2023年2月1日

【第5回垂れ流し数学模試】理型第1問・文型第1問解説

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回は 第5回垂れ流し数学模試 の 理型第1問・文型第1問 を解説しようと思います。
第1問は理系の(1)と文型の(2)が共通だったので, 下の順序でみていこうと思います.

文型 第1問(1)

問題

ある国の通貨単位はTKであり, 1TK, 2TK, 5TK, 10TKの4種類の硬貨が流通している.
この国で100TKを支払うとき, これら4種類の硬貨のみを使用しておつりのないように支払う方法は全部で何通りあるか.
ただし, 複数枚使う硬貨の種類や, 1枚も使われない硬貨の種類があってもよいものとする.

場合の数ですが, どのように数えればいいか整理しながら求めるのがよいでしょう.

解答のために考えること

1, 2, 5, 10の最小公倍数が10であることから, $100=10\times 10$を意識し,
$m$を自然数として$10m$TKちょうどを何通りで支払えるかを考えていきます.

10TKの硬貨を$a$枚ちょうど使う場合, $100-10a$TKを1TK, 2TK, 5TKの3種類のみで払う必要があります.
また, 10TKの硬貨を使わず, 5TKの硬貨を$b$枚ちょうど使う場合, 残りの$100-5b$TKは1TK, 2TKの2種類のみで支払う必要があります.

このとき$100-5b$は5の倍数ですが10の倍数とは限らないので,
先に$5l$TK ($l$は自然数)ちょうどを1TK, 2TKの2種類のみで支払う方法をカウントしておく必要がありそうです.

解答

まず, $l$を自然数として, $5l$TKを1TK, 2TKの2種類の硬貨のみを用いてちょうど支払う方法を考える.

  • $l$が偶数ならば, $5l$は偶数.
    2TK硬貨は0枚以上$\dfrac{5l}{2}$枚以下使えて, 残りは1TK硬貨で払う. よって支払い方は$\dfrac{5l}{2}+1$通り
  • $l$が偶数ならば, $5l$は奇数.
    2TK硬貨は0枚以上$\dfrac{5l-1}{2}$枚以下使えて, 残りは1TK硬貨で払う. よって支払い方は$\dfrac{5l-1}{2}+1=\dfrac{5l+1}{2}$通り

次に, $m$を自然数とするとき, $10m$TKを1TK, 2TK, 5TKの3種類の硬貨のみを用いてちょうど支払う方法の数を求める.
使う5TK硬貨の枚数を$b$枚とすると, $b$は$0\leqq b\leqq 2m$を満たす整数となり,
$10m-5b$円は1TK, 2TKの2種類の硬貨のみを用いることになる.

  • $b$が偶数ならば, $b=2b'$とおくと, $0\leqq b'\leqq m$.
    $10m-5b=5(2m-2b')$は偶数で, $10m-5b$TKを1TK, 2TKの硬貨で支払う方法は, $\dfrac{5(2m-2b')}{2}+1=5m-5b'+1$通り.
  • $b$が奇数ならば, $b=2b'-1$とおくと, $1\leqq b'\leqq m$.
    $10m-5b=5(2m-2b'+1)$は偶数で, $10m-5b$TKを1TK, 2TKの硬貨で支払う方法は, $\dfrac{5(2m-2b'+1)+1}{2}=5m-5b'+3$通り.

よって, $10m$TKを1TK, 2TK, 5TKの3種類の硬貨のみでちょうど支払う方法の総数は, \[ \begin{aligned} &\dsum_{b'=0}^{m}(5m-5b'+1)+\dsum_{b'=1}^{m}(5m-5b'+3)\\ =&5m+1+\dsum_{b'=1}^{m}(10m-10b'+4)\quad (\leftarrow 左の\Sigmaでb'=0の場合を分離)\\ =&5m+1-5m(m+1)+m(10m+4)\\ =&5m^2+4m+1\quad (通り) \end{aligned} \] となる.

100TKを1TK, 2TK, 5TK, 10TKの4種類の硬貨を使って支払う場合の総数を考える.
10TK硬貨を$a$枚とすると, $a$は$0\leqq a\leqq 10$を満たす整数となり,
$100-10a=10(10-a)$TKを1TK, 2TK, 5TKの3種類のみで支払うことになるので,
その場合の支払い方は$5(10-a)^2+4(10-a)+1$通り(*)である.
ただし, $a=10$の場合, 100TKを全て10TK硬貨で払う方法として1通りあるが,
これは(*)に$a=10$を代入して得られる値に一致する.

したがって, 100TKを1TK, 2TK, 5TK, 10TKの4種類の硬貨のみでちょうど支払う方法の総数は, \[ \begin{aligned} &\dsum_{a=0}^{10}\left\{5(10-a)^2+4(10-a)+1\right\}\\ =&\dsum_{t=0}^{10}(5t^2+4t+1)\quad (\leftarrow t=10-aと置き換え)\\ =&1+\dsum_{t=1}^{10}(5t^2+4t+1)\quad (\leftarrow t=0の場合を分離)\\ =&1+\dfrac{5}{6}\cdot 10\cdot 11\cdot 21+2\cdot 10\cdot 11+1\cdot 10\\ =&2156 \end{aligned} \] より$\bold{2156}$通りとなる.


理型 第1問(1)・文型 第1問(2)

問題

$x$は正の実数で, $x\neq 1$かつ$x\neq \dfrac{1}{4}$とする. $x$の不等式 \[\log_{x}{6}-\log_{4x}{27}\leqq 1\] を解け.

単純に対数不等式を解くだけの問題ですが,
底に未知数を含むので, その処理を的確にできるかどうかですね.

解答のために考えること

底に未知数を含むので, 底の変換公式によって同じ定数を底とする対数だけで表します.

それだけだと分数のような形を含む不等式になってしまいますので, 分母を払って整理することを考えます.
もちろん不等式ですので, 両辺に未知数を含むものをかけるときは, かける数の符号で場合分けして考える必要があります.

整理した後の不等式は, $\log_{2}{x}$に関する2次不等式とみることができます.
係数に対数が含まれるので少々大変ですが, 因数分解が可能であることに気付けば解までたどり着けると思います.

解答

$x>0$, $x\neq 1$, $x\neq \dfrac{1}{4}$のもとで, もとの不等式より, \[ \begin{aligned} \dfrac{\log_{2}{6}}{\log_{2}{x}}-\dfrac{\log_{2}{27}}{\log_{2}{4x}}&\leqq 1\\ \dfrac{1+\log_{2}{3}}{\log_{2}{x}}-\dfrac{3\log_{2}{3}}{2+\log_{2}{x}}&\leqq 1 (\cdots ①) \end{aligned} \]

ここで$\log_{2}{x}\neq 0$かつ$2+\log_{2}{x}\neq 0$に注意して,
$(\log_{2}{x})(2+\log_{2}{x})$の正負で場合分けを行う.

  1. $(\log_{2}{x})(2+\log_{2}{x})\gt 0$のとき
    $\log_{2}{x}\lt -2$または$0\lt \log_{2}{x}$のとき,
    したがって$0\lt x\lt \dfrac{1}{4}$または$1\lt x$ (...②)のとき.

    ①の両辺に$(\log_{2}{x})(2+\log_{2}{x})$をかけて整理すると, \[ \begin{aligned} (1+\log_{2}{3})(2+\log_{2}{x})-3(\log_{2}{3})(\log_{2}{x})&\leqq (\log_{2}{x})(2+\log_{2}{x})\\ (\log_{2}{x})^2+(1+2\log_{2}{3})(\log_{2}{x})-(2+2\log_{2}{3})&\geqq 0\\ \{\log_{2}{x}+(2+2\log_{2}{3})\}\{\log_{2}{x}-1\}&\geqq 0 \end{aligned} \]

    したがって, \[ \log_{2}{x} \leqq -2-2\log_{2}{3}=\log_{2}{\dfrac{1}{36}}, 1=\log_{2}{2} \leqq \log_{2}{x} \] ②の条件を考えて, (i)の場合の$x$の範囲は$0\leqq x\leqq \dfrac{1}{36}$, $2\leqq x$

  2. $(\log_{2}{x})(2+\log_{2}{x})\lt 0$のとき
    $-2\lt \log_{2}{x}\lt 0$のとき,
    したがって$\dfrac{1}{4}\lt x\lt 1$ (...③)のとき.

    ①の両辺に$(\log_{2}{x})(2+\log_{2}{x})$をかけて, (i)同様に整理すると, \[ \{\log_{2}{x}+(2+2\log_{2}{3})\}\{\log_{2}{x}-1\}\leqq 0 \] を得るので, \[ -2-2\log_{2}{3}=\log_{2}{\dfrac{1}{36}}\leqq \log_{2}{x} \leqq 1=\log_{2}{2} \] このとき$\dfrac{1}{36}\leqq x\leqq 2$を得るが, ③の範囲の$x$はすべてこれを満たす.

(i), (ii)より, もとの不等式の解は, $\bold{0\leqq x\leqq \dfrac{1}{36}, \dfrac{1}{4}\lt x\lt 1, 2\leqq x}$

対数を含む式変形がやや面倒ですが, 真数に含まれる素因数が2と3だけなので,
底をなるだけ同一にしたうえで, 真数をなるだけ分解する
という対数計算の原則に従えば難しくありません.

必要ならば, 例えば$a=\log_{2}{x}$, $b=\log_{2}{3}$のように, 文字で置き換えて考えると
(ただしこの場合$a$は未知, $b$は既知の定数として扱えることに注意)
$a^2+(1+2b)a-(2+2b)$という$a$に関しての2次式に帰着できます.


理型 第1問(2)

問題

極限値$\dlim_{n\to\infty}\left\{\left(1-\cos\dfrac{\pi}{n}\right)\dsum_{k=1}^{n}k\cos\dfrac{k\pi}{2n}\right\}$が存在すれば, その極限値を求めよ.

極限の問題ですが, Σ記号が現れています.

解答のために考えること

Σ部分については, \[ \dsum_{k=1}^{n}k\cos\dfrac{k\pi}{2n}=n^2\cdot \dfrac{1}{n}\dsum_{k=1}^{n}\dfrac{k}{n}\cos\dfrac{k\pi}{2n} \] と変形すれば, $\dlim_{n\to\infty}\dfrac{1}{n}\dsum_{k=1}^{n}\dfrac{k}{n}\cos\dfrac{k\pi}{2n}$は区分求積により$\dint_{0}^{1}x\cos\dfrac{\pi x}{2} dx$に等しくなります.

このときに余った$n^2$と最初に残した$\left(1-\cos\dfrac{\pi}{n}\right)$とで, $\dlim_{n\to\infty}\left\{n^2\left(1-\cos\dfrac{\pi}{n}\right)\right\}$を求めます.

解答

\[ \left(1-\cos\dfrac{\pi}{n}\right)\dsum_{k=1}^{n}k\cos\dfrac{k\pi}{2n} =n^2\left(1-\cos\dfrac{\pi}{n}\right)\cdot \dfrac{1}{n}\dsum_{k=1}^{n}\dfrac{k}{n}\cos\dfrac{k\pi}{2n} \] である.

ここで, $n\to\infty$のとき, \[ \begin{aligned} \left\{ n^2\left(1-\cos\dfrac{\pi}{n}\right) \right\} &=\dfrac{n^2\left(1-\cos\frac{\pi}{n}\right)\left(1+\cos\frac{\pi}{n}\right)}{1+\cos\frac{\pi}{n}}\\ &=\dfrac{n^2\left(1-\cos^2\frac{\pi}{n}\right)}{1+\cos\frac{\pi}{n}}\\ &=\dfrac{n^2\sin^2\frac{\pi}{n}}{1+\cos\frac{\pi}{n}}\\ &=\pi^2\cdot \dfrac{\left(\frac{n}{\pi}\sin\frac{\pi}{n}\right)^2}{1+\cos\frac{\pi}{n}}\\ &\xrightarrow{n\to\infty}\pi^2\cdot \dfrac{1^2}{1+1}=\dfrac{\pi^2}{2} \quad \left(\because \dfrac{\pi}{n}\xrightarrow{n\to\infty}0\right) \end{aligned} \]

また, \[ \begin{aligned} \dlim_{n\to\infty}\dfrac{1}{n}\dsum_{k=1}^{n}\dfrac{k}{n}\cos\dfrac{k\pi}{2n} &=\dint_{0}^{1}x\cos\dfrac{\pi x}{2} dx\\ &=\dfrac{2}{\pi}\left\{\left[x\sin\dfrac{\pi x}{2}\right]_0^1-\dint_0^1\sin\dfrac{\pi x}{2} dx\right\}\\ &=\dfrac{2}{\pi}+\dfrac{4}{\pi^2}\left[\cos\dfrac{\pi x}{2}\right]_0^1\\ &=\dfrac{2}{\pi}-\dfrac{4}{\pi^2}=\dfrac{2(\pi-2)}{\pi^2} \end{aligned} \]

よってもとの極限値は存在し, その値は, $\dfrac{\pi^2}{2}\cdot \dfrac{2(\pi-2)}{\pi^2}=\bold{\pi-2}$

次回は理型第2問・文型第2問解説です。
お楽しみに。

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた。

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