TomoKです。
今日は「第1回垂れ流し模試」の第4問を解説します。

第4問は積分を用いた立体の体積です。
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四角形ABCDの様子(geogebraで再現) 赤:x軸 緑:y軸 青:z軸 画像はa=b=2の場合 |
回転軸であるz軸に垂直な平面z=0に関して対称なので、
できる立体も、平面z=0に関して対称だといえます。
よって、四角形ABCDのz\geqq 0の部分(=△ABC)を
z軸の周りに回転させてできる立体の体積をV'とすれば、
V=2V'となるので、
V'を求めればVが求められます。
さて、回転体の場合、最も基本となる公式は、
おそらく次のものでしょう。
a<bとする。関数f(x)はa\leqq x\leqq bで常にf(x)\geqq 0であるとする。
xy平面上の曲線y=f(x)とx軸, および2直線x=a, x=bとで囲まれた図形を、
x軸のまわして1回転させて得られる立体の体積は、
\pi \dint_a^b \{f(t)\}^2 dt で与えられる。
xy平面上の曲線y=f(x)とx軸, および2直線x=a, x=bとで囲まれた図形を、
x軸のまわして1回転させて得られる立体の体積は、
\pi \dint_a^b \{f(t)\}^2 dt で与えられる。
しかし、上の公式は、
回転軸が、回転させる図形と同じ平面に含まれていないと適用できません。
問題の立体は、平面図形の回転で得られますが、
回転軸が、回転させる図形(四角形ABCD)と同じ平面に乗っていないので、
上の公式は使えません。
ではどうするか?
この公式は特別な場合で、
一般の立体の場合には次の公式が使えます。
a<bとする。
xyz平面上にある立体Pがあるとき、
平面x=t (a\leqq t\leqq b)によるPの断面積がS(t)で与えられるとき、
Pのa\leqq x\leqq bの部分の体積は
\dint_a^b S(t) dtで与えられる。
xyz平面上にある立体Pがあるとき、
平面x=t (a\leqq t\leqq b)によるPの断面積がS(t)で与えられるとき、
Pのa\leqq x\leqq bの部分の体積は
\dint_a^b S(t) dtで与えられる。
上の青網掛けの公式は、
この赤網掛けでS(t)=\pi\{f(t)\}^2とすることで
得られる公式だったのでした。
今回はこの赤網掛けを利用します。
ということは断面を考えればよいわけですが、
今回は図形をz軸の周りに1回転しているので、
断面はz軸に垂直な、平面z=tによる断面を考えるといいでしょう。
ただし、z\geqq 0の部分の体積V'を求める場合
z方向の最上点がB, 最下点がAおよびCであることから、
tの範囲は0\leqq t\leqq 2bとなります。
さて、平面z=tによる立体の断面は、
平面z=tによる四角形ABCDの断面を考えて、
それを、中心となるz軸を中心に回転させた図形を考えればいいでしょう。
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四角形ABCDと平面z=tとの交差部分は線分 |
上の図でいう線分PQになるはずです。
ここで、PはAB上のz=tとなる点であり、
ABはx=a, z=y+bとなる直線なので、
(y軸とz軸を四角形ABCDに平行移動してみるとわかりやすい)
Pのy座標はt-bです。
同じように、QはBC上のz=tとなる点で、
BCはx=a, z=-y+3bとなる直線なので、
Qのy座標は3b-tです。
以上から、線分PQは平面z=t上で、
直線x=aのt-b\leqq x\leqq 3b-tの部分(線分)
にあたることがわかり、
これが四角形ABCDの平面z=tによる断面になります。
この線分PQを、z軸との交点であるO'(0,0,t)に関して回転させれば、
問題の立体の平面z=tによる断面が得られます。
すると、立体の平面z=tによる断面は、
O'を中心に、「そこからの距離が最大になる線分PQ上の点」を通る円(内部および周)
から
O'を中心に、「そこからの距離が最小になる線分PQ上の点」を通る円の内部
を除いたもの
になることがわかります。
さて、これで断面積S(t)を考えればよいのですが、
実はS(t)はt=bを境に状況が分かれます。
(i) 0\leqq t\leqq bのとき
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四角形ABCDを平面z=tで切断した時の断面(0≦t≦b) |
最小なのは、O'からPQに下した垂線の足H(a,0,t)
{\rm O'Q}=\sqrt{a^2+(3b-t)^2}, {\rm O'H}=aより、
S(t)=\pi \left(\sqrt{a^2+(3b-t)^2}\right)^2-\pi a^2=\pi (3b-t)^2
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できる立体を平面z=tで切断した時の断面(0≦t≦b) |
(ii) b\leqq t\leqq 2bのとき
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四角形ABCDを平面z=tで切断した時の断面(b≦t≦2b) |
最小なのは、P(a,t-b,t)
{\rm O'Q}=\sqrt{a^2+(3b-t)^2}, {\rm O'P}=\sqrt{a^2+(t-b)^2}より、
\begin{aligned} S(t)=&\pi \left(\sqrt{a^2+(3b-t)^2}\right)^2-\pi \left(\sqrt{a^2+(t-b)^2}\right)^2\\ &=\pi (9b^2-6bt+t^2-t^2+2bt-b^2)\\ &=4\pi b(2b-t) \end{aligned}
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できる立体を平面z=tで切断した時の断面(b≦t≦2b) |
後は積分するだけです。
問題の立体のz\geqq 0の部分の体積V'は、
\begin{aligned} V'&=\dint_0^{2b}S(t) dt=\pi\dint_0^b(3b-t)^2 dt+4\pi b\dint_b^{2b}(2b-t) dt\\ &=\pi\left\{-\dfrac{1}{3}{\big[(3b-t)^3\big]}_0^b-2b{\big[(2b-t)^2\big]}_b^{2b}\right\}\\ &=\pi\left(-\dfrac{8b^3}{3}+9b^3+2b^3\right)=\dfrac{25}{3}\pi b^3 \end{aligned}
です。
よって、求める立体の体積Vは、
最初の対称性の話で書いた通りV=2V'ですから、
V=2\cdot \dfrac{25}{3}\pi b^3=\bold{\dfrac{50}{3}\pi b^3}
となります。
ちなみに、できる立体は下のようになります。


左が横から見た図で、右が斜め上の角度から見た図です。
できる立体は、外側が双曲面で、
内側の穴は中心付近が円柱、上下の穴の入り口も双曲面になっています。
一般に、直線を、それに垂直でないねじれの位置にある直線の周りに
1回転させると、双曲線を回転させてできる曲面(双曲面)ができます。
今回は四角形の各辺が回転軸にねじれているので、
全体的に双曲面が多い図形になっているわけですね。
このような、断面積を積分して体積を求める問題は、
入試でも毎年どこかの大学で出題されています。
難関大でも出ることはありますし、
簡単なものは中堅大学で出題されることもあるので、
チェックしておきたいところですね。
といったところで、第4問の解説はここまでです。
次回は第5問解説です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた!
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