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2016年7月23日

【高校数学I】逆・裏・対偶と対偶証明法

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回はまず、命題p\Rightarrow qから「形式的に」作られるいくつかの命題について取り上げます。

(補足:この記事を公開後、一部誤りがあるとの指摘を受け、
公開当日中に確認し、訂正をしました。ご指摘くださった方に御礼申し上げます。
その他不具合も確認したので訂正しました。以下は訂正後の内容です)

[1] 逆・裏・対偶

命題p\Rightarrow qに対し、
             q\Rightarrow pを、p\Rightarrow qの 
             \overline{p}\Rightarrow \overline{q}を、p\Rightarrow qの 
             \overline{q}\Rightarrow \overline{p}を、p\Rightarrow qの 対偶
と呼びます。

逆は文字どおり"\Rightarrow"の前後を逆にしたものです。

裏は"\Rightarrow"の前後でそのまま否定をとったものです。

対偶は、"\Rightarrow"の前後を入れ替えて、さらに否定をとったものです。
したがって、「対偶は逆の裏」になっています。

さて、逆・裏・対偶の真偽がどうなるのかについて、次の例題で見てみましょう。

例題
EXQ1. 次の命題の真偽を調べよ。また、逆・裏・対偶を作って、それらの真偽を調べよ。
「実数xについて, x>0ならばx^2>0である」

まず、元の命題は、正の数の2乗は必ず正だから、です。

次に、逆・裏・対偶を順番に調べていきましょう。

は、「ならば」の前後を入れ替えるので、
「(2つの実数x,yに対して,) \bold{x^2>0}ならば\bold{x>0}
となります。
これは、たとえばx=-1を反例としてとなります。
x=-1ならば、x^2=(-1)^2=1>0となるからです。

続いてですが、今度はもとの「ならば」の前後の否定をとりますから、
「(2つの実数x,yに対して,) \bold{x\leqq 0}ならば\bold{x^2\leqq 0}
となります。
これも、同じくx=-1のときが反例になって、になります。

最後。対偶ですが、「ならば」の前後を入れ替えてそれぞれの否定をとるので、
「(2つの実数x,yに対して,) \bold{x^2\leqq 0}ならば、\bold{x\leqq 0}
となります。
これは、x^2\leqq 0となるのは、x=0のときだけです。
(x\neq 0なら、必ずx^2>0になりますよね)
そしてx=0ならたしかにx\leqq 0が言えますから、です。

この例題の命題のように、命題「p\Rightarrow q」については、
もとの命題が真であっても、その逆が必ずしも真になるとは限らない
ことに注意しましょう。

ですが、実は次のことが必ず言えます。

対偶の真偽
命題p\Rightarrow qと、その対偶\overline{q}\Rightarrow \overline{p}の真偽は一致する。

確かに、上の例題でも、もとの命題は真で、対偶も真でした。

これは、p,qの成り立つようなxの集合を考えることで説明できます。

仮に、p\Rightarrow qが成り立っていたとしましょう。
考える全体集合をUとし、そのうちp,qの成り立つようなxの集合をそれぞれP,Qとすると、
p\Rightarrow qが成り立つので、P\subset Qになります。
ここで、P,Qの補集合を考えると、位置が逆転して\overline{Q}\subset \overline{P}が言えますが、
これは\overline{q}\Rightarrow \overline{p}が成り立つことにほかなりません。

したがって、もとの命題が真ならば、その対偶も真になることがわかりました。

一方、いまの下線部が真であることがわかったので、下線部の対偶をとることで、
「対偶が偽ならば、もとの命題が偽」が言えます。
したがって、もとの命題が偽のときは、対偶の対偶がもとの命題に戻ることを考えて、
対偶が偽であることがわかります。

以上から、もとの命題と対偶は真偽が一致することがわかりました。

ところで、逆と裏の関係も対偶どうしなので、ある命題の逆と裏の真偽も一致します。

練習問題
Q1. 次の命題の真偽を答えよ。
  また、それぞれの逆・裏・対偶を作り、それらの真偽を答えよ。   [解答]
 (1) 実数xについて、x=0\Rightarrow x^2=0
 (2) 整数nについて、nが6の倍数\Rightarrow nが3の倍数
 (3) 整数nについて、n^2が4の倍数\Rightarrow nが4の倍数

[2] 対偶証明法

さて、もとの命題とその対偶との真偽が一致するので、
・命題p\Rightarrow qを示すのに、その対偶\overline{q}\Rightarrow \overline{p}を示してもよい
ということが言えます。
これは、命題p\Rightarrow qを直接導くことが難しい場合に利用されることがあります。

例題
EXQ2. 実数x,yについて、
  x+y\neq 4ならば、x\neq 2またはy\neq 2であることを証明せよ。

これは、そのままx+y\neq 4からはじめて、x\neq 2またはy\neq 2を示すのは極めて難しいです。
そこで、この命題の対偶を考えます。
x\neq 2またはy\neq 2の否定は「x=2かつy=2」になることを注意すると、
命題の対偶は、「x=2かつy=2ならば、x+y=4」となりますね。
これだったら簡単です。2+2=4ですから。

したがって、改めてこの命題の証明を清書すると、次のようになります。

[証明]
示すべき命題の対偶は、「x=2かつy=2ならば、x+y=4」であるが、
x=2かつy=2ならば、x+y=2+2=4である。
したがって、対偶が示されたので、示すべき命題が成り立つことも示された。 (終)

まず、対偶がどうなるかを記し、その対偶を示します。
最後は、対偶が示されたので、もとの命題が成り立つことを言えば、完結します。

練習問題
Q2. 対偶を証明することにより、次のことを証明せよ。   [解答]
 (1) 実数xについて、x^2\neq 1ならば、x\neq 1である。
 (2) 整数aについて、a^2が偶数ならば、aも偶数である。

次回も、対偶証明とはまた別の、直接でない証明の方法を紹介したいと思います。

では、今回はここまで。
お読みくださりありがとうございました。
ではまた!


2016年7月14日

【高校数学I】必要条件と十分条件

皆さんこんにちは!
TomoKです。

前回までにいろいろな条件や命題を見てきたわけですが、
2つの条件p,qに対して、それらの「成り立つ」「成り立たない」の関係を見るのに、
「必要条件」と「十分条件」という考え方を使います。

定義
2つの条件p,qについて、
(i) p\Rightarrow qが成り立つとき、pqであるための十分条件であるという。
(ii) q\Rightarrow pが成り立つとき、pqであるための必要条件であるという。

p\Rightarrow qが成り立つときは、
pという条件があれば、qという条件が成り立つのに十分である、
という意味合いで、「pqであるための十分条件」というわけです。

次に、q\Rightarrow pが成り立つときは、
qという条件を成り立たせるためには、少なくともpという条件が必要である、
という意味合いで、「qpであるための必要条件である」というわけです。

だいぶどっちがどっちだか迷うかもしれません。
この記事を書いている私もここのところは結構わかるのに時間がかかった覚えがあります。

上のことを図でかいてみます。
ただし、この図では「q\Rightarrow p」のことを「p\Leftarrow q」と表しています。



「は」から「であるための」に向かう矢印が成り立つのは十分条件
「であるための」から「は」に向かう矢印が成り立つのは必要条件
です。

有名な覚え方で下のようなものがあります。
これを最初に思いついた人ってなかなかセンスあるような気がします。

注意しなければならないのは、
「は」「ための」の位置を合わせておかないとならないことです。
必ず、「は」は左、「ための」は右において考えます。

ともかく、「十分条件」と「必要条件」が逆にならないように覚えておきましょう。

定義
2つの条件p,qについて、pqであるための十分条件かつ必要条件であるとき、
すなわち、p\Rightarrow qかつq\Rightarrow pが成り立つとき、
pqであるための必要十分条件である、またはpq同値であるといい、
p\Leftrightarrow qで表す。

一般には、p\Rightarrow qが仮に成り立っても、その逆のq\Rightarrow pが成り立つとは限りません。
しかし、p\Rightarrow qq\Rightarrow pの両方が成り立った場合は、
pqの条件は同じときに成り立つと考えてよいわけです。
その時、pqであるための必要かつ十分な条件となり、
それをpqは同値であるということがある、というわけです。

例題
EXQ1. 次の[    ]にあてはまる最も適切なものを、次の①~④から選べ。
  ①必要条件ではあるが、十分条件ではない
  ②十分条件ではあるが、必要条件ではない
  ③必要十分条件である
  ④必要条件でも十分条件でもない

 (1) 実数xについて、x=1であることは、x^2=1であるための[    ]。
 (2) 整数aについて、a^2が4の倍数であることは、aが4の倍数であるための[    ]。
 (3) 自然数pについて、pが素数であることは、pが奇数であるための[    ]。

よくある問題です。
「は」のついたほうの条件を左に、「ための」のついたほうの条件を右において、
\green{十}\rightleftarrows \orange{要}ですね。

(1)をこの図式にあてはめると
\green{x=1}\rightleftarrows \orange{x^2=1}となります。

\green{x=1}\Rightarrow \orange{x^2=1}1^2=1よりです。
 「」のほうから出ている→がOKなので、十分性はあります

\green{x=1}\Leftarrow \orange{x^2=1}
 すなわちx^2=1\Rightarrow \green{x=1}はどうかというと、
 x^2=1から出てくるのはx=1,-1の2つがあるので、 x=-1を反例としてです。
 「」のほうから出ている←がNGですので、必要性はありません

以上のことから、(1)の[   ]に入るのは、だとわかります。

同じようにして(2)(3)を調べます。

(2)の図式は
\green{a^{2}が4の倍数}\rightleftarrows \orange{aが4の倍数}

\green{a^{2}が4の倍数}\Rightarrow \orange{aが4の倍数}を考えると、
 a=2のとき、a^2=4は4の倍数だが、a=2は4の倍数でないから、 a=2を反例として
 「」のほうから出ている→がNGだから、十分性はなし

\green{a^{2}が4の倍数}\Leftarrow \orange{aが4の倍数}
 すなわちaが4の倍数\Rightarrow a^{2}が4の倍数は、
 a=4k(kは整数)とおくと、a^2=(4k)^2=16k^2=4\cdot 4k^2は4の倍数 よって
 「」のほうから出ている←がOKだから、必要性はあり

以上のことから、(2)の[   ]に入るのは、

(3)の図式は
\green{pが素数}\rightleftarrows \orange{pが奇数}

\green{pが素数}\Rightarrow \orange{pが奇数}は、
 p=2は素数だが奇数でないから、p=2を反例として
 「」のほうから出ている→がNGだから、十分性はなし

\green{pが素数}\Leftarrow \orange{pが奇数} すなわちpが奇数\Rightarrow pが素数は、
 p=9は奇数だが素数でない(9=3^2)ので、p=9を反例として
 「」のほうから出ている←がNGだから、必要性もなし

以上のことから、(3)の[   ]に入るのは、

練習問題
Q1. 次の[    ]にあてはまる最も適切なものを、次の①~④から選べ。   [解答]
  ①必要条件ではあるが、十分条件ではない
  ②十分条件ではあるが、必要条件ではない
  ③必要十分条件である
  ④必要条件でも十分条件でもない

(1) 整数aについて、aが3の倍数であることは、aが6の倍数であるための[    ]。
 (2) 実数xについて、2\leqq x<5であることは、x>0であるための[    ]。
 (3) 四角形ABCDについて、
  AB=BC=CD=DAであることは、∠A=∠B=∠C=∠Dであるための[    ]。
 (4) 自然数nに対し、
  nが40と60の公約数であることは、nが20の約数であるための[    ]。
 (5) 2つの実数x,yについて、xy=0であることは、x=0かつy=0であるための[    ]。

さて、論理に関する事柄を知ったところで、それらを使わなければあまり意味をなしません。
次回以降は、その「実際に使ってみる」ところをやることになります。
つまり、いろいろな命題が正しいことを論理的に証明する方法を考えていきます。

もちろん、そのまま証明するのができればそのほうがいいのですが、
場合によってそれが難しいこともあるので、
そんな時、ほかにどういった手段が使えるのかを見ていくことにしましょう。

今日はここまでです。
お読みくださってありがとうございました。
ではまた!

2016年7月8日

【高校数学I】「すべて」と「ある」

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今日は「すべて」と「ある」を用いた命題について考えます。

前回同様、ある集合Uを全体集合とし、
Uの要素xの条件p(x), q(x)を考えます。
そしてそのとき、Uの部分集合として、
条件p(x)を満たすx全体の集合をPとします。

さて、Uの要素xに関する命題
すべてのxについてp(x)
は、xUの要素であれば、必ずxが条件p(x)を満たすことを意味します。

Pp(x)を満たすUの要素全体の集合ですから、
すべてのUの要素xについてp(x)」がであるときは、\orange{U=P}となります。

「すべての」の部分は、人によって、
「任意の」とか「勝手な」という言い方をすることもありますが、
すべて同じ意味です。

次に、これと(ある意味)対になる命題として、
あるxについてp(x)
というのがあります。
これは、Uの中に、p(x)を満たすxがある、という意味です。

今度は、「あるUの要素xについてp(x)」がであることは、\green{P\neq \emptyset}ということになります。

ちなみにこれも言い方が人によっていろいろありまして、
「あるxについてp(x)」のことを、
p(x)を満たすxが(少なくとも1つ)存在する」とか、
「適当なxについてp(x)」と言ったりします。
(ちなみに数学でいう「適当な」は、「条件を満たすようにとってきた」というような意味です)

さて、この「すべて」と「ある」を用いた命題が偽であるとはどんなときか、考えましょう。

まず、「すべてのUの要素xについてp(x)」がであるのは、
さっきのPを用いれば、U=Pが偽、つまり、U\neq Pということです。
Pは全体集合Uの部分集合なので、これの意味することは、
Uの要素で、Pの要素でないものがあるということです。
集合の式で書くと、U\neq Pだから、\overline{P}\neq \emptysetということです。

したがって、
          「すべてのUの要素xについてp(x)」がであるときは、
          「あるUの要素xについて\overline{p(x)}」がのとき
と分かります。

言葉や式だとわかりにくいと思いますが、図で書けば下のようになります。


次に、「あるUの要素xについてp(x)」がであるのは、
P\neq \emptysetが偽、すなわちP=\emptysetということです。
これは、p(x)を満たすxが(Uの中に)存在しない、
すなわち、すべてのxについてp(x)が満たさない、ということです。
これも集合で言えば、P=\emptysetだから、\overline{P}=Uということになりますね。

したがって、
          「あるUの要素xについてp(x)」がであるときは、
          「すべてのUの要素xについて\overline{p(x)}」がのとき
となります。

これも図で見るといくらかわかりやすいと思います。



ここまでのことを、「否定」という言葉で表現すると、次のことが言えたことになります。

ド・モルガンの法則(「すべて」と「ある」ver.) 
2つの条件p,qについて、次が成り立つ。
(1) 「すべてのxについてp(x)」の否定は、あるxについて\overline{p(x)}
(2) 「あるxについてp(x)」の否定は、すべてのxについて\overline{p(x)}

このように、「すべて」と「ある」のときも、否定をとると互いに入れ替わります。

例題
EXQ1. 次の命題の否定を作れ。
 (1) すべての実数xについて x^2=1
 (2) ある自然数nについて nは偶数
 (3) すべての実数x,yについて x>0またはy>0

条件部分が否定されるだけでなく、「すべて」と「ある」が入れ替わることに注意です。

(1)は、x^2>0の否定はx^2\neq 1なので、
(1)の否定は \bold{ある実数xについて x^2\neq 1}

(2)は、nが自然数の範囲では「nが偶数」の否定は「nが奇数」なので、
(2)の否定は、\bold{すべての自然数nについて nは奇数}

(3)はちょっと注意。
x>0またはy>0」の否定は、「x\leqq 0かつy\leqq 0」でしたよね。
したがって、(3)の否定は、\bold{ある実数x,yについて x\leqq 0かつy\leqq 0}です。

練習問題
Q1. 次の命題の否定をつくれ。   [解答]
 (1) すべての実数xについて x^2>x
 (2) ある実数x,yについて x^2+y^2=0
 (3) ある四角形ABCDについて AB=CD かつ AD=BC

さて、先ほどの話から、次のことが言えます。

・「すべてのxについてp(x)」がであることを言うには、
 xをとりあえず1つとってきて、それがp(x)を満たすことを証明する
・「すべてのxについてp(x)」がであることを言うには、
 p(x)を満たさないxを1つ挙げる(反例を示す)

だから、「すべて」を用いた命題は、
感覚としては「ならば」のときと同じようなものだと考えていいでしょう。

ですが、「ある」のときは状況が逆転しまして、

・「あるxについてp(x)」がであることを言うには、
 p(x)を満たすxを1つ挙げる
・「あるxについてp(x)」がであることを言うには、
 xをとりあえずとってきて、それがp(x)を満たさないことを証明する
 (または、p(x)を満たすxがあるとして矛盾を導く →「背理法」 後日扱います。)

となります。

例題
EXQ2. 次の命題の真偽を答えよ。
 (1) すべての実数xについて x^2\geqq 0
 (2) すべての整数aについて \sqrt{a}は整数である
 (3) ある素数pについて pは偶数である
 (4) ある実数x,yについて x^2+y^2<0

(1)は、正の数でも、0でも、負の数でも、
どんな実数をとってきても、2乗すれば必ず0以上になりましたから、
(1)はです。

(2)はどうかというと、
例えばa=3とすると、\sqrt{a}=\sqrt{3}=1.732\cdotsとなり、整数になりません。
したがって、反例a=3により、(2)はです。

(3)ですが、今度は「ある」を用いた命題です。
素数pで偶数であるものといえば、p=2がありますね。
ですから、(3)はです。

最後の(4)です。
これも「ある」を使った命題ですが、
どんな実数x,yをとってきても、x^2\geqq 0かつy^2\geqq 0よりx^2+y^2\geqq 0になります。
すなわち、どんな実数x,yでも、x^2+y^2<0とはなりえないので、
(4)はとなります。

練習問題
Q2. 次の命題の真偽を答えよ。   [解答]
 (1) すべての実数xについて |x|=x
 (2) ある実数x,yについて x+y=0
 (3) すべての偶数mについて \dfrac{m}{2}は整数
 (4) ある実数xについて x^2+1=0

レベルアップ問題
LUQ12. 実数x,yに関する条件p(x,y)について、次は成り立つか。
 (1) 「すべての実数xについて、ある実数yがあって、p(x,y)」が真ならば、
   「ある実数yがあって、すべての実数xについて、p(x,y)」も真である。

 (2) 「ある実数yがあって、すべての実数xについて、p(x,y)」が真ならば、
   「すべての実数xについて、ある実数yがあって、p(x,y)」も真である。

LUQ13. 次の命題の真偽を答えよ。
 (1) すべての実数aについて、ある実数xがあって、x^2=a
 (2) ある実数xがあって、すべての実数aについて、x^2=a
 (3) すべての自然数Kについて、ある自然数Nがあって、
  Nより大きいすべての自然数nについて、\sqrt{n}>K

さて、ここまでで、いろいろな命題を見ていきました。
次回は、これを踏まえ、数学をやるうえで大事な考え方である
「十分条件」と「必要条件」について扱います。

では、今回はここまで。
お読みくださり、ありがとうございました。
ではまた!


2016年7月1日

【高校数学I】「かつ」「または」と条件・「ならば」と命題

皆さんこんにちは!
TomoKです。

前回は「命題とは」「条件とは」ということを考えました。
それらを踏まえたうえで、
「それらからいろいろな条件や命題が作れるよ」
というのが今日の話題です。

話を少し簡単にするため、ある集合Uを全体集合とし、
Uの要素xの条件p(x), q(x)を考えます。

そして、Uの部分集合として、
条件p(x)を満たすxの集合をP, 条件q(x)を満たすxの集合をQ
とします。
(このP,Qをそれぞれp(x), q(x)の真理集合といいます)

[1] 「でない」・「かつ」・「または」

前々回(ド・モルガンの定理)で考えたような感じで、
・条件 「p(x)でない」     を満たすxの集合は Pの補集合 \overline{P}
・条件 「p(x)かつq(x)」   を満たすxの集合は PとQの共通部分 P\cap Q
・条件 「p(x)またはq(x)」 を満たすxの集合は PとQの和集合 P\cup Q
がわかり、したがって、次の条件バージョンのド・モルガンの定理が成り立ちました。

ド・モルガンの法則(条件ver.) (再掲)
2つの条件p,qについて、次が成り立つ。
(1) 「p\orange{かつ}q」の否定は、「p\red{でない}\quad \green{または}\quad q\red{でない}
(2) 「p\green{または}q」の否定は、「p\red{でない}\quad \orange{かつ}\quad q\red{でない}

(これについての練習問題は、上のリンクされているページの下のほうにQ2があります)

[2] 「ならば」

さて、数学で扱う命題は、しばしば「○○ならば△△」という形をしていることがあります。

p(x)ならばq(x)」 という命題は、
「条件p(x)を満たすxが、必ず条件q(x)を満たす」   …(*)
という意味です。

p(x)ならばq(x)」のことを、記号で、「p(x)\Rightarrow q(x)」と書きます。

Pp(x)を満たすxの集合、Qq(x)を満たすxの集合ですから、
p(x)\Rightarrow q(x)が正しいということは、言い換えれば、
x\in Pならばx\in Q」といっていることになります。
これは集合P,QについてP\subset Qが成り立ってることにほかなりません。

p(x)\Rightarrow q(x)P\subset Qであることと同じこと

注意してほしいことが1つ。
命題p(x)\Rightarrow q(x)が真であっても、
p(x)を満たさないxに対しては、そのxq(x)を満たすとは限らない
ということです。

これは
p(x)\Rightarrow q(x)という命題は、
仮定(p(x))が成りたってないときにどうなるか、ということは述べていない」
という説明をよく聞きます。

さて、ここまではp(x)\Rightarrow q(x)が真である場合を述べてきましたが、
では、p(x)\Rightarrow q(x)が偽になる場合はどんな場合か考えましょう。

p(x)\Rightarrow q(x)が偽であるということは、
上で言えば(*)が偽であるということです。
それは、
p(x)をみたすxで、q(x)を満たさないものがある」
ということです。

したがって、
命題p(x)\Rightarrow q(x)が偽であることを言うためには、
p(x)は成り立ってもq(x)が成り立たないようなxが1つでも見つかればOK
ということになりますね。
そのようなxのことを、命題p(x)\Rightarrow q(x)反例といいます。

例題
EXQ1. 次の命題の真偽を答えよ。
 (1) 実数xについて、 x\leqq 1\Rightarrow x\leqq 3
 (2) 実数xについて、 x^2-2x=0\Rightarrow x=2
 (3) 整数nについて、 nが6の倍数 ⇒ nが2の倍数
 (4) △ABCと△PQRについて、 AB=PQ かつ BC=QR かつ CA=RP ⇒ △ABC≡△PQR

簡単な命題なら、
p(x)を満たすxの集合Pが、q(x)を満たすxの集合Qに含まれるかどうか
を調べればわかりやすいと思います。
そうでないとき、真であることを示すのであれば、
その命題が真であることを証明する必要があります。

もちろん、命題が偽であることを確認するには、反例が見つかれば十分です。

(1)は、p(x): x\leqq 1,\quad q(x): x\leqq 3とおけば、
Pは1以下の実数の集合, Qは3以下の実数の集合です。
下の数直線の図を見ればわかりやすいですが、
1は3より小さいので、P\subset Qです。


よって、実数xの命題 "x\leqq 1\Rightarrow x\leqq 3" はです。

(ちなみにこの(1)の証明には、実数の順序に関する推移性、すなわち、
 実数a,b,cに対し、a\leqq bかつb\leqq cならばa\leqq c
 を使います。
 [本来は等号がついていないバージョンだが、等号つきでも成り立つ。]
 つまり、x\leqq 1とすると、さらに1\leqq 3がいえるので、x\leqq 3がいえる、という感じです。)

では、(2)ですが、今度はどうでしょうか。
p(x): x^2-2x=0,\quad q(x): x=2ですね。
x^2-2x=0xの方程式として解くと、x(x-2)=0よりx=0,2となります。
ということは、p(x)を満たす実数xは0と2の2つです。
すなわち、P=\{0,2\}です。

しかし、q(x)を満たすxは明らかに2だけ、
すなわちQ=\{2\}ですから、
P\subset Qではありません
なぜかといえば、PにはQにはない0という要素があるからです。
つまり、x=0がこの命題の反例になっています。
実際、x=00^2-2\cdot 0=0よりp(x)を満たしますが、
0\neq 2なので、q(x)を満たしません。

ということで、実数xの命題 "x^2-2x=0\Rightarrow x=2" はです。

(3)ですが、nを自然数として、
p(n): nが6の倍数,\quad q(n): nが2の倍数ですね。
集合P=\{n\mid nは6の倍数\},\quad Q=\{n\mid nは2の倍数\}
を考えれば、6の倍数を思い起こせばP\subset Qが成り立ちそうです。

では、これを確かめるにはどうすればよいでしょうか?
n6の倍数(\leftrightarrow6に整数をかけたもの)ということは、
ある整数kを使って、n=\green{6}kと書けます。
ここで、この式を少しいじると、
n=\green{6}k=\purple{2}\cdot 3k
となります。
いまkは整数だから3kは整数ですから、
この式から、nは確かに2に整数をかけたもの、すなわち2の倍数だとわかります。

つまり、nが6の倍数であるとすると、nが2の倍数になることがいえたので、
整数nの命題 "nが6の倍数 ⇒ nが2の倍数" はです。

最後の(4)は集合で考えるとややこしいですが、ここは一発!
三角形の合同条件の1つ
「対応する3組の辺がそれぞれ等しい2つの三角形は合同である」
を使えば、△ABCと△PQRについての命題
 "AB=PQ かつ BC=QR かつ CA=RP ⇒ △ABC≡△PQR" はだとわかります。

このように、命題が真であることを言うのに、
私たちが定理などでそれが真だと知っている場合は、
それを述べれば証明になります。
(ただ、人によって、どこまで定理を知ってるかのレベルが変わるので、
それは難しいところですが…
そのようなことを避けるためか、この種の真偽判定ネタが記述式の試験で問われるときに、
「真ならば証明し、偽なら反例を挙げよ」となることがしばしばあります。)

練習問題
Q1. 次の命題の真偽を答えよ。   [解答]
 (1) 実数xについて、 x+1=0\Rightarrow x=-1
 (2) 実数x,yについて、 xy=0\Rightarrow x=0 かつ y=0
 (3) 自然数pについて、 pが素数\Rightarrow pが奇数
 (4) △ABCで、  ∠B=∠C ⇒ AB=AC
 (5) 四角形ABCDで、 AB=DC かつ AD\jparaBC ⇒ 四角形ABCDは平行四辺形 

次回は、「すべて」と「ある」を使った命題を見ていきます。

では、今回はここまで。
お読みくださりありがとうございました。
ではまた!