2019年1月28日

【第1回垂れ流し模試】第2問解説

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回は「第1回垂れ流し模試」の2問目解説です。





第2問は整数問題でした。
早速解説します。

$\sqrt{n}$, $\sqrt{n+88}$, $\sqrt{2n-d}$が全て整数となるような$n$が存在する

というのが条件ですが、
そもそも$\sqrt{n}$と$\sqrt{n+88}$の2つが整数になるような$n$が限られてくるので、
まずそのような$n$を探して、
その$n$に対して$\sqrt{2n-d}$が整数になるような$d$を求めればいいでしょう。

$\sqrt{n}$と$\sqrt{n+88}$がいずれも整数になるとき、
ある0以上の整数$k, l$を用いて、
$n=k^2$ (…①) かつ $n+88=l^2$ (…②)
と書けます。

この2式から$n$を消去すると、
$k^2+88=l^2$
さらに変形すると、$l^2-k^2=88$ (…③)
左辺を因数分解すると、$(l+k)(l-k)=88$ (…④)
となります。
これを満たす$k, l$を求めれば、
①から$n$がわかります。

さて、④より$l+k$, $l-k$は積が88となる2整数です。
ここで、そのまま88を2整数の積に分解してもよいのですが、
少し工夫するとその候補も絞れます。

まず$k, l\geqq 0$で、③から$l>k$,
よって$0<l-k<l+k$です。

次に、$(l+k)-(l-k)=2k$ですから、
$l+k$と$l-k$は偶奇が一致します。
この2つの積が88、つまり偶数なので、
特に$l+k$, $l-k$はともに偶数です。

そこで、88を2つの正の偶数の積に分けると、
$88=2\cdot 44=4\cdot 22$
の2通りにのみ書けます。

つまり、$l+k$, $l-k$としてありうる場合は
$\left\{
\begin{array}{l}
l+k=44\\
l-k=2
\end{array}
\right.$ または $\left\{
\begin{array}{l}
l+k=22\\
l-k=4
\end{array}
\right.$
のいずれかになります。
これらから, $k$, $l$としてありうるのは、
$(k, l)=(21, 23), (9, 13)$
の2通りであることがわかります。

よって結局、①から、
$\sqrt{n}$と$\sqrt{n+88}$がいずれも整数となるような$n$は、
$n=21^2=441$ または $n=9^2=81$ のいずれか
だということがわかりました。

これで$n$が絞れたので、
実際に$n=441$と$n=81$のそれぞれについて、
$\sqrt{2n-d}$が整数になるような$d$の個数を調べましょう。

(i) $n=441$のとき

$\sqrt{2n-d}=\sqrt{882-d}$なので、これが整数であるとき、
ある0以上の整数$m$を用いて$882-d=m^2$と書けます。
これを変形すると$d=882-m^2$となります。

ここで、$d$が自然数となるには
$1\leqq d=882-m^2$ すなわち $m^2\leqq 881$
でなければなりません。
$29^2=841<881<900=30^2$なので、
結局$m$は0以上29以下の整数となるはずです。

したがって、$\sqrt{882-d}$が整数になるような自然数$d$は,
$d=882-0^2, 882-1^2, 882-2^2, \cdots , 882-29^2$
となります。
これら$d$の個数は$29-0+1=30$個で、どの2つも異なっています。

(ii) $n=81$のとき、

$\sqrt{2n-d}=\sqrt{162-d}$なので、これが整数であるとき、
ある0以上の整数$m'$を用いて$162-d={m'}^2$と書けます。
これを変形すると$d=162-{m'}^2$となります。

(i)と同様、$d$が自然数となるには
$1\leqq d=162-m^2$ すなわち $m^2\leqq 161$
でなければなりません。
$12^2=144<161<169=13^2$なので、
結局$m$は0以上13以下の整数となるはずです。

したがって、$\sqrt{162-d}$が整数になるような自然数$d$は,
$d=162-0^2, 162-1^2, 162-2^2, \cdots , 162-12^2$
となります。
これら$d$の個数は$12-0+1=13$個で、どの2つも異なっています。

以上で、
$n=441$に対応する$d$の個数30個、
$n=81$に対応する$d$の個数13個、
よって、問題の条件を満たす$d$は$30+13=43$個!


と、早合点しないでください!!

確かに、$n=441$に対応する$d$の個数と、
$n=81$に対応する$d$の個数は求めましたが、

この2つの両方に対応するような$d$があれば、
その重複分を除かなければなりません!!

(実はこの点を狙って出題した節もある)

と、いうことで
両方に対応する$d$を探します。

(i)では $d=882-m^2$ ($0\leqq m\leqq 29$)
(ii)では $d=162-{m'}^2$ ($0\leqq m'\leqq 12$)
でした。

両方に対応する$d$があれば、これら2つが等しいので、
$882-m^2=162-{m'}^2$
が成り立ちます。
これを変形すると、
$m^2-{m'}^2=720$ ゆえに $(m+m')(m-m')=720$
です。

これはさっきの$n$を探したときの、
$k, l$と似た絞り方ができそうです。

つまり、
まず$0\leqq m\leqq 29$, $0\leqq m'\leqq 12$より
$0\leqq m+m'\leqq 41$
積が正の2数の一方が0以上なら、もう一方は正だから、
とくに$0<m-m'\leqq m+m'\leqq 41$

また,
$(m+m')-(m-m')=2m'$より
$m+m'$, $m-m'$は偶奇が一致し、
積が720つまり偶数だから、
これら2つは特にいずれも偶数

ここで720を2つの41以下の正の偶数の積に分解すると、
$720=18\cdot 40=20\cdot 36=24\cdot 30$
の3通りのみにかけるので、
$m+m'$, $m-m'$としてありうるのは、

$\left\{
\begin{array}{l}
m+m'=40\\
m-m'=18
\end{array}
\right.$, $\left\{
\begin{array}{l}
m+m'=36\\
m-m'=20
\end{array}
\right.$ または, $\left\{
\begin{array}{l}
m+m'=30\\
m-m'=24
\end{array}
\right.$
のいずれか。

よって、$m, m'$としては
$(m, m')=(29, 11), (28, 8), (27, 3)$
の3通り。
したがって、
(i), (ii)の場合で重複する$d$は3つあることになります。

(上の$m, m'$から、この重複する$d$を求めると、
$d=41, 98, 153$が出てきます。)

したがって、
問題の条件を満たす$d$の個数は、
$30+13-3=\bold{40個}$が正解になります。

$n$を求めて、
それぞれの$n$に対して、条件に合う$d$を求めるまではいいのですが、

2つある$n$の両方に対して条件を満たす$d$があることに
気づいたかどうかで、差が開く問題だと思います。

気づいたとして、最初と同じような処理をする羽目になるというところは
厄介に感じた方もいたかもしれませんが。

もちろん、各方程式の整数解を工夫して求めるところも、
こういった問題を効率よくクリアするための1つの方策なので、
大事にしてほしいと思います。

ということで第2問解説は以上です。

次回数学記事では第3問を解説予定です。
お楽しみに!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた!

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