皆さんこんにちは!
TomoKです。
今回は 第4回垂れ流し数学模試 の 理型第2問・文系第3問 を解説しようと思います。
理型 第2問 / 文型 第3問
問題
次の問いに答えよ.
-
次の条件を満たす自然数a, b, c, dの組で, dが最小となるものを求めよ.
条件 : すべての実数x, yに対して, 常に2(ax+by)^2-(cx+dy)^2=2x^2-y^2が成り立つ. - nを自然数とするとき, n\sqrt{2}の小数第1位が0となるようなnは無数に存在することを証明せよ.
理型第2問・文型第3問は整数問題枠として出題しましたが,
どちらかというと論証メインな問題かもしれません。
(2)は文型・理型を問わずいろんな解法での答案をお寄せいただいて,
拝見してとても興味深かった問題でした。
この(2)は(1)がヒントとなっていますが, (1)を使わなくても(2)単体で解くことが可能です。
実際(1)を使わずに(2)を解いてくださった方もいました。
解答のために考えること
(1)は条件で与えられたx, yに関する等式が恒等式となるための条件が不定方程式となります。
この自然数となる一般解を求めるのは難しいですが, いくつか簡単に見つかる解があるので, d=1から順に探していきましょう.
(2)はn\sqrt{2}の整数部分をaとするとき,
0\lt n\sqrt{2}-a\lt \dfrac{1}{10}が満たされるようなnが無限に存在すればよいことになりますが,
この不等式の各辺にaを足して2乗するとa^2\lt 2n^2\lt a^2+\dfrac{1}{5}a+\dfrac{1}{100},
すなわち0\lt 2n^2-a^2\lt \dfrac{1}{5}a+\dfrac{1}{100}です.
一方, 数列\{x_k\}, \{y_k\}を, x_1=y_1=1,
また(1)で求めた(a, b, c, d)により全ての自然数kに対しx_{k+1}=ax_k+by_k, y_{k+1}=cx_k+dy_k
とすることで定めると,
全ての自然数kに対して2{x_k}^2-{y_k}^2=2{x_1}^2-{y_1}^2=1,
かつkがある自然数Kより大きければy_k\geqq 5になるので, 0\lt 2{x_k}^2-{y_k}^2=1\lt \dfrac{1}{5}y_k+\dfrac{1}{100}を満たします.
(2)の別解として, (1)を用いない方法を2種類取り上げます.
1つ目は, n\sqrt{2}の小数第1位が0であるnを1つとって,
その整数倍の小数部分に着目する方法です.
2つ目は, やはりn\sqrt{2}の小数第1位が0であるnを1つとるとき,
n\sqrt{2}の小数部分の累乗が\dfrac{1}{10}より小さいことを利用する方法です.
解答
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2(ax+by)^2-(cx+dy)^2=2x^2-y^2を変形して, (2a^2-c^2)x^2+2(2ab-cd)xy+(2b^2-d^2)y^2=2x^2-y^2
これが任意の実数x, yで成り立つので,2a^2-c^2=2 …①,2ab-cd=0 …②,2b^2-d^2=-1 …③③を満たす自然数(b, d)で, dが最小となるものを探す.
d=1のとき, 2b^2=1-1=0, b^2=0, これを満たす自然数bは存在しない.
d=2のとき, 2b^2=4-1=3, b^2=\dfrac{3}{2}, これを満たす自然数bは存在しない.
d=3のとき, 2b^2=9-1=8, b^2=4, これを満たす自然数bはb=2のみ.
(b, d)=(2, 3)のとき, ②より4a=3c,
これと①により2\cdot\left(\dfrac{3}{4}c\right)^2-c^2=2, c^2=16
cは自然数よりc=4, ゆえにa=\dfrac{3}{4}\cdot 4=3以上より, 条件を満たすdが最小となる(a, b, c, d)の組は,
\bold{(a, b. c. d)=(3, 2, 4, 3)}である. -
n\sqrt{2}の整数部分をaとすると, \begin{aligned} n\sqrt{2}\textrm{の小数第1位が0} &\Leftrightarrow a\lt n\sqrt{2}\lt a+\dfrac{1}{10}\\ &\Leftrightarrow a^2\lt 2n^2\lt \left(a+\dfrac{1}{10}\right)^2=a^2+\dfrac{1}{5}a+\dfrac{1}{100}\\ &\Leftrightarrow 0\lt 2n^2-a^2\lt \dfrac{1}{5}a+\dfrac{1}{100} \end{aligned} (ただし1行目において\sqrt{2}が無理数であること,
2行目でa, n\sqrt{2}, a+\dfrac{1}{10}\gt 0を用いた)よって, 0\lt 2n^2-a^2\lt \dfrac{1}{5}a+\dfrac{1}{100}を満たす自然数(n, a)の組が無数に存在することを示せばよい.
(1)の結果から, 数列\{x_k\}, \{y_k\}を, x_1=y_1=1,\quad \left\{\begin{array}{ll}x_{k+1}&=3x_k+2y_k\\y_{k+1}&=4x_k+3y_k\end{array}\right.\quad (k=1, 2, 3. \cdots) で帰納的に定めると, 任意の自然数kにおいて 2{x_k}^2-{y_k}^2=2{x_{k-1}}^2-{y_{k-1}}^2=\cdots =2{x_1}^2-{y_1}^2=1 また任意の自然数kに対しx_k, y_kは自然数であり,
数列\{x_k\}, \{y_k\}はともに(狭義)単調増加数列(任意の自然数kに対してx_{k+1}>x_kかつy_{k+1}>y_k)である.したがって数列\{y_k\}について, ある自然数K_0よりも大きい任意の自然数kに対してk\geqq 5であるので, そのようなkに対して, 0\lt 2{x_k}^2-{y_k}^2=1\lt \dfrac{1}{5}y_k+\dfrac{1}{100}
以上により, 上記の数列\{x_k\}, \{y_k\}と上でとった自然数K_0に対して,
k\gt K_0 ならば x_k\sqrt{2}の小数第1位が0となり, n\sqrt{2}の小数第1位が0となる自然数nが無数に存在することが示された. (終)
本解ではk>K_0のときy_k\geqq 5としましたが,
実際y_k=7なのでK_0=1です.
実際に計算してみると,
x_2=5, y_2=7より7=\sqrt{49}\lt 5\sqrt{2}=\sqrt{50}\lt 7.1=\sqrt{50.41}
x_3=29, y_2=41より41=\sqrt{1681}\lt 29\sqrt{2}=\sqrt{1682}\lt 41.1=\sqrt{1689.21}
x_4=169, y_2=239より239=\sqrt{57121}\lt 169\sqrt{2}=\sqrt{57122}\lt 239.1=\sqrt{57168.81}
などとなっており, いずれもx_k\sqrt{2}の小数第1位が0になっています.
また本解では2{x_k}^2-{y_k}^2=1となる数列\{x_k\}, \{y_k\}を作りましたが,
実際には2{x_k}^2-{y_k}^2が正かつ一定であれば何でもよいです.
たとえば同じ漸化式でx_1=2, y_1=1とすると任意のkに対して2{x_k}^2-{y_k}^2=2{x_1}^2-{y_1}^2=7になるわけですが,
\dfrac{1}{5}a+\dfrac{1}{100}>7となる自然数aはa\geqq 35なので,
y_k\geqq 35となるようにk>K_0のK_0をとってくればよいわけですね.
(実際に計算すると, (x_2, y_2)=(8,11), (x_3, y_3)=(46, 65)となってK_0=2ですね。
65=\sqrt{4225}\lt 46\sqrt{2}=\sqrt{4232}\lt 65.1=\sqrt{4238.01}で, 確かにそれっぽいです.)
ちなみに本解同様(1)を用いて2{x_k}^2-{y_k}^2=dとなる数列\{x_k\}, \{y_k\}を作ったうえで,
たとえば\sqrt{{y_k}^2+d}-y_k=\dfrac{d}{\sqrt{{y_k}^2+d}+y_k}があるK以上のkで\dfrac{1}{10}より小さくなることを示してもよいと思います.
というかそっちのほうがより直接的かもしれません.
実際この場合, たとえばy_k\geqq 5dならば\sqrt{{y_k}^2+d}-y_k\lt\dfrac{1}{10}と考えられますね.
また, この\sqrt{{y_k}^2+d}-y_k\lt\dfrac{1}{10}を,
\dlim_{k\to \infty}\left(\sqrt{{y_k}^2+d}-y_k\right)=0を根拠として示すのもいいと思います.
別解に移ります.
1つ目は, n\sqrt{2}の小数第1位が0であるnを見つけて, その整数倍の小数部分に着目する方法です.
(2) 別解1
7=\sqrt{49}\lt 5\sqrt{2}=\sqrt{50}\lt 7.1=\sqrt{50.41}より,
n=5のときn\sqrt{2}の小数第1位は0である.
ここで, 5\sqrt{2}-7は無理数だから, 0\lt 5\sqrt{2}-7\lt\dfrac{1}{10}, \dfrac{1}{5\sqrt{2}-7}>10である.
そこで, 自然数からなる数列\{a_k\}で, 任意の自然数kに対しa_k\sqrt{2}の小数第1位が0であるようなものを, 次のようにして構成できる.
-
自然数kに対して\dfrac{k-1}{5\sqrt{2}-7}の整数部分をmとおけば,
\dfrac{k}{5\sqrt{2}-7}も無理数より, (10k\leqq)m\lt \dfrac{k}{5\sqrt{2}-7}\lt m+1, \dfrac{1}{m+1}\lt \dfrac{5\sqrt{2}-7}{k}\lt \dfrac{1}{m}なので, k\lt (5\sqrt{2}-7)(m+1)\lt \left(1+\dfrac{1}{m}\right)k\leqq k+\dfrac{1}{10} よって k+7(m+1)\lt 5(m+1)\sqrt{2}\lt k+7(m+1)+\dfrac{1}{10} であるから, 5(m+1)\sqrt{2}は整数部分がk+7(m+1)で, 小数第1位は0である.
このとき, a_k=k+7(m+1)と定める.
以上により定まる数列\{a_k\}は, kの増加とともにmも増加する(つまり狭義単調増加数列).
したがって, n\sqrt{2}の小数第1位が0になる自然数nが無数に存在することが示された. (終)
この解法に近い考え方で, 数式をあまり使わずに説明すれば,
「小数第1位が0である数を何回かたし続けると,
それらの小数第1位は0, 1, 2, 3, …, 9のすべてを順にとっていき,
9の次に小数第1位が変化すれば, その小数第1位は必ず0になる」
という風にも説明できると思います.
上に挙げた解法1では何回か足す代わりに, 直接"小数部分を何回たせば1を超えるか"を考える形をとっています.
実際に解法1の方法で数列\{a_k\}を最初の3項計算してみると,
-
\dfrac{1}{5\sqrt{2}-7}=5\sqrt{2}+7の整数部分は14だから, a_1=5(14+1)=75
1+7(14+1)=106で, 106=\sqrt{11236}\lt 75\sqrt{2}=\sqrt{11250}\lt 106.1=\sqrt{11257.21} -
\dfrac{2}{5\sqrt{2}-7}=10\sqrt{2}+14の整数部分は28だから, a_2=5(28+1)=145
2+7(28+1)=205で, 205=\sqrt{42025}\lt 145\sqrt{2}=\sqrt{42050}\lt 205.1=\sqrt{42066.01} -
\dfrac{3}{5\sqrt{2}-7}=15\sqrt{2}+21の整数部分は42だから, a_3=5(42+1)=215
3+7(42+1)=304で, 304=\sqrt{92416}\lt 215\sqrt{2}=\sqrt{92450}\lt 304.1=\sqrt{92476.81}
となります。
以降しばらく\dfrac{k}{5\sqrt{2}-7}の整数部分は14の倍数になりますが,
いつまでもそうではなく, k=15のとき,
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\dfrac{15}{5\sqrt{2}-7}=75\sqrt{2}+105の整数部分は211(≠14×15)だから, a_{15}=5(211+1)=1060
15+7(211+1)=1499で, 1499=\sqrt{2247001}\lt 1060\sqrt{2}=\sqrt{2247200}\lt 1499.1=\sqrt{2247300.81}
となります.
別解2です.
同じくn\sqrt{2}の小数第1位が0であるnを1つとって, そのあとに累乗を繰り返していきます.
(2) 別解2
7=\sqrt{49}\lt 5\sqrt{2}=\sqrt{50}\lt 7.1=\sqrt{50.41}より,
n=5のときn\sqrt{2}の小数第1位は0である.
すなわち, 0\lt 5\sqrt{2}-7\lt\dfrac{1}{10}であるので,
任意の自然数mに対し0\lt (5\sqrt{2}-7)^m\lt \dfrac{1}{10^m}\leqq \dfrac{1}{10}である.
以下, kを自然数とするとき, (5\sqrt{2}-7)^{2k-1}=a_k\sqrt{2}-b_kとなるような自然数a_k, b_kが存在することを, 数学的帰納法で示す.
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k=1のとき, (5\sqrt{2}-7)^1=5\sqrt{2}-7よりa_1=5, b_1=7.
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ある自然数kに対して(5\sqrt{2}-7)^{2k-1}=a_k\sqrt{2}-b_kとなるような自然数a_k, b_kが存在すると仮定すると, \begin{aligned} (5\sqrt{2}-7)^{2(k+1)-1}&=(5\sqrt{2}-7)^{2k-1}(5\sqrt{2}-7)^2=(a_k\sqrt{2}-b_k)(99-70\sqrt{2})\\ &=(99a_k+70b_k)\sqrt{2}-(140a_k+99b_k) \end{aligned} であり, a_{k+1}=99a_k+70b_k, b_{k+1}=140a_k+99b_kとおけばよい.
以上によって, 全ての自然数kに対して(5\sqrt{2}-7)^{2k-1}=a_k\sqrt{2}-b_kとなるような自然数a_k, b_kがあることがわかるが,
このとき0\lt a_k\sqrt{2}-b_k\lt \dfrac{1}{10}よりb_k\lt a_k\sqrt{2}\lt b_k+\dfrac{1}{10}であるので,
a_k\sqrt{2}は整数部分がb_kで, 小数第1位は0である.
また任意の自然数kに対してa_{k+1}\gt a_kであるから, n\sqrt{2}の小数第1位が0になる自然数nが無数に存在することが示された. (終)
先ほどは小数部分を足していったときを考えたのですが,今度はかけた場合を考えています。
ただし1回かけるだけとp-q\sqrt{2} (p, qは自然数)の形になってしまうので, 2回かけています.
ちなみに上の解法だとそのまま5\sqrt{2}-7どうしをかけましたが,
実際には正かつ1未満のものであればよいので,
たとえば5\sqrt{2}-7に(\sqrt{2}-1)^2を次々にかけていくのでも問題なく示せます.
最初からp-q\sqrt{2}型をかけるのでもよいですね(5\sqrt{2}-7に5-3\sqrt{2}を次々にかけていくなど).
なおいずれの解法でも, 背理法,
すなわち条件に合うnが有限個しかないと仮定した場合, nの最大値が取れるはずで,
そのnの最大値より大きな, 条件に合うnが作れて矛盾, という論法で証明可能です.
ただし, この場合にはnの最大値をとれるために,
条件に合うnが本当に存在することを断っておく必要があることに注意してください.
たとえば,
「自然数nで, ある自然数kを用いてn=\dfrac{2k+1}{2}と書けるnが無数にある」
は偽命題ですが,
nの存在そのものを確認しないでこの論法を用いようとすると,
-
このようなnの最大をとると, n=\dfrac{2k+1}{2}であるが,
n+1=\dfrac{2(k+1)+1}{2}>nより矛盾,
よってn=\dfrac{2k+1}{2}となる自然数kをとれるような自然数nは無数に存在する.
と言えてしまいます. もちろんそんなnは1つも存在しません.
つまり, 有限個のものの最大値・最小値をとる場合には,
そもそもそれが本当に1つでも存在することが言えないとならないということになります.
あとこの問題には「ペル方程式」x^2-dy^2=\pm 1 (dは整数) が絡んでいます.
本解がまさに2x^2-y^2=1の解を無数に与えてくれています.
この「ペル方程式」に絡んだ入試問題もたまに出題されるようなので,
興味があったら是非調べてみてください.
次回は理系第3問です。
文型の問題は1つ記事をはさんで第4問(理型第4問)を解説予定です。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた。
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