皆さんこんにちは!
TomoKです。
今回は 第5回垂れ流し数学模試 の 理型第4問 を解説しようと思います。
理型 第4問
問題
関数f(x)は少なくともx\gt 0で微分可能であるとし, f(x)に関する次の2つの条件を考える.
条件A : | \dlim_{x\to\infty}f'(x)=0である. |
条件B : | ある実数aがあって, \dlim_{x\to\infty}f(x)=aである. |
以下の各命題に対し, その真偽を述べよ. また真であれば証明を行い, 偽であれば反例となるf(x)を挙げよ.
- 条件Aが成り立てば, 条件Bも成り立つ.
- 条件Bが成り立てば, 条件Aも成り立つ.
関数の極限が絡んだ命題の真偽を問う問題です.
極限については単純な計算をするのとは違い, イメージと共にきめ細かな理解が必要な分野の1つではないでしょうか.
そのようなきめ細かい理解ができているかを問題にしています.
解答のために考えること
f'(x)は各xにおけるグラフの接線の傾きを表すことをイメージとして持っておきましょう.
(1)については, しっかりと微積分を勉強した方なら, わりかし反例がすぐ思いつくのではないでしょうか.
考え方として, 例えばf(x)の逆関数f^{-1}(x)のグラフの接線の傾きが正の無限大に発散するような関数を考えれば, 反例が作れます.
この場合の例として, f^{-1}(x)=x^2ととればf(x)=\sqrt{x}を得ますし,
f^{-1}(x)=e^xをとればf(x)=\log{x}を得ます.
(2)はf(x)が収束するときに接線の傾きが0に収束するかどうかを検討しますが,
対偶の「接線の傾きが0に収束しないならばf(x)が収束しない」を考えてみましょう.
接線の傾きが正の値に収束するか, 正の無限大に発散すれば,
あるxより大きいところでは、この接線の傾きがある正の値kより大きくなるので,
f(x)は最終的に傾きkの一次関数(直線)よりも急な増え方になり, 正の無限大に発散します.
同様に, 接線の傾きが負の値に収束するか, 負の無限大に発散すれば,
f(x)は負の無限大に発散します.
残るパターンとして, 接線の傾きが振動する場合があげられます.
当然, 振動してもある正の値より大きい場合やある負の値より小さくなれば上記と話は同じなので,
接線の傾き\bold{f'(x)}が0をまたぐ形で(または0を含んで)振動するパターンが問題です.
接線の傾きが0をまたいで振動する関数として, 例えば\sin(x)があります((\sin{x})'=\cos{x})
ただこれだと元の関数も振動してしまいますので, ここに\dfrac{1}{x}をかけますが,
今度は\left(\dfrac{1}{x}\sin{x}\right)'=-\dfrac{1}{x^2}\sin{x}+\dfrac{1}{x}\cos{x}で接線が0に収束してしまいます.
そこでsinの引数をx^2にすると, (外に1/xをかけたので、中にxをかけるイメージ)
\left(\dfrac{1}{x}\sin(x^2)\right)'=-\dfrac{1}{x^2}\sin(x^2)+2\cos(x^2)となり
f(x)=\dfrac{1}{x}\sin{x^2}が1つの反例として見つかります.
もちろん, 反例となるf(x)を自分で構成してもいいと思います.
たとえば, xが増えるにしたがって, 傾きが0となる箇所が増えるのに,
一定以上の間隔で傾きが1になり, しかもf(x)は収束する, という例があります(別解).
自分で構成する場合, 微分可能な関数を接
続することになるかと思いますので,
接続点での微分可能性に気を付けて議論しましょう.
解答
-
偽である. \bold{f(x)=\sqrt{x}}が反例であることを示す.
f'(x)=\dfrac{1}{2\sqrt{x}}\xrightarrow{x\to\infty}0よりf(x)は条件Aを満たす.
一方, f(x)=\sqrt{x}\xrightarrow{x\to\infty}\inftyより, f(x)は条件Bを満たさない. -
偽である. \bold{f(x)=\dfrac{1}{x}\sin{x^2}}が反例であることを示す.
-1\leqq \sin(x^2)\leqq 1より-\dfrac{1}{x}\leqq f(x)\leqq \dfrac{1}{x}であり,
\dlim_{x\to\infty}\left(-\dfrac{1}{x}\right)=\dlim_{x\to\infty}\dfrac{1}{x}=0によりはさみうちの原理を使って, \dlim_{x\to\infty}f(x)=0
よって, a=0としてf(x)は条件Bを満たす.一方, f'(x)=\left(\dfrac{1}{x}\sin(x^2)\right)'=-\dfrac{1}{x^2}\sin(x^2)+2\cos(x^2)である.
nを自然数としてf'(\sqrt{2n\pi})=-\dfrac{1}{2n\pi}\sin(2n\pi)+2\cos(2n\pi)=2,
f'(\sqrt{(2n+1)\pi})=-\dfrac{1}{(2n+1)\pi}\sin((2n+1)\pi)+2\cos((2n+1)\pi)=-2,
また\dlim_{n\to\infty}\sqrt{2n\pi}=\infty, \dlim_{n\to\infty}\sqrt{(2n+1)\pi}=\inftyであることより,
f'(x)は振動する. つまり, f(x)は条件Aを満たさない.
では別解です.
別解
(反例と, それが反例であることの証明を示す).
f(x)を, 次を満たす関数として定義する.
\bold{ f(x)=
\left\{
\begin{array}{ll}
2^m(x-m)^2+1-\dfrac{1}{2^m}&\left(m\lt x\leqq m+\dfrac{1}{2^{m+1}} \right)\\
-2^m\left(x-m-\dfrac{1}{2^m}\right)^2+1-\dfrac{1}{2^{m+1}}&\left(m+\dfrac{1}{2^{m+1}}\lt x\leqq m+\dfrac{1}{2^m} \right)\\
1-\dfrac{1}{2^{m+1}}&\left(m+\dfrac{1}{2^{m}}\lt x\leqq m+1 \right)\\
\end{array}
\right.
}
(ただし, mは任意の0以上の整数)
このf(x)が確かに(2)の反例であることを示す.
まず, f(x)がx\gt 0で微分可能であることを確認する.
0以上の任意の整数mに対し,
x\neq m+\dfrac{1}{2^{m+1}}, m+\dfrac{1}{2^m}, m+1であれば, 明らかに微分可能である.
-
x=m+\dfrac{1}{2^{m+1}}のとき,
f\left(m+\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)=-2^m\cdot \dfrac{1}{2^{2m+2}}+1-\dfrac{1}{2^{m+1}}=1-\dfrac{3}{2^{m+2}}
-
0\lt h \lt \dfrac{1}{2^{m+1}}の範囲では
m+\dfrac{1}{2^{m+1}}\lt m+\dfrac{1}{2^{m+1}}+h\lt m+\dfrac{1}{2^m}だから,
f\left(m+\dfrac{1}{2^{m+1}}+h\right)-f\left(m+\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)
=-2^m\left\{\left(-\dfrac{1}{2^{m+1}}+h\right)^2-\left(-\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)^2\right\}
=h(1-2^mh)
よって,
\dlim_{h\to +0}\dfrac{f\left(m+\frac{1}{2^{m+1}}+h\right)-f\left(m+\frac{1}{2^{m+1}}\right)}{h}=\dlim_{h\to +0}(1-2^mh)=1 -
-\dfrac{1}{2^{m+1}}\lt h \lt 0の範囲では
m\lt m+\dfrac{1}{2^{m+1}}+h\lt m+\dfrac{1}{2^{m+1}}だから,
f\left(m+\dfrac{1}{2^{m+1}}+h\right)-f\left(m+\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)
=2^m\left(\dfrac{1}{2^{m+1}}+h\right)^2+1-\dfrac{1}{2^m}-\left(1-\dfrac{3}{2^{m+2}}\right)
=h(1+2^mh)
よって,
\dlim_{h\to -0}\dfrac{f\left(m+\frac{1}{2^{m+1}}+h\right)-f\left(m+\frac{1}{2^{m+1}}\right)}{h}=\dlim_{h\to -0}(1+2^mh)=1
-
0\lt h \lt \dfrac{1}{2^{m+1}}の範囲では
-
x=m+\dfrac{1}{2^{m}}のとき, f\left(m+\dfrac{1}{2^{m}}\right)=1-\dfrac{1}{2^{m+1}}
-
0\lt h \lt 1-\dfrac{1}{2^{m}}の範囲では
m+\dfrac{1}{2^{m}}\lt m+\dfrac{1}{2^{m}}+h\lt m+1だから,
f\left(m+\dfrac{1}{2^{m}}+h\right)-f\left(m+\dfrac{1}{2^{m}}\right)
=\left(1-\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)-\left(1-\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)=0
よって,
\dlim_{h\to +0}\dfrac{f\left(m+\frac{1}{2^m}+h\right)-f\left(m+\frac{1}{2^m}\right)}{h}=\dlim_{h\to +0}0=0 -
-\dfrac{1}{2^{m+1}}\lt h \lt 0の範囲では
m+\dfrac{1}{2^{m+1}}\lt m+\dfrac{1}{2^m}+h\lt m+\dfrac{1}{2^m}だから,
f\left(m+\dfrac{1}{2^m}+h\right)-f\left(m+\dfrac{1}{2^m}\right)
=-2^mh^2+1-\dfrac{1}{2^{m+1}}-\left(1-\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)
=-2^mh^2
よって,
\dlim_{h\to -0}\dfrac{f\left(m+\frac{1}{2^m}+h\right)-f\left(m+\frac{1}{2^m}\right)}{h}=\dlim_{h\to -0}(-2^mh)=0
-
0\lt h \lt 1-\dfrac{1}{2^{m}}の範囲では
-
x=m+1のとき, f(m+1)=1-\dfrac{1}{2^{m+1}}
-
0\lt h \lt \dfrac{1}{2^{m+2}}の範囲では
m+1\lt m+1+h\lt m+1+\dfrac{1}{2^{m+2}}だから,
f(m+1+h)-f(m+1)=2^mh^2
よって, \dlim_{h\to +0}\dfrac{f(m+1+h)-f(m+1)}{h}=\dlim_{h\to +0}2^mh=0 -
-1+\dfrac{1}{2^m}\lt h \lt 0の範囲では
m+\dfrac{1}{2^m}\lt m+1+h\lt m+1だから,
f(m+1+h)-f(m+1)=\left(1-\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)-\left(1-\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)=0
よって, \dlim_{h\to -0}\dfrac{f(m+1+h)-f(m+1)}{h}=\dlim_{h\to -0}0=0
-
0\lt h \lt \dfrac{1}{2^{m+2}}の範囲では
以上により, f(x)はx\gt 0で微分可能(ゆえ連続)である.
f(x)が条件Bを満たすことを示す.
m\lt x\leqq m+1の範囲で, \dfrac{1}{2^m}\leqq \dfrac{1}{2^{x-1}}かつ\dfrac{1}{2^{x+1}}\lt \dfrac{1}{2^{m+1}}だから,
1-\dfrac{1}{2^{x-1}}\leqq 1-\dfrac{1}{2^m}\leqq f(x)\leqq 1-\dfrac{1}{2^{m+1}}\lt 1-\dfrac{1}{2^{x+1}}
であるが, mは任意なので, 結局x\gt 0となるすべてのxで,
1-\dfrac{1}{2^{x-1}}\leqq f(x)\lt 1-\dfrac{1}{2^{x+1}}.
\dlim_{x\to\infty}\left(1-\dfrac{1}{2^{x-1}}\right)=\dlim_{x\to\infty}\left(1-\dfrac{1}{2^{x+1}}\right)=1だから,
はさみ打ちの原理により\dlim_{x\to\infty}f(x)=1. よってf(x)は条件Bを満たす.
また, 上記に行った計算により, f'\left(m+\dfrac{1}{2^{m+1}}\right)=1, f'\left(m+\dfrac{1}{2^{m}}\right)=0である,
したがって, m\lt x\leqq m+1の範囲でf'(x)の値が1にも0にもなりうるので,
f'(x)は収束しない.
よって, f(x)は条件Aを満たさない.
次回は文型第4問解説です。
理型第5問はそのさらに次回に解説します.
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた。
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