TomoKです。
今日は「第1回垂れ流し模試」の第5問を解説します。

第5問は座標幾何です。
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問題の設定をfunction viewで再現 |
C_1よりも下側(領域y<x^2)にある点からは、
常に2本の接線が引けます(この証明は後述)。
領域y<x^2に含まれる曲線C_2 : y=\log xに対して、
曲線C_2上の点PからC_12本の垂線とC_1との接点Q, Rが取れます。
そこで、Pが曲線C_2上を動く回るとき、
直線QRの通過する領域を求める問題です。
まず、直線QRはPに依存して決まります。
P(p, \log p) (ただしp>0), Q(q, q^2), R(r, r^2) (ただしq\neq r)
とおいたとき、
直線QRがPのx座標pにかかわって、
どんな直線になるか考えていきましょう。
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放物線C1に、C1の下側の点Pからひける接線PQ,PRと 接点を通過する直線PR |
ここで、C_1の式y=x^2をxについて微分すると、
y'=2xとなります。
よって、QにおけるC_1の接線の方程式は、
y-q^2=2q(x-q) すなわち、 y=2qx-q^2 (…①)
となります。
同様に、RにおけるC_1の接線の方程式は、y=2rx-r^2 (…②)です。
Pは結局、2直線①,②の交点なので、
①と②を連立させて解くと、p, q, rの関係が得られます。
①と②より
\begin{aligned} 2qx-q^2&=2rx-r^2\\ 2qx-2rx&=q^2-r^2\\ 2(q-r)x&=(q-r)(q+r) \end{aligned}
q\neq rよりq-r\neq 0なので、
両辺をq-rでわって、x=\dfrac{q+r}{2}
これを①に代入すると、
y=2q\cdot \dfrac{q+r}{2}-q^2=qr
となります。
すなわち、Pの座標をQ, Rを用いて表すと、
\left(\dfrac{q+r}{2}, qr\right)です。
ですが、もともとPの座標は(p, \log p)でしたから結局、
p=\dfrac{q+r}{2} (…③) \log p=qr (…④)
となります。
次に直線QRの方程式をpで表してみましょう。
QRの傾きは \dfrac{q^2-r^2}{q-r}=\dfrac{(q-r)(q+r)}{q-r}=q+r だから、
QRの方程式は、
y-q^2=(q+r)(x-q) すなわち、 y=(q+r)x-qr
です。
ここで③と④から、
QRの式はpを用いて、y=2px-\log p (…⑤)
と書けます。
(ちなみに、この式を導くのは、
①と②の交点を出さなくても、
次のようにできます。
①と②がいずれもP(p, \log p)を通るので、
\log p=2pq-q^2 ⇔ q^2=2pq-\log p
かつ
\log p=2pr-r^2 ⇔ r^2=2pr-\log p
が成り立ちますが、
これは直線y=2px-\log pが2点Q(q, q^2), R(r, r^2)を
通ることを意味します。)
さて、これでPの位置と直線QRの関係性がわかりました。
ここからPのx座標pをp>0の範囲で動かして
直線QRの通過領域を求めていきましょう。
そのために、通過領域上の点を(s, t)として、
sとtの満たす不等式を導いていきます。
通過領域上の点(s, t)では、
直線⑤が(s, t)を通るようなp>0が存在します。
直線⑤が(s, t)を通るとき、t=2sp-\log p
すなわち2sp-\log p-t=0が成り立つので、
結局、2sp-\log p-t=0 (…⑥) となるp>0が存在することになります。
⑥の左辺をpの関数
f(p)=2sp-\log p-t (p>0)とみると、
f(p)=0となるようなs, tの条件を調べることなります。
f(p)の挙動を調べるため、pで微分すると、
\dfrac{df}{dp}(p)=2s-\dfrac{1}{p}
となります。
ここでp>0であることから、
\dfrac{df}{dp}(p)=0となるpがあるかどうかが、
sによって分かれることがわかります。
(i) s\leqq 0のとき
2s\leqq 0より
p>0で常に\dfrac{df}{dp}(p)<0です。
つまりf(p)はp>0で常に減少します。
ここで極限も調べますと、
\dlim_{p\to +0}f(p)=\infty, \dlim_{p\to \infty}=-\infty
となるので、
f(p)はp>0の範囲ですべての実数値をとるので,
f(p)=0となるp>0が必ず存在します。
つまり、s\leqq 0のときは(tにかかわらず)
⑥を満たすp>0は存在します。
(ii) s>0のとき
2s>0より
\dfrac{df}{dp}(p)=2s-\dfrac{1}{p}=0
となるpは、p=\dfrac{1}{2s}です。
増減表は次の通りになります。

また、
\dlim_{p\to +0}f(p)=\inftyなので、
f\left(\dfrac{1}{2s}\right)\leqq 0であれば、
f(p)=0となるpが0<p<\dfrac{1}{2s}の範囲に見つかります。
一方、f\left(\dfrac{1}{2s}\right)>0の場合、
f(p)=0となるp>0は存在しないことになります。
f\left(\dfrac{1}{2s}\right)=2s\cdot \dfrac{1}{2s}-\log \dfrac{1}{2s}-t=1+\log 2s-t
なので、
s>0の場合で⑥を満たすp>0が存在するのは、
1+\log 2s-t\leqq 0 すなわち t\geqq 1+\log 2s のとき
になります。
(i), (ii)から、
⑥を満たすp>0が存在するのは、
s\leqq 0 または (s>0かつt\geqq 1+\log 2s)
のときであることがわかります。
このsをxで、tをyで置き換えたもの、すなわち
\bold{x\leqq 0} または (\bold{x>0}かつ\bold{y\geqq 1+\log 2x})
が、xy平面上における直線QRの通過領域になります。
(ちなみにこれはx\leqq \dfrac{e^{y-1}}{2}と同値)
これを図示すると、次のようになります。
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直線QRの通過領域(斜線部, 境界含む) logが斜体なのは仕様 |
中堅~難関レベルの大学だとよく問われるテーマだと思います。
図形の通過領域の問題は、
図形の方程式を満たす点の存在領域の問題に帰着するのがポイントになるわけですね。
C_2上の点からC_1に2本の接線がひけることの証明
放物線C_1の下側(領域y<x^2)にある点からは、C_1にちょうど2本の接線が引けることの証明をしておきましょう。
それには、上で出てきた接線の方程式①がカギになります。
すなわち、Q(q, q^2)におけるC_1の接線の方程式は
y=2qx-q^2 だったのでした。
点(a, b)が放物線C_1の下側にあるとしましょう。
すなわち、b<a^2です。
上の接線の方程式において、
異なるqに対し得られる接線が異なることから、
b=2qa-q^2 を満たす、そのまま
(a, b)からC_1にひける接線の本数に一致するはずです。
これをqの方程式と思って変形すれば、
q^2-2aq+b=0 (…(*))
となります。
このqの(2次)方程式の判別式をDとおくと、
qの係数2aより\dfrac{D}{4}を用いて、
\dfrac{D}{4}=(-a)^2-b=a^2-b
となります。
が、いまb<a^2ですから、
\dfrac{D}{4}=a^2-b>0
となり、(*)は異なる2つの実数解をもつことがわかります。
すなわち、C_1の下側の点からC_1に
異なる2本の接線が引けることがわかりました。
自然対数のグラフC_2:y=\log xは、
放物線C_1:y=x^2より下側にあります。
なぜなら、f(x)=x^2-\log xとおけば、
f'(x)=2x-\dfrac{1}{x}=\dfrac{2x^2-1}{x}から
f(x)は0<x\leqq \dfrac{1}{\sqrt{2}}で減少、x\geqq \dfrac{1}{\sqrt{2}}で増加し、
f\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right)=\dfrac{1}{2}(1+\log 2)>0
となり、結局x>0全体で、
f(x)=x^2-\log x>0 すなわち x^2>\log xだからです。
となると、C_2上の点はすべてC_1の下側にあるので、
C_2上の点からC_1には、必ず2本接線が引けます。
接線の本数に関する問題も、
大学入試では出題されることがあるので、
ぜひ理解して、解けるようにしておきたいです。
ということで、第5問の解説は以上です。
次回は第6問の解説をします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた!
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