数範囲での解は$x=-1, \dfrac{1\pm 3\sqrt{3}i}{2}$ ($i$は虚数単位)なので,
    この3つの解それぞれが$Q(x)$, $Q(x)-3x$, $(Q(x))^2+3xQ(x)+9x^2$の
    いずれかの値を0にすればよいわけですね.

    注意すべきなのは, $(Q(x))^2+3xQ(x)+9x^2=0$となる$x$は
    実数になり得ないことはわかりやすいですが, 虚数にはなり得ます.
    つまり, 上で上げた2つの虚数解の1つを$\alpha$とした場合,
    $(Q(\alpha))^2+3\alpha Q(\alpha)+9\alpha^2=0$となる場合を考える必要があります.

    この点を考慮しやすくするため, $(Q(x))^2+3xQ(x)+9x^2$をさらに
    $\left(Q(x)+\dfrac{3+3\sqrt{3}i}{2}x\right)\left(Q(x)+\dfrac{3-3\sqrt{3}i}{2}x\right)$と複素数範囲まで因数分解します.

    ここまで準備できたなら, あとは$Q(x)=ax^2+bx+c$として計算することにしましょう.
    先ほどの$\alpha$については$\alpha^2=\alpha-7$によって値がすべて1次式にかけること,
    また先ほどの複素数範囲での因数分解に係数として出てきた虚数も$\alpha$を使って書けることを留意して計算を進めましょう.

解答

  1. $(x^3+6x+7)-7=x(x^2+6)$より,
    $x\left(-\dfrac{1}{7}x^2-\dfrac{6}{7}\right)=-\dfrac{1}{7}(x^3+6x+7)+1$
    よって$P(x)$の1つは, $P(x)=\bold{-\dfrac{1}{7}x^2-\dfrac{6}{7}}$

  2. $\left[\{Q(x)\}^2-3xR(x)\right]=0$より, $\left[\{Q(x)\}^2\right]=[3xR(x)]$
    $\left[\{R(x)\}^2-3xQ(x)\right]=0$より, $\left[\{R(x)\}^2\right]=[3xQ(x)]$
    よって, $[\{Q(x)\}^4]=[\{3xR(x)\}^2]=[9x^2\{R(x)\}^2]=[27x^3Q(x)]$であるから,
    $[\{Q(x)\}^4-27x^3Q(x)]=0$, すなわち$\{Q(x)\}^4-27x^3Q(x)$が$x^3+6x+7$でわり切れる.

    ここで, $i$を虚数単位として, \[\begin{aligned} &\{Q(x)\}^4-27x^3Q(x)\\ =&Q(x)\{(Q(x))^3-27x^3\}\\ =&Q(x)\{Q(x)-3x\}\{(Q(x))^2+3xQ(x)+9x^2=0\}\\ =&Q(x)\{Q(x)-3x\}\left(Q(x)+\dfrac{-3+3\sqrt{3}i}{2}x\right)\left(Q(x)+\dfrac{-3-3\sqrt{3}i}{2}x\right) \end{aligned}\]

    また$x^3+6x+7=(x+1)(x^2-x+7)$より,
    方程式$x^3+6x+7=0$の解は$x=-1, \dfrac{1\pm 3\sqrt{3}i}{2}$であり,
    $Q(x)$, $R(x)$が問題で与えられた条件を満たすためには,

    (★) 3つの$x$の値$x=-1, \dfrac{1\pm 3\sqrt{3}i}{2}$のそれぞれに対し,
    $f_1(x)=Q(x)$, $f_2(x)=Q(x)-3x$, $f_3(x)=Q(x)+\dfrac{3+3\sqrt{3}i}{2}x$, $f_4(x)=Q(x)+\dfrac{3-3\sqrt{3}i}{2}x$
    のうち少なくとも1つの値が0である.

    を満たすことが必要である.

    逆に$Q(x)$が(★)を満たすとき, $\{Q(x)\}^4-27x^3Q(x)$は$x^3+6x+7$で割り切れる.
    このとき(1)の$P(x)$を用いることで, $R(x)=\dfrac{P(x)(Q(x))^2}{3}$とおけば,
    $[\{Q(x)\}^2-3xR(x)]=\left[\{Q(x)\}^2-3x\cdot \dfrac{P(x)(Q(x))^2}{3}\right]=[\{Q(x)\}^2-\{Q(x)\}^2]=0$
    また$[\{R(x)\}^2-3xQ(x)]=\left[\left\{\dfrac{P(x)(Q(x))^2}{3}\right\}^2-3xQ(x)\right]=\dfrac{1}{9}[P(x)^2(Q(x))^4-27xQ(x)]=\dfrac{1}{9}[P(x)^2\{(Q(x))^4-27x^3Q(x)\}]=0$
    より, (★)が問題で与えられた条件を満たす$R(x)$が存在するための$Q(x)$の必要十分条件である.

    以降, (★)を満たすような$Q(x)$を求める.

    まず$\alpha=\dfrac{1+3\sqrt{3}i}{2}$とおくと, $\dfrac{1-3\sqrt{3}i}{2}$は$\alpha$の共役($\overline{\alpha}$)であり,
    $Q(x)$が実数係数の整式であることから, $f_1(\overline{\alpha})=\overline{f_1(\alpha)}$, $f_2(\overline{\alpha})=\overline{f_2(\alpha)}$,
    また$\dfrac{-3+3\sqrt{3}i}{2}$と$\dfrac{-3-3\sqrt{3}i}{2}$が互いに共役であることに気を付けて,
    $f_3(\overline{\alpha})=\overline{f_4(\alpha)}$, $f_4(\overline{\alpha})=\overline{f_3(\alpha)}$

    よって, $f_1$, $f_2$, $f_3$, $f_4$のいずれかが$x=\alpha$で0になれば,
    自動的に$x=\overline{\alpha}$でもいずれかが0になる.

    また$Q(-1)$は実数だから, $f_3(-1)$, $f_4(-1)$はいずれも0にはならない.

    さらに$Q(x)=f_1(x)$は1次式もしくは2次式だから,$f_2(x)$は0か, 1次もしくは2次式である.
    よって$f_2(x)$が(整式として)0でない限りは, $f_1(-1)\neq f_1(\alpha)$, $f_2(-1)\neq f_2(\alpha)$である.

    以上より, ありうる場合は次の7通りある.

    1. $f_2(x)=0$(整式として)
    2. $f_1(-1)=0$かつ$f_2(\alpha)=0$
    3. $f_1(-1)=0$かつ$f_3(\alpha)=0$
    4. $f_1(-1)=0$かつ$f_4(\alpha)=0$
    5. $f_2(-1)=0$かつ$f_1(\alpha)=0$
    6. $f_2(-1)=0$かつ$f_3(\alpha)=0$
    7. $f_2(-1)=0$かつ$f_4(\alpha)=0$

    これらのうち(i)の場合は$Q(x)=3x$である.

    (ii)~(vii)について, $Q(x)=ax^2+bx+c$ ($a$, $b$, $c$は実数)とすると,
    $f_1(1)=Q(-1)=a-b+c$,
    $f_2(-1)=Q(-1)-3\cdot (-1)=a-b+c+3$

    また$\alpha$は方程式$x^2-x+7=0$の解だから$\alpha^2-\alpha +7=0$, ゆえ$\alpha^2=\alpha -7$
    $\dfrac{-3+3\sqrt{3}i}{2}=\alpha -2$, $\dfrac{-3-3\sqrt{3}i}{2}=-\alpha -1$であるから,
    $f_1(\alpha)=Q(\alpha)=a\alpha^2 +b\alpha +c=(a+b)\alpha -7a+c$
    $f_2(\alpha)=Q(\alpha)-3\alpha=(a+b-3)\alpha -7a+c$
    $f_3(\alpha)=Q(\alpha)-(\alpha -2)\alpha=(a+b)\alpha -7a+c-(\alpha -7)+2\alpha=(a+b+1)\alpha -7a+c+7$
    $f_4(\alpha)=Q(\alpha)-(-\alpha -1)\alpha=(a+b)\alpha -7a+c+(\alpha -7)+\alpha=(a+b+2)\alpha -7a+c-7$

    以上と, $\alpha$が虚数であることより,
    $a-b+c$, $a+b$, $-7a+c$の値について, 各場合は次のようになる.

    $a-b+c$ $a+b$ $-7a+c$
    (ii) 0 3 0
    (iii) 0 -1 -7
    (iv) 0 -2 7
    (v) -3 0 0
    (vi) -3 -1 -7
    (vii) -3 -2 7

    以上の場合のそれぞれについて, $a$, $b$, $c$を求めると, \[(a, b, c)=\left(\dfrac{1}{3}, \dfrac{8}{3}, \dfrac{7}{3}\right), \left(\dfrac{2}{3}, -\dfrac{5}{3}, -\dfrac{7}{3}\right), (-1, -1, 0), \left(-\dfrac{1}{3}, \dfrac{1}{3}, -\dfrac{7}{3}\right), \left(\dfrac{1}{3}, -\dfrac{4}{3}, -\dfrac{14}{3}\right), \left(-\dfrac{4}{3}, -\dfrac{2}{3}, -\dfrac{7}{3}\right) \]

    よって, もとめる$Q(x)$は, \[\begin{aligned} \bold{Q(x)=}&\bold{3x,\ \dfrac{1}{3}x^2+\dfrac{8}{3}x+\dfrac{7}{8},\ \dfrac{2}{3}x^2-\dfrac{5}{3}x-\dfrac{7}{5},\ -x^2-x,}\\ &\bold{-\dfrac{1}{3}x^2+\dfrac{1}{3}x-\dfrac{7}{3},\ \dfrac{1}{3}x^2-\dfrac{4}{3}x-\dfrac{14}{3},\ -\dfrac{4}{3}x^2-\dfrac{2}{3}x-\dfrac{7}{3}} \end{aligned} \]

因数が多い分場合が多くて大変だったかもしれませんが、
パターンが同じなのでうまく整理します.

ポイントとしては, $x-a$でわり切れる関係と,
因数=0の方程式が$a$を解にもつことが同値ということです.
整式に関する問題だと結構これを使って議論することが多いので,
使えるようにしておくといいと思います.

特に2次の因数で判別式が負になる(同値に, 2次の因数=0が実数解をもたない)場合に,
複素数の範囲まで持ち込んで考えることもあります.

その他, 最終的に似たようなところに行きつきますが,
元の条件$[Q(x)^2-3xR(x)]=0$, $[R(x)^2-3xQ(x)]=0$を辺々引いて
$[(Q(x)-R(x))(Q(x)+R(x)+3x)]=0$を出して,
そこから$(Q(x)-R(x))(Q(x)+R(x)+3x)$が$(x-1)(x^2+x+7)$で割り切れることから
$Q(x)$を求めることもできます.

このときは, (1)の$\alpha$で$Q(1)^2-3R(1)=0$および$Q(\alpha)^2-3\alpha R(\alpha)=0$をつかって
$R(1)$や$R(\alpha)$を消去すると$Q(x)$のみの条件を導けます.

ということで, 理型第4問・文型第4問でした.

次回は理型第5問の解説です. お楽しみに.

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた。

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