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2016年5月30日

【高校数学I】対称式(3変数の場合)

こんにちは、TomoKです。

前回は2変数x,yの対称式を考えましたが、
今日は似た話を3変数でやります。

3変数x,y,zを含む整式においては、
x,y,zのうちどの2つを入れ替えても等しくなるようなものを、
x,y,zの対称式といいます。

実はx,y,zのときも基本対称式があって、それらは
3つ全部の和 \orange{s=x+y+z}
3つのうち2つを選んだ積の和 \green{t=xy+yz+zx}
3つ全部の積 \purple{u=xyz}
の3つです。
x,y,zの3変数の対称式のときも、基本対称式のみで表すことができることが知られています。
(ただし、実際に表すのは2変数のときより難しいです。)

例えば、
x^2+y^2+z^2はx,y,zの対称式ですね。
これは前回と同様、x+y+zを2乗する方針で行けます。
展開の公式の(6)より
(\orange{x+y+z})^2=x^2+y^2+z^2+2xy+2yz+2zx=x^2+y^2+z^2+2(\green{xy+yz+zx})
となるので、
x^2+y^2+z^2=(\orange{x+y+z})^2-2(\green{xy+yz+zx})={\orange{s}}^2-2\green{t}
となります。

2乗はいいんですが、3乗はどうでしょう。
x^3+y^3+z^3はx,y,zの対称式ですが、
(x+y+z)^3を計算するのは大変です。

展開の公式や因数分解の公式で近い形はありませんでしたか?

...実はそれが、因数分解の公式(9)でした!
x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)
この公式を知っていると、非常に楽です。

これを使うとすると、x^2+y^2+z^2の結果は上でできているし、
-xy-yz-zx=-(\green{xy+yz+zx})ですから、
\begin{align*} x^3+y^3+z^3-3\purple{xyz}&=(\orange{x+y+z})\{x^2+y^2+z^2-(\green{xy+yz+zx})\}\\ &=\orange{s}({\orange{s}}^2-2\green{t}-\green{t})\\ &=\orange{s}({\orange{s}}^2-3\green{t}) \end{align*}
となるので、
x^3+y^3+z^3=\orange{s}({\orange{s}}^2-3\green{t})+3\purple{u}
となります。

この公式9は3文字の対称式がかかわるときにちょくちょく顔を出します。

今度はx^4+y^4+z^4です。これも難しいことになりますが、
とりあえず、さっき求めたx^2+y^2+z^2を2乗してみますか。
さっきも出てきた公式6より、
(x^2+y^2+z^2)^2=x^4+y^4+z^4+2(x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2})
したがって、
x^4+y^4+z^4=(x^2+y^2+z^2)^2-2(x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2})\quad \cdots ①
となりますね。
それゆえ、x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}を基本対称式で表すことになります。

このx^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}は、\green{xy+yz+zx}を2乗すると項として出てきます。
再び公式6より、
\begin{align*} (\green{xy+yz+zx})^2&=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2(xy\cdot yz+yz\cdot zx+zx\cdot xy)\\ &=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2(xy^{2}z+xyz^{2}+x^{2}yz) \end{align*}
となります。
ここで、よく見ると最後の( )はxyzでくくれて、
(\green{xy+yz+zx})^2=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2\purple{xyz}(\orange{x+y+z})
となります。ゆえ、
\begin{align*} x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}&=(\green{xy+yz+zx})^2-2\purple{xyz}(\orange{x+y+z})\\ &={\green{t}}^2-2\orange{s}\purple{u} \end{align*}
となります。

これと、上で出したx^2+y^2+z^2={\orange{s}}^2-2\green{t}を①に代入すると、
\begin{align*} x^4+y^4+z^4&=({\orange{s}}^2-2\green{t})^2-2({\green{t}}^2-2\orange{s}\purple{u})\\ &={\orange{s}}^4-4{\orange{s}}^{2}\green{t}+4{\green{t}}^2-2({\green{t}}^2-2\orange{s}\purple{u})\\ &={\orange{s}}^4-4{\orange{s}}^{2}\green{t}+2{\green{t}}^2+4\orange{s}\purple{u} \end{align*}
となります。ずいぶん複雑ですね。

でも、「2乗」が項で出てくるときに、実際に2乗して、
邪魔な項を引くという操作をしているということは
頭に入れておいてください。
実際はs,t,uの値がわかっている状態でこのような操作をしていきます。

例題
EXQ1. 実数x,y,zが\orange{x+y+z=1}, \green{xy+yz+zx=-3}, \purple{xyz=2}をみたすとき、次の式の値を求めよ。
 (1) x^2+y^2+z^2  (2) x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}  (3) x^4+y^4+z^4
 (4) \dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}

(1)はx^2+y^2+z^2(\orange{x+y+z})^2の展開式の中に出てきます。
(\orange{x+y+z})^2=x^2+y^2+z^2+2(\green{xy+yz+zx})ですから、値の代入で、
{\orange{1}}^2=x^2+y^2+z^2+2\cdot (\green{-3}) すなわち 1=x^2+y^2+z^2-6 となります。
よって、x^2+y^2+z^2=1+6=\bold{7}です。

(2)ですが、今度、x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}(\green{xy+yz+zx})^2の展開式の中に出てきますよね。
\begin{align*} (\green{xy+yz+zx})^2&=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2(xy\cdot yz+yz\cdot zx+zx\cdot xy)\\ &=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2(xy^{2}z+xyz^{2}+x^{2}yz)\\ &=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2\purple{xyz}(\orange{x+y+z}) \end{align*}
となるので、ここに値の代入をします。
(\green{-3})^2=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+2\cdot \purple{2}\cdot \orange{1}
すなわち 9=x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}+4
よって、x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2}=9-4=\bold{5}となります。

(3)は、これもx^4+y^4+z^4(x^2+y^2+z^2)^2の展開式の中に現れることを使いますね。
(x^2+y^2+z^2)^2=x^4+y^4+z^4+2(x^{2}y^{2}+y^{2}z^{2}+z^{2}x^{2})
ここに(1)と(2)の結果を代入すれば、
7^2=x^4+y^4+z^4+2\cdot 5 すなわち 49=x^4+y^4+z^4+10 となるので、
x^4+y^4+z^4=49-10=\bold{39} となります。

(4)ですが、これは通分して計算してみましょう。
\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}=\dfrac{yz}{xyz}+\dfrac{zx}{xyz}+\dfrac{xy}{xyz}=\dfrac{\green{xy+yz+zx}}{\purple{xyz}}=\dfrac{\green{-3}}{\purple{2}}=\bold{-\dfrac{3}{2}}
となります。

練習問題
Q1. 実数x,y,zがx+y+z=-3, xy+yz+zx=-1, xyz=4のとき、次の式の値を求めよ。   [解答]
 (1) x^2+y^2+z^2  (2) x^3+y^3+z^3  (3) (x+1)(y+1)(z+1)
 (4) \dfrac{1}{xy}+\dfrac{1}{yz}+\dfrac{1}{zx}  (5) \dfrac{z-1}{xy}+\dfrac{x-1}{yz}+\dfrac{y-1}{zx}

と、いうわけで、
3月から始めた「数と式の扱い」の部分は今日でおしまいです。

ここまで学んだことが、今後いろんなところで出てくるはずです。
しっかり復習して、今後の数学の勉強に役立ててください。

次回の数学の記事からは「集合と論理」の部分に入ります。

ここも数学を考える上では非常に核となる部分です。

しかし高校数学らしいといえばらしいところで、
少し話が難しい、と思うところがあるかもしれません。

でも、いっしょに取り組んでいきながら、
一つ一つ理解していきましょう。

では、今回はここまでです。
お読みいただきありがとうございます。
ではまた!


2016年5月26日

【高校数学I】対称式(2変数の場合)

こんにちは。TomoKです。

今日は、式の値を求めるための工夫について考えます。

式の値を求める工夫の一つに「対称式の利用」があります。

x,yを入れ替えても、式として変わらないような整式を、
x,yの対称式と呼びます。

例えば、x^2+y^2はxとyを入れ替えるとy^2+x^2であり、これはx^2+y^2に等しいので、
x^2+y^2は対称式になります。

実は、x,yの対称式は、x+yxyのみで表すことができることが知られています
このx+yxyは、もっとも簡単なx,yの対称式なので、基本対称式と呼ばれます。

例えば、今のx^2+y^2\orange{s=x+y}\green{t=xy}だけで表すとしましょう。
まず2乗が出ているので、ためしに\orange{x+y}を2乗すると、
(\orange{x+y})^2=x^2+2\green{xy}+y^2
となります。右辺にx^2+y^2が出てくるので、それ以外のものを移項すると、
(\orange{x+y})^2-2\green{xy}=x^2+y^2
となりますね。このことから、
x^2+y^2=(\orange{x+y})^2-2\green{xy}=\orange{s}^2-2\green{t}
となることがわかり、対称式x^2+y^2は確かに基本対称式\orange{s=x+y}\green{t=xy}だけで表せることがわかりました。

練習問題
Q1. 次のx, yの整式が対称式であることを確認せよ。
  また、s=x+y, t=xyとして、次のx,yの整式をs,tで表せ。   [解答]
 (1) (x-y)^2  (2) x^3+y^3  (3) x^4+y^4  (4) (x^2-y)(x-y^2)

さて、x,yの対称式の値は、結局、\orange{x+y}\green{xy}の値がわかればいいということになります。

例題
EXQ1. x=\sqrt{2}+1, y=\sqrt{2}-1のとき、次の式の値を求めよ。
 (1) x+y  (2) xy  (3) x^2+y^2  (4) \dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}  (5) \dfrac{y}{x}+\dfrac{x}{y}

(1)と(2)は次のようになるのはいいと思います。
\orange{x+y}=(\sqrt{2}+1)+(\sqrt{2}-1)=\orange{\bold{2\sqrt{2}}}
\green{xy}=(\sqrt{2}+1)(\sqrt{2}-1)=(\sqrt{2})^2-1^2=2-1=\green{\bold{1}}

さて、(3)はすぐに対称式だとわかります。
先ほどの結果から、x^2+y^2=(\orange{x+y})^2-2\green{xy}なので、
x^2+y^2=(\orange{2\sqrt{2}})^2-2\cdot \green{1}=8-2=\bold{6}
となります。

(4),(5)も、整式ではないので対称式と呼ぶのは正確ではありませんが、
やはりxとyを入れ替えても等しい式になります。

(4)の式を、ためしに通分して計算しましょう。
\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}=\dfrac{\red{y}}{x\red{y}}+\dfrac{\blue{x}}{\blue{x}y}=\dfrac{\orange{x+y}}{\green{xy}}
おっ! \orange{x+y}\green{xy}が出てきましたねえ。ならばあとは代入するだけ。
\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}=\dfrac{\orange{x+y}}{\green{xy}}=\dfrac{\orange{2\sqrt{2}}}{\green{1}}=\bold{2\sqrt{2}}
ですね。

(5)も同様に、通分して計算しましょう。
\dfrac{y}{x}+\dfrac{x}{y}=\dfrac{y\cdot \red{y}}{x\red{y}}+\dfrac{x\cdot \blue{x}}{\blue{x}y}=\dfrac{x^2+y^2}{\green{xy}}
となります。
ここで、\green{xy}は基本対称式です。またx^2+y^2は対称式ですから、
\orange{x+y}\green{xy}で表していけばいいのですが、
幸運にも(3)でx^2+y^2=6と出ていますから、それを使いましょう。
すると、
\dfrac{y}{x}+\dfrac{x}{y}=\dfrac{x^2+y^2}{\green{xy}}=\dfrac{6}{\green{1}}=\bold{6}
となります。

分数型の式であっても、x,yを入れ替えて等しくなるなら、
やはり\orange{x+y}\green{xy}を使って表せるわけですね。

練習問題
Q2. x=1+2\sqrt{2}, y=1-2\sqrt{2}のとき、次の式の値を求めよ。   [解答]
 (1) x^2+y^2  (2) x^3+y^3  (3) \dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}  (4) \left(\dfrac{y}{x}-1\right) \left(\dfrac{x}{y}-1\right)

Q3. 実数a, ba+b=4, ab=-1を満たすとき、次の式の値を求めよ。   [解答]
 (1) a^2+b^2  (2) (a-b)^2  (3) \dfrac{b}{a}+\dfrac{a}{b}  (4) \dfrac{b}{a^2}+\dfrac{a}{b^2}

レベルアップ問題
LUQ11. 実数a, ba+b=5, ab=3, a>bを満たすとき、次の式の値を求めよ。
 (1) a-b  (2) a^2-b^2  (3) \sqrt{a}-\sqrt{b}

今回はここで終わりです。
今回は2変数でしたが、
次回は少し難しくして、3変数にトライしたいと思います。

お読みいただきありがとうございます。
ではまた!

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2016年5月16日

【高校数学I】分母の有理化

皆さん、こんにちは!
TomoKです。

さて、前回は平方根の意味や基本的な計算を学習しました。
今回は、その続きとして、分母の有理化を扱います。

分母に\sqrt{}を含む分数の形をした式を、
ある方法で分母の\sqrt{}をなくすことができるようになります。

[1] 分母の有理化

おそらく、中学校で、\dfrac{1}{\sqrt{2}}\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}のようなタイプのものの
分母の有理化を学習したと思います。

例えば、\dfrac{1}{\sqrt{2}}ならば、\sqrt{2}\cdot \red{\sqrt{2}}=2を使って、
分母と分子にそれぞれ\sqrt{2}をかけて、
\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{1\cdot \orange{\sqrt{2}}}{\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{2}}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}
となりました。

1つ注意することは、
まず、有理化する前に、\sqrt{}の中を簡単にしておく
ということです。

どういうことか、例を見て説明します。
例えば、\dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{75}}を有理化するとしましょう。

このまま、分母と分子に\sqrt{75}をかけてしまうと、
数が大きくなって計算が大変そうです。

でも、\sqrt{75}=5\sqrt{3}に気づくと、\sqrt{}の中が小さくなりますね。
\dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{75}}=\dfrac{3\sqrt{2}}{5\sqrt{3}}

分母は\sqrt{3}しか残っていませんから、
分母と分子の両方に\sqrt{3}をかけて
\cdots =\dfrac{3\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{3}}}{5\sqrt{3}\cdot \orange{\sqrt{3}}}=\dfrac{3\sqrt{6}}{5\cdot 3}=\dfrac{3\sqrt{6}}{15}
となります。
分母と分子が3で割り切れるので、最後に約分すると、
\cdots =\dfrac{\sqrt{6}}{5}となります。

その他、先に約分してから分母の有理化を始めることも考えられます。
\sqrt{}の中どうし、\sqrt{}の外どうしは約分可能です。

例えば、\dfrac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{6}}は、
分母と分子の\sqrt{}の中を3でわって、
\dfrac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{6}}=\dfrac{2}{3\sqrt{2}}とします。

ただし、この右辺の分子の2と、分母の\sqrt{2}の中の2は約分できません。
(分子の2は\sqrt{}の外、分母の2は\sqrt{}の中)

その後は分母と分子に\sqrt{2}をかけて、
\dfrac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{6}}=\dfrac{2}{3\sqrt{2}}=\dfrac{2 \cdot \orange{\sqrt{2}}}{3\sqrt{2} \cdot \orange{\sqrt{2}}}=\dfrac{2\sqrt{2}}{3\cdot 2}=\dfrac{\sqrt{2}}{3}
となります。

練習問題
Q1. 次の分母を有理化せよ。   [解答]
 (1) \dfrac{4}{\sqrt{7}}  (2) \dfrac{3}{\sqrt{6}}  (3) \dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}} (4) \dfrac{1}{4\sqrt{2}}  (5) \dfrac{3\sqrt{2}}{\sqrt{24}}  (6) \dfrac{\sqrt{40}}{3\sqrt{6}}

では、ここからが本題です。
次のようなタイプについて、分母の有理化をしてみましょう。

例題
EXQ1. 次の分母を有理化せよ。
 (1) \dfrac{1}{\sqrt{7}+\sqrt{5}}  (2) \dfrac{\sqrt{2}+3}{2\sqrt{2}-1} (3) \dfrac{2\sqrt{2}+\sqrt{5}}{\sqrt{2}+\sqrt{5}}

ポイントは、
\sqrt{a}\red{+}\sqrt{b}には\orange{\sqrt{a}}\blue{-}\orange{\sqrt{b}}をかけると、
(\sqrt{a}\red{+}\sqrt{b})(\orange{\sqrt{a}}\blue{-}\orange{\sqrt{b}})=(\sqrt{a})^2-(\sqrt{b})^2=a-b
となって、\sqrt{}が消えてしまうところです。
同様に、\sqrt{a}\blue{-}\sqrt{b}には\orange{\sqrt{a}}\red{+}\orange{\sqrt{b}}をかけると、
うまく\sqrt{}が消えます。

これを利用すると、例題のタイプは有理化できます。

(1)は分母が\sqrt{7}\red{+}\sqrt{5}なので、
分母と分子に\orange{\sqrt{7}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}}をかけますと、
\begin{align*}\dfrac{1}{\sqrt{7}\red{+}\sqrt{5}}&=\dfrac{1(\orange{\sqrt{7}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}{(\sqrt{7}\red{+}\sqrt{5})(\orange{\sqrt{7}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}=\dfrac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{(\sqrt{7})^2-(\sqrt{5})^2}=\dfrac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{7-5}\\ &=\bold{\dfrac{\sqrt{7}-\sqrt{5}}{2}}\end{align*}
と分母を有理化できます。

(2)は、今度は分母が2\sqrt{2}\blue{-}1なので、
分母と分子に\orange{2\sqrt{2}}\red{+}\orange{1}をかけて、
\begin{align*} \dfrac{\sqrt{2}+3}{2\sqrt{2}\blue{-}1}&=\dfrac{(\sqrt{2}+3)(\orange{2\sqrt{2}}\red{+}\orange{1})}{(2\sqrt{2}\blue{-}1)(\orange{2\sqrt{2}}\red{+}\orange{1})}=\dfrac{2\cdot (\sqrt{2})^2+7\sqrt{2}+3}{(2\sqrt{2})^2-1^2}\\ &=\dfrac{4+7\sqrt{2}+3}{8-1}=\dfrac{7\sqrt{2}+7}{7}=\dfrac{7(\sqrt{2}+1)}{7}=\bold{\sqrt{2}+1} \end{align*}
となります。
最後に分母全体と分子全体が7で割れることに注意します。

(3)はどうでしょうか?
分母は{\sqrt{2}\red{+}\sqrt{5}}なので、
今度は分母と分子に\orange{\sqrt{2}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}}をかけて
\begin{align*} \dfrac{2\sqrt{2}+\sqrt{5}}{\sqrt{2}\red{+}\sqrt{5}}&=\dfrac{(2\sqrt{2}+\sqrt{5})(\orange{\sqrt{2}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}{(\sqrt{2}\red{+}\sqrt{5})(\orange{\sqrt{2}}\blue{-}\orange{\sqrt{5}})}=\dfrac{2\cdot (\sqrt{2})^2-\sqrt{2}\sqrt{5}-(\sqrt{5})^2}{(\sqrt{2})^2-(\sqrt{5})^2}\\ &=\dfrac{4-\sqrt{10}-5}{2-5}=\dfrac{-1-\sqrt{10}}{-3}=\bold{\dfrac{1+\sqrt{10}}{3}} \end{align*}
となりますね。
今度は最後の分母が1つの負の数になったので、
上のように最後に分母と分子に-1をかけておくとよいでしょう。

練習問題
Q2. 次の分母を有理化せよ。   [解答]
 (1) \dfrac{1}{\sqrt{5}+1}  (2) \dfrac{2\sqrt{7}}{\sqrt{7}-\sqrt{3}}  (3) \dfrac{1+\sqrt{2}}{3-\sqrt{2}}
 (4) \dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{5}}{\sqrt{6}+\sqrt{5}}  (5) \dfrac{3\sqrt{5}-\sqrt{3}}{\sqrt{5}+3\sqrt{3}}

レベルアップ問題
LUQ10. \dfrac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{1-\sqrt{2}+\sqrt{3}}の分母を有理化せよ。

有理化ができると、分母に\sqrt{}を含む式の計算もできるようになります。

例題
EXQ2. 次の計算をせよ。
 (1) 18\sqrt{2}\div 3\sqrt{3}  (2) \dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{\sqrt{8}}{3}
 (3) \dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}-\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}

(1)ですが、\red{A}\div \blue{B}=\dfrac{\red{A}}{\blue{B}}であるので、
\red{18\sqrt{2}}\div \blue{3\sqrt{3}}=\dfrac{\red{18\sqrt{2}}}{\blue{3\sqrt{3}}}=\dfrac{6\sqrt{2}}{\sqrt{3}}=\dfrac{6\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{3}}}{\sqrt{3}\cdot \orange{\sqrt{3}}}=\dfrac{6\sqrt{6}}{3}=\bold{2\sqrt{6}}
となります。
\sqrt{}を含む式の割り算は、分数型に持ち込むとやりやすいです。

(2)は、\dfrac{1}{\sqrt{2}}の分母が有理化できますので、
それから行います。
\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\orange{\sqrt{2}}}{\sqrt{2}\cdot \orange{\sqrt{2}}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}
また、\sqrt{8}=2\sqrt{2}ですから、分母を通分して、
\dfrac{1}{\sqrt{2}}+\dfrac{\sqrt{8}}{3}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}+\dfrac{2\sqrt{2}}{3}=\dfrac{3\sqrt{2}}{6}+\dfrac{4\sqrt{2}}{6}=\bold{\dfrac{7\sqrt{2}}{6}}
と計算できます。

(3)もまず分母の有理化をしてしまいましょう。
\dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}=\dfrac{(4-\sqrt{5})(\orange{3}\red{+}\orange{\sqrt{5}})}{(3\blue{-}\sqrt{5})(\orange{3}\red{+}\orange{\sqrt{5}})}=\dfrac{12+\sqrt{5}-(\sqrt{5})^2}{3^2-(\sqrt{5})^2}=\dfrac{7+\sqrt{5}}{4}
\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}=\dfrac{(2+\sqrt{5})(\orange{7}\blue{-}\orange{3\sqrt{5}})}{(7\red{+}3\sqrt{5})(\orange{7}\blue{-}\orange{3\sqrt{5}})}=\dfrac{14+\sqrt{5}-3\cdot (\sqrt{5})^2}{7^2-(3\sqrt{5})^2}=\dfrac{-1+\sqrt{5}}{4}
となるので、
\quad \dfrac{4-\sqrt{5}}{3-\sqrt{5}}-\dfrac{2+\sqrt{5}}{7+3\sqrt{5}}\\ =\dfrac{7+\sqrt{5}}{4}-\dfrac{-1+\sqrt{5}}{4}=\dfrac{(7+\sqrt{5})-(-1+\sqrt{5})}{4}\\ =\dfrac{8}{4}=\bold{2}
となります。

分母に\sqrt{}があるときは、
上のようにまず分母の有理化を試みる場合が多いです。
(かけ算わり算の場合には例外も多少ありますが、
足し算引き算の場合はほぼ最初に分母の有理化をしますね。)

練習問題
Q3. 次の計算をせよ。   [解答]
 (1) 10\sqrt{6}\div \sqrt{15}  (2) 14\div \sqrt{7}
 (3) \dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}+\dfrac{4}{\sqrt{6}}  (4) \dfrac{\sqrt{3}}{3\sqrt{3}+5}-\dfrac{\sqrt{3}}{\sqrt{3}-1}

というわけで、今日は分母の有理化についてお話ししました。

次回は、式に値を求める問題を中心にお話ししますが、
「対称式」や「交代式」とよばれる、ある特徴を持った式の値を
効率的に求める方法についてお話しする予定です。

このブログの「数と式の扱い」についても
終盤に差し掛かってきました。
なかなか長かったですが、みなさんには、
ぜひあきらめずに数学の勉強を続けてもらいたいと思います。

ということで、今回はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ではまた!


2016年5月7日

【高校数学I】平方根の意味と計算

皆さん、こんにちは!
TomoKです!

ゴールデンウィークが終わり、
ネット環境のない長野の実家に帰省して、
今日は1週間半ぶりの更新です。

お待たせしました!
今回こそは「平方根」をやります。

まず、平方根という言葉や記号√の意味を復習し、
平方根を用いた数の計算の練習をしていきます。

ルートの計算も、数学では基礎的な計算法になるので、
ぜひとも身に着けてほしいところです。

[1] 平方根の意味

中学校で学習した「平方根」や記号の意味を確認しておきましょう。

定義
(1) 0以上のaに対し、x^2=aをみたす数xを、a平方根という。
(2) aの平方根のうち0以上のものを、\sqrt{a}と書き表し、ルートaという。
(3) 記号\sqrt{\ }根号という。

注1 どんな0以上の実数aに対しても、その平方根が存在することは、
  今後は証明なしに用いることにします。

注2 しかし、どんな実数も2乗すると0以上になるので、
  実数の範囲内には負の数の平方根は存在しません
  (一方、実数ではないが、2乗して-1になる数を考えることも可能です。
  その1つが虚数単位i=\sqrt{-1}です。)

注3 また、0以上の実数aに対して、
  aの0以上の平方根がただ1つしか存在しないことも、
  厳密には証明が必要ですが、
  ここでは直観に任せて証明なしに用います。

例えば、36=6^2かつ6>0なので、
\sqrt{36}=6です。
また、36=(-6)^2もいえて、
2乗して36になる2つの数は6-6以外にないので、
「36の平方根は6と-6の2つ」ということがわかります。
この6と-6をまとめて、\pm 6と書きましたよね。

一般に、
0の平方根は0だけ
正の数aの平方根は2つで、\pm \sqrt{a}
となります。

\sqrt{a}については、
aが何かしらの2乗のときには、
根号\sqrt{\ }を外した形に直せました。

例えば、
\sqrt{5^2}=\sqrt{25}=5
\sqrt{(-5)^2}=\sqrt{25}=5
という調子です。
下の例、×\sqrt{(-5)^2}=-5としないようにしましょう。
\sqrt{\ }は常に0か正の数であることに注意しましょう。

一般に、次のことが言えます。

平方根
実数aに対し、
\sqrt{a^2}=|a|=\left\{\begin{align*} \red{a}\quad &(\red{a\geq 0}のとき)\\ \blue{-a}\quad &(\blue{a<0}のとき)\end{align*}\right.

aが0以上だったらわかりやすいと思います。
この場合、2乗してa^2になる0以上の数はaだけになるはずです。

あれ?
2段目に-aとあるけれど、
\sqrt{a}は0か正の数だから、おかしいんじゃないの?
と思った方は、その後ろに(\blue{a<0}のとき)とあるのに注目しましょう。

\blue{a<0}すなわちaが負の数("-")のとき、
-aは正の数("+")です。
ここに出てくる"-"は、
負の数を表す記号ではなく、
「符号を入れ替えよ」という命令を表すと考えてください。

つまり、\sqrt{a^2}は、
aが0または正の数("+")なら、そのまま\sqrt{{\ }^2}を外す
aが負の数("-")なら、\sqrt{{\ }^2}を外してから符号を変え(て正の数にす)る
ということを、上の囲みで言っています。

例題
EXQ1. 次を、根号(\sqrt{\ })を使わないで表せ。
 (1) \sqrt{8^2}  (2) \sqrt{(-7)^2}  (3) \sqrt{121}
 (4) a<1のとき、\sqrt{{(a-1)}^2}

\sqrt{\ }をうまく外せるのは、その中が2乗の形にかける場合です。
(1),(2)は上で説明したことを使うと、
(1) \sqrt{\red{8}^2}=\bold{8}  (2) \sqrt{(\blue{-7})^2}=-(\blue{-7})=\bold{7} ですね。

(3)も、121=11^2に気づけば、\sqrt{121}=\sqrt{11^2}=\bold{11}となりますね。

さて、(4)ですが、
2乗があるからといって、
すぐに×\sqrt{{(a-1)}^2}=a-1としないように注意!

a-1が0または正の数("+")だったらこれで問題がないんですが、
a<1のときは、a-1負の数("-")になります。
このときは、上で見たように、符号を変える必要があったのです。
\sqrt{\ }の中に文字が入っているときは取扱いに注意しなければなりません。

そうすると、a<1のときは、a-1<0だから、
\sqrt{{(\blue{a-1})}^2}=-(\blue{a-1})=\bold{1-a}
となります。

この(4)のように、
出てくる文字に範囲がついていて、
\sqrt{()^2}の中がはっきりと「0または正」なのか、「負」なのか、わかれば
上のように符号をよく考えて答えることになります。

しかし、もし出てくる文字に範囲がついていないときには、
その文字の符号が変わる瞬間を見つけて、「場合分け」しなければなりません。
この「場合分け」については後日詳しく扱います。

練習問題
Q1. 次を、根号(\sqrt{\ })を使わないで表せ。   [解答]
 (1) \sqrt{3^2}  (2) \sqrt{{(-2.5)}^2}  (3) \sqrt{1}  (4) \sqrt{\dfrac{16}{81}}
 (5) x\geq 2のとき、\sqrt{{(x-2)}^2}  (6) p<-4のとき、\sqrt{p^2+8p+16}

[2] 根号を含んだ式の計算

まず、中学校で学んだとおり、次のことが成り立ちます。

平方根の積と商
0以上の実数a,bに対し、
(1) \sqrt{a}\sqrt{b}=\sqrt{ab}  (2) b\neq 0のとき、\dfrac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\dfrac{a}{b}}

[証明]
(1) (\sqrt{a}\sqrt{b})^2=(\sqrt{a})^2(\sqrt{b})^2=ab
 ここで、\sqrt{a}\geq 0, \sqrt{b}\geq 0より\sqrt{a}\sqrt{b}\geq 0  一方、\sqrt{ab}\geq 0だから、上の注3により、
 \sqrt{a}\sqrt{b}=\sqrt{(\sqrt{a}\sqrt{b})^2}=\sqrt{ab}
(2)もb>0に注意すれば、同様にできる。                     (終)

したがって、
\sqrt{\ }どうしのかけ算、わり算は、
\sqrt{\ }の中どうしをかけたりわったりすればいいんでしたよね。

例えば、
\sqrt{2}\sqrt{5}=\sqrt{2\cdot 5}=\sqrt{10}
\sqrt{21}\div \sqrt{3}=\sqrt{21\div 3}=\sqrt{7}
という具合です。

また、これを使って、\sqrt{\ }の中を小さな数にすることができました。
例えば、\sqrt{28}は、28={2}^{2}\cdot 7なので、
\sqrt{28}=\sqrt{{2}^{2}\cdot 7}=\sqrt{2^2}\sqrt{7}=2\sqrt{7}
となります。

すると、次のように、できるだけ\sqrt{\ }の中が小さい数のまま、
平方根のかけ算ができます。
\sqrt{8}\sqrt{24}=2\sqrt{2}\cdot 2\sqrt{6}=2\cdot 2\sqrt{2\cdot 6}=4\sqrt{12}=4\cdot 2\sqrt{3}=8\sqrt{3}
\sqrt{12}\sqrt{27}=2\sqrt{3}\cdot 3\sqrt{3}=2\cdot 3\sqrt{3\cdot 3}=6\sqrt{3^2}=6\cdot 3=12

練習問題
Q2. 次の数の根号(\sqrt{\ })を、できるだけ小さな整数になるようにせよ。   [解答]
 (1) \sqrt{18}  (2) \sqrt{54}   (3) \sqrt{96}   (4) \sqrt{\dfrac{8}{25}}

Q3. 次の計算をせよ。  [解答]
 (1) \sqrt{5}\sqrt{7}  (2) 4\sqrt{6}\cdot (-3\sqrt{10})  (3) \sqrt{8}\sqrt{20}
 (4) \sqrt{32}\sqrt{56}  (5) \sqrt{18}\sqrt{50}

次に、たし算とひき算は、
\sqrt{\ }の中が同じ数のときに、
分配法則を利用して行うのでした。

例えば、
3\sqrt{2}+5\sqrt{2}=(3+5)\sqrt{2}=8\sqrt{2}
\sqrt{48}-\sqrt{20}-\sqrt{27}+\sqrt{45}=4\sqrt{3}-2\sqrt{5}-3\sqrt{3}+3\sqrt{5}=(4-3)\sqrt{3}+(-2+3)\sqrt{5}\\ \phantom{\sqrt{48}-\sqrt{20}-\sqrt{27}+\sqrt{45}}=\sqrt{3}+\sqrt{5}
という感じです。
最後の例ですが、うっかり×\sqrt{3}+\sqrt{5}=\sqrt{8}としないように注意!
一般には\sqrt{a}+\sqrt{b}\neq \sqrt{a+b}です。

練習問題
Q4. 次の計算をせよ。   [解答]
 (1) 3\sqrt{11}-7\sqrt{11}  (2) \sqrt{2}+\sqrt{8}
 (3) 1-\sqrt{6}+\sqrt{54}+4  (4) \sqrt{3}+\sqrt{18}-\sqrt{75}-\sqrt{50}

また、乗法の公式を利用して計算を進めることができます。

例題
EXQ2. 次の計算をせよ。
 (1) \sqrt{2}(\sqrt{5}-2\sqrt{2})  (2) (2\sqrt{3}+1)(3\sqrt{3}-2)
 (3) (5\sqrt{2}+\sqrt{7})(5\sqrt{2}-\sqrt{7})  (4) {(2\sqrt{3}-\sqrt{2})}^2-2(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-3)

文字を含む計算のようにして展開したのち、
平方根を含む四則計算を行います。

(1)は分配法則ですね。
\red{\sqrt{2}}(\sqrt{5}-2\sqrt{2})=\red{\sqrt{2}}\cdot \sqrt{5}-\red{\sqrt{2}}\cdot 2\sqrt{2}=\bold{\sqrt{10}-4}

(2)は\purple{\sqrt{3}}を1つの文字のようにして、公式5です。
\quad (\red{2}\purple{\sqrt{3}}+\orange{1})(\green{3}\purple{\sqrt{3}}\blue{-2})\\ =\red{2}\cdot \green{3}{(\purple{\sqrt{3}})}^{2}+\{\red{2}\cdot (\blue{-2})+\orange{1}\cdot \green{3}\}\purple{\sqrt{3}}+\orange{1}\cdot (\blue{-2})\\ =18-\sqrt{3}-2=\bold{16-\sqrt{3}}

(3)は和と差の積で、公式4です。
(\red{5\sqrt{2}}+\blue{\sqrt{7}})(\red{5\sqrt{2}}-\blue{\sqrt{7}})=(\red{5\sqrt{2}})^2-(\blue{\sqrt{7}})^2=50-7=\bold{41}
ちなみに途中の(5\sqrt{2})^25\sqrt{2}\cdot 5\sqrt{2}として計算しますよ~

最後、(4)は、
{(2\sqrt{3}-\sqrt{2})}^2には公式3(')を使って、
{(\red{2\sqrt{3}}-\blue{\sqrt{2}})}^2=(\red{2\sqrt{3}})^2-2\cdot \red{2\sqrt{3}} \cdot \blue{\sqrt{2}}+(\blue{\sqrt{2}})^2=12-4\sqrt{6}+2=16-4\sqrt{6}
(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-3)には公式2を使って、
(\purple{\sqrt{6}}+\orange{1})(\purple{\sqrt{6}}\green{-3})=(\purple{\sqrt{6}})^2+(\orange{1}\green{-3})\purple{\sqrt{6}}+\orange{1}\cdot (\green{-3})=6-2\sqrt{6}-3=3-2\sqrt{6}
となります。
したがって、
\quad {(2\sqrt{3}-\sqrt{2})}^2-2(\sqrt{6}+1)(\sqrt{6}-3)\\ =(16-4\sqrt{6})-2(3-2\sqrt{6})\\ =16-4\sqrt{6}-6+4\sqrt{6}\\ =\bold{10}
となります。

公式を間違えずに利用していき、
丁寧に順序良く計算していきましょう。

練習問題
Q5. 次の計算をせよ。   [解答]
 (1) \sqrt{6}(2\sqrt{3}+3\sqrt{2})  (2) (\sqrt{3}+5)(\sqrt{3}-1)
 (3) (2\sqrt{7}-3)^2  (4) (2\sqrt{2}-\sqrt{5})(3\sqrt{2}+2\sqrt{5})-2(\sqrt{5}+2)(\sqrt{5}-2)

レベルアップ問題
LUQ9. 次の計算をせよ。
 (1) (1+\sqrt{2}+\sqrt{3})^2+(1+\sqrt{2}-\sqrt{3})^2+(1-\sqrt{2}+\sqrt{3})^2+(1-\sqrt{2}-\sqrt{3})^2

 (2) (1+\sqrt{2}+\sqrt{3})(1+\sqrt{2}-\sqrt{3})(1-\sqrt{2}+\sqrt{3})(1-\sqrt{2}-\sqrt{3})

 (3) (\sqrt{2}+\sqrt{3})(\sqrt{2}+\sqrt{6})(\sqrt{6}-\sqrt{3})+(\sqrt{3}+\sqrt{6})(\sqrt{3}+\sqrt{2})(\sqrt{2}-\sqrt{6})+(\sqrt{6}+\sqrt{2})(\sqrt{6}+\sqrt{3})(\sqrt{3}-\sqrt{2})

ということで、今回で、\sqrt{\ }のついた加減乗はできることがわかりましたが、
例によってわり算は少し工夫が必要になるわけです。
その手法が「分母の有理化」です。

中学校でも「分母の有理化」を学びましたが、
分母に\sqrt{\ }が1つだけはいるもの(\dfrac{1}{\sqrt{2}}など)が中心でした。

高校では、あたらしく
\dfrac{1}{\sqrt{5}-2}\dfrac{\sqrt{3}-\sqrt{2}}{\sqrt{3}+\sqrt{2}}
のようなものも、分母を有理化することができるようになります。

そのためには、今回の内容が確実にできる必要がありますので、
何度もできるようになるまで練習を行ってください。

今回はここまで。
お読みくださってありがとうございました。
ではまた!