2019年1月31日

【第1回垂れ流し模試】第5問解説

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今日は「第1回垂れ流し模試」の第5問を解説します。





第5問は座標幾何です。

問題の設定をfunction viewで再現
放物線$C_1 : y=x^2$には、
$C_1$よりも下側(領域$y<x^2$)にある点からは、
常に2本の接線が引けます(この証明は後述)。

領域$y<x^2$に含まれる曲線$C_2 : y=\log x$に対して、
曲線$C_2$上の点Pから$C_1$2本の垂線と$C_1$との接点Q, Rが取れます。

そこで、Pが曲線$C_2$上を動く回るとき、
直線QRの通過する領域を求める問題です。

まず、直線QRはPに依存して決まります。
P(p, \log p) (ただし$p>0$), Q$(q, q^2)$, R$(r, r^2)$ (ただし$q\neq r$)
とおいたとき、
直線QRがPの$x$座標$p$にかかわって、
どんな直線になるか考えていきましょう。

放物線C1に、C1の下側の点Pからひける接線PQ,PRと
接点を通過する直線PR
PはQ, Rそれぞれにおける$C_1$の接線の交点とみることができます。
ここで、$C_1$の式$y=x^2$を$x$について微分すると、
$y'=2x$となります。
よって、Qにおける$C_1$の接線の方程式は、
$y-q^2=2q(x-q)$ すなわち、 $y=2qx-q^2$ (…①)
となります。
同様に、Rにおける$C_1$の接線の方程式は、$y=2rx-r^2$ (…②)です。

Pは結局、2直線①,②の交点なので、
①と②を連立させて解くと、$p$, $q$, $r$の関係が得られます。

①と②より
$\begin{aligned}
2qx-q^2&=2rx-r^2\\
2qx-2rx&=q^2-r^2\\
2(q-r)x&=(q-r)(q+r)
\end{aligned}$
$q\neq r$より$q-r\neq 0$なので、
両辺を$q-r$でわって、$x=\dfrac{q+r}{2}$
これを①に代入すると、
$y=2q\cdot \dfrac{q+r}{2}-q^2=qr$
となります。

すなわち、Pの座標をQ, Rを用いて表すと、
$\left(\dfrac{q+r}{2}, qr\right)$です。

ですが、もともとPの座標は$(p, \log p)$でしたから結局、
$p=\dfrac{q+r}{2}$ (…③) $\log p=qr$ (…④)
となります。

次に直線QRの方程式を$p$で表してみましょう。
QRの傾きは $\dfrac{q^2-r^2}{q-r}=\dfrac{(q-r)(q+r)}{q-r}=q+r$ だから、
QRの方程式は、
$y-q^2=(q+r)(x-q)$ すなわち、 $y=(q+r)x-qr$
です。
ここで③と④から、
QRの式は$p$を用いて、$y=2px-\log p$ (…⑤)
と書けます。

(ちなみに、この式を導くのは、
①と②の交点を出さなくても、
次のようにできます。
①と②がいずれもP$(p, \log p)$を通るので、
$\log p=2pq-q^2$ ⇔ $q^2=2pq-\log p$
かつ
$\log p=2pr-r^2$ ⇔ $r^2=2pr-\log p$
が成り立ちますが、
これは直線$y=2px-\log p$が2点Q$(q, q^2)$, R$(r, r^2)$を
通ることを意味します。)

さて、これでPの位置と直線QRの関係性がわかりました。
ここからPの$x$座標$p$を$p>0$の範囲で動かして
直線QRの通過領域を求めていきましょう。

そのために、通過領域上の点を$(s, t)$として、
$s$と$t$の満たす不等式を導いていきます。

通過領域上の点$(s, t)$では、
直線⑤が$(s, t)$を通るような$p>0$が存在します。
直線⑤が$(s, t)$を通るとき、$t=2sp-\log p$
すなわち$2sp-\log p-t=0$が成り立つので、
結局、$2sp-\log p-t=0$ (…⑥) となる$p>0$が存在することになります。

⑥の左辺を$p$の関数
$f(p)=2sp-\log p-t$ (p>0)とみると、
$f(p)=0$となるような$s, t$の条件を調べることなります。

$f(p)$の挙動を調べるため、$p$で微分すると、
$\dfrac{df}{dp}(p)=2s-\dfrac{1}{p}$
となります。

ここで$p>0$であることから、
$\dfrac{df}{dp}(p)=0$となる$p$があるかどうかが、
$s$によって分かれることがわかります。

(i) $s\leqq 0$のとき

$2s\leqq 0$より
$p>0$で常に$\dfrac{df}{dp}(p)<0$です。
つまり$f(p)$は$p>0$で常に減少します。

ここで極限も調べますと、
$\dlim_{p\to +0}f(p)=\infty$, $\dlim_{p\to \infty}=-\infty$
となるので、
$f(p)$は$p>0$の範囲ですべての実数値をとるので,
$f(p)=0$となる$p>0$が必ず存在します。

つまり、$s\leqq 0$のときは($t$にかかわらず)
⑥を満たす$p>0$は存在します。

(ii) $s>0$のとき

$2s>0$より
$\dfrac{df}{dp}(p)=2s-\dfrac{1}{p}=0$
となる$p$は、$p=\dfrac{1}{2s}$です。

増減表は次の通りになります。



また、
$\dlim_{p\to +0}f(p)=\infty$なので、
$f\left(\dfrac{1}{2s}\right)\leqq 0$であれば、
$f(p)=0$となる$p$が$0<p<\dfrac{1}{2s}$の範囲に見つかります。

一方、$f\left(\dfrac{1}{2s}\right)>0$の場合、
$f(p)=0$となる$p>0$は存在しないことになります。

$f\left(\dfrac{1}{2s}\right)=2s\cdot \dfrac{1}{2s}-\log \dfrac{1}{2s}-t=1+\log 2s-t$
なので、
$s>0$の場合で⑥を満たす$p>0$が存在するのは、
$1+\log 2s-t\leqq 0$ すなわち $t\geqq 1+\log 2s$ のとき
になります。

(i), (ii)から、
⑥を満たす$p>0$が存在するのは、
$s\leqq 0$ または ($s>0$かつ$t\geqq 1+\log 2s$)
のときであることがわかります。

この$s$を$x$で、$t$を$y$で置き換えたもの、すなわち
$\bold{x\leqq 0}$ または ($\bold{x>0}$かつ$\bold{y\geqq 1+\log 2x}$)
が、$xy$平面上における直線QRの通過領域になります。
(ちなみにこれは$x\leqq \dfrac{e^{y-1}}{2}$と同値)

これを図示すると、次のようになります。

直線QRの通過領域(斜線部, 境界含む)
logが斜体なのは仕様
条件を満たす点の存在領域の問題も、
中堅~難関レベルの大学だとよく問われるテーマだと思います。
図形の通過領域の問題は、
図形の方程式を満たす点の存在領域の問題に帰着するのがポイントになるわけですね。

$C_2$上の点から$C_1$に2本の接線がひけることの証明

放物線$C_1$の下側(領域$y<x^2$)にある点からは、
$C_1$にちょうど2本の接線が引けることの証明をしておきましょう。

それには、上で出てきた接線の方程式①がカギになります。
すなわち、Q$(q, q^2)$における$C_1$の接線の方程式は
$y=2qx-q^2$ だったのでした。

点$(a, b)$が放物線$C_1$の下側にあるとしましょう。
すなわち、$b<a^2$です。
上の接線の方程式において、
異なる$q$に対し得られる接線が異なることから、
$b=2qa-q^2$ を満たす、そのまま
$(a, b)$から$C_1$にひける接線の本数に一致するはずです。

これを$q$の方程式と思って変形すれば、
$q^2-2aq+b=0$ (…(*))
となります。
この$q$の(2次)方程式の判別式を$D$とおくと、
$q$の係数$2a$より$\dfrac{D}{4}$を用いて、
$\dfrac{D}{4}=(-a)^2-b=a^2-b$
となります。

が、いま$b<a^2$ですから、
$\dfrac{D}{4}=a^2-b>0$
となり、(*)は異なる2つの実数解をもつことがわかります。
すなわち、$C_1$の下側の点から$C_1$に
異なる2本の接線が引けることがわかりました。

自然対数のグラフ$C_2:y=\log x$は、
放物線$C_1:y=x^2$より下側にあります。
なぜなら、$f(x)=x^2-\log x$とおけば、
$f'(x)=2x-\dfrac{1}{x}=\dfrac{2x^2-1}{x}$から
$f(x)$は$0<x\leqq \dfrac{1}{\sqrt{2}}$で減少、$x\geqq \dfrac{1}{\sqrt{2}}$で増加し、
$f\left(\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right)=\dfrac{1}{2}(1+\log 2)>0$
となり、結局$x>0$全体で、
$f(x)=x^2-\log x>0$ すなわち $x^2>\log x$だからです。

となると、$C_2$上の点はすべて$C_1$の下側にあるので、
$C_2$上の点から$C_1$には、必ず2本接線が引けます。

接線の本数に関する問題も、
大学入試では出題されることがあるので、
ぜひ理解して、解けるようにしておきたいです。

ということで、第5問の解説は以上です。

次回は第6問の解説をします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた!

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