2021年1月23日

【第3回垂れ流し数学模試】第5問解説

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回は第3回垂れ流し数学模試の第5問の解説です。


第5問

問題

$xyz$座標空間上で, $xy$平面上に描かれた曲線$y=x(1-x)$の$0\lt x\lt 1$の部分を$C$とする.
$C$上を動く点Pに対し, Pから$x$軸に下した垂線の足をQとする.
さらに$xz$平面の$z$座標が正である点Rを, ${\rm PQ}={\rm QR}$かつ線分QRが$xy$平面に垂直である
ようにとる.

Pが$C$上を動くときに$\triangle$PQRの周および内部が通過する領域に, 2点$(0, 0, 0)$, $(1, 0, 0)$を
加えてできる立体を$D$とする.

(1) $D$の体積を求めよ.

(2) 実数$a$が$0\lt a\lt 1$を動くとき, 3点$(a, 0, 0)$, $(a, 1, 0)$, $(a+1, 0, 1)$をすべて含む
平面による$D$の断面積を$S(a)$とする. $S(a)$が最大となる$a$の値を求めよ.
ただし, そのときの$S(a)$の値(最大値)は求めなくてよい.

第5問は積分の応用として、体積や面積を考える問題でした。
立体の断面積を積分を用いて求める問題は今までそんなに見かけてこなかったという人もいるとは思います。

斜めに切る分、正しく処理しないと、断面積の計算で誤ってしまうなんてこともあり得ますので、
気を付けたいところです。
なお、立体の概形は次のようになります。

解答のために考えること

(1)は割とわかりやすいと思います。
立体$D$を平面$x=t$ ($0\lt t\lt 1$)で切ったときの断面は、Pの$x$座標が$t$のときの△PQRです。

(2)は断面上の点を$(x_0,y_0,z_0)$とおくと、この点はPが$x$座標が$x_0$のときの△PQRの上にあります。
この点が、3点$(a, 0, 0)$, $(a, 1, 0)$, $(a+1, 0, 1)$を含む平面上にある条件と、
Pが$x$座標が$x_0$のときの△PQRの上にあるという条件とを組み合わせて、
まず$x_0, y_0, z_0$の存在条件を求めます。

積分する場合は、積分の方向に注意しましょう。下の解答では、$(a, 0, 0)$, $(a+1, 0, 1)$を
通る直線に沿って積分して、置換積分を使って$x$軸方向の積分に転換させて求めています。

解答

(1)
Pの$x$座標が$t$ ($0\lt t\lt 1$)のとき、P$(t, t(1-t), 0)$, Q$(t, 0, 0)$, R$(t, 0, t(1-t))$となり、
△PQRは平面$x=t$上にある。また、PQとQRは垂直である。

したがって、$D$を平面$x=t$で切ったときの断面積は、
$\dfrac{1}{2}\cdot {\rm PQ}\cdot{\rm QR}=\dfrac{1}{2}t^2(1-t)^2$ (…①)

ここで、$t=0, 1$とすると、平面$x=0$または$x=1$による$D$の断面積は0であることより、
$0\leqq t\leqq 1$としても①は成り立つから、$D$の体積は、 \[\begin{aligned} \dint_{0}^{1}\left\{\dfrac{1}{2}{t^2(1-t)^2}\right\}\ dt&=\dfrac{1}{2}\dint_{0}^{1}(t^2-2t^3+t^4)dt=\dfrac{1}{2}\left[\dfrac{1}{3}t^3-\dfrac{1}{2}t^4+\dfrac{1}{5}t^5\right]_0^1\\[10px] &=\dfrac{1}{2}\left(\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{5}\right)=\bold{\dfrac{1}{60}} \end{aligned}\]
(2)

3点$(a, 0, 0)$, $(a, 1, 0)$, $(a+1, 0, 1)$を含む平面を$\alpha$とし、
E$(a, 0, 0)$, F$(a, 1, 0)$, G$(a+1, 0, 1)$とする。
直線EFは$y$軸に平行で、直線EGは$xz$平面上の直線$z=x-a$である。

$\alpha$上の点X$(x_0, y_0, z_0)$に対して、$x_0, y_0, z_0$の満たすべき条件を求める。
Xから$xz$平面に垂線をおろすと、足は直線EG上の点H$(x_0, 0, z_0)$であるから、 \[z_0=x_0-a\quad (\cdots ②)\]
またXは、Pの座標が$x_0$のときの△PQR上にある。
平面$x=x_0$上で、直線PR上の点は$z=-y+x_0(1-x_0)$を満たすから、
Xについて、
$y_0\geqq 0\quad (\cdots ③)$ かつ $0\leqq z_0\leqq -y_0+x_0(1-x_0)\quad (\cdots ④)$

また、$x_0$の存在範囲について、$0\leqq x_0 \leqq 1\quad (\cdots ⑤)$

以上の条件を満たす$x_0$, $y_0$, $z_0$の条件を求める。
②,④より \[\begin{aligned} &0\leqq x_0-a \leqq -y_0+x_0(1-x_0)\\ \Leftrightarrow\quad &a\leqq x_0\leqq -y_0+x_0(1-x_0)+a\\ \Leftrightarrow\quad &a\leqq x_0 かつ y_0\leqq a-{x_0}^2 \end{aligned}\] また③より$y_0\geqq 0$だから、$a-{x_0}^2\geqq 0$
したがって、$a\leqq x_0\leqq \sqrt{a}$ これは⑤を満たす。

以上から、$x_0$, $y_0$, $z_0$の存在条件として、 $z_0=x_0-a$ かつ $a\leqq x_0\leqq \sqrt{a}$ かつ $0\leqq y_0\leqq a-{x_0}^2$ が得られた。

直線EGを、Eを原点、EからGへ進む方向を正とした数直線とみなせば、
XからEGに下した垂線の足Hの座標を$h$とおくと、
$h=\sqrt{(x_0-a)^2+{z_0}^2}=\sqrt{2}(x_0-a)$だから、 \[S(a)=\dint_0^{\sqrt{2}(\sqrt{a}-a)}(a-{x_0}^2)\ dh\] $dh=\sqrt{2}dx_0$を用いて、 \[\begin{aligned} S(a)&=\sqrt{2}\dint_a^{\sqrt{a}}(a-{x_0}^2)\ dx_0=\sqrt{2}\left[ax_0-\dfrac{1}{3}{x_0}^3\right]_a^{\sqrt{a}}\\[10px] &=\sqrt{2}\left\{a(\sqrt{a}-a)-\dfrac{a\sqrt{a}-a^3}{3}\right\}\\[10px] &=\dfrac{\sqrt{2}}{3}(a^3-3a^2+2a\sqrt{a}) \end{aligned}\] となる。

$0\lt a\lt 1$の範囲で、$S(a)$の増減を調べる。
$S(a)$を$a$で微分すると、 \[\dfrac{d}{da}S(a)=\dfrac{\sqrt{2}}{3}(3a^2-6a+3\sqrt{a})=\dfrac{\sqrt{2}}{3}\sqrt{a}(\sqrt{a}-1)\{(\sqrt{a})^2+\sqrt{a}-1\}\] である。
ここで、$(\sqrt{a})^2+\sqrt{a}-1=0$のとき、$\sqrt{a}>0$より$\sqrt{a}=\dfrac{-1+\sqrt{5}}{2}$,
$a=\left(\dfrac{-1+\sqrt{5}}{2}\right)^2=\dfrac{3-\sqrt{5}}{2}$
以上より、増減表は下の通りになる。

$a$ $0$ $\cdots$ $\dfrac{3-\sqrt{5}}{2}$ $\cdots$ $1$
$\dfrac{d}{da}S(a)$ $(0)$ $+$ $\dfrac{3-\sqrt{5}}{2}$ $-$ $(0)$
$S(a)$ $(0)$ $\nearrow$ $S\left(\dfrac{3-\sqrt{5}}{2}\right)$
極大
$\searrow$ $(0)$

以上により、$0\lt a\lt 1$で、$S(a)$が最大となる$a$は、$\bold{a=\dfrac{3-\sqrt{5}}{2}}$

なお、$a=\dfrac{3-\sqrt{5}}{2}$のとき、$S\left(\dfrac{3-\sqrt{5}}{2}\right)=\dfrac{5\sqrt{10}-11\sqrt{2}}{6}$となり、
これが立体$D$と平面$\alpha$の断面積の最大値ということになります。

ちなみに、$S(a)=\dfrac{\sqrt{2}}{3}(a^3-3a^2+2a\sqrt{a})$と、
$a=0, 1$それぞれで立体$D$と平面$\alpha$が端の一点しか交わらないことから、
この$S(a)$から(1)の$D$の体積を求められますので、やってみてください。
もちろん、$\alpha$は$x$軸に対して常に45°の斜めにあるので、
積分方向を$\alpha$に常に垂直になるように取り直して積分する必要があることに注意してください。

ということで、今回の記事はここまでです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた!

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