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2022年2月5日

【第4回垂れ流し数学模試】理系第3問解説

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回は 第4回垂れ流し数学模試 の 理型第3問 を解説しようと思います。

理型 第3問

問題

{\rm AB}\gt{\rm AC}である\triangle{\rm ABC}があり, \angle {\rm A}=\dfrac{\pi}{3}で,
\triangleABCの外接円と内接円それぞれの半径の比が7:2であるとき,
この三角形の3辺の長さの比\rm AB:BC:CAを求めよ.


理型第3問は平面幾何です.
外接円と内接円の半径の比と1内角が与えられている場合に, 三角形の3辺の比を求める問題です.

解答のために考えること

外接円と内接円の半径の関係が与えられていますので,
正弦定理および内接円の半径と面積の関係が使えます.
さらに1内角が出てきていることから余弦定理も使って,
3辺の長さに関する関係式を作ってみましょう.

別解として, 内接円と\triangle {\rm ABC}の3辺のつくる接線の長さに着目し,
正弦定理と余弦定理の2つから求める方法を後述します.

解答

{\rm BC}=a, {\rm CA}=b, {\rm AB}=c,
\triangle{\rm ABC}の外接円, 内接円の半径をそれぞれR, rとすると,
c\gt bかつR:r=7:2である.

\triangle{\rm ABC}における正弦定理により, \dfrac{a}{\sin{\frac{\pi}{3}}}=\dfrac{2a}{\sqrt{3}}=2R
ゆえに, a=\sqrt{3}R=\dfrac{7\sqrt{3}}{2}r …①

\triangle{\rm ABC}の面積から, \dfrac{1}{2}bc\cdot \sin{\dfrac{\pi}{3}}=\dfrac{1}{2}r(a+b+c)
ゆえに, bc=\dfrac{2}{\sqrt{3}}r(a+b+c) …②

また\triangle{\rm ABC}における余弦定理により, a^2=b^2+c^2-2bc\cdot\cos{\dfrac{\pi}{3}}
ゆえに, a^2=b^2+c^2-bc …③

①, ③より\dfrac{147}{4}r^2=b^2+c^2-bc=(b+c)^2-3bc
また①, ②よりbc=7r^2+\dfrac{2}{\sqrt{3}}r(b+c) (…④)だから, (b+c)^2-3\left\{7r^2+\dfrac{2}{\sqrt{3}}r(b+c)\right\}=\dfrac{147}{4}r^2 これより, 4(b+c)^2-8\sqrt{3}r(b+c)-231r^2=0, \{2(b+c)-11\sqrt{3}r\}\{2(b+c)+7\sqrt{3}r\}=0,
b+c\gt 0よりb+c=\dfrac{11\sqrt{3}}{2}r
④よりbc=7r^2+\dfrac{2}{\sqrt{3}}r\cdot \dfrac{11\sqrt{3}}{2}r=18r^2

よってb, ctの2次方程式t^2-\dfrac{11\sqrt{3}}{2}rt+18r^2=0の2解であり, これを解くと,
2t^2-11\sqrt{3}rt+36r^2=0, (2t-3\sqrt{3}r)(t-4\sqrt{3}r)=0より,
t=\dfrac{3\sqrt{3}}{2}r, 4\sqrt{3}r
c\gt bより, b=\dfrac{3\sqrt{3}}{2}r, c=4\sqrt{3}r

以上より, \begin{aligned} {\rm AB}:{\rm BC}:{\rm CA}&=c:a:b=4\sqrt{3}r:\dfrac{7\sqrt{3}}{2}r:\dfrac{3\sqrt{3}}{2}r\\ &=\bold{8:7:3} \end{aligned}

平面図形の問題ですが, 本解と同様に式消去から解く場合, 多少計算の工夫がいるかもしれません.
問題で与えられた条件と同等であるc\gt b以外はb, cは互いに対称的なので,
b+cbcを意識して解くと解きやすいと思います.

別解はある参加者の方からいただいた解法で, 本解よりも幾何的に解いている方法です.
やや表現等を変えてご紹介します.

別解

※上の図ですが, 赤字で書いた長さの"\sqrt{3}", "\dfrac{7\sqrt{3}}{2}"は,
それぞれ"\sqrt{3}r", "\dfrac{7\sqrt{3}}{2}r"が正しいです.

\triangle{\rm ABC}の内接円と3辺AB, BC, CAとの接点をそれぞれP, Q, Rとし,
内心をI, また内接円の半径を{\rm IP}={\rm IQ}={\rm IR}=rとすると,
\angle{\rm PAI}=\dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{\pi}{3}=\dfrac{\pi}{6}, \angle{\rm API}=\dfrac{\pi}{2}より, {\rm AP}={\rm AR}=\sqrt{3}r

また, \triangle{\rm ABC}の外接円の半径は\dfrac{7}{2}rだから,
\triangle{\rm ABC}で正弦定理より, \dfrac{\rm BC}{\sin{\frac{\pi}{3}}}=2\cdot \dfrac{7}{2}r,
よって, {\rm BC}=\dfrac{7\sqrt{3}}{2}r

{\rm BP}={\rm BQ}=xとおくと, {\rm CQ}={\rm CR}=\dfrac{7\sqrt{3}}{2}r-xであり,
{\rm AB}=x+\sqrt{3}r, {\rm AC}=\dfrac{7\sqrt{3}}{2}r-x+\sqrt{3}r=\dfrac{9\sqrt{3}}{2}r-x

したがって, \triangle{\rm ABC}で余弦定理より, \left(\dfrac{7\sqrt{3}}{2}r\right)^2=(x+\sqrt{3}r)^2+\left(\dfrac{9\sqrt{3}}{2}r-x\right)^2-2(x+\sqrt{3}r)\left(\dfrac{9\sqrt{3}}{2}r-x\right)\cos{\dfrac{\pi}{3}} これより, 3x^2-\dfrac{21\sqrt{3}}{2}rx+\dfrac{27}{2}r^2=0, (2x-\sqrt{3}r)(x-3\sqrt{3}r)=0,
よってx=\dfrac{\sqrt{3}}{2}r, 3\sqrt{3}r
{\rm AB}\gt {\rm AC}よりx+\sqrt{3}r\gt \dfrac{9\sqrt{3}}{2}r-x, すなわちx\gt \dfrac{7\sqrt{3}}{4}rだから, x=3\sqrt{3}r

よって{\rm AB}=3\sqrt{3}r+\sqrt{3}r=4\sqrt{3}r, {\rm AC}=\dfrac{9\sqrt{3}}{2}r-3\sqrt{3}r=\dfrac{3\sqrt{3}}{2}rだから, {\rm AB}:{\rm BC}:{\rm CA}=4\sqrt{3}r:\dfrac{7\sqrt{3}}{2}r:\dfrac{3\sqrt{3}}{2}r=\bold{8:7:3}

ということで, 理系第3問でした.
今回はベクトルで解くような問題がなかった(しいて理型第1問はそれで解くことができるが)ですが,
ベクトルは入試では間違いなくおさえておく必要があります.

一方で, この問題や文型第1問(2)のように,
三角比や初等幾何で解ける部類の問題も,欠かさずチェックしておくとよいでしょう.
問題によってはベクトルだと扱いにくい場合がありますので,
そういった場合に平面図形に関する知識も頭に入れておくと役に立つかもしれません.

次回は理型第4問・文型第4問の解説です. お楽しみに.

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた。

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