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2016年6月25日

【高校数学I】命題と条件

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今回からは、数学を考えるために大事な考え方である「論理」の勉強をします。

その最初として、「命題」とか「条件」とは何か、ということを見ていきます。

次の3つの文を考えましょう。

① 100は10より大きい。
② 100は1000より大きい。
③ 100は大きい数である。

①,②,③のそれぞれの文が正しい正しくないか、ということを考えます。

当然、100は10より大きく、1000より小さいので、
①は正しい文であり、②は正しくない文だといえます。

一方、③はどうかというと、
これは、う~~ん、正しいとも正しくないともつかないですねえ。
さっき言ったように、100は10より大きいし、100は1000より小さいです。
また、100が大きい数かどうかというのは人により判断が分かれると思います。

数学では、数学的に書かれた文が正しいかどうかを考えながら話を進めるため、
①や②のように、人によって判断が変わらず、正しい正しくないかがはっきり決まるものを扱います。
このような、正しい正しくないかがはっきりと判断できる文を、命題、と呼びます。

そして、ある命題が正しいとき、その命題はであるといい、
そうでない(正しくない)とき、その命題はであるといいます。

上の3つの文では、
①はの命題   ②はの命題で   ③は命題ではない
ということになりますね。

練習問題
Q1. 次の文のうち、命題はどれか。また、真の命題, 偽の命題はそれぞれどれか。   [解答]
 (1) 1+2=3である。
 (2) \sqrt{10}=10である。
 (3) 9は面白い性質をもった数である。
 (4) 実数x,yについて、x>0かつy>0ならばxy>0である。
 (5) 実数x,yについて、xy>0ならばx>0かつy>0である。

次は「条件」です。

実数x,yについて、式x+y=10は、「x+yが10に等しい」と解釈すれば確かに文になりますが、
これだけでは正しいかどうかの判定をすることができません。

しかし、x,yに具体的な値として、例えばx=3, y=7を代入すると、
この式は3+7=10となり、正しくなります。

一方、もし仮にx=4, y=7を代入すると、
この式は4+7=10となり、これは正しくありません

このように、実数x,yについての式x+y=10は、
x,yに具体的にある実数の値を代入することで
初めて正しいかどうかが判定できるようになります。
そのような文のことを、実数x,y条件といいます。

実数x,yの条件x+y=10では、x=3, y=7を代入すると、正しくなりました。
このとき、
x=3, y=7は、(実数x,yの条件)x+y=10満たす(成り立たせる、満足する)」
ということがあります。

条件を満たす値は1つとは限りませんし、逆に1つもないこともあります。

例えば、上の実数x,yの条件x+y=10を満たすx,yは無限に存在します。

一方、実数の2乗は必ず0か正の数になるので、
実数aの条件a^2<0を満たすaは存在しません。

練習問題
Q2. 条件x^2-3x+2=0を満たす実数xをすべて求めよ。   [解答] 

さて、条件は、ふつう小文字のアルファベットp,q,r,\cdotsやギリシャ文字\phi, \psiを使います。
(\phi(空集合の記号\emptysetとは違う)は「ファイ」 \psiは「プサイ」と読む)
例えば、pが条件x+y=10を表すことを、
p : x+y=10
と書いたりします。
とくにx,yについての条件であることを表すのに、p(x,y)という記号を使うことがあります。

複数の条件からいろいろな条件を作ることができます。

前回出てきたのは、条件p,qに対して、
pでない (\overline{p})   pまたはq   pかつq
の3つが出てきました。
これらは、1つまたは複数の条件から新たな条件を作っているわけですね。

一方、次回もしくはその次で登場する、
pならばq   すべてのxについてp(x)   あるxについてp(x)
の3つは、1つまたは複数の条件から命題を作り出すことができます。

次回はそこら辺のことについて解説します。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

2016年6月17日

【高校数学I】ド・モルガンの法則

皆さん、こんにちは!
TomoKです。

また1週間空いてしまいました。。。
図があると遅くなってしまいますね…
図形の単元に入ったら大変そうです…

今日は「ド・モルガンの法則」という重要な定理を扱います。
(すみません、前回予告で「ド・モルガンの定理」と言ってましたね…)

ド・モルガンの法則
全体集合Uの部分集合A,Bについて、次が成り立つ。
(1) \overline{A\orange{\cap}B}=\overline{A}\green{\cup}\overline{B}
(2) \overline{A\green{\cup}B}=\overline{A}\orange{\cap}\overline{B}

「補集合(の記号)を分配すると、\orange{\cap}\green{\cup}が入れ替わる」というのが、
この法則の言っていることです。

これはベン図で考えると直感的にわかります。

(1)のほうですが、
\overline{A\cap B}A\cap Bの補集合で、
下の左の薄赤部分ですね。

一方、\overline{A}\cup \overline{B}
\overline{A}\overline{B}の和集合です。
下の右の図で、青斜線が\overline{A}, 緑斜線が\overline{B}で、
その一方でも入っていれば\overline{A}\cup \overline{B}に含まれますから、
確かに\overline{A\cap B}=\overline{A}\cup \overline{B}がわかりますね。

\overline{A\cap B}=\overline{A}\cup \overline{B}
右の図の青斜線部は\overline{A}, 緑斜線部は\overline{B}

同じようにして、(2)もベン図を使って理解できます。

練習問題
Q1. \overline{A\cup B}=\overline{A}\cap \overline{B}を、上のようにベン図を用いて確かめよ。   [解答]

さて、今の法則に関係する論理の話を少し。

次の、「xさん」に関する文章pを考えましょう。
p : xさんは携帯電話を持っていて、\orange{かつ}パソコンを持っている
pが正しいかどうかは、「xさん」がだれなのかによって決まります。
(つまり、pは「xさんに関する条件」といえます。)

さて、この条件pに対し、意味としてその反対の条件である、
「pでない」という条件を考えます。
集合Pに対し、Pの要素でないものの集まりを\overline{P}と書いたように、
条件pに対し、「pでない」という条件を\overline{p}で表します。
(条件pの否定、と呼びます。)

\overline{p} : 「xさんは携帯電話を持っていて、\orange{かつ}パソコンを持っている」\red{でない} …(*)

さて、人全員の集合Uを全体集合として、
その部分集合として、次の3つの集合を考えます。

\begin{align*} P&=\{x\mid xさんは携帯電話を持っていて、\orange{かつ}パソコンを持っている\}\\ A&=\{ x\mid xさんは携帯電話を持っている\}\\ B&=\{x\mid xさんはパソコンを持っている\}\end{align*}

このとき、
Pは、Uの要素で、条件pを満たすもの全体の集合
であり、とすると、
\overline{P}は、Uの要素で、条件pを満たさない、
すなわち、条件「pでない」を満たすもの全体の集合
であることがわかります。

一方、Pを、ABを使って表すと、「かつ」があることから、
P=A\cap Bであることがわかります。
(A\orange{\cap}B=\{x\mid x\in A\quad \orange{かつ}\quad x\in B\}でしたね→前回のココ参照
また、A\green{\cup}B=\{x\mid x\in A\quad \green{または}\quad x\in B\}も思い出しましょう。)

すると、\overline{P}は、上の「ド・モルガンの法則」を使って、次のように書けます。

\begin{align*} \red{\overline{P}}&=\overline{A\orange{\cap}B}\\ &=\overline{A}\green{\cup} \overline{B}\\ &=\{x\mid xさんは携帯電話を持ってい\red{ない}\}\green{\cup}\{x\mid xさんはパソコンを持ってい\red{ない}\}\\ &=\{x\mid xさんは携帯電話を持ってい\red{ない}か、\green{または}、パソコンを持ってい\red{ない}\}\end{align*}

したがって、「pでない」という条件は、次のように書き直せます。
上の(*)とよく見比べてください。

\overline{p} : xさんは携帯電話を持ってい\red{ない}か、\green{または}、パソコンを持ってい\red{ない}

このようにして、集合と似たようなことが、普通の文章でも成り立ちます。

ド・モルガンの法則(条件ver.)
2つの条件p,qについて、次が成り立つ。
(1) 「p\orange{かつ}q」の否定は、「p\red{でない}\quad \green{または}\quad q\red{でない}
(2) 「p\green{または}q」の否定は、「p\red{でない}\quad \orange{かつ}\quad q\red{でない}

集合のときと条件のときとで、
補集合」と「否定」、「\cap」と「かつ」、「\cup」と「または」が
それぞれ(意味的に)対応していることを確かめてください。

例えば、条件pを、
p : 整数aが2でも3でも割り切れる
として、pの否定を考えます。

条件pは、あえて「かつ」を入れて、
「整数aが2で割り切れ、かつ3でも割り切れる」ということができます。
そこで、上の「ド・モルガンの法則」を使うと、
pの否定\overline{p}は、
\overline{p} : 整数{a}が2で割り切れ\red{ない}か、\green{または}3で割り切れ\red{ない}
となります。

一方、今度は条件qを、
q : 整数aが2で割り切れるか、3で割り切れる
として、qの否定を考えます。

これも、条件qをあえて「または」を入れて、
「整数aが2で割り切れ、または3でも割り切れる」ということができますから、
qの否定\overline{q}は、
\overline{q} : 整数{a}が2で割り切れ\red{なく}、\orange{かつ}3でも割り切れ\red{ない}
となります。

練習問題
Q2. 次の条件の否定を作れ。   [解答]
 (1) 自然数nが奇数かつ素数である
 (2) 実数xx<1またはx>2である
 (3) aさんはテニス部かバレーボール部に入っている
 (4) sさんはA高校にもB高校にも通っていない

と、いうわけで、
少し小難しい話をしましたが、
ご理解いただけたならうれしいです。

実は次回以降も、こういった論理の話を基本的にします。
1つずつ理解していってほしいと思います。

次回の内容としては、
ある文章が正しいとか誤っているとかを判定することについて、お話しします。
これは数学においては大変大事なエッセンスですので、しっかり学びましょう。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。
ではまた!

2016年6月10日

【高校数学I】集合の基礎2

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今日は、2つの集合の「含む」「含まれる」の関係や、
2つの集合から作られる集合を見ていきたいと思います。

[1] 含む,含まれる

2つの集合について、一方が他方を「含む」とか、他方に「含まれる」とかいう関係を、
次で定めます。

定義
A,Bを集合とする。
(1) Aの要素がすべてBの要素であるとき、
 BA含む, AB含まれる, またはAB部分集合である、といい、
 A\subset BまたはB\supset Aで表す。
(2) A\subset BB\subset Aが同時に成り立つとき、A, Bは(集合として)等しいといい、
 A=Bという。

A\subset B
(B\supset A)
Aの要素がすべてBの要素であるとき、
A\subset B (ABに含まれる) と言うことにして、
このとき、Aは集合としてBの一部になるので、ABの部分集合である、と呼ぶわけです。

A\subset BB\supset Aは同じ意味で、
これを図にすると右のようになります。

一方、Aの要素がすべてBの要素であり、
しかも逆にBの要素がすべてAの要素であるなら、
ABそれぞれの要素が一致するので、
そのときにA=B(ABは等しい)ということにしましょう、
ということです。

特別な集合として、要素を1つもない集合を空集合といい、
記号\emptysetで表すことにします。

空集合というのは、要素が1つもない集合です。
「集合」とは「ものの集まり」なのに、なぜ要素(「もの」)がないのが集合なのか、
ときになる方もいるかと思いますが、
そこは「0個のものの集まり」と考えて受け入れてもらいましょう。

つまり、集合は「個数」ではなく「集まり」で決まります。

例えば、2乗して負になる実数はありませんから、
x^2<0になるような実数xの集合は空集合です。
すなわち、\{x\mid xは実数\quad かつ\quad x^2<0\}=\emptyset ということです。

気を付けてもらいたいのは、
この実数の集合として出てきた\emptysetは実数全体の集合に含まれている、
と考えなければなりません。

一般には、「空集合は、どんな集合の部分集合にもなる
すなわち どんな集合Aに対しても、\emptyset \subset Aであるということです。
まあ、そのように定めておくとなにかと都合がいい、と考えてもいいでしょう。

練習問題
Q1. A=\{1,2,4,5,6\},\quad B=\{2,4,6\},
  C=\{x \mid xは整数\quad かつ\quad 1\leq x\leq 9\},\quad D=\{x \mid xは整数\}
  とする。次の□にあてはまる記号を、\subset, \supsetから選べ。   [解答]
 (1) A□B  (2) B□C  (3) A□C  (4) D□C

さて、次のことがすぐにわかります。

部分集合
3つの集合A,B,Cについて、A\subset BかつB\subset Cならば、A\subset B

[2] 和集合と共通部分, 補集合

集合を用いて問題を考えるとき、「おおもとの集合」Uを、
問題で必要となる集合がUの部分集合になるように設定するが多いです。
そのときに設定した「おおもとの集合」Uを、全体集合と呼びます。

全体集合Uの部分集合として2つの集合A,Bが与えられているとしましょう。
A\cap B

A,Bの両方に共通して属す要素の集合を、
\orange{A\cap B} と書き、
A,B共通部分または交わりといいます。

式で書くと、
\orange{A\cap B=\{x\mid x\in A\quad かつ\quad x\in B\}}
となり、
図でかくと右のようになります。


A\cup B
一方、A,Bの少なくとも一方に属する要素の集合を、
\green{A\cup B} と書き、
A,B和集合または結びといいます。

これも式で書けば、
\green{A\cup B=\{x\mid x\in A\quad または\quad x\in B\}}
となって、
図では右のようになります。
「少なくとも一方」であって、「一方だけ」ではないので、
A,Bの両方に属する要素(すなわちA\cap Bの要素)もA\cup Bに属すことに注意してください。

それ以上に、\cap\cupは上下逆になっただけなので、
どっちがどっちなのか分からなくなるならないように注意!
\capが共通部分, \cupが和集合ですよ!

これらの定義のもとに、次のことがわかります。

共通部分と和集合の性質
2つの集合A,Bについて、次が成り立つ。
(1) A\cap A=A,\quad A\cup A=A
(2) A\cap B=B\cup A,\quad A\cup B=B\cup A
(3) A\cap B\subset A,\quad A\subset A\cup B
(4) A\subset B ならば A\cap B=A,\quad A\cup B=B
(5) \emptyset \cap A=\emptyset,\quad \emptyset \cup A=A

(1)と(2)は当たり前ですね。
(3)は上のA\cap BA\cup Bの図を見るとわかると思います。
(4)も最初のほうのA\subset Bの図でA\cap BA\cup Bを考えるとわかります。
さらに、\emptyset \subset Aだったので、(4)から(5)が言えます。

\overline{A}
続いて、全体集合Uの部分集合Aに対し、
Aに属さない元の集合を、\overline{A}と書き、
Aの(Uに対する)補集合といいます。

式で書くと、
\overline{A}=\{x\mid x\in U\quad かつ\quad x\notin A\}
となりまして、
図で書けば右のようになります。
Aに対し、\overline{A}とはUA以外の部分、となるわけです。

\overline{A}Aだけでなく全体集合Uに依存して決まることにも注意しましょう。

補集合に対しても、いくつか基本的な性質が成り立ちます。

共通部分と和集合の性質
全体集合Uとその部分集合A,Bについて、次が成り立つ。
(1) \overline{\emptyset}=U,\quad \overline{U}=\emptyset
(2) \overline{\overline{A}}=A
(3) A\cap \overline{A}=\emptyset,\quad A\cup \overline{A}=U
(4) A\subset B ならば \overline{B}\subset \overline{A}

(1)は何もないところには文字通り「何も入っていない」から、
補集合は全体になる、ということです。
逆に、全体集合の補集合は、何も入らないので、空集合です。

(2)は「Aに属さないものの集合」に属さないものの集合、つまり、それはAですよね。
二重否定は肯定になる、という感じです。

(3)は上の\bar{A}の図をみてA\cap \overline{A}A\cup \overline{A}を求めてみましょう。
Aと、「Aに属さないものの集合」には共通する要素があるわけがないので、
A\cap \overline{A}=\emptysetです。
またすべてのものはAに属すか属さないかのどちらかですから、
A\cup \overline{A}=Uです。
A\subset B ならば \overline{B}\subset \overline{A}

(4)は右の図を見てください。
A\subset Bのとき、
ピンク色の斜線の\overline{B}は、
青斜線の\overline{A}に含まれていることがわかると思います。

A\subset Bとは、
「Aの要素がすべてBの要素である」
ということです。
それを言い換えれば、
「Bの要素でないものはAの要素ではない」
ということになります。
そこで\overline{A},\overline{B}の意味を考えると、
\overline{B}\subset \overline{A}がいえることがわかります。

例題
EXQ1. 1以上10以下の整数の全体の集合Uを全体集合とし、その部分集合として
  A=\{1,2,5,6,8,9\},\quad B=\{2,3,6,7,9\}を考える。
  このとき、次の集合を求めよ。
 (1) A\cap B  (2) A\cup B  (3) \overline{A}  (4) A\cap \overline{B}  (5) \overline{A\cup B}

この例題をやります。

(1)は\orange{A\cap B}、すなわちABの共通部分です。
したがって、AにもBにも属するものをすべてとって、
A\cap B=\bold{\{2,6,9\}}です。

(2)は\green{A\cup B}、すなわちABの和集合です。
したがって、ABのどちらか少なくとも一方属するものを見ると、
A\cup B=\bold{\{1,2,3,5,6,7,8,9\}}です。
先ほども注意しましたが、「少なくとも一方」ですので、
AとBの両方に属する要素もA\cup Bに属します。

(3)の\overline{A}は、Uの要素のうちAに属さないものの集合です。
だから、1以上10以下の整数で、Aに属すものを取り去って、
\overline{A}=\bold{\{3,4,7,10\}}となります。

(4)のA\orange{\cap }\overline{B}A\overline{B}共通部分ですよね。
ここで、\overline{B}Uの要素、すなわち1以上10以下の整数のうち、
Bに属さないものの集合ですから、\overline{B}=\{1,4,5,8,10\}です。
これとAと両方に属すものを考えると、
A\cap \overline{B}=\bold{\{1,5,8\}}となります。

(5)は、今度は\overline{A\cup B}ですから、
Uの要素、すなわち1以上10以下の整数のうち、A\cup Bに属さないものの集合ですね。
(2)でA\cup Bを求めてあるので、それらを取り去って残った
\overline{A\cup B}=\bold{\{4,10\}}が答えです。

ところで、
この問題で与えられた状況を図に書くと、
右のようになります。
このような集合の図をベン図と呼びます。
(「ベン」はこのような図を考案した人の名前です)
右のベン図を使っても、それぞれのものを求めることができます。

練習問題
Q2. 1以上15以下の整数の全体の集合Uを全体集合とし、その部分集合として
  A=\{1,3,5,7,9,11,13,15\},\quad B=\{1,2,3,5,8,13\},\quad C=\{2,3,5,7,11,13\}を考える。
  このとき、次の集合を求めよ。   [解答]
 (1) A\cap B  (2) B\cup C  (3) A\cap C  (4) \overline{A}
 (5) \overline{A}\cap B  (6) \overline{B}\cup \overline{C}  (7) \overline{A\cup B}

さて、次回は、集合や、そのあとの論理のところで大事になる
「ド・モルガンの定理法則」と呼ばれる定理法則を紹介します。

では、今回はここまでです。
お読みくださってありがとうございました。
ではまた!


2016年6月3日

【高校数学I】集合の基礎

皆さんこんにちは!
TomoKです。

今日からは「集合と論理」の単元に入ります。
いよいよ計算ではなく、数学の考え方として大事な部分である
「集合」や「論理」のお話になるわけです。

「論理」といっても、最初からとびきり難しいわけではありません。
1つずつ事項を理解すれば、「そういうことか」と納得する時期が必ず来ますので、
あきらめずに学習を続けてください。

今回は、まず「論理」の話に入る前の段階として、
「集合」とは何か?ということをお話ししようか、と思います。

集合」とは、簡単に言えば、
ある条件を満たすものの集まり」のことを指す言葉だと思ってください。

(ただし、本当に詳しく「集合」とか「物の集まり」とは何かを考えようとすると、それだけでかなり面倒ですので、
そこが気になる人は、大学の数学科で集合論を学習してください。)

また、その「集合」を作るときに集められた1つ1つの「もの」を、
その集合の「要素」または「」といいます。

「集合」というのは、いろんなところに考えられます。
例えば、
・日本の47都道府県を全部集めれば、「日本の47都道府県全体の集合」で、
 都道府県の1つ1つ (東京都, 大阪府, 長野県, …)がその要素
・○○高校の全校生徒を全員集めれば、「○○高校の全校生徒の集合」で、
 生徒1人1人がその要素

数学的な例であれば、
・1桁の自然数を集めたものは「1桁の自然数の集合」で、
 その要素は1,2,3,4,5,6,7,8,9の9つある。

また、例えば、
・偶数を全部集めれば「偶数全体の集合」
・整数を全部集めれば「整数全体の集合」
という感じに、数えられないほどあるものの集合を考えることも可能です。

集合はふつう、アルファベットの大文字(A, B, C, \cdots)を使って表します。

例えば1桁の自然数全体の集合Aで表したいとき、
書き方が主に次の2通りあります。

(i) その集合の要素を書き並べる方法
Aの要素は1,2,3,4,5,6,7,8,9の9つだけなので、
{ }の中にこの9つの要素を書き並べて、 A=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9\}

(ii) その集合の要素の満たすべき条件を書く方法
Aの要素は自然数で、1桁ということは9以下だから、
自然数xで、x\leq 9を満たすものがAの要素である、といえるので、
A=\{x\mid xは自然数\quad かつ\quad x\leq 9\}

((ii)の書き方として、ほかにも、A=\{x\mid xは整数\quad かつ\quad 1\leq x\leq 9\}などとも書けます。)

(i)は、要素を具体的に明示できる場合とか、
要素の条件を書きにくい場合(要素を適当に選んだ時など)には有効です。

(ii)は、要素の条件があるので、どんな性質のものを集めた集合なのかがわかるときに有効です。

もちろん、どっちの記法を使っても同じ集合を表します。

では、今度は偶数全体の集合Bで表します。
(ただし、正だけではなく0や負の偶数も考えます)
このBを上の2通りの書き方で書いてみましょう。

(i) その集合の要素を書き並べる方法
Bの要素は、2,4,6,8,10,...... 書ききれません。
また、上でも言ったとおり、0や負の偶数も考えるとすると、
0,-2,-4,-6,-8,-10,......と、こちらも書ききれません。

このように、要素が比較的多い時は、
とりあえず、法則性がある程度分かるように何個か順番に書いて、
それ以降は"・・・"で省略してしまいます。
(「これぐらい書けばあとはわかるでしょ?」的な感覚です。)

正のほうにも負のほうにも伸びているので、両側に・・・を使って、
B=\{\cdots, -6, -4, -2, 0, 2, 4, 6, \cdots\}
というふうに書いておけばよいでしょう。

(ii) その集合の要素の満たすべき条件を書く方法
Bの要素は偶数です。
だから、B=\{x\mid xは偶数\}と書けます。
が、これだとそのまますぎる気がするような…

でも、「偶数とはどういう条件を満たすものか」というのは式で書けそうです。
偶数というのは、整数xを使って、2xと書ける数のことでした。
これを使って書くと、さらにBの要素の条件がはっきりとしてきますが、
その場合は下のように書きます。
B=\{2x\mid xは整数\}
要素それぞれを式で表すことができる集合であれば、
その一般式を書いてしまったほうがわかりやすいことがあります。
(ただし、|の右の条件の範囲で、|の左の式を動かしていけば、
Bの要素が過不足なく得られることをよく確かめる必要がありますが。)

練習問題
Q1. 次の集合を、上の(i)の方法(集合の要素を書き並べる方法)で書き表せ。   [解答]
 (1) A=\{x\mid xは整数\quad かつ\quad -3\leq x\leq 3\}
 (2) B=\{4x\mid xは自然数\quad かつ\quad x<100\}
 (3) C=\{2x-1\mid xは自然数\}

Q2. 次の集合を、上の(ii)の方法(集合の要素の満たすべき条件を書く方法)で書き表せ。   [解答]
 (1) D=\{11,12,13,14,15\}  (2) E=\{5,10,15,20,\cdots ,100\}
 (3) F=\left\{1,\dfrac{1}{2},\dfrac{1}{3},\dfrac{1}{4},\cdots\right\}

さて、集合と要素に関して、次の記号を導入します。

Aを集合とするとき、xAの要素であることを、
記号\red{x\in A}\quad (xはAに\red{属す}) または \red{A\ni x}\quad (Aはxを\red{要素(元)として含む}) で表します。

一方、x\in Aではない、すなわち、xAの要素でないことを
記号\red{x\notin A}\quad (xはAに\red{属さない}) または \red{A\not \ni x}\quad (Aはxを\red{要素(元)として含まない})
で表します。

例えば、Aを1桁の自然数の集合とすれば、
5はAの要素だから、5\in Aと書けます。これをA\ni 5とも書けますね。
一方、0はAの要素にはなりません(0は自然数ではない)ので、0\notin AとかA\not \ni 0と書けます。

練習問題
Q3. A=\{2,3,5,7,11,13,17,19\},\quad B=\{n\mid nは36の正の約数\},
  C=\{3x-1\mid xは整数\} とする。
  次の□にあてはまる記号を、\in , \ni , \notin , \not \niの中から選べ。   [解答]
 (1) 2□A  (2) A□17  (3) 6□A
 (4) B□9  (5) B□5  (6) 7□B
 (7) 5□C  (8) 10□C  (9) C□-1

ということで、今日は「集合とは何か?」ということを中心にお話ししました。
いかがだったでしょうか?
今回のことが今後重要になるので、よく理解しておきましょう。

次回も集合について、複数の集合どうしの関係や、
複数の集合から新たな集合を作ることができることをお話しします。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
ではまた!