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2019年1月29日

【第1回垂れ流し模試】第3問解説

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回は「第1回垂れ流し模試」の第3問の解説です。




第3問は図形の証明です。

初等幾何でも何とかできると思いますが、
手っ取り早いのはベクトル(あるいは複素平面)による方法だと思います。

で、この問題ですが、
もしAD, BE, CFが1点で交わるとすれば、
なんとなくそれらの中点で交わる気がしませんか?

平行四辺形は点対称な図形なので、
この六角形も、AD, BE, CFの中点が一致して、
その点に対して点対称であるような気がすると思います。

そこで、そのことを見込んで作戦を立てるのも大いに有効だと思います。

さて、ベクトルで行う場合、
六角形の6つの頂点に向かうベクトルを設定するのが簡単です。

さらに、上の青網掛けの作戦を考えて、
AD, BE, CFのいずれかの中点を基準点(\vec{0}となる点)にすると
少し楽になります。

ここでは、CFの中点をOとし、
Oを基準にして、
\vector{OA}=\vec{a}, \vector{OB}=\vec{b},
\vector{OC}=\vec{c},\vector{OD}=\vec{d},
\vector{OE}=\vec{e}, \vector{OF}=\vec{f}
と設定して考えてみましょう。

ここで、OはCFの中点なので、
\dfrac{\vec{c}+\vec{f}}{2}=\vector{OO}=\vec{0} ゆえに \vec{f}=-\vec{c} (…①)
がわかります。

また、K, L, M, NはそれぞれBC, CD, EF, FAの中点ですから、
\vector{OK}=\dfrac{\vec{b}+\vec{c}}{2}, \vector{OL}=\dfrac{\vec{c}+\vec{d}}{2},
\vector{OM}=\dfrac{\vec{e}+\vec{f}}{2}=\dfrac{\vec{e}-\vec{c}}{2}, \vector{ON}=\dfrac{\vec{f}+\vec{a}}{2}=\dfrac{-\vec{c}+\vec{a}}{2}
です。

さらに、四角形AKDM平行四辺形なので、
\vector{AK}=\vector{MD}が成り立ちますが、
これを変形すれば、
\vector{OK}-\vector{OA}=\vector{OD}-\vector{OM}
\dfrac{\vec{b}+\vec{c}}{2}-\vec{a}=\vec{d}-\dfrac{\vec{e}-\vec{c}}{2}
ゆえに、 \vec{a}+\vec{d}=\dfrac{\vec{b}+\vec{e}}{2} (…②)
がわかります。

同様に、四角形BLENも平行四辺形なので、
\vector{BL}=\vector{NE}
\vector{OL}-\vector{OB}=\vector{OE}-\vector{ON}
\dfrac{\vec{c}+\vec{d}}{2}-\vec{b}=\vec{e}-\dfrac{-\vec{c}+\vec{a}}{2}
ゆえに、 \vec{b}+\vec{e}=\dfrac{\vec{a}+\vec{d}}{2} (…③)
がわかります。

ここまでが問題の設定を式で表したところ。

さて、上の方でも(青い網掛けのところ)お話ししたとおり、
AD, BE, CFがそれぞれの中点で交われば都合がよさそうです。
CFの中点がOですから、ここで目指すべきは

\dfrac{\vec{a}+\vec{d}}{2}=\dfrac{\vec{b}+\vec{e}}{2}=\vec{0}

ということが言えればほとんどゴールです。

ですが、もう見えていますね。
③を②へ代入しますと、
\vec{a}+\vec{d}=\dfrac{1}{2}\left(\dfrac{\vec{a}+\vec{d}}{2}\right)=\dfrac{\vec{a}+\vec{d}}{4}
ゆえ、 \dfrac{3}{4}(\vec{a}+\vec{d})=\vec{0} が得られ、
この両辺に\dfrac{2}{3}をかければ、
\dfrac{\vec{a}+\vec{d}}{2}=\vec{0} (…④)
が出てきます。

同じように、今度は②を③へ代入して変形することで
\dfrac{3}{4}(\vec{b}+\vec{e})=\vec{0}が出まして、
やはり両辺に\dfrac{2}{3}をかければ、
\dfrac{\vec{b}+\vec{e}}{2}=\vec{0} (…⑤)
が出てきます。

(もちろん⑤を導くのに、
④から得られる\vec{a}+\vec{d}=\vec{0}
②に代入してもいいでしょう。)

④と⑤から、
ADとBEの中点はO、すなわちCFの中点に一致します。
六角形のでき方から、3直線AD, BE, CFがすべて一致することはないので、
このことは、
AD, BE, CFが、それぞれの中点において交わる
ということを意味し、証明が終わります。

別解

さて、上の本解では、
六角形の6つの頂点に向かうベクトルを設定しました。
しかし、もし問題の言うようにAD, BE, CFが1点で交わるならば、
その交点からD, E, Fへ向かうベクトルは、
それぞれA, B, Cへ向かうベクトルで表せるはずです。

そこで、例えばADとCFの交点をPとし、
\vector{PA}=\vec{x}, \vector{PB}=\vec{y},
\vector{PC}=\vec{z} とおいて、
他の点を\vec{x}, \vec{y}, \vec{z}と表しましょう。

まず、D, E, Fはそれぞれ、PA, PB, PC上にあるので、
\vector{PD}=k\vec{x}, \vector{PE}=l\vec{y}, \vector{PF}=m\vec{z}
となる実数k, l, mが存在します。

次に、K, L, M, NはそれぞれBC, CD, EF, FAの中点だから、
\vector{PK}=\dfrac{\vec{y}+\vec{z}}{2}, \vector{PL}=\dfrac{\vec{c}+\vector{PD}}{2}=\dfrac{k\vec{x}+\vec{z}}{2},
\vector{PM}=\dfrac{\vector{PE}+\vector{PF}}{2}=\dfrac{l\vec{y}+m\vec{z}}{2},
\vector{PN}=\dfrac{\vector{PF}+\vector{PA}}{2}=\dfrac{\vec{x}+m\vec{z}}{2}
と表せます。

さらに、四角形AKDMは平行四辺形だから、
\vector{AK}=\vector{MD}より、
\vector{PK}-\vector{PA}=\vector{PD}-\vector{PM}
\dfrac{\vec{y}+\vec{z}}{2}-\vec{x}=k\vec{x}-\dfrac{l\vec{y}+m\vec{z}}{2}
ゆえに、
(k+1)\vec{x}-\dfrac{l+1}{2}\vec{y}-\dfrac{m+1}{2}\vec{z}=\vec{0} (…②)

また、四角形BLENも平行四辺形だから、\vector{BL}=\vector{NE}より、
\vector{PL}-\vector{PB}=\vector{PE}-\vector{PN}
\dfrac{k\vec{x}+\vec{z}}{2}-\vec{y}=l\vec{y}-\dfrac{\vec{x}+m\vec{z}}{2}
ゆえに、
\dfrac{k+1}{2}\vec{x}-(l+1)\vec{y}+\dfrac{m+1}{2}\vec{z}=\vec{0} (…③)
となります。

ここで、②×2-③より
\dfrac{3}{2}(k+1)\vec{x}-\dfrac{3}{2}(m+1)\vec{z}=\vec{0}
\vec{x}\neq 0, \vec{y}\neq 0で、\vec{x}\vec{z}は平行でないので、
\dfrac{3}{2}(k+1)=-\dfrac{3}{2}(m+1)=0
したがって、k=m=-1 が出てきます。

すると、③から、-(l+1)\vec{y}=\vec{0}
これを変形すると、\vec{y}=-l\vec{y},
よって\vector{PB}=-\vector{PE}です。
もちろんB, Eは一致しないので、
これはBEがAD, CFの交点Pを通ることを意味することになります。

初等幾何だと論証が面倒になりそうな事柄も、
代数的な操作によって正しいことが確認できることは、
ベクトルの大きな利点の1つだと思います。

そんなわけで、第3問の解説はここまでです。

次回は第4問の解説です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた!

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